サイトリニューアル|「鬼ツッコミ」で発覚する衝撃の課題

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photo by Waag Society

サイトリニューアルを失敗させないためには、
「着手前の準備」をしっかりしておくことが何よりも重要です。

本記事では、実際に当社サイトリニューアルを例にとりながら、特に、着手前に重要な「現サイトの課題の洗い出し」における方法論と注意すべきポイントを中心にご紹介します。

筆者はWebコンサルタントとして、数多くのサイトリニューアルプロジェクトを手がけた経験があります。

そこで得たノウハウも踏まえて、重要なポイントをわかりやすく説明します。

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現状把握と課題の洗い出しに活用される典型的な3つのアプローチ

サイトリニューアルの前に実施する、現行サイトの現状把握や課題の洗い出しに用いられる手法は主に以下の3つのアプローチです。

(1)アクセス解析/ヒートマップ(行動データ:定量)

Googleアナリティクスに代表されるサイト内の行動データを集計・分析する「アクセス解析」や、マウスの動きなどをビジュアルでわかりやすく見られる「ヒートマップ」は、一般的に用いられるようになってきました。

ユーザの「行動」という事実を数値のデータとして分析できるこれらのツールは、「どこが課題なのか?」を簡単に特定できるという特徴があります。

参考:
LISKUL|まずはココだけ抑える!Googleアナリティクスの見方5選
LISKUL|生データ初公開!ヒートマップ活用事例3選【解説付】

(2)ユーザビリティテスト(行動データ:定性)

アクセス解析やヒートマップは「どこが課題なのか?」を特定するのが得意な反面、「なぜ課題なのか?」を把握するのに適した手法がユーザビリティテストです。
最近では、オンラインの動画でできるユーザビリティテストも普及しており、以前よりも手軽に実施できるようになっています。

参考:
LISKUL|ユーザビリティテスト|サイト改善に最適なメリットと成功事例3選
LISKUL|行動観察で分かる! ユーザ行動の「なぜ」

(3)ユーザアンケート(意見:定量/定性)

アクセス解析やヒートマップ、ユーザビリティテストともにユーザの行動、という過去の情報に対してアプローチしており、未来の情報や未知のものに対する意見については収集できません。また、好きか嫌いかなどの感情面を定量的に把握するには不向きです。

ユーザアンケートはユーザの意見を定量的に収集・分析してこれらの情報を得ることができます。

しかし、これだけだとまだ「ユーザの意見」が足りない?

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サイトリニューアルの前に、アクセス解析やユーザビリティテスト、ユーザアンケートを実施することは一般的になってきました。

しかし、「ユーザの意見」を集めるという点では、これだけだと少し足りないと言えます。
ユーザの意見を集めるために実施する「ユーザアンケート」は定量的に意見を把握するのには適していますが、2つ問題があります。

(1)設問に回答する形になるため、設問の設計に回答が左右されてしまい、自由な意見や本音を引き出すのが難しい。
(2)自由に意見を求めると、全体の印象や総論にとどまりがちで、個別の箇所(ページ・要素)に対する具体的な意見や課題を把握しづらい。

多くのユーザの意見を収集しないと「提供者視点の独善的なサイト」になりがち

サイトの運営者であるサービス提供者は、自社のサービスに毎日のように触れているため、それが「当たり前」になってしまい、感覚が麻痺してしまいがちです。

一般ユーザの率直な意見を多数収集し、理解することを通じて、「ユーザ側の常識」を取り入れる努力をせずにリニューアルすると、「提供者視点の独善的なサイト」になってしまいます。

提供者視点の独善的なサイトでは、狙った通りのサイトの目的を達成することは難しいため、一手間を惜しまずユーザの声を拾うプロセスはしっかり踏んでおくべきです。

ユーザの本音を収集できる「鬼ツッコミ」を活用

今回は、実際に当社サイトのリニューアルに向け、現行サイトに対して「鬼ツッコミ」といツールを活用し、サイトの「部分」に対する意見である500の「ツッコミ」を収集しました。

「鬼ツッコミ」を活用すると、「ツッコミ」という形でサイトの特定ページの特定要素に対する個別の具体的な意見を100、200という単位で一気に収集できます。

実例:「鬼ツッコミ」で分かった「目からウロコ」だけど「ごもっとも」な課題・改善点

以下が2015年2月時点での当社サイトです。
前回のリニューアルから1年以上経過し、次のリニューアルについて検討している状況でした。

ソウルドアウト株式会社
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【衝撃の事実1】
「ソウルドアウト」が社名だと気づかれていない

ツッコミ例
・ソウルドアウトって意味が全くわからない!!申し込む前に既に売り切れているのって思っちゃうよ!
・社名だと思いますが「ソウルドアウト」というのを見ると、通販サイトの「売り切れ」というイメージがあり、興味をなくしてしまいます。

サイトに来た人はまずどんな会社か知りたいはずなので、メインコピーの下に「ソウルドアウトとは」というボタンを配置して会社の紹介に誘導しようとしていました。
しかし、社名を知らない方が初めて訪れて「ソウルドアウトとは?」というボタンがパッと目にはいった場合には、混乱を招きかねないということがわかりました。

トップページにはカタカナの社名は配置せず、会社情報のページで社名の由来と合わせて丁寧に説明すると良さそうです。

【衝撃の事実2】
「リスティング広告」も「ユーザビリティテスト」も理解できない専門用語

ツッコミ例
・リスティング広告というのは何のことか? それとも対象者を限定としたサイトなのか。いきなり見たから私には理解できなかった。カタカナが多すぎる。
・ユーザビリティという言葉になじみがないので、これが何を意味するのかわからない。なんとなく想像はつくが、もっとわかりやすい言葉を使った方がいいのでは?

「中小企業のみなさまを相手にするからこそ、なるべく専門用語は使わないようにしよう」というのは社内で浸透している考え方です。言われれば「ごもっとも」です。
しかし「サービス名称」になると、言い換えるわけにもいかずそのまま無造作にトップページにカタカナが並んでしまっていました。トップページにはサービスの具体名は掲載せず、サービス一覧への誘導と、「インターネットを活用して売上を上げたいが、何をすればよいかもわからない方」向けの誘導をそれぞれ設けるとよさそうです。

【衝撃の事実3】
メインビジュアルが企業のロゴだとパッとわからない

ツッコミ例
・オレンジのマークの意味が分からない。それだけにスペースをとっていて、文章に集中できなかった。
・オレンジ色のロゴがよく分からないです。見切れているようで、何を表しているのか不明確なのに目立っています。分かり易いロゴが良いと思います。

自社のロゴは毎日見ているので当然ロゴだと認識できており、また愛着もあります。ロゴをメインにすることで会社のイメージを強く押し出そうとしてこのデザインにしていました。
しかし、当然、初めて見る方には企業ロゴだとはわからず、謎のオレンジのマークに過ぎません。なぜ、ここにロゴを配置してしまったのか、今となっては思い出せません。

【衝撃の事実4】
広告を扱う会社なのにロゴを杜撰に扱う会社だと思われてしまう

ツッコミ例
・メインビジュアルにロゴを使用しているが、パッと見て何だか分からない。また、ロゴを大胆に使いすぎると、ロゴ規定等が定まっていない軽い会社というイメージもある。
・会社の顔であるロゴはもっと大事にすべきかと…。改善案としては、インフォグラフィック的な効果改善ビジュアル等にすべきでは?

おそらくそういうお仕事をされていると見受けられる方のツッコミです。ロゴだとわかった上で、その使い方へ配慮が必要ではないかというアドバイス。改善案まで頂いてしまいました。こちらもごもっともです。

【衝撃の事実5】
「一気通貫」は麻雀用語

ツッコミ例
・「一気通貫」という初めて見る熟語に引っ掛かった。検索してみたら麻雀用語なのですね。麻雀をしない人にしかわからない言葉は避けた方が良いように思いました。
・一気通貫なんて麻雀の役みたいな表現が気色悪い。トータルでとか、幅広い支援とか、他の言いようがあるはず。

「一気通貫」という小さい文字に対するツッコミが10個以上集まりました。強がりを言わせていただければ、一気通貫が麻雀用語であることに、薄々気付いてはいました。しかし、これだけ厳しく言われるともう二度と使わないようにしなくてはと反省しきりです。

なお、この5つの課題は「トップページのファーストビュー」に関するツッコミから抜粋した意見のみです。実際にはサイト全体に対するツッコミが集まっており、この他にも多数の衝撃の事実が明らかになりました。

改めて見ればすべて「ごもっとも」な指摘であり、このサイトを1年以上も公開し続けていたことに対して反省しかありません。

近日中に実施するリニューアルでは、全て改善して胸を張れるサイトにしていきたいと決意を新たにいたしました。

「提供者の常識」は「ユーザの非常識」

全ての課題に共通するのは、「提供者の常識」は「ユーザの非常識」ということです。

サイトの運営者であるサービス提供者は、自社のサービスに毎日のように触れているため、それが「当たり前」になってしまい、感覚が麻痺してしまいがちです。
「ユーザの常識」を改めて認識し、提供者の常識を排除していかなければ成果の上がるWebサイト以前のレベルでとどまってしまいます。

このようなことは、当然ながらアクセス解析やヒートマップからはわかりません。ユーザビリティテストでもモニタが特定されるため、ここまで言われることはまれでしょう。

匿名の意見にはノイズも多数混ざりますが、辛辣な本音の指摘から学ぶべきことは多かった、というのが率直な感想です。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

自社の至らない点の指摘を公開するのは、勇気のいることでしたが、少しでもみなさんの参考になれば幸いです。
事前に課題をしっかり洗い出し、ぜひ、成果の上がるリニューアルにつなげてください。

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長谷川智史

LISKUL(http://liskul.com/ )責任者としてオウンドメディア運営に注力するCMO。 挑戦し成長を加速させたい中小・ベンチャー企業をWebマーケの力で支援する仕事をしています。セミナー講師・執筆・取材依頼など受け付けています。

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