OKRとは?他の目標管理手法との違いと導入までの全手順

OKRとは、組織が高い目標を達成して生産性を上げるために行う目標管理制度のことです。本記事では、OKRの特徴やメリット・デメリットを解説します。OKRを適切に導入することで、組織全体の生産性や社員のモチベーションアップが望めるでしょう。

実際にOKRを導入したGoogleは、社員のパフォーマンスを最大化させて成長が加速したことで、1998年の設立からわずか数年で世界的な大企業へと発展を遂げました。

本記事を読めば、自分の企業にOKRを導入するべきかどうかの判断基準がわかり、今すぐOKRの設定を始められます。

まずはOKRとは何かを理解したい方、自分の会社でOKRを導入できそうかどうかが気になっている方は、ぜひ最後までご覧ください。


OKRは組織全体の生産性アップを目的とした目標管理手法


OKRとは、目標管理手法の1つです。OKRの目的は、組織全体の生産性を上げることにあります。1ヶ月〜3ヶ月と比較的短期間の達成を前提とした挑戦的な目標を設定し、こまめに進捗状況を評価しながら達成を目指すのが特徴です。

OKRは「Objectives(目標)」とKR「Key Results(主な結果)」という2つの要素で構成されています。Oは定性的な目標、KRは定量的な成果指標を意味します。定性的な目標と定量的な成果指標について、少し詳しく見ていきましょう。

O(Objectives):目標


OKRで設定する目標には、4つの特徴があります。

  • 定性的である
  • 挑戦的である
  • シンプルである
  • 1ヶ月〜3ヶ月以内に達成できる

OKRで立てる目標には、数値を入れる必要がありません。シンプルで頭に入りやすく、達成することを想像してモチベーションを上げられるようなものであることが大切です。期間は1ヶ月〜3ヶ月と、比較的短期間で達成できそうな目標を立てましょう。

KR(Key Results):主な結果


OKRで設定する結果には、4つの特徴があります。

  • 定量的である
  • Oで立てた目標達成につながる結果である
  • 数は2つ〜5つである
  • ストレッチ目標である

Oとは異なり、KRは数値で測定できる必要があります。設定した数値を達成することで、Oに到達するようなKRを立てましょう。

KRの数が増えると、目標達成に向けたエネルギーが分散してしまいます。1つのOに対するKRは、2つ〜5つ程度に収めてください。

KRの設定方法は、達成に対する自信度が50%程度であること、つまり「頑張れば達成できそう」というやや背伸びをしたラインにすることが大切です。

ちなみに、設定したKRに対する達成度は、60%〜70%程度で成功とみなされます。


「ノルマ」「MBO」「KPI」とは目的や設定する目標レベルに違いがある

OKRを正しく活用するために、類似した3つの用語との違いを理解しましょう。

  • ノルマ
  • MBO
  • KPI

OKRを含めた4つの用語は、どれも「目標に対してどのような結果を出せば達成になるのか」という、目標の達成度を測る指標になる結果を設定するものです。それぞれの違いを大まかに表でまとめました。

用語目標設定の目的目標の種類求められる達成率
OKR企業の生産性アップ成果60%〜70%
ノルマ達成すべき最低基準の設定成果・行動100%以上
MBO個人の報酬決定成果・行動100%以上
KPIプロジェクトの目標達成行動100%以上

以下で詳しく解説していきます。

ノルマとの違い

ノルマとOKRは、設定する目標の基準が異なります。OKRでは挑戦的な目標を立てるのに対して、ノルマではクリアすべき最低基準を設定するのが特徴です。

具体的には、OKRの目標は「達成に対する自信度が50%程度」のラインで設定します。目標に対する達成度は、OKRが60%〜70%で成功と判断するのに対し、ノルマは100%達成しなければ失敗とみなされます。

同じ数値目標であっても、ノルマとして設定する場合とOKRとして設定する場合で、意味合いが変わることを理解しておきましょう。

MBOとの違い

MBOとOKRは、目標設定の目的が異なります。MBOは個人の報酬決定が目的であるのに対し、OKRは企業の生産性アップが目的です。目的の違いにより、目標の性質もそれぞれ異なります。

MBOは個人の報酬決定が目的なので、個人の目標が必ずしも企業全体の目標とリンクするとは限りません。目標共有は本人と上司の間でのみ行われ、組織全体に個人の目標が共有されることは基本的にはありません。達成度の評価は1年に1回で、100%以上の達成率が期待されます。

OKRの場合は、企業全体の生産性アップが目的であることから、個人の目標が企業全体の目標とリンクするのが特徴です。

目標共有は組織全体で行われ、達成度の評価は1ヶ月〜3ヶ月に1回程度と細かく行います。挑戦的な目標を立てることから、達成率は60%〜70%で成功とみなされます。

MBOは個人の報酬を決定するための目標、MBOは企業の生産性をアップさせるための目標という、目的の違いがあることを知っておきましょう。

KPIとの違い

KPIとOKRは、設定する目標と評価指標のスケールが異なります。OKRでは組織全体の最終的な定性目標と、目標の達成度が数値化された成果指標を設定します。対してKPIでは、成果目標を達成するために必要な行動目標の評価指標を設定するのです。

たとえば、OKRで「3ヶ月後の売上をアップさせる」という定性的目標を設定したと仮定します。3ヶ月後の売上をアップさせるために達成したい成果指標は「来店人数を●人に増やす」と設定できるでしょう。

KPIでは、「来店人数を●人に増やす」という定量目標を達成するために必要な行動目標を設定します。たとえば、「1日あたり▲人呼び込む」という行動目標が設定できるでしょう。

OKRは成果に対する目標、KPIは行動に対する目標というスケールの違いがあることを頭に入れておいてください。


OKR導入によるメリット・デメリット

OKRを導入するにあたって考えられる5つのメリットと、2つのデメリットを解説します。メリットとデメリットを理解することで、OKRが自分の組織に適しているかを判断しやすくなるでしょう。

5つのメリット

OKRを導入することで得られると考えられる5つのメリットは以下の通りです。

  • 企業のビジョンが浸透しやすくなる
  • 従業員のエンゲージメントが向上する
  • 高い目標に挑戦しやすくなる
  • 優先順位が明確になる
  • 迅速かつ柔軟な方向修正ができる

それぞれ詳しく見ていきましょう。

1.企業のビジョンが浸透しやすくなる

OKRを導入することで、企業のビジョンが組織全体に浸透しやすくなることが考えられます。OKRの目標は企業の生産性アップが目的であり、個人の目標が組織全体の目標とリンクするためです。

一人ひとりが目標を立てる際、「企業が目指す方向性に即しているか」を意識する必要があるのです。目標設定を通して、社員が企業のビジョンをより深く考えるきっかけになるでしょう。

2.従業員のエンゲージメントが向上する

OKRを導入すると、社員のエンゲージメント向上が期待できます。エンゲージメントとは、組織に対する愛着や貢献の意志を指します。組織全体の方向性に沿った個人目標を設定するので、個人目標の達成がそのまま組織への貢献につながるのです。

目標はあくまで社員自身が設定すること、目標達成に向けた行動一つひとつが会社の発展に寄与することから、社員が会社への貢献度を実感しやすい環境づくりができるといえます。

3.高い目標に挑戦しやすくなる

OKRを導入することで、高い目標に挑戦しやすい環境づくりが可能です。OKRで設定する目標の達成度は報酬の増減に関わらないこと、求められる達成度が60%〜70%であるという特徴によるものです。

達成度が60%〜70%で成功と判断され、失敗しても報酬の減額はありません。そのため、高い目標を設定することに対する心理的ハードルは下がると考えられます。組織を挑戦心のある野心的な雰囲気にしたい場合は、OKRによる目標設定が適しているといえるでしょう。

4.優先順位が明確になる

OKRが導入されると、やるべきタスクや行動の優先順位が明確になると期待できます。OKRでは最終的な定性目標を一つ設定し、定性目標に対する定量目標を2つ〜5つ決めます。一つの目標達成に意識を集中させることで優先順位が明確になり、効率的な行動へとつながるのです。

5.迅速かつ柔軟な方向修正ができる

OKRの導入により、迅速で柔軟な方向修正ができるようになります。OKRは、目標設定から評価までのサイクルが1ヶ月〜3ヶ月程度と比較的短いスパンで回転するためです。

サイクルの途中でも進捗確認の時間を設けることで、さらにこまめな軌道修正が可能です。達成度合いや現場の状況に合わせて、柔軟に対応できます。

2つのデメリット

OKR導入時に考えられるデメリットは以下の通りです。

  • 適切な目標を立てにくい
  • 社員のモチベーションが下がってしまうケースもある

それぞれ詳しく見ていきましょう。

1.適切な目標を立てにくい

OKRは、2つの理由で「目標設定が難しい」と感じる場合があります。

  • 現状と目標の適切な距離感を測りにくい
  • 個人目標と組織目標に一貫性がなくなると適切に機能しない

OKRは、「達成に対する自信度が50%」のラインで目標を設定します。自信度50%という基準は感覚的であり、慣れるまでは実際の状況と感覚が大幅にずれてしまうこともあるでしょう。また、今までノルマやMBOなど100%の達成度を基準に目標設定をしていた場合は、60%〜70%の達成度を求められる挑戦的な目標設定に違和感があるかもしれません。

OKRは組織の生産性アップを目的としているため、個人の目標と組織の目標に一貫性をもたせる必要があります。MBOなど目的の異なる目標管理手法を採用している場合は、目的の違いを一人ひとりに理解してもらうことが大切です。

2.社員のモチベーションが下がってしまうケースもある

OKRを導入することで、社員のモチベーションが下がるケースも考えられます。目標設定の基準や目的が変わることで、新たな目標管理手法になかなか適応できない場合があるためです。

たとえばノルマやMBOを目標管理手法として採用していた場合、100%の達成が求められる環境で仕事に取り組んでいたことになります。OKRを導入することで、求められる達成度は60%〜70%に変わります。

本来であれば「頑張れば達成できる」という挑戦的な目標を設定しなければなりません。しかし、「60%〜70%の達成度でよい」ととらえてしまうと、組織の勢いが落ちてしまうリスクもあるのです。

他の目標管理手法からOKRに切り替える場合は、目標設定に対する認識を再度共有しておくことが大切です。


OKRの導入に成功している企業事例3選

OKRを実際に導入してうまくいっている事例を3つ紹介します。

  • Google
  • メルカリ
  • チャットワーク

それぞれの企業が成功した要因について見ていきましょう。

挑戦的な目標と明確な評価指標を設定しチャレンジを続けるGoogle

Googleは、2000年代初期にOKRを導入して成功した企業です。1998年の設立後、挑戦的な組織文化を創り上げるにあたってOKRが大きな影響を及ぼしました。GoogleがOKRを導入して成功した要因は2つあります。

  • ストレッチゴールの推奨
  • スコアリングの実施

2つの要因について詳しく解説します。

ストレッチゴールの推奨

Googleはストレッチゴールを推奨したことで、OKRの有効活用に成功しました。ストレッチゴールとは、達成可能と感じるよりも少し高い位置に設定した目標のことです。

OKRを運用する際は、挑戦的で背伸びをするような距離感の目標を立てることが大切です。

具体的には、「達成に対する自信度が50%」のラインに目標を設定します。大きいけれど不可能ではない目標を設定することで、社内の士気が高まるのです。

達成すれば企業の生産性アップに大きく寄与するため、社員と組織の両方にとってよい影響を与えます。

スコアリングの実施

Googleはスコアリングの実施により、OKRを効果的に活用しています。設定した成果指標に対する達成度を数値化して評価するものです。

未達成を0.0、完全達成を1.0としてスコアリングします。たとえば、「新規顧客を10人獲得する」という目標に対し、実際に獲得した顧客が6人であればスコアは0.6です。

スコアリングを通して、自分の立てた目標が適切な距離感であったかどうかの振り返りをしやすくなります。

自信度50%の感覚的な指標と合わせて、スコアを見ながら目標設定の精度を上げていけるのです。

参考:Googleが運用するOKRとは?歴史と流れを説明します – Resily株式会社(リシリー)

社員と組織の結びつきを強化しながら10倍以上の規模に成長したメルカリ

メルカリは、社員数が50人〜100人規模の段階でOKRを導入し、現在1,700人以上の社員を抱えるまでに成長しています。

組織の規模が拡大してもなお、OKRを活用することで社員一人ひとりの目標をまとめあげ、企業の生産性を上げ続けています。メルカリが成功した要因は2つです。

  • 社員とのコミュニケーションを重視
  • OKR達成に向けたプロセスを重視

2つのポイントについて解説していきます。

社員とのコミュニケーションを重視

メルカリは、OKRのコミュニケーションを重視して運用しています。話し合いを通してOKRの意義や会社の方向性を共有し、「会社の目標と個人の目標に一貫性をもたせる」という目的を達成しているのです。

半年に一度の合宿や、3ヶ月に一度のOKR見直し、社員面談なども実施。こまめに話し合いの場を設けたことで、丁寧な軌道修正ができて実績につながったと考えられます。

OKR達成に向けたプロセスを重視

OKRに対する成果だけでなく、成果に至るまでのプロセスにも重点をおくのがメルカリの特徴です。OKRの目標は100%達成することが目的ではありません。そのため、成果指標に対してどのような行動を取れたかが重要視されるのです。

メルカリでは、3ヶ月ごとに自己評価とマネージャーからの評価をすり合わせて最終的な評価を下しています。主観的な視点と客観的な視点から評価することで、次期ではより挑戦的な目標にチャレンジできるようになるのです。

参考:リモートワークでもOKRの評価サイクルはしっかり回っている メルカリ | 人材・組織開発のコラム(コラム・調査など) | リクルートマネジメントソリューションズ

OKRの導入により挑戦的な企業文化へと変化したチャットワーク

チャットワークは、OKRを導入したことで企業文化に変化が生まれた組織の一つです。ストレッチ目標を設定して行動するOKRを目標管理手法として採用したことで、挑戦に対して前向きな雰囲気へと変ぼうを遂げました。

チャットワークがOKRの導入に成功した要因は、3つの評価要素を設定したことです。

  • 行動評価
  • 目標評価
  • 業績評価

成果に対する達成度だけでなく、目標に対してどれだけ行動したのかも評価対象に入れていることがポイントです。

仮にOKRの達成度が0%であっても、行動をもとに良い評価をつけることも可能としています。

組織の雰囲気に合わせて、柔軟に評価指標を設定することも、OKRの運用を成功させる上で大切な視点といえるでしょう。

参考:【OKR最前線vol.2】ChatWork流 「完璧を求めない」「カッコつけない 」理想の会社に近づけるためのOKR運用


OKRの導入に適した企業・適していない企業

OKRの導入に適した企業と、OKR以外の目標管理手法が適した企業の特徴を解説します。
OKRは目標管理方法の一つに過ぎません。

組織の特性を理解した上で最適な手法を選ぶことが大切です。それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。

OKRを導入すべき企業の特徴

以下のような特徴をもつ企業は、OKRの導入に適していると考えられます。

  • 組織の人数が少ないスタートアップ企業の場合
  • 組織全体のビジョンや戦略を今よりも深く現場に浸透させたい場合

それぞれの特徴について詳しく見ていきましょう。

組織の人数が少ないスタートアップ企業の場合

スタートアップ企業など、限られたリソースで成果を出すことが求められる企業は、OKRの導入が適しているといえます。OKRは定性的な目標を一つだけ立てて取り組むので、目標達成に向けたエネルギーを集中させやすいのです。

スタートアップ企業の場合は人数が限られていることから、優先順位を明確に決めてタスクに取り組むことが必要不可欠といえるでしょう。優先順位の明確さが重要視される組織において、OKRは目標管理手法として適しています。

組織全体のビジョンや戦略を今よりも深く現場に浸透させたい場合

組織全体のビジョンや戦略を現場に共有したい場合も、OKRは目標管理手法として最適です。OKRは組織の生産性アップを目的としており、組織と個人の目標に一貫性があるためです。

一貫性のある目標設定をするためには、組織全体の方向性が社員一人ひとりに浸透していることが大切。OKRの運用を通して、ビジョンや戦略が社内全体に広がることが期待できるのです。

OKR以外の目標管理手法を導入すべき企業の特徴

OKR以外の目標管理手法が適していると考えられる企業の特徴は以下の通りです。

  • 組織全体の目標を全社公開していない
  • 野心的な企業文化ではない

それぞれの特徴について解説します。

組織全体の目標を全社公開していない

組織全体の目標が社員に共有されていない場合は、OKRの導入に適していないといえます。OKRは組織の生産性アップを目的として目標設定を行うという特性から、組織と個人の目標に一貫性をもたせる必要があるためです。

組織の目標が公開されていない場合、目標の方向性が不明確になってしまいます。社員一人ひとりが目標設定をする際の指針となるものが共有されていないため、一貫性のある目標を立てづらいといえるでしょう。

組織内で全体目標が共有されていない場合は、OKR以外の目標管理手法を選択することがおすすめです。

野心的な企業文化ではない

野心的な企業文化ではない場合も、OKRは目標管理手法として最適とはいえません。理由は、OKRはストレッチ目標を設定するのが一般的であるためです。

ストレッチ目標は、「頑張れば達成できそう」という背伸びの目標を指します。具体的には、達成に対する自信度が50%程度の目標のことです。挑戦的な目標を立ててチャレンジしていくスタイルになるので、野心的な企業文化でない場合は、組織の雰囲気と目標管理手法がマッチしない可能性も考えられます。


OKRの導入・運用手順

OKRの導入から運用までの流れを解説します。以下に挙げる10のステップを進めていくことで、OKRをスムーズに運用できます。

  1. 企業OKRの設定
  2. 企業OKRの修正
  3. チーム・各部署のOKR設定
  4. チーム・各部署のOKR修正
  5. 個人のOKR設定
  6. 個人のOKR修正
  7. 週に一度の進捗確認
  8. 1.5ヶ月〜2ヶ月地点での中間レビュー
  9. 3ヶ月終了時の最終レビュー
  10. 次のOKRを設定

それぞれのステップでやるべきことについて詳しく見ていきましょう。

1.企業OKRの設定

初めに企業全体のOKRを設定します。OKRを設定する際は、トップダウンとボトムアップの両方向から検討することがポイントです。

OKRは、基本的に一企業で一つ設定します。ただし、異なる性質の事業を複数展開している場合は、事業ごとにOKRを立てるのもよいでしょう。

2.企業OKRの修正

設定した企業全体のOKRを各部署・チームに共有してフィードバックを受けます。フィードバックをもとに、必要があればOKRを修正してください。

3.チーム・各部署のOKR設定

確定した企業OKRにもとづいて、各チーム・部署ごとのOKRを設定します。チーム・部署ごとのOKRは、企業のOKRを達成するための道筋に沿ったものであることがポイントです。チーム・部署の目標を達成することが、企業OKRの達成に近づくような目標を立てましょう。

4.チーム・各部署のOKR修正

チーム・部署のOKRを設定したら、全体に共有してフィードバックを受けましょう。フィードバックは、トップダウンとボトムアップの両方から受けることが大切です。常に組織全体から個人目標までの一貫性を意識してください。

5.個人のOKR設定

決定したチーム・部署のOKRをもとに、個人のOKRを設定します。ストレッチ目標になっているかを今一度確認しながら設定しましょう。立てた目標との距離感が分かりにくい場合は、「達成に対する自信度が50%程度かどうか」を感覚的にチェックしてみてください。

6.個人のOKR修正

設定した個人のOKRを全体共有してフィードバックを受けてください。チーム・部署ごとや組織全体の目標達成につながる目標設定ができているかを最終チェックします。

7.週に一度の進捗確認

組織全体のOKRから個人のOKRまで設定したら、目標達成に向けてタスクに取り組みます。週に一度進捗確認を行うことで、達成率をアップさせましょう。実際に取り組んでからの自信度を再評価したり、達成や未達の要因分析をしたりします。進捗確認は、次の1週間で取り組むタスクを決めてから終えるのがおすすめです。

8.1.5ヶ月〜2ヶ月地点での中間レビュー

3ヶ月クールでOKRを運用する場合は、1.5ヶ月から2ヶ月地点で中間レビューを行いましょう。中間レビューでは、全体的なOKRを一度見直します。もし軌道修正が必要であれば、中間レビューの時点で目標設定を変更することも可能です。実際に運用した結果を踏まえて、臨機応変に対応しましょう。

9.3ヶ月終了時の最終レビュー

クール終了時に、最終的な結果を評価します。目標に対する達成度を数値化すると、評価が分かりやすくなるでしょう。OKRで設定する目標はストレッチ目標であることから、達成度は60%〜70%で成功と判断します。

達成度が60%未満だった場合は、未達の要因を分析して次回の目標設定に役立てましょう。設定した目標が高すぎた可能性もあるため、目標設定の基準も合わせて振り返るのがおすすめです。

達成度が70%を超えた場合は、次期クールでもう少し高い目標を設定してもよいでしょう。自分にとってのストレッチ目標がどの程度の距離感かを、振り返りを通して少しずつつかむよう意識してみてください。

10.次のOKRを設定

最終レビューをもとに、次期クールのOKRを設定します。達成や未達の要因を分析した上で、より精度の高い目標を設定できるのが理想です。再び企業OKRの設定から始めて、個人のOKRまで落とし込んでください。


効果的なOKRを設定するためのポイント4つ

効果的なOKRを設定するために意識したいポイントを4つ紹介します。

  • 成果指標は2〜5個に絞る
  • 到達点や状態を具体的かつ明確に示し、高みを目指す表現を使う
  • 計測可能で目標達成に直接結びつく成果指標を設定する
  • 行動そのものではなく、行動により得られる成果を指標とする

それぞれのポイントについて、詳しく解説していきます。

成果指標は2〜5個に絞る

1つの定性目標に対する成果指標は、2〜5個に絞りましょう。最短で理想のゴールにたどり着くためには、やるべきことに明確な優先順位をつけて、エネルギーを集中させることが大切なのです。

成果指標には、目標達成までの進捗を測るめじるしとしての役割があります。成果指標が少なすぎると途中で方向性がズレてしまうことも懸念されます。一方で、多すぎるとエネルギーが分散されてしまい、目標達成までのスピードが遅くなってしまうリスクも。

成果指標が5つ以上ある場合は、最終的な目標達成への寄与が大きいものを優先して絞り込んでいきましょう。寄与が大きいものを達成すれば、寄与の小さい成果指標は自ずと達成されることも多いものです。

到達点や状態を具体的かつ明確に示し、高みを目指す表現を使う

目指すゴールを明確に言語化し、できる限り高みを目指せるような表現を使いましょう。定性目標には数値を入れる必要はありませんが、定量目標を設定する際は数値を入れて、達成度が明確にはかれるような指標を作ってください。

ゴール地点の表現は、成長が感じられるような表現を使うよう意識してみてください。「維持する」「継続する」などの表現は、現状をキープする意味合いが強くなるため避けることをおすすめします。

参考までに、目標設定の具体的な例を以下に提示します。

理想的な目標設定の表現

  • 新事業Aを成功させる
  • 3ヶ月後までに新商品Bをリリースする

避けた方が良い目標設定の表現

  • 前期以上の売上をキープする
  • Cの運用を継続する

目標設定は、挑戦的であるかどうかを意識しましょう。

計測可能で目標達成に直接結びつく成果指標を設定する

成果指標は計測可能なものを設定しましょう。さらに、最終的な定性目標の達成につながる成果指標であることが大切です。数値があることで行動や評価が明確になり、確実に定性目標を達成することにつながります。

たとえば、定性目標を「売上をアップさせる」に設定した場合、成果指標は「新規顧客を●人増やす」と設定できます。新規顧客を●人増やすために何をすればよいのかを考えることで、単に売上をアップさせることについて考えるよりも行動が具体的になるでしょう。

行動そのものではなく、行動により得られる成果を指標とする

定性目標の達成度を測るための指標となる定量目標は、行動ではなく成果に対するものを設定しましょう。行動に関して目標を立てる場合は、OKRではなくKPIを用います。

たとえば、「売上をアップさせる」という定性目標に対する行動目標は、「広告を新規潜在顧客▲人に届ける」と設定できるかもしれません。

しかし、広告を見ただけでは売上が上がることはありません。OKRでの定量目標は、「新規顧客を●人獲得する」が適切です。行動をした上で得られる成果に視点をおいて目標を設定してみてください。


OKRの導入・運用にありがちな失敗例5選

OKRを新たに導入・運用していく上で起こりやすい失敗例を5つ紹介します。

  • OKRがストレッチゴールであることを理解していない
  • 現状維持の成果にしかならないOKRを立ててしまう
  • 意図的に実力を発揮しない
  • 目標の価値が低い
  • 目標に対する成果指標が不十分

それぞれの項目を詳しく解説します。

OKRがストレッチゴールであることを理解していない

OKRで設定する目標がストレッチゴールであることを理解しないまま運用してしまうことで、失敗につながる可能性があります。目標との距離感を正しく把握できていないと、適切な評価ができなくなってしまうためです。

たとえば、月間100万円の売上を上げている事業に関して、「今期も最低100万円以上はキープする」というのはストレッチゴールではありません。「売上を120万円以上にする」など、過去に上げたことのない成果に挑戦するのがストレッチゴールです。

とくに、ノルマやMBOなどの目標管理手法から変更する場合は注意しましょう。目標は100%達成するのが当たり前だった環境から、60%〜70%で成功と判断される環境に変わるためです。慣れないうちは達成率が下がることに違和感や戸惑いを感じる可能性があるので、社員が自己評価を適切にできるようサポートしましょう。

現状維持の成果にしかならないOKRを立ててしまう

現状維持の成果しか出ない目標は、OKRの適切な運用にはつながりません。OKRは挑戦的な目標を立ててチャレンジしていくことを前提としているためです。

常に同じような内容の成果指標が上がっている場合や、「継続」「維持」などの単語が目標に入っている場合は注意が必要です。たとえば、新規案件獲得を毎月10件以上継続できている人に対して「今月も10件以上の新規案件を獲得する」というのは、現状維持の指標です。OKRを立てた後は、目指す定性目標に対して適切な距離感の成果指標になっているかをお互いにフィードバックしてください。

意図的に実力を発揮しない

マネジメント側がOKRの特徴を社員に正しく伝えられなかった結果、社員が意図的に実力を発揮しないケースが考えられます。

本来OKRは、挑戦的な目標を立てた上で「60%〜70%の達成率を成功と判断する」というものです。

しかし、立てた目標がストレッチ目標になっていない場合、「これくらいやれば60%くらいの達成率になるかな」と考えて、社員が力を加減してしまう可能性があります。

意図的に力を加減する社員が出てくると、組織の生産性アップに歯止めがかかってしまいます。OKRを導入する前に、ストレッチ目標の定義や高いところに目標を設定する意義などを社員と共有して、目的意識をそろえておきましょう。

目標達成率が100%を超えた際は、立てた目標が低すぎたり、リソースが余っていたりする可能性が考えられます。マネジメント側も「OKRにおいて達成率が100%を超える場合は、目標の立て方を見直す必要がある」ということを理解しておくことが大切です。

目標達成率が60%〜70%程度に収まっている場合も、今までの実績から比較して伸びているかどうかは定期的にチェックしておきましょう。誤認識による手抜きが起こりうることを頭の片隅に入れておくことで、より正確な評価へとつながります。

目標の価値が低い

価値の低い成果指標を立ててしまい、定性目標の達成が遠のいてしまうケースも考えられます。価値の低い成果指標とは、「定量目標を達成しても、最終的な定性目標の達成に大きく寄与しない目標」のことを指します。

たとえば「売上をアップさせる」という定性目標に対し、「●人に広告をリーチさせる」という目標は、方向性として間違ってはいませんが直接的に売上アップへ寄与しません。

定量目標として設定するのであれば、広告をリーチさせた先の「新規顧客を▲件獲得する」を定量目標として設定するのが適切でしょう。

組織全体のOKRと個人やチームのOKRがズレている場合や、取り組むことの優先順位をつけ間違えている場合などに起こる状況です。

組織から個人までのOKRに一貫性があるかどうかを、こまめに軌道修正しながら見直しましょう。

目標に対する成果指標が不十分

目標に対する成果指標が不適な場合、正しく評価できない可能性があるので注意しましょう。一貫性を意識しすぎた結果、成果指標そのものが目標からズレてしまうことがあります。

成果指標に対するフィードバックは、一貫性だけでなく「最終目標の達成につながるかどうか」も意識してください。目標に照準を合わせて方向性をそろえられたときに、初めてOKRが効果を発揮します。


まとめ

本記事では、OKRの基本的な概念や他の目標管理手法との違い、具体的な運用手順を解説しました。OKRは挑戦的な文化を育てたいと考えている組織にとって最適な目標管理手法といえるでしょう。上手に活用することで、組織全体のモチベーションと生産性アップにつながります。

失敗しやすいシチュエーションも解説したので、参考にしながらリスクヘッジをとってみてください。事前に十分な対策を練ることで、スムーズに運用できることでしょう。本記事を参考に、ぜひ自分の組織に適した目標管理手法を見つけてみてください。