Webマーケティングに関わる方は、「ネイティブアド」という言葉を聞かない日は無いかもしれません。しかし、これだけ使われていても「ネイティブアドって何?」という問いかけの正確な回答は、意外に難しいものです。
そこで本記事では、「そもそも、ネイティブアドって何なの?」という疑問に対して、その答えを初心者でも分かるように実際の事例と図をつかって解説し、実際のネイティブアドの活用方法から注意点までプロの視点でお伝えいたします。
目次
ネイティブアドは、「通常のコンテンツと同じ見た目、状態で表示される広告枠やリンク先」
JIAA(日本インタラクティブ広告協会)の「ネイティブ広告の定義と用語解説」
によるとネイティブアドとは、「デザイン、内容、フォーマットが、媒体社が編集する記事・コンテンツの形式や提供するサービスの機能と同様でそれらと⼀体化しており、ユーザーの情報利⽤体験を妨げない広告」とされています。
もう少し噛み砕くと、「ネイティブアド=情報メディアの中に、通常のコンテンツと同じ見た目、状態で表示される広告」のことです。見出しだけではなく、クリックして見えるリンク先なども含みます。
見た目が、他の通常のコンテンツ情報と同じであれば良いので、例えば、ニュースのキュレーションアプリや、SNSの間などに表示されるものなども含みます。
【事例】ネイティブアドを活用して、新規顧客を獲得率が120%に!
ネイティブアドは、現在多く使われており、さまざまな成果を出しております。
例えば、ある美容化粧品の会社では、ネイティブアドを活用したことで、実際のコンバージョンに繋がるユーザーの獲得率が120%と大幅に上がりました。
また、申し込みページの前に「商品の理解を深めるページ」をネイティブアドとして作ったことで、化粧品の商品名での購入が110%~115%増加しました。
つまり、ネイティブアドをつかったことで、
①新規顧客の獲得
②商品名での獲得増加(ブランドリフト/アトリビューション)
の両方に成功したのです。
ネイティブアドは大きく3種類。具体例と基本用語を総ざらい!
それでは、具体的にネイティブアドの種類を解説していきます。
ネイティブアドには、大きく3種類です。しかし、どこにも含まれないような広告形態もあります。
①インフィード広告
インフィード広告とは、ネイティブアドの中でよく利用される形式の1つです。
JIAAでは、インフィード広告は、「ネイティブ広告の一種で、記事・コンテンツと一体感のあるデザイン、フォーマットで設置された誘導枠」とされています。
特徴
・コンテンツの間に、他の広告とおなじフォーマットで表示されている。
・広告、PRなどの記載がされている
例)
・Yahoo!JAPANスマートフォン版トップページに掲載されている広告
・GunosyやSmart Newsなどの記事の見出しの間に出る広告
・TwitterやFacebookのタイムラインに現れる広告
②レコメンドウィジェット広告
レコメンドウィジェットは、メディアの記事などのコンテンツのページの中に、「レコメンド枠」(関連コンテンツや、recommended byと表示されることが多い)として表示される広告の誘導枠のことです。一般の記事とレコメンドウィジェット広告が並んで表示されることもあります。
特徴
・提供リンク、広告などの表記があります。
・写真と短い文章がセットになっています。
例)
・Yahoo!JAPANコンテンツディスカバリー
・美容系のメディアの記事の下部や右側に、関連記事の中に、表示される他の広告コンテンツ
③タイアップ
タイアップとは、広告の商品の内容を記事な形で紹介する広告枠です。タイアップでは、メディアの特性に合った広告商品を扱い、他のコンテンツと連動する企画になることが多いです。
また一般的に、「記事広告」と呼ばれることもあります。JIAAでは、通常のコンテンツとは違い、広告であることを読者に明確に示すために、「広告」や「PR」という表記をすることが推奨されています。
特徴
・広告・PR・ADという記載がある場合が多いです。
・広告を、メディアの中に自然に馴染むコンテンツとして作成されています。
例)
・事例紹介 | エキサイト 広告掲載
・記事企画「Special」 | 広告・法人向けサービス紹介 | アイティメディア株式会社
④その他のネイティブアド形式
これまで紹介したもの以外にも、「ユーザーが自然に見る形で提供される広告」ネイティブアドとすると、新しくさまざまなネイティブアドが登場することが考えられます。
例)
・企業がコラボして作っているLINEのスタンプ 等
※注意!※インフィード広告やタイアップ広告は、「ネイティブアド」の種類の一部!
よく、ネイティブアド=タイアップや記事広告、と認識されることもありますが、実はそれだけではありません。ネイティブアドというのは、それらをすべて含む大きな概念です。
ネイティブアドに向いているのは、コンテンツにしやすい商品
ネイティブアドの特徴を踏まえ、ネイティブアドを出稿するのに向いている企業の特徴をまとめました。
①コンテンツとして、魅力的にみせることができる商品
特にタイアップ広告などのネイティブアドは、コンテンツとして、ユーザーを楽しませたり、興味を持ってもらったりすることで力を発揮します。メディアによっては「面白コンテンツ」として展開され、想定以上の層に届けることもできます。
ただし、どんな商品であっても打ち出し方によっては、魅力を引き出すことも打ち消すこともできます。その点、広告のコンテンツや写真などのクリエイティブにはこだわることをおすすめします。
②移動時間などの余暇に、購入の検討をされる商品
ネイティブアドがよく配信されているニュースなどのWebメディアは、通勤時間中や昼休み、寝る前などの余暇時間によく見られているという調査があります。
また、そのように短時間の関心で見るので、無料サンプルや会員登録のように、コンバージョンを比較的容易にできる商品の方が、向いています。
ただし、BtoBの場合も、ビジネスマンがよく見るメディアを選び、コンテンツを作成すれば、効果を出せます。
ネイティブアドを活用するための3つの注意点
①広告と明示しないと、「騙された!」と思われる可能性もある
そもそもユーザーが、情報メディアに来る理由は「そのメディアの情報」を見るためです。
それなのに、いつものように楽しく記事を読んでいて、期待してクリックしたリンク先が全く違う体裁・文面であったら印象は悪くなります。場合によっては、「ステルスマーケティング」「ステマ」と言われ、ネットで悪い意味で話題になることもあるので、表記には注意が必要です。
参考:ステマって何?|5分で分かるステマの意味と有名事例6選
②商品に合ったメディアはどれ?媒体の選択には要注意!
それぞれのメディアには、狙っている読者がいます。そのため、そのメディアやそのメディアが持つ流入ルートではどういった顧客層が来て、それが自社の商材にあっているのか?の見極めは非常に重要です。
しかし、人気メディアの枠は少なく、枠の確保や調整が難しく、出稿のハードルが高い場合もあります。さらに、ネイティブアドは、広告の内容をメディアごとにカスタマイズする必要があり、広告を出すときには工数がかかる場合も多いです。
③ネイティブアドは「商品に強い興味がない人」にも届く
ユーザーが検索したキーワードと関連性が高い広告を出すリスティング広告とは違い、ネイティブアドはあくまで「そのメディアにもともとある情報」を見に来ているユーザーへ配信をしているので「商品に強い興味がない人」にも届きます。そのため、すぐに購買につながるユーザーが大半ではありません。
ただし、下記の記事にもある通り、自社のユーザーを理解し、ネイティブアドの役割をしっかりと定義した上で、ユーザーに合ったメディアやリンク先コンテンツを選定すれば有用な広告枠となりえます。
参考:ネイティブ広告の成功事例から見るその活用方法と4つの注意点
ネイティブアドを配信できる主なDSP・アドネットワーク・メディア3選
いざ、ネイティブアドを配信したい!という時に抑えておきたい3サービスをご紹介いたします。
①Gunosy
http://gunosy.co.jp/
ネイティブアドの形式:インフィード広告
特徴
・情報キュレーションアプリ「グノシー」内に記事を掲載
・グノシーのユーザー属性は、50%以上が20~30代
・男性約60%、女性約40%
・会話のネタ集めや、生活に役立つ情報の収集を目的に利用するユーザーが多い。
男性は社会、政治やパソコン、金融関連に関心があり、女性は料理、グルメ、美容に関心があり
・年収は600万円以下が半数以上を占めている。
・利用時間は通勤中や仕事の休憩時間など隙間時間に集中している。
②X-lift (クロスリフト)
https://www.x-lift.jp/
ネイティブアドの形式:レコメンドウィジェット
特徴
・ユーザーの行動解析データと、記事解析データを独自アルゴリズムで解析し、広告を掲載できる
・コンテンツの制作までをしてくれる。
③サムライト
https://somewrite.com/
ネイティブアドの形式:インフィード広告
特徴
・コンテンツの制作までサムライトが行える
・不動産、金融、男性向け商材も向いている。
・インフィード広告、レコメンドウィジェットができる。
まとめ:ネイティブアドは、活かすも殺すも使い方次第
いかがでしたでしょうか。いまだ様々な定義が存在する「ネイティブアドってそもそも何?」という疑問と、広告を運用する上での課題と活用法が理解できたのではないでしょうか?
今後、ますます広がっていくであろうネイティブアド。活かすも殺すも、使い手次第です。
ぜひ、ネイティブアドを活用していってください。
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