勤怠管理とは?システム比較・有料、無料別での実践方法まで解説!

勤怠管理をこれから始めようと考えている方が最初に直面することは「勤怠管理ってそもそも何が必要なのだろう?」という疑問ではないでしょうか。

また、勤怠管理をすでに始めている方でも「もっと楽にできるやり方はないのか?」とより業務効率化を図りたい方も多いのではないでしょうか。

本記事では、勤怠管理とは何をする必要があるのか、またその実践方法について、有料・無料別にご紹介します。

なお、有料版のシステムでは、重要度を客観化するため、勤怠管理システムを紹介している既存のサイト10個を調査し、出現頻度をスコアリングしました。出現頻度の高い順に掲載になっているため、効率よく良質な勤怠管理システムを見つけることができます。


目次

勤怠管理とは

勤怠管理は、総務や人事の業務のひとつであり、従業員の就業状況を把握することが目的です。

会社には、労働基準法(第32条)を遵守する責任と義務があります。労働基準法では、賃金の支払い、原則的な労働時間、時間外・休日労働など、労働条件に関する最低基準が定められています。

この基準を守るため、勤怠管理を行い「労働時間はどれくらいか」「休日が取得できているか」「適正に賃金が支払われているのか」などの従業員の勤務状況を把握します。

勤怠管理が必要な理由は?

勤怠管理は、なぜ必要なのでしょうか?その理由について説明します。

労働時間の把握

企業には、労働基準法で定められた労働時間を遵守する義務があるため、従業員の労働時間をきちんと把握しなければなりません。

労働時間は労働基準法で「1週40時間、1日8時間」と定められています。定められた時間数を超えての労働が必要な場合は、36協定(労働基準法第36条の規定)に従い、所轄労働基準監督署長への届け出が必要です。

また、企業は従業員の一日の実働時間が6時間を超えると45分以上の休憩、8時間を超えると1時間以上の休憩を与える義務があります。

参考:労働基準に関する法制度|厚生労働省

従業員の心身におけるリスクの回避

勤怠管理には、従業員の健康管理や生活を守るために、過剰労働を防ぐという目的もあります。労働基準法では、労働時間や休憩だけでなく、休日や有給休暇の最低基準も定められています。しかし、実際は残業時間を記録せずに時間外労働をする人や、休日出勤をしても代休や振替休日を取っていない人もいます。

厚生労働省では、こうした過剰労働をなくすため「労働時間等見直しガイドライン」を改定し、労働時間の短縮を企業に呼びかけています。

参考: 労働時間等見直しガイドライン|厚生労働省

残業代に関わるトラブルの防止

企業は、従業員に対し適正な賃金を支払う義務があります。

従業員の時間外労働に対しても、残業代を支払わなければなりません。深夜労働や休日労働になると、賃金は割増が必要です。

しかし、正確な労働時間を記録していないと、適正な賃金を払うことができません。トラブルを防止するためにも、適正な勤怠管理が欠かせません。

勤怠管理で把握する必要がある事項は?

勤怠管理では「労働時間」「労働日数」についての記録が必要です。これらを把握することで、従業員の労働環境が適切なのか、給与が適切なのかを見極めることができます。

労働時間について必要な記録

  • 出勤、退勤時刻
  • 出勤日の時間外労働時間
  • 休日や深夜の労働時間

労働日数について必要な記録

  • 出勤日数
  • 欠勤日数
  • 早退、遅刻の日数
  • 時間外労働日数
  • 休日の日数(有給休暇日数、代休日数)

勤怠管理の対象は?

厚生労働省によると、勤怠管理の対象外になるのは、労働基準法第41条にある適用除外者とみなし労働時間制で働いている人です。つまり、それ以外の従業員は全員対象者となります。

ここで疑問になるのが、取締役などの役員や管理職の人です。労働基準法によると、管理監督者には、労働基準法上の労働時間や休憩、休日に関する規定が適用されません。また、従業員を雇用しているすべての事業所が勤務管理を行わなければなりません。適用外とされる労働者や裁量労働制の労働者に関しても、適正な労働時間かどうかを管理する義務はあります。

参考:「厚生労働省‐労働基準法における管理監督者の範囲の適正化のために|厚生労働省


勤怠管理システム導入のメリットと選び方

労働時間の記録のしかたは企業によって違います。タイムカードで出勤・退社時間を記録する企業もあれば、出勤簿などで自己申告する方法をとっている企業もあります。

しかしタイムカードや出勤簿では、手間がかかるうえに、入力ミスや計算ミスなどで適正な勤怠管理ができていないこともあります。勤怠管理システムを導入するメリットとその選び方をご紹介します。

勤怠管理システムを導入するメリット

労働時間を正確に管理できる

勤怠システムを利用すれば、PC、ICカード、GPSなど多彩な打刻方法を利用できるため、リアルタイムな勤怠管理が可能です。打刻方法が多いため、打刻漏れや不正打刻の防止にもつながります。

また、労働日数、出社・退社時間の入力ミスや労働時間の計算ミスなども防げます。

シフト管理・休日出勤の代休・勤務日の振替などの複雑な管理も問題なく対応できます。

集計業務が効率化できる

自動で労働時間の集計ができるので、工数を削減できます。また、給与管理システムと連携させることによって、勤怠管理から給与計算までシステムで自動的に行うことができます。勤怠管理システムによっては、労働基準法などの法律の改定にもタイムリーに対応することもできます。そのため、給与計算や勤務時間の管理方法を、法律の改定によって変更する手間も省けます。

データを蓄積して制度設計に活用できる

勤怠管理システムにより、蓄積された勤怠データを可視化できるので、人事戦略や組織戦略のデータとしても活用できます。また、システムによっては、統計機能やアラート機能がついているため、労働量の偏りやモチベーションの低下などを見ることもできます。また、人事管理ソフトと連携させることもできるので、人員の配置や部署の増員・減員などの判断にも役立ちます。

勤怠管理システムの選び方

過不足なく機能が揃っているか

  • 打刻機能
    出勤・退出時間を打刻する機能が必要です。打刻には、PC、ICカード、生体認証、携帯電話、交通系ICカードなど、さまざまな方法があります。
  • 出勤管理機能
    出勤管理機能には、アラート機能、直行・直帰の管理機能、有給休暇・休日勤務・振替休日の処理ができる機能などがあります。
  • シフト管理機能
    シフト管理機能では、シフトの自動作成や確定したシフトの共有ができます。
  • 各種申請管理機能
    この機能では、休暇、代休、残業などの申請や承認ができます。また、有給休暇の付与や残日数も管理できます。
  • 集計機能
    勤務時間を自動集計する機能や、確定した勤怠実績が編集できないようにする締め日設定ができる機能があります。他には、実際の打刻時間の切り上げ・切り捨てにより、5分単位、15分単位などに修正できる「まるめ設定機能」があります。
  • グループスタッフ管理機能
    従業員をグループに分けて、管理できます。また、スタッフのポジション(役職)・種別・IDなどの設定ができるものもあります。
  • 通知機能:
    メールやSNS、プッシュ通知などで、休暇申請の承認や、有給休暇の未消化連絡、などを通知できます。システム上にポップアップさせて通知できるものもあります。
  • 帳票の出力機能
    エクセル、CSV、PDFなどの形式で、従業員の勤怠データの出力できます。給与計算はもちろん、人事・組織戦略会議などの資料作成にも活用できます。

外部システムやモバイル端末との連携が可能か

外部システムやモバイル端末と連携できる機能を持つシステムもあります。

  • モバイル端末との連携
    モバイル端末との連携により、会社の外からでも打刻できるので、リアルタイムで勤怠管理を行うことが可能です。また、シフト管理や休暇の申請・承認もモバイルでできます。

  • 外部システムとの連携機能
    人事システムと連携させて、従業員の氏名・ID・所属などの従業員に関するデータを取り込めます。また、入社や退職時に、従業員のデータを新規作成したり、削除したりすることもできます。

    給与計算ソフトと連携させて、勤怠管理データにある勤務時間や残業時間等のデータを直接取り込むことも可能です。

導入後のサポートがあるか

システム導入後のサポートがあるかどうかも重要なポイントです。サービスの範囲内でサポートを受けられると、システムをカスタマイズしたい場合などで、スムーズな運用を実現できます。


お金をかけて楽に勤怠管理を行いたいなら

コンプライアンスを重視している会社のなかには、「お金をかけてでも、正確に管理できる楽な方法で勤怠管理をしたい」とお考えのところもあるでしょう。

まずは、有料の勤怠管理システムについてご紹介します。


4つの主要勤怠管理システムを比較(出現頻度スコアリング順)

ここで、主な4つの勤怠管理システム「Jinjer勤怠」「ジョブカン」「キングオブタイム」「Touch on Time」のそれぞれの特徴について紹介します。

1.管理者側もスマホ・タブレットで勤怠管理ができる「Jinjer勤怠

Jinjer勤怠

特徴

  • PC、ICカード、GPS打刻、チャット打刻など多彩な打刻方法がある。
  • 管理職もスマートフォンやタブレットから勤怠管理ができる。
  • AIが勤怠管理を分析し、従業員のモチベーション低下を人事担当者に連携する。
  • スケジュール管理・予実管理・統計機能など経営管理に必要な機能も備わっている。

外部システム連携

jinjerシリーズのクラウドサービス、各給与計算ソフトなどと連携可能。

サポート体制

訪問・電話・メールでのサポート対応が可能。導入支援コンサルティングもある。

価格

月額300円/ユーザー
※30日間無料プランあり

導入実績

株式会社スペースマーケット、新日本プロレスリング株式会社など約5,000社

こんな人にオススメ

AIによる勤怠分析など、独自性の高い機能を活用したい方

2.シフト管理・休暇申請管理・工数管理など必要な機能を選んで使える「ジョブカン

ジョブカン

特徴

  • ICカード、LINE、Slack、GPS、指静脈など多彩な打刻方法がある。
  • 拠点ごとの勤怠管理ができ、リアルタイムで従業員の勤務状況を確認できる。
  • 残業時間や36協定(時間延長限度)の超過時間の抽出も可能。
  • スケジュール管理・予実管理・統計機能など経営管理に必要な機能も備わっている。

外部システム連携

MFクラウド給与・クラウド給与計算ソフトfreeeなどの給与ソフト、ジョブカンシリーズとの連携が可能

サポート体制

チャット・メール・電話でのサポート対応が可能

価格

月額200円/ユーザー
(各オプション 月額100円)
※30日間無料プランあり

導入実績

東横イン、GMOリサーチ、スマートニュース株式会社を始めとした20,000社以上

こんな人にオススメ

ジョブカンシリーズをすでに活用している方

3.給与計算ソフトや外部システムと連携しやすい「キングオブタイム

キングオブタイム

特徴

  • 海外や工場を含めた拠点ごとの勤怠管理がリアルタイムでできる。
  • 打刻忘れや勤怠異常などのエラーチェックが可能。
  • アラート機能、帳票出力、各種申請や承認などのワークフロー機能がある。

外部システム連携

給与計算ソフトやビジネスチャット・社内SNS「WowTalk」などの外部システムと連携が可能。

サポート体制

お客様サポート・コンサルティングサービスあり

価格

月額300円/ユーザー
※30日間無料プランあり

導入実績

ホテルオークラエンタープライズ、大京アステージ株式会社など10,500社以上

こんな人にオススメ

給与計算や人事業務をふくめた業務を一括して行いたい方

4.どこでも設置できる、PC不要の独自のタイムレコーダーをもつ「Touch on Time

Touch on Time

特徴

  • 独自のタイムレコーダー「タッチオンタイムレコーダー」があり、PC不要。
  • 海外出張している社員や海外拠点の社員の勤怠管理もリアルタイムでできる。
  • 勤務時間の自動集計やシフト管理も可能。

外部システム連携

給与計算ソフトとの連携可能。

サポート体制

導入サポート、システムサポートがある。

価格

月額300円/ユーザー
※30日間無料プランあり

導入実績

あおば社会保険労務士事務所、大野記念病院、株式会社渡辺製作所など約10,500社

こんな人にオススメ

PCがない海外拠点や在宅勤務者の勤怠管理をお考えの人


費用をかけずに勤怠管理を行いたい方なら

勤怠管理を無料で行いたいとお考えの方は、タイムカードやExcelを使った勤怠管理も可能です。

Excel表やタイムカードで、独自の出勤簿を運用する

タイムレコーダーを使用する場合は、その機能によって、工数や作業内容が変わってきます。また、紙のタイムカードを使用する場合には、タイムカードに打刻された時刻の入力から作業が発生します。ここで、Excel表やタイムカードで、出勤簿を運用する場合のメリットとデメリットについて、説明します。

メリット

Excelで出勤簿を作成するのであれば、システム導入やそれに伴う作業・教育などの必要がないため、手軽に勤怠管理を行うことができます。また、システム導入に伴う費用もかからないため、コストも抑えられます。さらに、労働法が異なる海外拠点を持つ会社でも、システム制約が少ないため柔軟に対応できます。

デメリット

時刻の入力や計算などの手作業が多くなるため、手間がかかり、ミスも発生しやすくなります。また、労働基準法でタイムカードや賃金台帳を3年間保管しなければならないという法律があるため、保管スペースの確保やファイリング業務が必要です。


その他おすすめの勤怠管理システム

今回ご紹介した勤務管理システム以外にも下記のようなサービスがあります。それぞれ異なった特徴がありますので、ご参考になさってください。


まとめ

勤怠管理と重要性とその導入方法について説明しましたが、いかがでしたでしょうか?

日本では労働基準法を遵守する必要があるため、勤怠管理はかかせない業務です。

優良企業を目指すためにも、適正な勤怠管理を行い、労働者と会社の権利を守っていきましょう。

また、勤怠管理システムの導入をお考えの方は、機能の充実したシステムがおすすめです。無料体験できるシステムも多いので、企業や事業者に適したものを選ぶといいでしょう。

参考にしたサイト(一部)

勤怠管理システムの価格・特徴・トレンドを徹底比較 | 2018年最新版 | HR NOTE
勤怠管理システム比較44選 | クラウド | 価格・特徴 | 基礎知識も | ボクシルマガジン
勤怠管理システム徹底比較75選 | 機能・価格・連携【2018年完全版】| ボクシルマガジン
勤怠管理システムの製品比較・一覧 | キーマンズネット
人事労務の基礎知識 | フリー
勤怠管理のメリットとおすすめクラウドシステム・アプリ・ソフト6選を比較!| 創業手帳Web
【2018年】一番人気の勤怠管理システムはどれ?おすすめ”39選”比較 | @人事
勤怠管理システム・就業管理システムの製品一覧 | ITトレンド
勤怠管理システム・就業管理システム上半期ランキング 勤怠管理システム・就業管理システムのランキング一覧 | ITトレンド
紙?打刻機?クラウドシステム?―勤怠管理方法、徹底比較! | AKASHI