リスティング広告とSEOの違いを理解すれば、おのずと自社に合った施策を選ぶことができるようになります。
リスティング広告は、有料ではありますがすぐ上位表示できます。
一方のSEOは無料で実施できる分、上位表示するには時間がかかり難易度も高くなっています。
ただし上位表示されれば、リスティング広告よりも費用対効果よく多くの流入が見込めます。
リスティング広告とSEOは、大きく「得意領域・表示場所・費用・ターゲティングのしやすさ・即効性・クリック率」の6つに違いがあります。
本記事では、検索結果からWebサイトへの流入数を増やす手法である「リスティング広告」「SEO」について、両者の6つの違いと、どちらを活用すべきかという選び方について徹底解説します。
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リスティング広告とSEOの6つの違い
リスティング広告とSEOには、以下6つの点で違いがあります。
両者は上記の「得意領域・表示場所・費用・ターゲティングのしやすさ・即効性・クリック率」について違いがあります。
得意領域|リスティング広告:見込み顧客へのアプローチ SEO:見込み顧客も認知拡大も
リスティング広告とSEOは、以下のように両者が得意とする領域が違います。
リスティング広告
リスティング広告は見込み顧客へのアプローチを得意としています。
ユーザーは何らかのニーズ(課題感)を持って検索をします。そのキーワードを検索したタイミングで欲しがっている答えを提示することで、ユーザーは解決策を見つけたと感じ、リスティング広告をクリックしてくれます。
このように、いままさに解決策を欲しがっている、購買意欲の高い見込み顧客にアプローチができるのが、リスティング広告です。
例えば「スニーカー 通販」で検索するユーザーは、スニーカーの購入をしようとしている、アプローチすべきユーザーであると考えられます。
逆に、興味を持ってはいるが今すぐの購買は考えていないユーザーがクリックしても、その場では購買に至る可能性が低く、費用だけ掛かってしまいます。
例えば「スニーカー NIKE」で検索するユーザーは、NIKEのスニーカーに興味・関心はあるでしょうが、購入を決めているとは限りません。
そうしたユーザーにリスティング広告を配信するのは、効率が悪いと言えます。
SEO
SEOは、まだ購買を考えていない潜在顧客にも、今まさに商品を買おうとしていてどれが良いか検索している購買意欲の高い人にも、幅広く訴求できる手法です。
リスティング広告とは違い、クリックされても費用が掛からないため、見込み顧客に絞ってアプローチする必要がありません。
あらゆるユーザーを想定して、幅広く訴求できるのがSEOです。
表示場所|検索結果画面にはリスティング広告→SEOの順番で表示される
検索結果には、リスティング広告枠とSEOのオーガニック検索表示枠の2種類があります。
リスティング広告とSEOは、上図のように「リスティング広告 → SEO → リスティング広告」の順番で表示されます。
よってユーザーが一番最初に目にするのは、SEOで1位のWebサイトではなく、リスティング広告になります。
1位表示するのに時間が掛かる&難しいSEOに対し、すぐにそれよりも上位表示できるのがリスティング広告の強みです。
費用|リスティング広告には広告費がかかるがSEOは無料
- リスティング広告:有料(クリック課金)
- SEO:無料(人件費は除く)
リスティング広告はクリックされると費用が発生するのに対し、SEOは表示されてもクリックされても費用が発生せず、上位表示させるために取り組む人件費を除いて無料で実施できます。
リスティング広告
リスティング広告は有料で、広告がクリックされるたびに費用が発生します。
リスティング広告の料金は「クリック課金」でその単価は「入札形式」です。
クリック課金とは、広告が表示されただけでは費用が発生せず、ユーザーが広告をクリックしてはじめて料金が発生する仕組みです。
1クリックごとにかかる広告料金は、広告主自身が「入札形式」で設定します。
入札価格はキーワードによって変動し、検索数の多いキーワードほど、入札価格も高くなる傾向があります。(参考:リスティング広告費用|売上を最大化するには、まずいくら必要!?)。
Google広告もYahoo!広告も、制度として最低入札金額は設定されていません。しかし広告料の入金額には下限があり、Google は1,000円、Yahoo!は3,000円です。よって、リスティング広告を始める際の最低予算は1,000円となります。
リスティング広告の平均予算・費用相場は、数万〜数千万円以上まで幅広いですが、リスティング広告を初めて行う場合には、10万円〜30万円程度からスタートして、徐々に投資額を増やしていくのがおすすめです。
広告予算の決め方は、以下を参考になさってください。
参考:リスティング広告で失敗しない!予算・目標CPA・獲得件数の設定方法
SEO
SEOに人件費はかかりますが、検索結果に表示されてもクリックされても費用は掛かりません。
上位表示させることができるのであれば、コストパフォーマンスが良いのがSEOです。
ターゲティングのしやすさ|リスティング広告はターゲティングできる SEOはできない
リスティング広告は配信するユーザーを細かくターゲティングできますが、SEOはそうしたターゲティングはできません。
参考:初心者でも簡単!リスティング広告の分析・改善の方法|LISKUL
リスティング広告では、広告のタイトルや内容・掲載期間・掲載時間帯・地域などのターゲティング設定を、広告主の自由に決めることができます。
一方SEOでは、掲載時間帯や表示されるユーザー地域の設定などはできません。
Googleのアルゴリズムに沿ってユーザーに喜ばれるコンテンツが検索上位されるという性質があります。ユーザーがどういうニーズを抱えているか・どういうキーワードを検索するのかを考えて、そのニーズに応えるコンテンツを提供することで、狙った検索ワードで上位表示させることができます。
即効性|リスティング広告はすぐに表示される SEOは上位表示まで数か月かかる
リスティング広告は出稿すればすぐに表示されますが、SEOは上位表示されるまでには通常数か月掛かります。
リスティング広告では、広告が審査に通ればすぐ検索結果画面に表示され、サイトへの流入が始まります。しかし広告を停止すると、サイトへの流入はなくなります。
対してSEOでは、一般的に検索結果画面で上位表示されるまで3~6か月かかります。
しかし上位表示まで時間がかかる分、ユーザーに本当に役立つコンテンツを提供できていれば、他社を抑えてずっと上位表示させることができます。
時間はかかりますが、費用をかけずに大きなリターンを得ることができるのが、SEOの特徴です。
クリック率|リスティング広告のクリック率は2~6% SEO1位は1~14%
リスティング広告の平均クリック率は2~6%、SEOは1~14%程度です。
1位表示できれば、SEOの方がクリック率は高くなる傾向にあります。
リスティング広告
リスティング広告のクリック率は、キーワードを検索して広告が表示された人の2~6%程度です。
このクリック率は業界によって異なりますので、上の表からご自身の業界の平均クリック率をご覧ください。
参考:Google Ads Benchmarks for YOUR Industry [Updated!]|WordStream
SEO
SEOは、上位表示できればリスティング広告より高いクリック率になっています。
費用を掛けずに、それでいてより多くの人にクリック・流入してもらえるのがSEOです。
参考:2021 CTR Research Study|seoclarity
リスティング広告とSEOは併用し相互作用をねらうべき
ここまでリスティング広告とSEOの違いを解説してきましたが、おそらく皆さんは両者のどちらに取り組むべきなのか迷われるのではないかと思います。
結論から言うと、リスティング広告とSEOは併用するのがおすすめです。
前章でお伝えしたように、SEOとリスティング広告は6つの要素で異なっているものであり、併用することでそれぞれの足りないところを補い合うことができます。
SEOは、無料ですし上位表示されればたくさんの流入が見込めますが、時間がかかり難易度が高いです。
一方のリスティング広告は、すぐ上位表示されるため難易度は低いですが、有料です。
このようにそれぞれ一長一短であり、両者を併用することで検索結果からの集客効果を最大化することができます。
メリット1.リスティング広告の配信結果をSEOのキーワード選定・コンテンツ制作に活かせる
併用するメリットのひとつ目は、リスティング広告の配信結果をSEOのキーワード選定・コンテンツ制作に活かせることです。
リスティング広告の配信結果を分析することで、どのキーワードで検索したユーザーの流入率・コンバージョン率が高いのか分かり、SEOのキーワード選定に役立ちます。
そのキーワードを使ってSEOの方針を立てれば、効率よく検索上位表示されるコンテンツを作ることができます。
リスティング広告:「化粧品」 ×「おすすめ・サンプル・オーガニック・敏感肌」などで出稿
↓
配信結果:「オーガニック」関連のキーワードがよく購買につながっていた
↓
SEO:オーガニックや肌に優しい化粧品を重視するユーザー向けのコンテンツを作成
このように、リスティング広告を用いてSEOのキーワードを発掘することができます。
メリット2. リスティング広告で短期 SEOで中長期的な売上を見込める
2つ目のメリットは、リスティング広告で短期の売上を、SEOで中長期的な売上を見込めるということです。
- 短期:リスティング広告で直近の売上を確保
- 中長期:3~6か月後の上位表示を見越してSEOに早めに取り組んでおく
リスティング広告は即効性があり、お金は掛かりますが出稿すればすぐに上位表示させることができます。
広告費が掛かる分利益率は下がりますが、リスティング広告からの購入で直近の売上をまず確保しましょう。
しかしリスティング広告だけに頼っていては、中長期的には広告費が利益を圧迫してしまいます。
また、リスティング広告をやめれば売上がなくなってしまうため出稿をやめられない、いわゆる「広告依存」に陥る可能性もあります。
そのため、3~6か月後の上位表示を見越して、SEOにも同時に取り組みます。
無事に上位表示させることができれば、SEOからの流入比率が増えてくるため、その分広告費を抑制することができるようになります。
このようにどちらかだけでなく、リスティング広告とSEOに一緒に取り組むことが重要です。
リスティング広告には相性の悪い商品・サービスが4つあることに注意
リスティング広告とSEOは併用するのが最も効果的ですが、リスティング広告には相性の悪いサービスが4つあります。
- ニーズ型商品で、ブランドが弱いサービス
- 他社が同じ商品を同じ条件で扱っているサービス
- 利益が小さく、リピート購入を期待できないサービス
- 新機軸の商品・サービス
これらのサービスはリスティング広告よりもSEOに取り組んだほうが良いでしょう。
ニーズ型商品で、ブランドが弱い
まずは、ニーズ型・ウォンツ型の説明からしていきます。
ニーズ型の商品とは、ユーザに満たしたい欲求(ニーズ)はあるものの、具体的な対象の
イメージ(ウォンツ)が弱いものです。
例えば「夏物のワンピースが欲しい」という場合、最初から特定のブランドを指定して探すのではなく、夏物のワンピースを色々見て探していくケースがほとんどでしょう。
一方のウォンツ型とは、商品名など具体的な対象をイメージした欲求のことを指しています。例えば「SNIDELのワンピースが欲しい」というものです。
「食品・ファッション・家具・インテリア」などのニーズ型の商品は、同カテゴリの商品が集まるモールで商品を探すことが多く、リスティング広告はあまり相性が良くありません。
ニーズ型商品でブランド力が弱いものは、リスティング広告を出しても「指名買い」してもらえないからです。そのため、まずはSEOやモール出店で顧客を増やし、ブランド認知を高めることが必要です。
他社が同じ商品を同じ条件で扱っている
他社で全く同じ商品を扱っていて、優位性がない場合には、リスティング広告を実施しても成果をあげるのは難しいです。優位性とは、価格が安い・自社だけが在庫確保できている・送料が安いなどです。
同じ商品なら安く簡単に手に入れたいとほとんどの人が思うため、リスティング広告を実施しても価格競争になって利益率が悪くなってしまいます。
例えばコカ・コーラはどこでも購入できるため、ポイント還元・送料無料などよほどの優位性がないと、リスティング広告を実施して効果を出すのは難しいでしょう。
このように、他社でも扱っている商品はリスティング広告では実施しないほうが良いでしょう。
利益が小さく、リピート購入を期待できないもの
扱いたい商品の単価が低く利益が小さい場合は、広告費が売上を上回ってしまうため、リスティング広告には不向きといえます。
広告出稿の際に、LTVベースで許容できるCPA(顧客獲得単価)・CPC(クリック単価)を算出して、それ以下で配信できる場合のみリスティング広告を実施しましょう。CPAとは、1件の商品購入を獲得するのに掛かる金額のことです。
許容(上限)CPAは、以下の図のように、売上単価と原価・人件費、確保したい利益から算出できます。
上図であれば、売上単価8,000円からコスト4,000円と目標の利益2,000円を引いた2,000円が、広告で掛けられる許容CPAになります。
ここで算出したCPAから、以下の公式で許容CPCを算出します。
CPA2,000円 × CVR2% = CPC40円
例えば想定されるCVR(クリック後にコンバージョンする確率)が2%だとすると、上の数式から許容CPC(クリック単価)が40円と算出できます。
このように、売上単価から許容できるCPA・CPCを算出し、利益を確保できる場合にのみリスティング広告は実施しましょう。
リスティング広告が難しい場合は、SEOに取り組むのがおすすめです。SEOは時間がかかる施策ですが、クリック単価はありません。商品単価が低いものでも、ユーザーに喜ばれるコンテンツで上位表示を目指し、売上を上げていくことができます。
新機軸の商品・サービス
ユーザーが初めて経験する新しい商品やサービスは、商品名もカテゴリもキーワード検索されないため、リスティング広告では購入は期待できません。
例えば「発売当時のiPhone」は、ユーザーがそのような商品の存在を知らないので、”iPhone”で検索されることはありません。
またスマートフォンという概念もまだ知らないので、”スマートフォン”で検索されることもないです。
よってリスティング広告を出稿してもほとんど検索・クリックされることはありません。
このような新機軸の商品やカテゴリは、リスティング広告との相性が悪いと言えます。
まとめ
リスティング広告とSEOは、以下の6つの要素で違いがあります。
リスティング広告とSEOはどちらか片方だけを実施するよりも、併用したほうが検索経由の集客効果をより高めることができます。
リスティング広告とSEOは併用がおすすめではありますが、以下のサービスはリスティング広告と相性が悪いので、SEOに取り組むことをおすすめします。
- ニーズ型商品で、ブランドが弱いサービス
- 他社が同じ商品を同じ条件で扱っているサービス
- 利益が小さく、リピート購入を期待できないサービス
- 新機軸の商品・サービス
この記事を読んでくださった皆様が、リスティング広告とSEOの違いを理解いただき、自社に合った施策を選ぶ手助けになれば幸いです。
こちらでは、リスティング広告で成果を出すための全手順をプロがまとめた60ページフルカラーの資料も公開しています。ぜひダウンロードして、記事と併せてご覧ください。
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