プロ直伝の「わかりやすい文章」の書き方・おすすめテクニック9選

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メールやチャットなどで、わかりにくい文章のせいで誤解を招いたり、確認のやりとりが増えたりなどお困りではないでしょうか。

小説などのように創作性が必要な文章とは違い、わかりやすい文章はテクニックさえ押さえれば誰にでも書くことができます。

そこで本記事では、「わかりやすい文章」を書くためのテクニックを9個厳選し、具体例つきで紹介します。

この記事を読めば、今書いている文章を客観的に見ることができ、今すぐ改善することができます。

後半では、文章で「説得力」を高めたい人に役立つ情報も紹介しますので、ぜひチェックしてみてください。


事例で紹介!わかりやすい文章作成のテクニック9選

わかりやすい文章を書くための9つのテクニックを、具体例を挙げてご紹介します。

  1. 短く言い切る
  2. 不要な修飾語を削る
  3. 接続詞を削る
  4. 指示語を削る・具体化する
  5. 重複表現を避ける
  6. 主述を対応させる
  7. 修飾語は被修飾語の直前に置く
  8. 見た目を整える
  9. 結論ファーストで書く

1.短く言い切る

主張を明確にすることを念頭に、一文を短くして言い切るのがコツです。

一文の文字数の目安は、30〜70文字程度、固有名詞が長くなってしまう場合でも80文字までに納めます。

一文が長くなってしまうと、文章が複雑になりやすくなります。一つの文章に対して伝えることを一つに絞る「一文一意」を心がけると良いでしょう。

なお、文の構造を複雑にする「〜が」を多く使う場合、文章が冗長になりやすいので意識して避けるようにしてください。

例文を見てみましょう。

【悪い例】
私は皆を車で送迎しますが、あなたの役割は全員が帰った後、忘れ物がないかどうか確認してみてから、掃除をするのと施錠をすることです。


【良い例】
私は皆を車で送迎します。あなたは全員が帰った後、忘れ物がないか確認し、掃除と施錠をお願いします。

悪い例では、まず文章が68文字と長くなっています。

意味が変わらない範囲で不要な語句を削除して、短くしてみてください。

修正すると、長い一文も30文字程度になり、全体にすっきりとしたのがお分かりいただけると思います。

2.不要な修飾語を削る

不要な修飾語を削ることで、文章が簡潔になり内容が伝わりやすくなります。

修飾語とは、主語と述語と目的語以外の部分のことで、「〜なような」「〜という」「基本的に」「一般的に」「たくさん」「すべて」「じっくり」などが該当します。

修飾語を使うと表現に深みが増しますが、ビジネスシーンでのわかりやすい文章には不向きです。

なくても意味が通じるものは思い切って削りましょう。

【悪い例】
基本的に企画書というものは、3つのポイントを押さえれば合格です。


【良い例】
企画書は、3つのポイントを押さえれば合格です。

悪い例では「〜というものは」という修飾語を使っています。

これを思い切って削ってみてください。

意味は全く変わりませんが、グンと読みやすくなりました。

3.接続詞を削る

接続詞も不要なものは削ることで、より読みやすい文章になります。

なくても意味が通じる場合はなるべく使わないよう意識しましょう。「だから」「それで」「そこで」「など」が該当します。

ただし「しかし」「とはいえ」「だが」といった逆説の意味を持つ接続詞は、使わないと意味が変わってくるので、残したほうが賢明です。

具体例を見てみましょう。

【悪い例】
昨日、リーダーに指名されました。どうやら部長が私に期待をかけてくれているようなのです。そして、私を鍛えるつもりなのかもしれません。とはいえ、ことは簡単ではありません。だから、まずは業務管理から見直します。


【良い例】
昨日、リーダーに指名されました。どうやら部長が私に期待をかけてくれているようなのです。私を鍛えるつもりなのかもしれません。とはいえ、ことは簡単ではありません。まずは業務管理から見直します。

悪い例は、一見すると丁寧に説明しているように感じますが、具体的な情報を述べているわけではありません。ここでは「そして」「だから」の接続詞を削除しましょう。

ただし、逆説の意味の接続詞「とはいえ」を削ってしまうと、リーダー任務への決意が述べられている後半の意図をぼかしてしまうので残します。

4.指示語を削る・具体化する

「これ」「それ」「あれ」「どれ」といった何かを指し示す指示語も削りましょう

また、具体的に数字で置き換えられる部分は数値化するなど、抽象的な表現を具体的に書くことが重要です。

【悪い例】
このスキームを使えば、その生産効率は格段にアップします


【良い例】
このスキームを使えば、5%の工数削減が実現します

まず「その」という指示語がなくても伝わるので削除します。

また「生産効率」という曖昧な単語を「5%の工数削減」数字に置き換えることで、伝える側の意図が明確に伝わるようになりました。

5.重複表現を避ける

「腹痛が痛い」「馬から落馬する」のように、同じ意味を持つ語句の重複を避けましょう

重言(じゅうげん)・二重表現とも言い、意外と意識せず使ってしまいがちなので注意してください。

【悪い例】
過半数を超える賛成があったので、A案に決定しました。


【良い例】
過半数の賛成があったので、A案に決定しました。
or
半数を超える賛成があったので、A案に決定しました。

「過半数」と「超える」は同じ意味なので、どちらかを削れば大丈夫です。

よくある間違いを以下に挙げますので、参考にしてみてください。

よくある間違い正しい表現NG理由
今の現状今 ro 現状「今」と「現状」はどちらも時間を表す
まだ未定まだ or 未定「まだ」と「未定」はどちらも未完である状況を表す
まず最初にまず or 最初に or まず初めに「まず」と「最初に」「初めに」は1番目の順序を表す
後で後悔する後で or 後悔する「後で」と「後悔」はどちらも前後の後を表す
第1回目第1回 or 1回目「第」と「目」はどちらも数字の順番を表す
そもそもの発端は〜そもそもは〜 or 発端は〜「そもそも」「発端」はことの始まりの意味で重複

6.主述を対応させる

主語と述語が正しく呼応しておらず、文章の意味が複数に解釈できてしまう状態を「ねじれている」と言います。

このねじれを解消するには、主語と述語のどちらかを修正します。

また、文章が長くなってしまうとさらに複雑になるため、まずは短文にすることがポイントです。

【悪い例】
私の夢は、社長になりたいです。


【良い例】
私の夢は、社長になることです。

この例文の主語は「私の夢は」です。それに対する述語は「なりたいです」ですが、「夢は/なりたいです」では文章として成り立っていません。

このように主語と述語の関係がおかしくなってしまっており「ねじれ」を起こしています。

これを「夢は/なること」とし、主述を正しく対応させてねじれを解消するとスッキリします。

7.修飾語は被修飾語の直前に置く

修飾語は、なるべく被修飾語の直前に置きます。文章が長くなると、わかりづらくなるのがこの場合です。

【悪い例】
私は連休中、毎朝夫が書いた新聞連載記事を読み返した。


【良い例】
私は連休中、夫が書いた新聞連載記事を毎朝読み返した。

悪い例では、夫が新聞記事を書いたようにも、私が毎朝新聞記事を読み返したようにも解釈できます。

2つの修飾語「毎朝」とそれにかかる被修飾語「読み返した」が離れているからです。

この場合も、できるだけ短文にするように心がけると回避しやすくなります。

8.見た目を整える

パッと見た時に「読みやすい」と感じるためには、漢字、ひらがな、かたかなの分量も重要となります。

具体的な対応としては、漢字をひらがなにする、あるいは無理に文章にせず、箇条書きを使うとよりわかりやすくなります。

漢字・ひらがな・カタカナの分量を整える

まず、以下の例を見てください。

【悪い例】
対前年度比5割減の要因を考慮し、ミッションをコンプリートします。


【良い例】
前年度に比べて50%減少した要因を考え、任務を果たします。

漢字をひらがなにし、わかりにくいカタカナを置き換えて全体に整えることで、わかりやすくなりました。

箇条書きにしてわかりやすく

一文に情報がたくさん情報が盛り込まれる場合は、無理に文章にしようとせず、箇条書きで回避するのがベストです。

【悪い例】
今回の組織風土改革案のポイントは、情報の可視化、属人的業務の排除、適切な評価、コミュニケーション促進の4つです。


【良い例】
今回の組織風土改革案のポイントは、以下の4つです。

  • 情報の可視化
  • 属人的業務の排除
  • 適切な評価
  • コミュニケーション促進

相手に伝わるかどうかがポイントなので、ぜひ使ってほしいテクニックです。

9.結論ファーストで書く

普段、ものを考える時「AだからB」と理由から結論を導きますが、わかりやすい文章にするためには結論から先に書く「結論ファースト」を徹底してください。

この結論ファーストを実践するための文章の方法として、「PREP法」と呼ばれるものがあります。

PREPとは、以下の4つの頭文字を取ったものです。

  • Point(結論):伝えたいこと
  • Reason(理由):なぜならば〇〇だから
  • Example(具体例):たとえば〇〇です
  • Point(結論):伝えたいことを再掲する

最初に結論を述べ、その理由と具体例を説明し、最後にまとめとしてもう一度結論を述べる構成となっているので、話をスムーズに理解しやすいのが特徴です。

具体的な例を挙げて説明します。

■昨年度の営業活動について上司に報告する場合
昨年度はメンバーが一丸となってインサイドセールスに取り組み、新規受注を大幅に増やすことができました。本年も尽力してまいります。

上記は、まず文章そのものとして「営業活動で成功している」という大まかな意図は伝わるものの、やや抽象的であいまいな印象を受けます。
「一丸となって」「大幅に」といった具体性のない修飾語も一因です。

これを、PREP法に置き換えて整理すると以下のようになります。

■PREP法を使って、昨年度の営業活動について上司に報告する場合
結論:昨年度の当社の新規案件受注数は、約100件。前年比で30%増加しました。
理由:増加の背景としては、新規訪問件数の強化にリソースを割り振ったことが挙げられます。
具体例:メンバー3名にインサイドセールスについての講習を受けてもらい、現状の新規見込み客のリサーチを任せました。その結果・・・・・・
結論:以上のように、事前リサーチを強化したことで受注を大幅に増やすことができました。本年もこれらの施策を維持してまいります。

このように、結論、理由、具体例、もう一度結論を繰り返すことにより、こちら側の意図が早く明確に伝わります。

話の要点が先に伝われば、相手にストレスを与えることなくスムーズに情報を伝えることができます。

ビジネスシーンではプレゼンや上司への報告や、セールスレターなどに使うと便利なので、ぜひ覚えておきましょう。

参考:基本文章術!説得力が一瞬で10倍になる誰にでもできる文章の書き方|バズ部
  :効果が3倍あがる! コピーライティングのテクニック【完全保存版】|LISKUL


「わかりやすい文章」セルフチェックシートでトラブルを回避しよう

文章を書き終えたら、推敲することが重要です。

わかりやすい文章が書けているかどうか、セルフチェックできるシートを作成したので活用してみてください。

チェック項目チェック内容
短く言い切っているか ・主張を明確に
・一文一意
・「〜が」を多用しない
不要な修飾語はないか ・〜のような、〜という、基本的に、一般的に、たくさん、じっくり、すべて など
なくても意味が通じる場合は削除
接続詞はないか ・だから、それで、そこで、など
・逆説の意味を持つ「しかし」「だが」「とはいえ」に注意
指示語を削る・具体化しているかどうか ・これ、それ、あれ、どれ
・数字で置き換える
重複表現をしていないか ・過半数を超える、第1回目。一番ベストなど同じ意味を持つ語句の重複をしていないか
主述が対応しているか ・文章の意味が複数に解釈できてしまわないか
・短文になっているか
修飾語は被修飾語の直前に置いているか ・文章の意味が複数に解釈できてしまわないか
・短文になっているか
見た目で読みにくいところはないか ・漢字・ひらがな・カタカナの分量を整える
・箇条書きにする
結論ファーストで書いているか ・理由→結論ではなく、結論→理由になっているか

さらに「伝わる」文章を書きたい人向け!おすすめの本

わかりやすい文章を書くためには、テクニックを学べば意外と簡単に書けるものです。

「わかりやすさ」に加えて、さらに書くスキルを磨きたい、文章で説得力を高めたい、という方に役立つ本を厳選しました。

ピンと来たタイトルがあれば、ぜひチェックしてみてください。

伝わる文章が「速く」「思い通り」に書ける 87の法則

記者として数々の現場でインタビュー経験を積み、数々の文章テクニック本の出版歴がある山口拓郎氏のなかでも特に人気の一冊。

メール、企画書、報告書、日報、SNSなど、明日から使えるテクニックを例文を交えて紹介しています。

手元に置いておき、困った時に読み返せる実践的な内容です。

参考: 『伝わる文章が「速く」「思い通り」に書ける 87の法則』(山口拓朗 著、明日香出版社) | Amazon

20歳の自分に受けさせたい文章講義

第一線で活躍するライター・古賀史健氏による「文章力」のノウハウをまとめた一冊。

口で伝えることはできるけれど、文章を書こうとすると書けないと悩んでいる人のために、15年のキャリアで培った実践的ノウハウを余すところなく伝授しています。

参考:『20歳の自分に受けさせたい文章講義 』(古賀史健 著、星海社新書) | Amazon

「超」文章法

ベストセラー『「超」整理法』で有名な野口悠紀雄氏が、文章上達の基礎のテクニックはもちろん、さらに踏み込んだ伝え方や表現力について、持論を交えて解説した一冊です。

整理の”劣等生”だった著者ならではの情報の整頓テクニックは、読んでいてついメモしたくなります。

参考:『「超」文章法 』(野口悠紀雄 著、中公新書) | Amazon

誰も教えてくれない人を動かす文章術

NHKの教育番組の監修を務め、子どもにもわかりやすい日本語表現について定評のある齋藤 孝氏の一冊。

わかりやすい文章を書くことに求められるのは「実用性」であるものの、本質的には「人を動かす」という意味であり、上手いか下手かではなく人を動かせるか否かがポイント、との指摘は知的好奇心を刺激します。

参考:『誰も教えてくれない人を動かす文章術 』(斉藤 孝 著、講談社現代新書) | Amazon

参考:たった1記事で8万人に読まれる文章を書けるようになるライティング術|バズ部


まとめ

以下の9つのテクニックを活用すれば、誤解を生まないわかりやすい文章を作成することができます。

  1. 短く言い切る
  2. 不要な修飾語を削る
  3. 接続詞を削る
  4. 指示語を削る・具体化する
  5. 重複表現を避ける
  6. 主述を対応させる
  7. 修飾語は被修飾語の直前に置く
  8. 見た目を整える
  9. 結論ファーストで書く

ここで紹介したテクニックは最低限のものなので、ぜひ試してみてください。

経験を積むうちに、トラブルなく伝わることの快感に目覚め、より説得性の高い文章を作成できるようになります。

言葉の使い方次第で相手がスムーズに動いてくれるようになれば、仕事がもっと面白くなるはずです。