Yahoo! JAPAN高田徹氏が語る「地方・中小企業のWebマーケティング未来予想図」とは?

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Webマーケティングを取り巻く環境は日々変化しています。その中でも、地方企業は今後どのようにWebマーケティングに取り組めばいいのでしょうか?

そのヒントを探るべく、ヤフー株式会社 メディア・マーケティングソリューションズグループ マーケティングソリューションズカンパニー 経営戦略本部 本部長 高田徹さんに、「地方・中小企業のWebマーケティング未来予想図」を伺いました。

ヤフーは、「インターネット」と「地方」の可能性を信じている

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私はヤフー株式会社マーケティングソリューションズカンパニーの事業方針策定や、製品開発、マーケティングやM&Aを担当しています。インターネットの世界は変化が速いため、長期的な視点で見てもその間に技術が変化してしまうこともある。そのため、大体5年くらい先の日本や業界、Yahoo! JAPANのポジションがどうなるのか?を考えながら仕事をしています。

特に意識しているのは、これからの日本のピークになるであろう2020年。世界から日本が注目される50年に1度のオリンピックという機会です。これから先、人口は減っていくので人口ボーナスはありませんし、その人口も結局は首都圏に集中します。そうすると地方はどんどん人口が減って、経済も縮小してしまう。そうなると普通は、お金を持っている首都圏の大企業相手にビジネスをしたほうが得です。

それでもYahoo! JAPANが地方を諦めないのは、 “インターネットの力”が地方の経済の縮小を食い止められると信じているからです。インターネットは、誰にでも開かれた民主的なもの。地方にいても、インターネットがあればビジネスはできます。

2016年にソウルドアウト(本サイト「LISKUL」運営会社)と資本業務提携をした理由も、地方の中小企業の支援に“志”を持っていると感じたからです。難しい領域なので、本当に心から同じ志をもっている人じゃないと同じ夢は追えません。

Yahoo! JAPANはヤフーの日本担当として、日本が元気になるような取り組みをしてきたいですね。

地方の魅力に気づくために、まず自分たちで「発信」を

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海外のライターに話を聞くと、秋葉原や東京などのフォーカスされやすい有名観光地の情報にはもう飽きている訪日客もいるようです。

でも日本の地方には、豊かな特色があります。どこを旅行しても嫌な思いはしたことがないくらいにサービスの品質はよくて、世界のプロダクトを支えるたくさんの技術が地方にはある。また検索連動型広告のデータを見ても、流行や人の動きにも地域性があるのが分かります。

魅力がうまく伝わっていないのは、「情報発信不足」や「情報の発信は、他社に任せるもの」という雰囲気があるからだと思っています。技術を磨くだけではなく、その技術を世の中に伝えていかないと廃れてしまう。そうならないために、まず自分たちで発信してみればいいと思っています。別にインターネット広告を出さなくてもいいので、まずインターネットにコンテンツを載せることが大切です。

地方は東京に比べて競争も少なく、インターネットを使えば直接全国とやりとりができます。もちろん東京の企業もインターネットを通して同じことをできますが、大企業は商圏が小さくて儲かりにくいところには人手が割けず、画一的な品揃えになります。だからこそ地方の企業は、地方にしかない特色を活かして戦うポテンシャルがあると信じています。

もちろん地方で情報発信をしたい時には、ヤフーの「当たり前の存在として、全国で使われている」という強みを活かしていただけます。いろいろな情報メディアが登場しても、Yahoo!ニュースのPVは他のメディアに比べて圧倒的に多い。ローカル向けのサービスも、多数の地方のオフィスもあります。だからこそ、「あなたのお客様はYahoo! JAPANのどこかにいる」と言い切れます。そんな日本のインターネット企業は、ヤフーしかありません。

地方の中小企業は、ITをもっと使い倒してほしい

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地方の企業さんにこそ、もっとITツールを使い倒してほしいと思っています。例えばアメリカでは、地方のお花屋さんやクリーニング店でもITツールを使っています。もちろん英語という言語の問題や絶対的なサービス数の問題もありますが、そもそもアメリカの田舎の方がビジネスの市場が小さい。だから自分のビジネスを成り立たせるために、ITを勉強している方が多いです。例えばEC(Eコマース)をうまく使えば、営業コストは大幅に減らせます。ただそのEC化率はアメリカなどと比べると日本は半分程度で、まだまだポテンシャルはあります。

「難しくてできない」と思っていても調べてみると、安く簡単にできるツールが見つかる場合もあります。例えばスマホ決済のサービスも出てきましたし、インターネット上にお店も安く持てる。ちなみにYahoo!ショッピングは無料で使えます。

それにインターネット広告を使えば、だれでも世の中に自分のやっていることを伝えられる。インターネットを使って全国区で戦ってみると、自分たちの技術が意外と全国展開できることに気づく場合もあります。

データの活用は、普段やっていることとあまり変わらない

特に地方の中小企業の方に、ぜひ取り組んでもらいたいのが「お客様のデータの活用」です。以前は大企業だけしかできないような高価な施策でしたが、今はかなり安価になり中小企業でも使えるようになりました。

「お客様のデータを使う」という言葉はあまりピンと来ないかもしれません。しかし、普段から感覚的にお店の方がやっていることとあまり変わりません。

例えばクリーニング屋さんなら、「いい生地の服をいつも預けているから、この人はお金持ち」「週末にまとめてワイシャツを持ってくる男性だから、独身かな」とお客様の顔を見ながら考えていると思います。さらに、その人に合わせて、服にかけられたビニールを外したり、その人にあわせた時間やたたみ方を提案したりして付加価値をつけたサービスを提供している方もいるかもしれません。

お客様のデータ活用とは、そういったお客様の情報や取引履歴を、頭の中ではなくデータとして蓄積することです。例えばヤフーの持っているデータとお客様のデータをかけ合わせて、今までのお客様に近い層にインターネット広告を配信などができます。

今後はお客様の電話番号とメールアドレスが大切な資産となっていきます。顧客の情報を溜めていく「CRMシステム」を自社でもっておくのは、本当に大切です。

地方の魅力を伝える手段としての「動画」

もう1つ、勉強したほうがいいのは動画です。例えば地方の商品やサービスが有名になるきっかけの1つにテレビ番組がありますが、出演できる枠は限られています。しかしインターネットをつかったビデオ広告なら、だれでもできます。テレビの生放送や中継のようなコンテンツも、テレビ電話くらいの感覚でつなげられるかもしれません。

ビデオ素材を持っている中小企業はなかなかありませんが、簡単な動画なら個人でも作れます。最近はスマホのカメラも高性能でビデオを撮るのは簡単ですし、視聴者もスマホのような小さい画面サイズで見るのでものすごく高画質である必要もありません。地方にはコンテンツがある分、コンテンツをつくりやすいと思います。

4Yahoo!ビデオクリエイターは、最短5分でテンプレートを使った動画を無料で作ることができる。

LINEやTwitterというメディアそれぞれに特徴があるので、可能であればメディアに合ったコンテンツを作れるようになった方がいいですね。今後、ヤフーもディスプレイ広告(Yahoo!ディスプレイアドネットワーク)でビデオを使った広告の配信枠の提供を予定しています。

まずは「インターネットは便利だ」と感じる経験を

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長期的には、地方のポテンシャルを開くのは「教育」だと思っています。以前に北海道の東藻琴という地域の高校でインターネット広告やインターネットでのお店の開き方を教える授業をヤフーがやりました。最初はみなさん戸惑うものの、そこはインターネットが身近な世代なのですぐに馴染んで、新しくて純粋で柔らかい視点でアイデアを考えるそうです。そういう動きはもっと応援したいし、増やしていければいいですよね。

地方で長く商売をされていると、インターネットで物を売ることに違和感や抵抗がある方もいると思います。だったら地方の高校生をアルバイトとして雇って、インターネット事業をやってもらってもいいかもしれません。若いうちに商売に触れる機会があるのは、若者にとってもすごく意味があるのかなと思いますね。

もしインターネットを活用しないといけないとは思いながらも、インターネットで物買ったことがない人は、まずは物を買ってみてほしいです。

実は私も以前はインターネット広告を売っていながらも、インターネットで物を買ったことがありませんでした。しかし、今は部屋の中はインターネットで買ったものだらけ。まずは、インターネットがどれだけ便利なのか?を体感してほしい。そしてそれを自分のビジネスに使ったらどうなるのか?を考えていってほしいです。

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鬼頭佳代

鬼頭佳代

愛知県出身。当サイト「LISKUL」の運用と広報を担当中。 役に立つWebマーケティングの情報を、「たくさん」「分かりやすく」お届けできるように頑張ります。
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