知らなかったでは済まない著作権とは?初心者でもわかる事例つき解説

webのお仕事をしていると、サイトやランディングページの作成のために、ネットから写真やイラスト、フォントを入手する機会は多いです。
フリー素材も多くあり、本当に便利でありがたい世の中だなー。と思っている訳ですが、どこでも、なんでも簡単にダウンロードできてしまうからこそ、『著作権』という概念が忘れられがちなのも事実です。

著作権は立派な法律なので、「知りませんでした」といっても、罪に問われる可能性もあるので、きちんと理解をしておく必要があります。

ただ、ネットで調べても「文章が難しくて結局なんなのか分かりづらいよ」という方もいらっしゃると思うので、今回は簡単に、事例も交えながら改めて著作権についてまとめたいと思います。

【商用利用もOK!】無料(フリー)写真素材を上手に見つける方法・サイト厳選7選


フリー画像・イラストを使用する時の注意点

さて、まず著作権とは何ぞや? の話をする前に、フリー画像・フリーイラストを使用する際の注意点について記載しておきます。

ネットにはフリー写真・イラスト・アイコン等、無料で利用できる素材がたくさん紹介されています。
ただし、場合によっては、著作権を完全に放棄していない場合もあるため、「利用規約」は必ず読み理解した上で使用するようにしましょう。

そんな基本的な事?? と思うかもしれませんが、サイトごとに利用規約は異なっており注意が必要です。
下記にひとつ、例に挙げてみてみましょう。

例)ぱくたそのご利用規約(一部抜粋)
無料素材さいと「ぱくたそ
20140613_01
利用したことがある方も多いのではないでしょうか。
コチラのサイトはすべて無料! いわゆるフリー素材ですが、あくまでも、「ぱくたそ」が定めた利用の範囲内での場合です。

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結構、細かく決まりごとがあるのはご存じでしょうか?
例えば、ユーザーボイス等にイメージ写真として勝手にこのサイトのフリー画像の素材を充てた場合は、規約違反となります。
(例)
20140613_03
また下記のような場合もNGとされています。

「浮気調査/探偵/アダルト/風俗/性的描写/宗教/麻薬/ストライキ/デモ/反発団体/ドラッグ/ナイトサービス/暴力/人物写真のみ出会い系・婚活などの利用」

ほとんどは、普通に考えてNGな事は頷けますが、“婚活”とかはちょっとうっかりすると使用してしまいそうな気もします。

上記のように、商用利用、加工はOKでも、細かい利用規約が決まっている場合もあります。
むやみに、確認をせずに利用するのは非常に危険です。
『商用フリー・著作権フリー』と記載されているサイトの素材でも、利用規約は確認の上、自己責任が取れる範囲で使用するようにしましょう。


著作権とは?

まず「フリー素材」について書きましたが、そもそも著作権とは? についても知っておきましょう。
どのような場合、どういう事がNGなのか? 制作に関わる以上基本知識として身に付けておくことをおすすめします。

著作権を考える前に、著作権の対象となる「著作物」とはどういうものを指すのかご説明します。
著作物の定義としては・・・

「思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう」
※著作権法第2条1項1号

と、あります。少々分かりづらいかもしれないので噛み砕いて説明すると、
著作物の条件としては下記のふたつが求められます。

<創作性>
製作者の”個性”が表れている事が条件として上げられます。
ですから「芸術的評価を受けた作品」「世界的に認められた」というようなレベルのものでなくても子供やアマチュアが制作した作品でも、その人の”個性”が認められる作品であればOKです!

<表現性>
アイディア自体は著作物にあたりません。きちんと「作品」として表現されている必要があります。
例えば漫画「ドラゴンボール」で考えてみると・・・

【著作物とは認められない】
「ある子供が、強くなるために、様々な修行を行い、仲間を増やして、精神的にも肉体的にも強く成長していく話。という構想・アイディアがある」
↑上記は、「ドラゴンボール」・・・とも言えなくはないですが、この時点ではアイディアであり、オリジナリティはなく著作物として認められません。(当然ですが・・)

【著作物として認められる】
「「孫悟空」という主人公が、亀仙人の元で修業を行い、願いをかなえるべく「ドラゴンボール」を集める旅の過程で「クリリン」「ブルマ」「ベジータ」等個性あふれるキャラクターと出会い、最強の戦士になっていくという”少年漫画”」
↑このようにアイディアにオリジナリティを持たせ、”少年漫画”という作品にした時点で著作物となります。

上記の著作物の定義を抑えた上で、本台の著作権についての説明に移ります。
さて、【著作権】とネットで検索してみると・・・、wikiには下記の通り記載されています。

著作者の権利には、人格的な権利である著作者人格権と、財産的な権利である(狭義の)著作権とがある。両者を合わせて(広義の)著作権と呼ぶ場合があるが、日本の著作権法では「著作権」という用語は狭義の財産的な権利を指して用いられており(著作権法第17条第1項)、本項においても、狭義の意味で用いる。

(詳細リンク:http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%91%97%E4%BD%9C%E6%A8%A9)

うーん、少しむずかしいですね。
少し噛み砕いて説明しますと、大きくわけて著作権には下記の2種類があります。

(1)著作権(財産権)
著作者が自分の「制作物」に対し、利益を得る機会を守るための権利です。

(2)著作者人格権
著作者の「名誉」を守るための権利です。

上記ふたつについて、それぞれ説明をしていきます。

著作権(財産権)≒作品による対価の保証

著作権(財産権)は、簡単にいうと、
『自分が生み出した作品で対価を得られる機会を制作者にきちんと保証するための権利』です。

権利としては、大きく下記のふたつに分かれます。

(1)著作物をコピーする権利=「複製権」
他人によって著作物を無断でコピー(有形的に再製する事)をさせない権利です。
いわゆる「海賊版」の取り締まりです。

(2)著作物を人々に伝える過程で行われる利用行為を内容とする権利=「上映権」「公衆送信権」等
他人によって、無断で著作物を公に上演、演奏されない権利です。
折角生み出した作品が、いつのまにか他人により売り出されており、別の人が儲けている・・。
なんて事態を防ぐためのものだと、認識しておいて下さい。

著作者人格権≒制作者の評価・名誉の保証

著作者人格権は簡単にいうと、
『自分が生み出した作品に対する評価・名誉・感情を守るための権利』です。

著作者人格権は簡単にいうと、
『自分が生み出した作品に対する評価・名誉・感情を守るための権利』です。
例えば、自分の作品の色やコピーが勝手に変更されて好評されてしまうような事があったら、制作者の意図がきちんと伝わらない場合や、評価が左右される事も起こりえるでしょうし、その事に対し制作者は憤りを感じることでしょう。
そのようなことがないように、下記3つの権利を著作者に付与しています。

(1)他人によって無断に公表されない権利=「公表権」
(2)著作物を公表する際に、著作者名を表示する・しないの決定。公表時の名前(ペンネーム)を決定する権利=「氏名表示権」
(3)他人によって無断で自分の著作物を改変されない権利=「同一性保持権」

自分が作った作品がいつの間にか、誰かの手が加えられている! そのことにより本来自分が思っていたものと違う形になって世に発表されてしまった。そんなことが起こってしまっては作者の名誉も心も傷つきます。
そのような事態がないようにするための権利です。

著作権利の発生と有効期限

次に著作権がいつから発生するのかと、その有効期限についてご紹介します。

【著作権の発生】
著作権には特別な登録や手続きは不要です。これを「無方式主義」と呼びます。
例えば、あるAさんが「猫の絵」を書いた場合、その「猫の絵」を書いた瞬間からその「猫の絵」についての
“著作人格権”と“著作権(財産権)”が自動的に発生します。

【著作権の有効期限】
日本では、原則として
「著作者が著作物を創作したときに始まり、著作者の生存中及び死後50年間存続する」こととされています。
また、法人などの団体の著作名義で公表された著作物の場合は、その保護期間は「公表後50年まで」と定められています。


こんな場合はどうなるの?

さて、著作権についての超基本的な知識は記載しましたが、次にこんな場合は誰に著作権がつくの?
という、ありがちなパターンをふたつ、ご紹介しておこうと思います。

製作者が複数いる場合は?

複数人の合作である「共同制作物」の場合下記のように定められています。

”共同著作物”とは、共同して創作した著作物をいう(著作権法第2条1項12号)

 

2人以上で共同で作成した著作物(作品)で、個々の著作者ごとに分割して権利を主張できない場合に適合となります。
共同著作物については、次のような取り扱いになっています。

・著作者人格権・著作権(財産権)の行使には著作者全員の合意が必要です。
(ただし、侵害行為に対しては単独で権利を行使する事ができます。)
・著作権(財産権)は、著作者が共有し、民法の共有に関する規定が適用されます。
・保護期間は、最後に死亡した著作者の死亡から50年間です。

会社に所属するデザイナーが作成した制作物の著作権は?

著作権は通常、制作者に寄与しますが、会社等の法人の契約や就業規則等で業務として創作した場合には下記の定めにより、会社が「著作者」となります。

著作権法15条
「法人その他使用者の発意に基づきその法人等の業務に従事する者が職務上作成する著作物で、その法人等が自己の著作の名義の下に公表するものの著作者は、その作成のときにおける契約、勤務規則その他別段の定めがない限り、その法人等とする。」

社内デザイナーや、制作会社の社員等が制作を行った場合には、上記に該当することが多いです。


その他

Copyright ©の意味

Copyright ©の意味
日本では、著作権は手続きナシでも権利が発生する「無方式主義」ですが、そうではない国もあります。
そこで、共通認識を持たせるためにこの「©」が用いられています。

具体的には、下記3つが表示できている場合、方式主義の国でも著作権保護が認められるようになります。

・Copyright(Copyr. © )
・発行年
・著作権者
Webデザインに携わる場合には、知っておきたい知識です。

如何でしたでしょうか?
「知らなかった~」では済まされないので、自分についても、他人についても権利を侵害することなく利用できるように知識をつけましょう!


参考文献・サイト

著作権法全文
クリエイターのための著作権入門講座[改訂第2版]