【5分でわかる】エンハンストキャンペーン移行後に改めて押さえるべき6つのポイント

GoogleAdWordsの過去の歴史の中で、史上最大の変更と言われた出来事、それは昨年7月度の「エンハンストキャンペーンへの移行」になります。
この変更に際して、昨年リスティング担当者の多くは、対応に追われていたのではないでしょうか。このエンハンストキャンペーンへの移行が発表された2013年2月から、実際に移行となる2013年の7月まで、色々なところでこの移行に対する議論がなされ、WEBの記事があげられていたと記憶しています。

今回は、そんなエンハンストキャンペーンとは実際なんだったのか、振り返りをしながら、運用上のポイントを整理してご紹介をさせて頂きます。

 


そもそもエンハンストキャンペーンとは?

エンハンストキャンペーンとは、「異なるデバイス(PC/タブレット/スマートフォン)の入札単価や広告を 1 つのキャンペーン内で管理できるように設計された、新しいタイプのキャンペーン」のことです。

今までとても複雑化していた広告の管理やPCとタブレットをまとめ、更にデバイスや地域ごとにキャンペーンを作成する必要をなくしたことから、従来よりもキャンペーン数を少なくすることができ、柔軟な運用が可能となりました。

 


エンハンストキャンペーンの背景

消費者の行動がここ数年で劇的に変化し、消費者は様々なデバイス、地域、時間帯を問わず自由にインターネットを使うようになりました。
そして、更にスマートフォンやタブレットの普及により、リスティング広告の在り方にも変化が訪れています。

スマートフォンやタブレットの利用者数増加に伴い、検索数は年々右肩上がりとなっており、「会社や自宅ではPCを使うが、通勤時や外出先ではスマートフォン、寝るときにはベッドでタブレットを」と、その状況や時間帯によってデバイスが使い分けがされるようになっているのはみなさんも肌で感じているのではないでしょうか。

だからこそ、その様な変化の中で、1人の消費者に対して、その消費者が置かれた状況に応じて、適切なデバイスでの、より的確な広告のアプローチが必要とされてきているのです。

 


エンハンストキャンペーンの目的

上記の背景を踏まえ、Googleが打ち出した新しい広告システムがエンハンストキャンペーンになります。このエンハンストキャンペーンの目的を1言表すならば「消費者の行動変化、消費者のマルチデバイス化に対応する為の仕様変更」であると言うことができます。エンハンストキャンペーンに移行されたことで、それまでデバイスごとに広告を配信・最適化を図っていたものが、PC・タブレットを軸にスマートフォンへの配信も実施する仕様へと変更されたのです。

 


エンハンストキャンペーン移行後に押さえたい6つのポイント

ここからは、実際にエンハンストキャンペーン移行後に運用をする中で、押さえるべきポイントを下記に記載しております。

(1)利用環境やデバイスに応じた適切な広告やサイトリンク

消費者は「24時間30cm以内」に存在するスマートフォンから、より気軽にインターネットへアクセスするようになり、家ではなく外で使用する事も多い中、スマートフォンに表示する広告も外出中の消費者向けの適切なタイトルやテキスト、広告表示オプションを表示させることができます。
新しいテキスト広告

(2)デバイスや場所、時間帯に応じた、細かく入札単価の調整

同じ検索のキーワードだった場合でも、「曜日」や「時間帯」、「地域」、「デバイス」が違えばユーザーの状況は異なります。
エンハンストキャンペーンでは、それらに応じて、入札単価を調整することができます。設定はキャンペーン単位、広告グループ単位で可能となります。
入札設定 例

(3)スマートフォン専用のキャンペーン

「スマートフォン」の入札単価はキャンペーンや広告グループ単位で、「PC」「タブレット」を基準に“引き上げ率”と“引き下げ率”という“%”で入札単価調整比を設定をする為、エンハンストキャンペーンでは実質スマートフォンだけの配信をすることができません。

ですが、スマートフォンにのみ配信をしたいというニーズがある場合、「引き上げ率」と「引き下げ率」を使い、スマートフォンのみの配信に近い状態にすることができます。(※完全にスマートフォンのみの配信にすることはできません。)
スマートフォン専用のキャンペーン

上記に記載した“引き下げ率”は最大100%、“引き上げ率”は最大300%まで設定する事が可能なのですが、PCのクリック単価を低くに設定し、入札単価調整比で「フル インターネットブラウザ搭載の携帯端末」の引き上げ率を+300%に設定します。そうすることでPCで広告は表示がされにくくなり、もし仮に広告が表示されてしまった場合でも単価が低いので掲載順位が低く無駄なクリックを防ぐ事ができるので、スマートフォンのみの配信に近い状態にすることがでるのです。

(4)デバイスごとの「曜日指定」「時間帯指定」「地域指定」

上記の(3)の内容とも繋がりますが、配信スケジュールの設定については、キャンペーン単位になるので、スマートフォンのみのスケジュールの設定はできません。しかし、PC・タブレットのみのスケジュール設定は、スマートフォンの入札単価調整比率を「-100%」に設定し、PC・タブレットのみキャンペーンを作成することで可能となります。

(5)デバイスごとの「品質スコア」「ファーストページビッド」

品質スコアについて、運用をする際に1つの重要な指標となりますが、内部ではデバイス別に計算がされているものの、表示上は各デバイスの平均値(検索ボリュームによる加重平均)となっているので細かなデバイス毎の数値を把握することができません。よって、運用をする際には、デバイスごとの検索ボリュームを確認し、入札単価や入札調整比率を調整する必要があります。

(6)複数デバイスを横断したコンバージョンの計測「クロスデバイスコンバージョン」

冒頭でも記載しましたが、消費者が様々なデバイスを使ってインターネットを使いこなす中、リスティング担当者にとって課題となるのが、複雑化したコンバージョン経路の測定と分析ではないでしょうか。

エンハンストキャンペーンではスマートフォンで広告に接触した後に、PCでコンバージョンに至った場合など、複数デバイスを横断した際のコンバージョン計測(クロスデバイスコンバージョン)に対応しており、計測が可能となっております。

従来であれば、スマートフォンで広告を配信しても、「CVが発生しない」、「CPAが高い」等、スマートフォンの単体での効果が悪い場合に、CVが発生せず、CPAが高い場合、効果が悪いと判断されスマートフォンの配信を停止しなければいけないこともありました。
それは、スマートフォンの広告が、PCのCVに貢献している可能性がもしあったとしても、それを図る指標がないという状況だったからです。

しかしエンハンストキャンペーンでは、こうした消費者のデバイスや実店舗、更にはアプリ経由等、様々なデバイスをまたいだ行動やチャネルでのコンバージョンを計測自体はすることが可能となりました。

デバイスやブラウザをまたいだコンバージョンの件数は、Google にログインしているユーザーの集計データを使用して推定します。
この匿名の集計データに基づいて、GoogleAdWords が起点となって達成されたデバイスにまたがるコンバージョンの件数を推定しています。

具体的な指標としては、下記の2つになります。

①     クロスデバイスの推定コンバージョン(XDC=Cross Device Conversion)
⇒ユーザーが AdWords 広告をあるデバイスでクリックし、その後、別のデバイスかブラウザからコンバージョンを達成したときにカウントされる。

②推定コンバージョン数(ETC=Estimated Total Conversion)
⇒総クリックスルー コンバージョン + クロスデバイスの推定コンバージョン = 推定総コンバージョン

(図:GoogleAdWords管理画面)
GoogleAdWords管理画面

クロスデバイスCVをアカウントで確認するためには、下記の条件が必要になりますのでご注意下さい。

  • GoogleAdwordsのコンバージョンタグが入っている。
  • アカウントで1日50件以上CVが発生している。

 


最後に

いかがでしたでしょうか?
エンハンストキャンペーンに関して、読む前と比べて、理解が少しでも深まったのであれば幸いです。

PCだけでなく、スマートフォンやタブレットでも情報を検索し閲覧するのが常識となっていますが、まだまだPCとスマートフォンを無理に別のキャンペーンで運用しているケースもあるのではないでしょうか。

今後GoogleはPC・スマートフォン・タブレットを統合運用していることを前提として、上記のクロスデバイスコンバージョンを始めとした機能をアップデートしていきます。
そのような流れの中で、統合運用をしていないアカウントは、今後大きな機会損失を招く可能性があります。
短期的に見れば、PCとスマートフォンを分けて運用することで効果を出しているアカウントも、長期的に見れば統合運用をすることをお勧め致します。

もし、エンハンストキャンペーンに関して、ご質問・ご不明点等、更にはエンハンストキャンペーン後の運用に関して、何かございましたらお気軽にご相談下さい。