動画の視聴時間は、ますます増加の一途をたどっています。これを背景に、企業が動画広告を活用したプロモーションを積極的に始めています。
特に、最新の動画広告配信で欠かせないのが「VPAID」というキーワード。日本だと「ブイピーエイド」、または「ブイペイド」と呼ばれています。なんとなく聞いたことがあるけれど、いまいち意味が分からない、という方もいらっしゃるかもしれません。
そこで今回の記事は、あまり詳しくないけれどVPAIDをもう少し深く理解したい、という方向けにVPAIDの基本や導入方法、VASTとの違いについて具体的な事例を交えてご紹介します。
※本記事はスキルアップ・ビデオテクノロジーズ株式会社提供によるスポンサード・コンテンツです。
結局、VPAIDって何? 押さえておくべき、動画広告の基本知識!
VPAIDもVASTも、動画広告のルールの名前
結論から言うと、
VPAIDは、動画プレイヤーと動画広告クリエイティブの間の連携ルール
VASTは、動画プレイヤーと動画広告の配信サーバの接続ルール
を指します。
では、そもそもなぜルールが必要なのでしょうか?それを理解するために、まず動画広告がユーザーに届くまでの仕組みを簡単にご紹介します。
広告主が動画広告をユーザーに向けて配信する場合、広告サーバからメディアに埋め込まれた動画プレイヤーに向けて配信して、動画広告が再生されます。
動画プレイヤーまたは広告サーバは、さまざまな企業やプラットフォーマーが提供しておりますので、動画プレイヤーと広告サーバ間の連携ルールが必要です。
もしルールがないと、以下のような問題が起こってしまいます。
・動画広告を配信する際、プレイヤーAでは再生できるけど、プレイヤーBでは再生できない…
・広告サーバAでは計測できる項目が、広告サーバBでは計測できない…
これらのトラブルを防ぐために、インタラクティブ広告協会(通称・IAB。Interactive Advertising Bureau)がルールを定めました。VPAIDやVASTは、それらのルールの1つです。
それでは、VPAIDやVASTがどういうルールなのか?をもう少し詳しく解説します。
VPAIDは、動画プレイヤーと動画広告クリエイティブ間の連携ルール
「VPAID」(ブイペイド、ブイピーエイド、Video Player-Ad Interface Definitionの略)は、動画プレイヤーと動画広告クリエイティブ間の連携のルールです。開発者にとっては、インターフェース仕様といったほうが分かりやすいかもしれません。
VPAIDに対応するメリットは、大きく2つあります。
1:動画広告の効果測定がより細かくできるため、広告詐欺の防止や正確な改善が行える
2:動画広告をより豪華(リッチ)で、インタラクティブな表現にできる
これらのメリットについては、下記でさらに詳しく説明しております。
※開発者向けに補足
VPAIDで動画広告を配信する際、配信されるクリエイティブの実態はモジュール付きの動画ファイルです。(JavaScriptやflashモジュール + 動画ファイルが実態)VPAIDモジュールはVASTフォーマットに乗って配信されます。
上記のルールを満たせば、動画プレイヤー上でモジュール化された広告クリエイティブを動かすことが可能です。つまり、JavaScriptなどの汎用的なプログラミング言語でできることはほぼ実現可能で、動画とは直接的に関係ない ”仕掛け“ も盛り込めます。
メリット1:動画広告の効果測定がより細かくできるため、広告詐欺の防止や正確な改善が行える
動画広告で重要視されるのは、その動画を見たことでユーザーの態度がどのように変わったか?です。つまり、動画を見せること自体の重要性が、CPAやCPCを重視してきたこれまでのバナー広告(ディスプレイ広告)よりも高くなります。
そのため、
①ビューアビリティ(広告が掲載されたインプレッション数の中で、実際にユーザーが閲覧できる状態にあったインプレッション(ビューアブルインプレッション)の比率)が正確にはどれくらいなのか?
②アドフラウド(広告詐欺:ロボットによって、数字を操作される詐欺)が起こっていないか?
などがきちんと計測できることが重要になります。
VAST対応の動画でもある程度の効果測定はできますが、VPAID対応の動画ではさらに詳細な計測が可能です。
<VPAIDで計測できる内容例>
・動画の再生状況を逐一サーバに通知して、広告枠の画面が別タブで隠れていないかチェック
・動画プレイヤーが視認可能な状態で再生されているのかチェックして、サーバにログを通知
・ブラウザウィンドウのサイズ、表示されているWEBページのURLなどの情報をサーバ通知
正確な計測によって正しい分析ができるようになれば、より効果の高いメディアへの適切な予算配分がスピーディーに行えます。
メリット2:動画広告をより豪華(リッチ)で、インタラクティブな表現にできる
VPAIDのもう一つの魅力は、広告表現の豊かさです。例えば、VPAID対応の動画表現には下記のようなものがあります。
・画面をエクスパンドしてリッチな演出を表現
・360度動画を再生
・デバイスのGPS情報と連動して、クリエイティブをダイナミックに変化させる など
さらに、実際にどういう風な動きができるのか?を紹介します。
VPAIDでできる表現:例1-インタラクティブ動画広告
インタラクティブ動画広告 クリエイティブ事例(スキルアップ・ビデオテクノロジーズ提供)
通常のテキストサイトの中で表示できるインタラクティブな動画広告です。これらの広告では、動画が始まるとボタンが表示され、さらにそのボタンをクリックすると、他の動画や公式Webサイトなどが見られます。またSNSのシェアボタン、アンケートなどを設置することも可能です。
このようにインタラクティブ動画広告では、動画広告内で次のアクションへの導線を豊かに表現できます。つまりHTMLでできることは、動画広告内でも利用できるようになっています。これにより、動画で興味を持った視聴者に対してスムーズに次の情報を見せられます。
また、スマホ端末では、動画広告を表示させながら、次のアクションとして複数のコンテンツを選ばせることができる動画広告フォーマットもあります。選択肢となるコンテンツを横にスライドさせながら次々に情報を見せる「カルーセル広告」です。スライドの操作はスマホとの相性がよく、視聴者にこのような能動的な行動を促すことで、ページに遷移する前に動画広告上でブランド体験が深まるのが利点です。
VPAIDでできる表現:例2-GPSで動画広告と実店舗の情報を連動
実店舗に誘導を目的としたGPS連動型の動画広告も人気です。動画広告を表示させながら、別ボタンをクリックするとGPSに連動して最寄りの店舗を複数表示させた地図を見せることが可能です。行きたい店舗を選べば、案内までそのまま表示されるので、興味を持ったユーザーをそのままアクションにつなげられるようになっています。
GPS連動動画広告 クリエイティブ事例(スキルアップ・ビデオテクノロジーズ提供)
VAST(ヴァスト)は、動画プレイヤーと広告配信サーバの接続のルール
前述にも触れましたが、VPAIDについて話される時、よく一緒に取り上げられるのがVASTです。
VASTは、動画プレイヤーと動画広告の配信サーバの接続ルールの1つです。広告サーバから動画プレイヤーに広告配信する際のインターフェースの仕様がVASTの役割です。例えば、通常のmp4などで動画広告を配信するのか、VPAIDモジュールを配信するのか、はVASTの中で指定されています。
VASTでは以下のようなクリエイティブ再生に必要な情報とトラッキング通知先の情報が含まれてます。
・動画広告ファイルのダウンロードURL(マルチビットレート複数指定可能)
・クリックしたときの遷移先URL
・広告タイトル
・広告主名
・説明文
・スキップまでの秒数
・トラッキング先URL
イベントごとに定義(再生開始時、25%視聴、50%視聴、75%視聴、100%視聴、15秒視聴、30秒視聴、一時停止、再開、フルスクリーン化、フルスクリーン解除などなど)
上記のようにクリエイティブの情報やトラッキングタイミングが標準化されることが
メリットで、シンプルな仕様のため広く普及されているフォーマットです。
一方でデメリットもあります。原則VASTは動画プレイヤーに側に判断を委ねられており、動画プレイヤー側がVASTの指示を無視してしまえば期待する広告表現にならないケースもあります。
たとえば、スキップまで15秒という設定でアドサーバが配信しても、プレイヤーは無視することも可能です。通常はあまりないですが、動画プレイヤー側の仕様に大きく依存します。トラッキングについてもプレイヤーの種類によって対応状況が異なることが少なくありません。
したがって、以下のようなことが起こりえます。
・Aという動画プレイヤーだと計測できるが、Bという動画プレイヤーだと計測できない項目がある。
・Aという動画プレイヤーだとクリックできるが、Bという動画プレイヤーだとクリックできない。
・Aという動画プレイヤーだとクリックエリアが映像エリア全部だが、Bという動画プレイヤーだと右上のボタンのみがクリックエリア。
このように、VAST標準ではできる表現が限定的だということが言えます。また、計測においても制約があり、VASTで定義されていない計測項目を追加したい場合は、動画プレイヤー側を改修しないといけません。そして、ビューアビリティ計測もアドフラウド検知(広告詐欺の検知)にも対応していないため、これらの計測が可能なVPAIDの技術が求められているというわけです。
参考:VASTとVPAIDの違いまとめ
VPAIDを使いたければ、どうすればいいの?
では実際にVPAIDに対応した動画をつくる手順をご紹介します。
手順1:動画を通常通り制作する
VPAID対応動画を作る場合も、拡張子はmp4などが使えます。ただ、より表現に工夫がされたリッチな動画を作る分、企画費が加わったりするケースもあります。
注意!そもそもリッチな動画をつくるのに制作費用はどれくらい変わる?
製作費がどれくらいかかるのか?は制作会社によって異なります。また、VPAIDに対応させるための費用も別途掛かる場合もあれば、制作費用の中に含めて対応をしていただける会社もあります。まずは、自社の希望するものがどれくらいの予算で作れるのか?を問い合わせをしてみることをお勧めします。
手順2:VPAID対応動画へ変換を行う
VPAIDに対応した配信をするためには、制作した動画を以下のようなサービスを利用してVPAIDに対応させる必要があります。(簡単にできる仕様は一般的に公開されていますが、サードパーティが主流です)
計測やインタラクティブなアノテーション機能に変換を行う有名なサービスには下記のようなものがあります。
・ULIZA
・サイズミック
・Moat Ad Search
手順3:VPAID対応させた動画を、VPAID対応の動画プレイヤーへ
そして、VPAID対応させた動画を動画プレイヤーにて再生します。
ただし、再生させるには動画プレイヤー側もVPAIDに対応していることも重要になります。対応できていないプレイヤーもあるので、注意が必要です。
まとめ:VPAIDはこれからもっと広まる!対応は、ほぼマストへ…
動画広告に、これから本格的に取り組んでいくならば、VPAIDへの対応はこれからほぼマストになっていくとも言われています。表現の幅を広げるだけではなく、正確な測定による効果分析ができるようになるVPAID。またパブリッシャー側にとっても動画でのマネタイズも考えると、動画プレイヤーを導入する際にVPAIDに対応してるかどうか?は、今後ますます重要なポイントになってくると思われます。
ご自身の状況に合わせて、VPAIDへの対応を一度検討してみるのはいかがでしょうか?
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