新規開拓の営業手法の中で、「営業メール」は一度に大量の見込み顧客へアプローチ可能な手法です。まだ企業やサービスなどの認知度が高くない場合に適しています。
しかし、実際に営業メールを送っても、思うようにアポが獲得できずにお悩みの方も多いのではないでしょうか。
営業メールで新規開拓を進めていく際、何よりもまずメールの件名・本文をブラッシュアップすることが大切です。
今回は新規開拓における「営業メール」のメリット・デメリットや取り入れるべき企業の特徴、実際に商談化率を高める営業メールの書き方などについてまとめています。
本記事を読むことで、営業メールの効果を高め、順調に新規開拓できるようになります。
コツを押さえた営業メールによって実際に業績が上がった例なども紹介していますので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
新規開拓を営業メールで行うメリット・デメリット
新規開拓には営業メールの他にも飛び込みやテレアポといった方法が考えられますが、営業メールにはメールという性質ならではのメリット・デメリットが存在します。
営業メールの効果を最大化するためにも、営業メールのメリット・デメリットをそれぞれ押さえておくようにしましょう。
メリット | デメリット |
---|---|
・一度に大量の見込み顧客へアプローチできる ・時間や場所の制約がなくいつでも送受信可能 ・営業内容を文章として残して置ける ・アプローチと同時に資料を送付できる | ・必ず読んでもらえる確証はない ・相手のリアクションが見えない ・開封率・アポ率が低い ・何度も送ることで信頼喪失に繋がることも |
新規開拓を営業メールで行うメリット
新規開拓に営業メールを活用することで得られるメリットは次の通りです。
一度に大量の見込み顧客へアプローチできる
営業メールでは一度にたくさんの送信対象にメールを送ることができます。メールは大量送信に適したツールであり、システムを利用して一度に100件、200件と同時に送ることも不可能ではありません。
メールテレアポや飛び込み営業ならば1件1件対応する必要がありますが、メールはこの2つと比べ1件の送信にほとんど時間がかかりません。新規開拓のような最初の機会創出が必要になる場合、一度に大量の見込み顧客にアプローチできるメールはかなり有効な手段だと考えられます。
時間や場所の制約がなくいつでも送受信可能
メールは送信側も受信側も制約なく好きな時に送ったり読んだりすることができます。訪問営業やテレアポならば顧客の営業時間を配慮する必要がありますが、メールはそもそも一方的なツールになるためこちらの都合で送ることができるのです。
営業活動をしたいけれどオフィスに出社できないときにも、PC1台あれば営業メールを送ることができるため、テレワークや自営業といった働き方との相性も抜群と言えます。
時間や場所の制約を受けず営業活動ができることは、メールが持つ大きな利点のひとつです。ただし深夜や早朝などの営業時間外にメールを送ると通知音などで迷惑になるケースも考えられるため、相手にメールが届く時間帯を予め設定しておくと良いでしょう。
営業内容を文章として残して置ける
営業メールは送信した内容を文章として残しておけるのも大きなメリットです。
テキストに送信した内容を残すことで、送信後に顧客ごとのアプローチ方法を分析することができます。
また、ログとして営業内容を残しておけるので、営業活動時にありがちな「言った」「言ってない」といった水掛け論を回避できます。
アプローチと同時に資料を送付できる
営業メールではメール送信と同時に資料を添付することができます。メールは一方的なツールであるため、添付ファイルをつけて送信しても相手に負担がかかることはありません。
飛び込み営業であれば資料を受け取ってもらえないことは往々にして起こることですし、テレアポであればまず資料を送って良いかという確認が必要です。しかしメールでは「商品案内のメール」+商品についての詳細な資料」という2つを同時に相手に確認してもらうことができます。
郵送の場合は資料をコピーしたり切手を貼ったりといった・印刷代・封筒代などのコストがかかりますが、メールならばこのようなコストがかからないのも魅力のひとつです。
アプローチと資料送付をまとめてできるのは、メールならではの強みと言えるでしょう。
新規開拓を営業メールで行うデメリット
営業メールはもちろんメリットだけではありません。次に営業メールのデメリットをご紹介します。
必ず読んでもらえる確証はない
営業メールはこちらからの一方的なアプローチになるため、送ったメールが必ず読んでもらえるとは限りません。
誰もが毎日多くの営業メールやメルマガを受け取っている可能性があることから、そもそも開封されなくて当たり前であることはメール営業が持つ最大のデメリットといっても過言ではないでしょう。
メールは一方的に送ることができるツールであるために、読むかどうかはすべて相手の判断に委ねられます。
このような状況を避けるために、魅力的なタイトルにするといった開封率を上げるための工夫が取組みが必要です。
相手のリアクションが見えない
テレアポや飛び込み営業の場合少なくとも反応は返ってきますが、営業メールは手紙と同じで一方的なものになりますので、読んだときの反応を確認することができません。
興味を持ってもらうことができたのか、もらえなかったのか、そもそも読まずに削除されたのか一切分からないため、次のアクションが難しいのが問題です。
なかなか反応が返ってこない場合は、見切りを付けるタイミングを決めておくと良いでしょう。
開封率・アポ率が低い
メール営業はアポ率・開封率ともに飛び込みやテレアポと比べ低い傾向にあります。顔や声でのコミュニケーションが取りにくいため、相手にとってスルーされやすいためです。
理由として考えられます。
そもそもメール営業の開封率・アポ率は低いものであるという前提のもと、確立を上げるために送信数をできるだけ増やす必要があります。
何度も送ることで信頼喪失に繋がることも
営業メールは機会獲得のためにたくさん送る必要があるとは言え、送りすぎは逆効果になることも考えられます。相手が特に必要としていないのに一方的にメールを何度も送ることで、悪い印象を与えてしまうからです。
実際に同じ会社から何度もダイレクトメールが届いて辟易してしまったという経験をされたことがある方も多いのではないでしょうか。
メール営業を行う際はまず相手にとって得となる情報かどうかをしっかり見極め、必要としているところに必要な情報を届けることが重要です。
新規開拓に営業メールを取り入れるべき企業
新規開拓営業に営業メールが向いている企業は以下の通りです。
- 新しい事業を始めたばかりで認知されていない企業
- 営業スタイルがまだ確立されていない企業
- 従業員が少なく、訪問営業などに時間を割くことができない企業
新規開拓のメールが向いている企業は「まだ世の中にあまり認知されていない企業」もしくは「人員が少なく労働力があまり確保できない企業」です。
したがってベンチャー企業・小規模企業・まだ世に普及していない商品を扱う企業が新規開拓のメールが向いている企業のケースに当てはまると考えられます。
以下ではメリット・デメリットを踏まえた上で、次に新規開拓に営業メールが向いているケースについてご紹介します。
ベンチャー企業
ベンチャー企業で新規開拓をする場合、営業メールはとても有効な手段になります。歴史の浅いベンチャー企業では、まだ組織として営業スタイルが固まっていないという場合も考えられます。しかし営業活動は企業にとって生命線とも言えるため、決して疎かにすることはできません。
そのため訪問やテレアポよりも手軽に送ることができるメール営業はベンチャー企業と相性が良く、立ち上げたばかりで人員も予算も足りないという中でもたくさんの顧客にアプローチすることができます。
ただ開封率・アポ率が低いというデメリットを踏まえ、まずは最初の入口となる開封率を上げることが重要となります。
小規模企業
5人〜10人のような小規模企業も新規開拓での営業メールをおすすめしたいケースのひとつです。メールは身体的負担が少なく、かつ一度に大量にメールを送ることができるという性質により、少人数であっても多くの顧客にアプローチすることができます。
人材のリソースが取れない小規模企業の場合、数をこなすテレアポや飛び込み営業などを行えば1人あたりの負担が増え、業務に影響を与える可能性も出てくるでしょう。しかしメールであれば他の業務の合間に送ることもできるので、人数の少ない小規模な企業でも工夫次第で効率的に成果を上げることができます。
しかし小規模企業ならではの悩みとして、問い合わせが想定以上に来た場合、少人数では対応しきれないといったケースも出てくることも考えられます。反響が多かった際に対応できる手順や対応方法などを予め社内で検討しておくようにしましょう。
まだ世に普及していない商品を扱う企業
認知度が低い商品を扱う企業の場合も、新規開拓で営業メールを活用することは有効です。なぜならメールはアプローチの際に資料を一緒に送ることができるため、相手に予備知識がなくとも添付の資料を読んで商品内容を理解することができるからです。
認知度が低い商品は、まず相手にどんな商品なのか知ってもらわなければいけません。その際にアプローチと資料を同時に行なうことができるメールは大変効率が良く、一度のアプローチで商品の詳細まで伝えることができます。
ただ添付資料が多すぎると相手に負担がかかってしまうことも考えられるため、最初に圧縮しておくかシンプルにまとめるなどをして相手の負担にならないような対策を考えておく方が賢明です。
営業メールで最も大切なのは開封率
開封率は営業メールにおいて最も重要なポイントと言っても過言ではありません。なぜなら開封率は建物における最初の入口のようなもので、入口に入ってもらえなければそもそもアポイント取得どころではないからです。
先程営業メールのデメリットとして開封率が低いことをお伝えしましたが、開封率は工夫次第で上げることができます。新規開拓の営業メールでアポイントを取得したいなら、まずは最初の入口となる開封率に着目するようにしましょう。
開封率をアップさせるために必要な要素
開封率を上げるには以下4つの要素があります。
- メールの件名
- 送信先の関心度レベル
- 配信した曜日
- 配信した時間帯
この中でもまずは「メールの件名」を意識しましょう。他の要素とは違い、データの蓄積を待たずとも着手できます。
良い営業メールの文章例
~~部署向け~~システムのご提案(株式会社●●)
【本文】
株式会社XX
ご担当社様
突然のご連絡失礼いたします。
株式会社●●の〇〇です。
株式会社●●ではシステム部門を担当しております。
貴社のHPを拝見させていただいたところ、
弊社が提供する□□サービスが貴社の■■事業のお役に立てるのではないかと思い、
メールにてご連絡させていただきました。
□□サービスは東証一部上場の株式会社XX様やXX様にも導入いただいており、
既に導入から~~件を超える実績があります。
ご興味をお持ちであれば、直接ご説明にお伺いしたく、
今回このようなご連絡を差し上げた次第でございます。
もし説明のお時間をいただけるのでしたら、
下記日時のご都合はいかがでしょうか?
当日は、サービス内容の詳細や活用事例などをお話しできればと考えております。
=================
第一候補日:◯月×日(□) △時~
第二候補日:◯月×日(□) △時~
第三候補日:◯月×日(□) △時~
=================
ご説明は1時間程を予定しております。
ご多忙のところ恐縮ですが、何卒よろしくお願い申し上げます。
商談につながりやすい営業メールのコツ
商談に繋がりやすい営業メールの特徴は、まず件名が簡略で分かりやすい点にあります。
さらに件名が分かりやすいだけでなく、何を伝えたいかが明確で、端的にまとめられてることもポイントです。
これらを踏まえた上で商談候補日を複数提示しておくことで、相手のアクションを引き出しやすくなります。
この章では商談に繋がりやすい営業メールのコツをそれぞれご紹介してきます。
件名は簡略で分かりやすく書く
営業メールを読んでもらうためには、メールの件名は簡略で分かりやすいものである必要があります。
件名から内容の連想が難しかったり、件名が長すぎる場合、担当者の興味を引けずメールが開かれないということが起こり得るからです。
「~~部署向け~~システムのご提案(株式会社●●)」のようにタイトルを見たらひと目でどういったメールであるのか分かるような件名を工夫してみましょう。
・採用コスト30%削減を保証!官公庁も導入済み人事システムのご提案
・4月限定!~~システム初期費用無料キャンペーンのお知らせ
・最新SNSサービスのリリースに伴う新規取引のお願い
・株式会社●●について
・株式会社●●からのお知らせ
・ご提案があります
・アポイントのお願い
伝えたいポイントを1つに絞っている
顧客に読んでもらうためには、伝えたいポイントを1つに絞りましょう。伝えたいポイントが複数あることで長文になり、最後まで読むのが疲れてしまうということが起こり得るからです。
・新サービスを提案したい
・期間限定の無料プランを提案したい
・セミナーに参加して欲しい
・サービスの提案とセミナー参加依頼が同じメールにまとめられている
・メール文面が1000文字を超えている
・結局最後に読み手がどんな行動をすれば良いか明記されていない
そもそも新規開拓の営業メールは「読まれなくて当たり前」というのが前提です。その上で読みたいと思ってもらえる内容にするためにも、伝えたいポイントは1つに絞り、簡潔に伝えるようにしましょう。
商談候補日が複数提示されている
相手に具体的にどんなアクションを取って欲しいのかを明確にするためにも、商談候補日を指定することは有効です。商談候補日を指定することで先方は都合の良い日程を選ぶだけとなり、アクションにつながるハードルをぐっと下げることができます。
以下よりご都合の良い日程を選択くださいませ。
・3月28日 13:00~17:00、
・3月29日 13:00~17:00
・3月30日 終日
ご都合の良い日程をお知らせください。
新規開拓の営業メールを送った後に気をつけるポイント
新規開拓の営業メールは送って終わりではありません。何らかの反応があったにしろなかったにしろ、結果を次に活かすためには次のような行動を意識しましょう。最後まで気を抜かないことが、最終的なアポ獲得へとつながります。
返信がきたらなるべく即座に対応する
メールにおいてレスポンスの速さが重要です。多忙なビジネスパーソンにとっては、メールの返信が早ければ早いほど予定の調整がしやすくなり、機会損失を防げます。
反応が速いというだけで相手からの好感度が高まるとしたら、この効果を利用しない手はありません。中には即座に回答できない問合せが含まれていたとしても、現状を正直に伝えるようにし、返答を後回しにしないことを心掛けましょう。
最も相手にとって不安な状況は、メールの返信がなく放置したままにされることです。営業メールを顧客獲得につなげたいのであれば、レスポンスはなるべく早めに対応するようにしましょう。
送信した営業メールの効果を分析する
営業メールで新規開拓をする場合、結果がどうであれ送信した営業メールの効果を知ることはとても重要です。いくら戦略を練って営業メールを送信しても、送信後の結果が次に活かせないようであれば、その行動自体が無駄になってしまうかもしれません。
分析機能のあるツールを利用して開封率や返信率などをデータ化しておけば、結果を踏まえて次回の新規開拓の営業メール送信に活かせるのでおすすめです。
「info@」など会社の代表メールでは営業メールを送らない
新規開拓の営業メールを「info@」「infomation@~」という会社の代表メールで送らないようにしましょう。
「info」という単語が入ったメールアドレスは迷惑メールによくあるメールアドレスになるため、相手が拒否設定にしている可能性があります。
折角送ったメールが迷惑メールフォルダ行きとならないためにも、営業メールは個人名が入ったアドレス、自分のアドレスを使って送りましょう。
送付先が確認しにくいタイミングではメールを送らない
新規開拓の営業メールを送る際に推奨するタイミングは以下の通りです。
- 時間:午前8~9時台、午後18時~19時台、午後12時~13時台
- 曜日:月曜を抜いた平日
午前8~9時台と午後18時~19時台をおすすめする理由は、ビジネスパーソンは移動時にメールをチェックすることが多く、通勤もしくは退社時間と重なるこの時間帯であれば見てもらえる可能性が高まるからです。
次にメールをチェックするタイミングとしてはお昼時が考えられます。こちらも忙しい会社員の方がお昼どきにメールをチェックする可能性が予想されるからです。
この時間帯を外してメールを送ると他のメールに埋もれてしまい、結局見られないといった可能性が高くなります。開封率を少しでも上げることを考えるのであれば、朝9時前と夕方18時~19時頃に送るのが良いでしょう。
ちなみに月曜日も週末に届いたメールの中にまぎれてしまう可能性が高いので、メールが溜まらない火曜日以降に送信することをおすすめします。
まとめ
新規開拓において、「営業メール」は一度に多くの企業にアプローチできるのが強みです。
そのため、「ユーザーの認知が少ない商材」「営業人員が少ない企業」などと相性が良いです。
営業メールでは開封率が特に重要となります。開封率を上げることが商談化率の向上にもつながります。
営業メールを書く際は、以下の3点を意識しましょう。
- 件名は簡略かつ分かりやすく書く
- 伝えたいポイントを1つに絞る
- 商談候補日が複数提示する
このようなポイントを押さえた上で、メールを送信した後も気を抜かず「返信がきたら即座に対応する」「送信した営業メールの効果を分析する」という2点を意識するようにしましょう。
新規開拓の営業メールはどうしても一方的なものになりがちですが、相手にとって見たいと思える情報や、有益な情報をしっかり伝えることができれば、顧客獲得の確率はグンとアップします。
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