ステルスマーケティング(ステマ)とは?意味や事例、リスク回避のポイントを紹介

マーケティング用語としてよく使用される「ステルスマーケティング(ステマ)」ですが、いまいち意味が分からない、と思ったことはありませんか?

関連:インフルエンサーマーケティングとは?まず押さえるべき基本と注意点

あるいは、「ステマ」の意味は知っていても、具体的な事例までは知らない、という方もいらっしゃると思います。

そんな方に、この記事では5分で簡単に分かるステマの意味と、法規制に関する情報、有名事例7選をご紹介します。

過去に起きたステマの事例を知ることで、よりマーケティングについての知識を深めることができます。自社のマーケティングを行う際などに、少しでも参考にして頂ければと思います。


目次

ステルスマーケティング(ステマ)とは

ステルスマーケティングに該当する関係を説明

ステルスマーケティング(ステマ)は、消費者に対して広告であることを隠したまま製品やサービスを宣伝するマーケティング手法です。

この手法は、商品の情報や意見が第三者によって自然な対話や推薦として伝えられるため、伝統的な広告よりも信頼性が高いと感じさせることが目的です。

しかし、消費者が宣伝内容を認識できないため、倫理的、法的な問題が生じることがあります。

意図せずともステルスマーケティングを行ってしまうと、その活動が消費者の信頼を損ねるリスクや、法的な責任を伴うことを十分に理解する必要があります。

消費者との信頼関係を築くことは長期的なブランド価値に直結するため、倫理的にも法的にも許容される範囲でのマーケティング戦略が求められています。


ステルスマーケティングは2023年10月1日より景表法の不当表示の対象となった

ステルスマーケティングは、2023年10月1日より景品表示法(景表法)の不当表示の対象に追加されました。

参考:令和5年10月1日からステルスマーケティングは景品表示法違反となります。 | 消費者庁

この変更は、広告が消費者に対して透明であるべきだという原則に基づいており、ステマによる誤解や誤認を防ぐための措置です。

法改正により、製品やサービスのプロモーションにおいて、その広告内容がステルスマーケティングであることを隠す行為は違法とされ、適切な広告の表示が求められています。

実際に、多くの企業が法的な問題に直面する事態を避けるため、より透明性のある広告手法を取り入れ始めています。

参考:景品表示法とステルスマーケティング~事例で分かるステルスマーケティング告示ガイドブック~ | 消費者庁

景表法の規制対象は商品やサービスを提供する「事業者」

景品表示法(景表法)による規制の対象となるのは、商品やサービスを提供する事業者です。

事業者は、法律に遵守しつつ、消費者に対して誠実かつ透明な情報を提供する責任があります。

つまり、自社の広告活動が消費者に誤解を招くような誇大広告や隠蔽を含まないように注意を払う必要があります。

事業者には、製造業者、販売業者、サービス提供者など、商品やサービスを最終消費者に提供する全ての主体が含まれます。

またもちろん、オンラインプラットフォームを通じて販売や宣伝を行う事業者もこの法律の適用対象となります。

あらゆる媒体が対象となる

景品表示法(景表法)の規制は、あらゆる媒体に適用されます。これにはテレビ、ラジオ、新聞、雑誌のような従来のメディアだけでなく、インターネット、ソーシャルメディア、ブログ、電子メールなど、デジタルプラットフォームも含まれます。

つまり事業者は利用する媒体に関わらず、広告内容が公正で透明であることを保証する必要があります。

デジタルメディアを利用する場合には、情報が迅速に広がりやすい性質を持っているため、誤解を招くような広告が即座に大きな影響を及ぼす可能性があります。

このため、事業者はオンラインでのプロモーションにおいても、広告であることを明確にし、誤認のないよう努める必要があるのです。

このように、景表法による規制があらゆる媒体に適用されることで、どのような形式であっても一貫した消費者保護の基準が確立されます。事業者は、公平な市場環境を維持し、消費者の信頼を得るために、これらの規則を遵守することが求められるのです。

ステマ発見時の情報提供先

消費者庁はホームページ上にステマの通報フォームを設置しています。ステマと疑わしい行為や内容を発見した場合、以下のフォームから消費者庁へ情報提供することができます。

参考:ステルスマーケティングに関する景品表示法違反被疑情報提供フォーム | 消費者庁


企業によるステマが発覚すると「炎上」する

消費者にステマだと判断された場合、処分対象となるだけではなく、炎上にもつながるリスクがあります。

ステマなどの問題投稿や非難が集まる行動などが原因となり、ネット上に非難や批判が一急速に拡大する現象を「ネット炎上」と呼びます。

ネット炎上は企業の評判に直結するため、未然の防止はもちろんのこと、炎上発生後の企業による対応や対策が重要になります。

参考:SNSで炎上した場合の対策とは?トラブルを回避する防止策までご紹介


有名なステマの事例7選

【ウォルマート】PR会社 が実施した偽ブログが炎上

発覚経緯

・小売チェーンのウォルマートは、米国内の自社ブランドイメージを改善させるため、PR会社 のエデルマンに打開策を依頼した
・エデルマンは一般人カップルの旅行ブログを立ち上げて、ウォルマートに肯定的な記事ばかりを投稿
・それに対して、 Business Week誌とウォルマートに批判的な消費者団体が、このカップルは雇われており、すべての旅行費の出処はエデルマン であると暴露した
・続けて、そのカップルは実在せず、カップルになりすましていたうちの1人は有名新聞社の
カメラマンであるという事実も明らかになった
・上記のような事実が発覚したことで、エデルマンとウォルマートへ批判が集まり、ブロガーたちの非難の書き込みも広まったことで、スキャンダルに発展した

その後の対応

・エデルマンは、スキャンダルの発覚後、5日間も沈黙を保っていた。
・エデルマンはクチコミマーケティング団体の倫理規定の作成にも関わっており、企業がブログ内容に関係する場合は、それを明示する透明性が必要だと主張していた本人だったことや、しばらくの間沈黙していたことで、批判を拡大させてしまった

結果

・当初ウォルマートが非難されていたこのスキャンダルは、エデルマンの信用問題へと進展
・この偽ブログの企画・実行と、スキャンダル発覚後の対応の悪さに関して、ブロガーたちからはエデルマンへの批判の声が集まった
・最終的には、5日間の沈黙の後、エデルマンCEOは自身のブログ上で、ウォルマートの偽ブログへの関与を認め、謝罪した

【Zipatoni社事件】
PSP宣伝のための架空個人ファンサイトが炎上

発覚経緯

・マーケティング会社のZipatoniは、米ソニーコンピューターエンターテイメントの商品であるPSPを宣伝するために、この商品のファンを装い、個人ファンサイトを立ち上げた
・「all I want for xmas is psp(クリスマスにはPSP以外いらない)」という名前のそのサイトでは、
ファンの男になりすまして商品を絶賛し、PSPを持っていない友達といとこのために、親にPSPを買わせる方法を紹介していた
・その男は若者を装ってはいたものの、スラングやネット用語など言葉の使い方が明らかに不自然だった。
それに加え 、親に読んでもらえるように作ったという印刷可のコンテンツは、一般人が作ったと思えないような、サイトに見合わない出来だった
・このサイトを怪しく思ったユーザーが、ドメイン情報検索サービスのwhoisを使って調査したところ、Zipatoni社がサイトの登録者や連絡先として上がってきたことで、ステマが発覚

その後の対応

・インターネット掲示板のSomethingAwfulにステマが報告されたため、他のメディアでも一斉に報道が起き、架空サイトにコメントが殺到し、炎上した

結果

・この事態に対して、米ソニーコンピューターエンターテイメントは、上記サイト上に謝罪文を掲載
・謝罪文の中で、これからは製品作りに専念し、同サイトはPSPについての事実のみを伝えるために使用する、と述べた

【デビッド・マニング事件】
映画評をねつ造し、損害賠償の請求へと発展

発覚経緯

・米ソニー・ピクチャーズエンタテインメントは、2001年に自社映画作品の宣伝として、
コネティカット州の週刊誌リッジフィールド・プレス上に、評論家からの映画の推薦コメントを掲載
・デビッド・マニングというこの映画評論家は、「ロック・ユー!」主演ヒース・レジャーを「今年最もホット」な俳優だとコメントし、「インビジブル」が「最高の恐怖体験」であるなど、同社の映画を褒めちぎるレビューを執筆した
・しかし実際は、このデビッド・マニングという評論家は存在せず、上記のコメントは米ソニー・ピクチャーズのねつ造であったことが、ニューズウィーク誌のジョン・ホーン記者によって告発された

その後の対応

・この事実の発覚に対して、米ソニー・ピクチャーズは経営陣のうち2名を一時停職とし、これ以降の宣伝活動においては監視体制の強化を行うことを述べた

結果

・しかし、その後、映画評のねつ造によって被害を受けたと主張する映画ファンらから、損害賠償を求める訴訟が起きた
・この裁判は和解に至ったが、ソニーは訴訟を申し立てた観客1人につき5ドルで、合計150万ドル(約1億6000万円)の賠償金を支払うこととなってしまった

参考:映画.com|ソニー、映画評ねつ造で150万ドルの賠償金
   THE MUSEUM OF HOAXES |Dave Manning,2001

【Dr. Pepper/7up】
有名ブロガーたちへの宣伝依頼が発覚、不買運動へと発展

発覚経緯

・ティーンと20代前半をターゲットとしたミルク飲料「Raging Cow」の発売キャンペーンの一環で、Dr. Pepper/7upはブログを活用することにした
・影響力のある10代のブロガー6人に対し、商品やプロモーショングッズなどを手渡して、各自のブログで商品についての記事を投稿するように依頼。 その際に、ブロガーたちにはRaging Cowとの関係を隠すよう指示をした
・それぞれがブログに投稿した内容が不自然だったため、ブログの商業利用を嫌うユーザーから指摘が入るようになり、Raging Cowのブログ上においてもDr. Pepper/7upのやり方に対して批判のコメントやトラックバックが殺到した

その後の対応

・Raging Cowのマーケティング担当者は、Raging Cowのブログ上の批判をすべて削除。最終的にはコメント・トラックバックができないように変更を行った

結果

・上記の対応が火種となって、今度はRaging Cowブログ自体がいかにひどいサイトであるかが話題となり、当初は不明だったサイト著作者もDr. Pepper/7upであることが判明した
・オンラインマガジンのSlateが、ブロガーの内1人にインタビューを依頼したところ、Dr. Pep-per/7upのPRから電話があり、3者でインタビューを行うことになった。その際に、ブロガーはPR担当者のような態度だったことが広まって批判された
・また、あるSEOマーケティング関係者が、自身のブログでRaging Cowの不買運動を開始し、その進展の様子をブログ上で追いかけた。最終的に、このブログは「Raging Cow」を検索すると2位になるまでに検索結果ランキングで上昇
・このような経緯があり、Raging CowブログもRaging Cow単独のサイトも削除されてしまったが、キャンペーン批判の意見は多くウェブ上に残り、Dr. Pepper/7upは、ブログキャンペーンで失敗したブランドとして広く知られてしまった

【マイクロソフト】
ゲームのプロモーションでステマが発覚

発覚経緯

・米マイクロソフトの「Xbox One」は、米ソニーの「プレイステーション4」と、ゲーム機市場におけるシェア争いを行っていた
・そこでマイクロソフトは、販売促進のために、Xbox Oneを使用している30秒以上の動画を投稿すれば、視聴回数1000回につき3ドル(約300円)を支払うというキャンペーンを実施
・このキャンペーンが、ある動画サイトのユーザーに対してメールとTwitterで周知されたことで、ステマが発覚した

その後の対応

・米国の連邦取引委員会のガイドラインでは、商品の宣伝を行う場合、広告主との関係性を明示するという規定がある。また、英国広告基準局には、報酬を受け取って商品を宣伝しているブロガーは、その事実を読者に明らかにしなければならないというルールがある
・Xbox Oneで遊んでいる動画を投稿して報酬を貰うこと自体は、広告手法として問題はないが、今回のキャンペーンは、米マイクロソフトではなく第三者が広告として投稿を行っていることを隠していると認識できるようなものだった
・これに対し、ニュースサイトのArs Technicaは、今回作成された動画はキャンペーン終了後も公開され続けるため、動画の投稿者に対して追加報酬なしでプロモーションを行うことになるため公平ではない、という見方を示した

結果

・上記動画サイトが送信したメール文には、米マイクロソフトが動画キャンペーン費用として3750ドル(約39万円)を支払うという記述があったが、マイクロソフトがそれ以外の報酬を支払ったかどうかは不明確なままとなっている

参考:Gigazine|マイクロソフトが「Xbox One」のプロモーションでステルスマーケティングを行っていることが判明
    the guardian|Microsoft Xbox One prompts outrage after YouTube stealth-marketing stunt

【サムスン】
アカデミー賞授賞式の撮影で、意図的にサムスン製品を使わせたステマが発覚

発覚経緯

・2014年のアカデミー賞では、電子機器メーカーのサムスンが授賞式の中継スポンサーになっていた
・そのアカデミー賞で司会をしたエレン・デジェネレスは、ブラッド・ピット、アンジェリーナ・ジョリー、メリル・ストリープ、ブラッドリー・クーパーなどの人気ハリウッドスターたちとの自撮り写真を、サムスンのスマートフォンを使って撮影し、Twitterに投稿した
・その自撮り写真は、投稿から1時間で100万リツイート、2日後の時点で320万リツイートを超え、世界最高のリツイート数を記録
・その司会者は、授賞式の放送中にもサムスンのスマートフォンを使用し、ツイートされた自撮り写真もサムスンで撮っていたが、自身はiPhoneユーザーであり、授賞式での他の写真はiPhoneで撮影・送信されていたことが発覚し、指摘を受けた

その後の対応

・サムスンはその投稿写真について、撮影に自社のスマホが使用され、リツイートされて多くの人の話題になったことは喜ばしいことである、という見方を述べた

結果

・この反響に喜んだサムスンは、自撮り写真のリツイート1回を1ドルとして合計300万ドルを、デジェネレスさん希望の2つのチャリティに寄付した。

参考:THE HUFFINGTON POST |アカデミー賞 320万回RTの「自撮り写真」はサムスンのPRだった。しかし…

【ウォルト・ディズニー・ジャパン】PR表記無しのマーケティング施策を行い、謝罪文を発表

発覚経緯
・ウォルト・ディズニー・ジャパンは、映画「アナと雪の女王2」の公開後、7人の漫画家がTwitter上で映画の感想漫画を投稿するよう依頼。
・それぞれの漫画家の感想漫画が、同じタイミングでTwitterへ投稿された。しかし、Twitterの投稿にPR表記はついていなかった。

その後の対応

・同じタイミングで、且つ同じタグでTwitter投稿されたため、「ステマではないか」という指摘が相次いだ。
・投稿にPR表記が無かったが、報酬が支払われた上でのマーケティング施策だったことが判明した。

結果

・この事態に対して、ウォルト・ディズニー・ジャパンが謝罪文を発表した。

参考:なぜ「アナ雪2のステマ騒動」は起きたのか | 災害・事件・裁判 | 東洋経済オンライン | 社会をよくする経済ニュース


ステルスマーケティングの種類3つ

ステルスマーケティングは、消費者に直接的な広告であることを認識させないように様々な形態を取ります。ここでは、その代表的な3つの種類について解説します。

なりすまし型

なりすまし型のステルスマーケティングは、企業が消費者や普通の人々に扮して、製品やサービスについてのポジティブなコメントやレビューをインターネット上に投稿する手法です。

この方法は、特にオンラインフォーラムやソーシャルメディアで用いられ、消費者がその情報を信頼性の高いものと誤認することが狙いです。

第三者への指示

第三者への指示とは、企業がインフルエンサーや専門家を雇い、彼らに製品やサービスを推奨させる方法です。

この場合、第三者は広告であることを明示せず、独立した意見として消費者に情報を提供することが一般的です。

消費者は、これらの推奨が独立した意見であると誤解しやすく、その影響力は非常に大きいです。

利益提供型

利益提供型のステルスマーケティングでは、企業が消費者やインフルエンサーに対して金銭やポイント、クーポンなどの利益を提供することで、製品やサービスの肯定的な言及をさせます。

この種類のステマは、受け取った利益の対価としてポジティブなレビューが書かれるため、消費者にとってその情報の信憑性を判断するのが困難になります。

これらのステルスマーケティングの手法は、消費者が情報の出所と真実性を正確に評価することを難しくし、市場における情報の透明性を低下させる要因となっています。


ステルスマーケティングとみなされないための3つの条件

ステルスマーケティングとみなされず、法的な問題を避けるためには、以下3つの条件を満たし、表示が客観的に第三者の自主的な意思によるものと認められる必要があります。

1.第三者への表示に関する指示ややり取りがない

第三者が製品やサービスについて言及する際、事業者からの直接的な指示や具体的なやり取りがない状態であることが重要です。

この条件は、第三者が独立して意見を形成し、その意見が外部の影響を受けていないことを示すために必要です。

2.対価の提供がない

第三者がその表示に対して何らかの形で対価を受け取っていないことも、ステルスマーケティングとみなされないための条件です。

対価の提供がある場合、その表示は広告や推奨と見なされ、消費者に誤解を与える可能性があるためです。

3.表示内容の決定に関与できない関係性

表示する内容について事業者が決定権を持たず、第三者が内容を自由に選択し発信できる状況も必要です。

事業者が内容をコントロールしている場合、その表示は自主的なものではなく、計画的なマーケティング活動と見なされる可能性が高くなります。


ステルスマーケティングが行われる3つの理由

ステルスマーケティング(ステマ)が行われる主な理由は、以下の3点に集約されます。

効果的な影響力を目的に行われる

ステマは消費者に直接的な広告と認識されにくいため、消費者の意見や行動に対してより自然かつ効果的に影響を与えることができます。これは特に、伝統的な広告に対して抵抗がある若年層に対して有効です。

差別化や注目を集める手段として行われる

市場が飽和状態になると、企業は新しい顧客を獲得しようと様々な手法を試みます。ステマは他社との差別化や注目を集める手段として使われることがあります。

広告ブラインドの回避するために行われる

現代の消費者は広告に慣れ親しんでおり、意識的にそれを無視する傾向があります。ステマはこの「広告ブラインド」を回避し、消費者の意識下に入り込む方法として利用されます。


ステルスマーケティングのリスク5つ

次に、ステマを行うことによる代表的なリスクを5つご紹介します。

1.消費者からの信頼を失う可能性がある

ステマが発覚した場合、消費者はその企業やブランドを信頼できなくなる可能性があります。これはリピート顧客の減少や潜在的な顧客の喪失に繋がることがあります。

2.法的訴訟を受けるリスクがある

ステマは消費者を欺く行為とみなされることがあり、企業は消費者や競争相手からの訴訟に直面する可能性があります。これにより、法的費用が増大し、企業の資源が消耗されることになります。

3.規制による罰金や制裁を受ける可能性がある

ステマが法律違反とみなされた場合、企業は政府や規制当局から罰金やその他の制裁を受けることがあります。これは企業の財務状況に直接的な打撃を与える可能性があります。

4.企業文化や士気にも悪影響を与える可能性がある

ステマのような倫理的に疑問視される行為を繰り返す企業は、内部の企業文化にも悪影響を及ぼすことがあります。従業員の士気が低下し、高い人材流出率を招くことがあるため、組織全体の生産性が低下することもあります。

5.市場での信用が失われる可能性がある

市場全体における企業の信用を損ねることで、投資家やパートナーからの支持を失うリスクもあります。長期的には資金調達能力や市場での競争力が低下することが考えられます。


ステルスマーケティングを避けるためにすべきこと

ステルスマーケティング(ステマ)は多くのリスクを伴います。企業がこれを避け、信頼性と透明性を保つためには以下5つ対策を講じることが重要です。

1.明確な広告表示を行う

すべての広告活動で、広告であることを明確に表示し、消費者が広告内容を理解しやすくすることが必須です。これには、広告、スポンサーされたコンテンツ、プロモーション記事に明確なラベルを付けることが含まれます。

2.倫理規定の策定と従業員への教育を行う

倫理規定を策定し、マーケティング担当者と従業員に対する定期的な教育を実施して、これらの基準が組織内で徹底されるようにします。

従業員は倫理的な疑問が生じた場合の対処方法を理解し、適切な行動を取れるようになります。

3.顧客との透明性を向上する

顧客とのコミュニケーションにおいて透明性を最優先にすることで、信頼を築きます。

具体的には、商品やサービスの正直なレビューと評価の共有、マーケティングキャンペーンの背後にある意図の説明等を行いましょう。

4.第三者との透明な関係を構築する

インフルエンサーや他のマーケティングパートナーとの契約において公正な情報開示が求められることを確実にし、彼らが提供する内容が公正かつ透明であることを保証します。

5.法規制の変更などの情報も教育する

現地の法規制を遵守し、常に最新の法律や規制の変更についても教育し、適応していくことが企業には求められます。

特に表示や表現に関する規制が厳しい業界では、業界団体や法律専門家との連携を通じて、適切なコンプライアンスプログラムを維持することも有効です。


それでも心配な場合は、消費者庁に事前相談しましょう

もしガイドラインや消費者庁のウェブサイトを見ても企画がステマに該当するか心配な場合には、消費者庁へ事前相談することもできます。

あくまでも相談前に、パンフレットや消費者庁Webサイトの内容を確認していることが前提となります。

実施中の企画の相談は受け付けていないのでご注意ください。

消費者庁表示対策課 指導係の連絡先
TEL.03-3507-8800(代)

参考:景品表示法に関する情報提供・相談の受付窓口 | 消費者庁
   一般消費者が事業者の表示であることが判別することが困難な表示(ステルスマーケティング告示)
   一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」(ステルスマーケティング告示)の運用基準


ステルスマーケティングに関するよくあるご質問

ステルスマーケティングに関するよくあるご質問をQ&A方式でまとめました。

Q. ステルスマーケティングは違法ですか?

A. 2023年10月1日から、ステルスマーケティングは景品表示法の「不当表示」に追加され、違法とされています。広告であることを明示しない行為は行政処分の対象となります。

Q. ステルスマーケティングが発覚した場合、企業はどうなりますか?

A. 発覚すると、企業は批判を受け、信頼を失うリスクがあります。場合によっては行政処分を受けることもあります。また、ネット上での炎上や不買運動に発展する可能性もあります。

Q. ステルスマーケティングを見つけた場合、どこに通報すればいいですか?

A. ステルスマーケティングを見つけた場合は、消費者庁の通報フォームを利用して情報提供が可能です。景品表示法に基づく違反行為として通報することができます。

参考:ステルスマーケティングに関する景品表示法違反被疑情報提供フォーム | 消費者庁


まとめ

この記事では、「ステルスマーケティング(ステマ)」の定義、リスク、法規制、回避方法などを説明しています。

ステマは、広告であることを隠して製品やサービスを宣伝する手法で、消費者に信頼性が高いと感じさせることを目的とします。しかし、これは倫理的・法的な問題を引き起こす可能性があります。2023年10月1日から、ステマは景品表示法の規制対象となり、透明性のある広告表示が求められるようになりました。

ウォルマートの偽ブログやソニーの架空の映画評論家など、いくつかの有名なステマ事例が紹介されており、企業がステマを行うリスクを具体的に示しています。ステマのリスクには、以下のようなものがあります:

  • 消費者からの信頼喪失
  • 法的訴訟
  • 規制による罰金
  • 企業文化や士気への悪影響
  • 市場での信用喪失

企業はステマを避けるために、以下の対策を徹底する必要があります。

  • 明確な広告表示を行う
  • 倫理規定を策定し従業員に教育する
  • 透明な顧客コミュニケーションを行う
  • インフルエンサーや第三者と透明な関係を構築する
  • 最新の法規制に従う

さらに、必要に応じて消費者庁への事前相談も推奨されています。

このように、ステマを避けるための具体的な対策を講じることで、企業は消費者との信頼関係を築き、長期的なブランド価値を維持することができます。