
CriteoのポストCookie時代の対策「アドレサビリティ戦略」の施策内容と設定方法を解説
「アドレサビリティ戦略」とはCriteoが「ポストCookie時代」の対策として掲げる戦略です。この戦略ではCookieを使用せずに、ユーザーに関連性の高い広告を配信することを重視しています。
2024年7月にGoogle社はChromeの3rd party Cookie廃止の見送りを発表しましたが、Cookieを規制する動きは今後も加速することが予想されます。
Cookieが利用できなくなることで、ターゲティング精度の低下や、コンバージョン数の減少といった影響が避けられません。そのため、Web広告ではCookieレスの対策が必須となります。
この記事では、Criteoの「アドレサビリティ戦略」について、施策内容と設定方法について解説していきます。本記事を通じて、Criteo社が「ポストCookie時代」をどのようにして乗り越えようとしているかを理解することができます。
執筆者
赤塚 怜央(あかつか れお)
ソウルドアウト株式会社 アカウントコンサルティング本部テックスタジオGr
2018年よりソウルドアウト株式会社に入社。アドテクノロジーの専門チームに所属し広告タグ全般の業務に携わりながら、データフィード広告の環境構築・運用改善も担当。
目次
※本記事はソウルドアウト株式会社提供によるスポンサード・コンテンツです。
CriteoのCookie対策「アドレサビリティ戦略」とは
Criteoは「ポスト3rd party Cookie時代」の対策として、多面的なアプローチを行っています。それが「アドレサビリティ戦略」です。この戦略では3rd party Cookie無しにファーストパーティ・データやプライバシーに配慮した技術を活用して、精度の高い広告配信を実現します。
つまり3rd party Cookieがなくなった場合でも、配信できるだけでなくCriteoの成果改善に繋がる可能性が高いです。そのため、Criteoを実施しているアカウントは、アドレサビリティ戦略を積極的に利用することをおすすめします。
「アドレサビリティ戦略」の各施策と配信事例
「アドレサビリティ戦略」には以下の3つの主要施策があります。
引用:Criteo社提供素材より抜粋
「アドレサビリティ戦略」の核になる上記3つの施策は、主にCookieレスの環境下でも成果を落とさずに配信する施策となっています。ここからはそれぞれの取り組みについて解説していきます。
ファーストパーティ・データの活用
3rd party Cookieの規制が厳しくなればなるほど、ファーストパーティ・データ(主に企業が自社で収集したデータ)の活用が鍵を握ります。Criteoでは、ハッシュ化(元のデータを不可逆的に暗号化)されたメールアドレスや3rd party IDを活用し、プライバシーに配慮した精度の高い広告配信を維持できます。
ここからはファーストパーティ・データの施策から「HASHED EMAIL」「IM-UID」について紹介します。
2つの施策を導入することで、より広い範囲のデータ収集をカバーすることができますが、どちらか一つを優先するとしたら「HASHED EMAIL」を推奨いたします。理由は「HASHED EMAIL」は、お客様のメールアドレスを使いデータ補完するため、精度が高いからです。
「HASHED EMAIL」の活用
「HASHED EMAIL」はユーザーのメールアドレスをサイト上から取得し、Cookieの代わりに識別子として使用する手法です。一般的にメールアドレスは、デバイスをまたいでログイン情報として利用されるため、 Cookieに比べて長期的にユーザーを識別することができます。
引用:Criteo社提供素材より抜粋
■このようなアカウントにオススメ
・3rd party Cookieが制限されているブラウザ(Safari、Edgeなど)の計測を補完して獲得数を増やしたい。
・複数のデバイスを経由してコンバージョンに至る傾向があり、クロスデバイスの計測を補完して獲得数を増やしたい。
■配信事例
・ビジネスモデル:不動産
・CV地点:資料請求
・検証内容:HASHED EMAIL導入前後の「獲得数」「クロスデバイス獲得数」の比較
・検証期間:1週間
HASHED EMAIL導入直後に「獲得数」が増加した事例になります。特に「クロスデバイス獲得数」が導入後大幅に増加したため、Cookieだけでは追跡できなかったユーザーも、補完できるようになったことが考えられます。
インティメート・マージャー社の共通IDソリューション「IM-UID」活用
インティメート・マージャー社が提供する共通IDソリューション「IM-UID」をCookieの代わりに利用する手法。
「IM-UID」は推計モデルでユーザーの識別を行う3rd party IDで、ユーザーからの情報登録を必要とせず、ユーザーが利用している端末やブラウザ、IPなどをもとにクロスデバイス/ドメインの環境で識別、IDを発行し、広告プラットフォームと連携することでターゲティングを可能にします。
あくまで類推なので、Cookieと比べると精度が落ちることが予測されますが、2025年時点では91%の精度でユーザーを識別します。そのため、3rd party Cookieが利用できないブラウザでの配信を実現するための新たな活路となるでしょう。
参考:Criteo、インティメート・マージャーの共通IDソリューション「IM-UID」との連携を開始 | JP
■このようなアカウントにオススメ
・iOS/MacOSを中心に3rd party Cookieの規制でリーチできていなかった新規ユーザーに配信したい。
■配信事例
・ビジネスモデル:アパレルのECサイト
・CV地点:商品購入
・検証内容:IM-UID反映前後のIOS(iPhoneシリーズのOS)の「表示回数」「オーディエンス」の比較
・検証期間:2か月
IM-UID導入後、配信ボリューム・オーディエンスが増加した事例になります。
比較対象月のIOSの配信金額は同程度であるため、「表示回数」「オーディエンス」が純粋に増えていることがわかります。
■注意点
前提として「IM-UID」はインティメート・マージャー社と広告主がアカウント開設していなければ利用できません。
Facebook・Instagram面への配信
CriteoはMeta社と連携しており、Facebook・Instagramへの広告配信が可能です。
■こんなアカウントにオススメ
・Facebook、Instagramに配信をして新しいユーザーにリーチしたい。
・Criteoの優秀なレコメンドエンジンとFacebook、Instagram面の配信を掛け合わせ、精度 の高い配信をしたい。
■ 配信事例
・ビジネスモデル:EC
・CV地点:商品購入
・検証内容:通常のCriteo配信面とFacebook・Instagram面の「獲得率」を比較
・検証期間:1か月
取り扱いアイテムが異なる3業種のECサイトにて、Criteoの通常面とFacebook・Instagram面の「獲得率」を比較した事例になります。Facebook・Instagram面が通常面にくらべ、総じて獲得率が高い傾向にありました。
ちなみにMeta面は入札調整ができないため、成果が良くても運用者が意図的に配信を強化することはできません。そのため、Criteoの機械学習に任せる形となります。
Googleプライバシーサンドボックスの活用
Googleの「プライバシーサンドボックス」は、ユーザーのプライバシーを保護しながら、広告のパフォーマンスを維持する技術です。「プライバシーサンドボックス」を利用することで、個人を特定せずにユーザーの興味や関心を把握し、関連性の高い広告配信することを可能にします。
Criteo社は「プライバシーサンドボックス」を利用して、3rd party Cookieを使用せずにターゲティングや効果測定を行う方法を模索しています。2025年2月時点ではまだプライバシーサンドボックス」そのものの実用性が伴っていない状況ですが、Criteo社がCookieレス対策として力を入れている施策のため、今後の動向に注目しましょう。
参考:Criteoヘルプ|Google プライバシー・サンドボックスのテストについて
「HASHED EMAIL」の導入方法
「HASHED EMAIL」の実装方法を紹介します。実装にあたりJavaScriptの知識が必要になりますので、社内のエンジニアまたは代理店のテクノロジー部門の担当に相談しましょう。
サイトのHTMLからメールアドレスを取得
メールアドレスはサンクスページやフォームページに記載されているサイトが多いので、まずはそれらのページに情報があるか確認してみましょう。
引用:Criteo社提供素材より抜粋
取得したメールアドレスをハッシュ化
何も加工していない個人情報はCriteoでは利用を禁止しています。そのため、取得したメールアドレスは必ずハッシュ化(元のデータを直接見ても分からない形に変換)する必要があります。
引用:Criteo社提供素材より抜粋
参考:HASHED EMAIL計測用タグ実装例 – Criteo Guide
「IM-UID」の導入方法
「IM-UID」を利用するにはインティメート・マージャー社のアカウントを開設する必要があります。そのため導入したい場合、まずはインティメート・マージャー社に問い合わせて詳細を聞いてみましょう。
Facebook・Instagram面への配信導入方法
Facebook・Instagramへ広告を配信するための設定手順を解説します。
事前に必要な条件や情報を確認し、Criteoの管理画面からアカウント連携、アクセス権承認、クリエイティブ作成の流れを順番に進めることで、スムーズに配信を開始できます。
利用条件の確認
配信準備に入る前にまずは下記利用条件を満たしているか確認しましょう。
- Facebookページを所持している
- Criteoでフィードを利用したダイナミック広告(商品数5点以上)を実施している
- Criteoのリターゲティングタグをサイト上に実装している
必要情報
配信にあたり、「FacebookページID」と「広告に表示させたいテキスト」が必要となります。
1.FacebookページID
IDの確認方法については以下をご参照ください。
参考:FacebookページIDを確認する | Metaビジネスヘルプセンター
2.広告に表示させたいテキスト
半角英数字99文字以内、全角40文字以内
実装手順
引用:Criteo社提供素材より抜粋
1. アカウント連携
- Criteoの管理画面を開く
- 設定 > アカウント > 接続 > アプリを連携させるの順番で遷移
- 「Meta」のロゴマークを選択し、対象のデータセットを確認して次へを選択
- FacebookページIDを入力して次へを選択
2. アクセス権承認
アクセス権承認のフローに入る前に、以下の重要事項をご確認ください。
- Meta Business ManagerでFacebookページのアクセスリクエストを表示するには、ログインユーザーが管理者権限を持っている必要があります。
- アクセス権承認の方法は「Meta Business Manager経由」と「Facebookページ経由」の2つあります。
Meta Business Manager経由のアクセス権承認方法
- Meta Business Managerを開く
- 左側のメニューバーから「ビジネス設定」を選択
- 「リクエスト」 を選択 >「 受信済みタブ」を選択 > リクエストを承認
Facebookページ経由のアクセス権承認方法
- Facebookページを開く
- 左側のメニューバーから「ページ設定」を選択
- 「ページの役割」を選択 > パートナーリクエストまたは所有権リクエスト下にある「リクエストに応答する」を選択
- 「マイページへのアクセス権を与える」を選択
アクセス権が承認されたかは以下のステップで確認できます。
- Criteoの管理画面を開く
- 設定 > アカウント > 接続の画面で、Metaスイートのステータスが連携済みとなっていたら完了
3. クリエイティブ作成
- Criteoの管理画面を開く
- キャンペーン > 対象の広告セットのソーシャルメディアが「適格」のステータスになっていることを確認
- 画面右端の「︙」をクリック >「ソーシャルメディアに拡張する」を選択
- 「既存のクリエイティブを使う」を選択
- 対象のクリエイティブを選択
- クリエイティブ編集の画面に遷移するので「見出し」「CTAボタン」「レイアウト」などの詳細を設定し配信開始
- 配信開始後、ソーシャル広告の配信ステータスがライブとなっていることを確認
まとめ
本記事では、Criteoが「ポスト3rd party Cookie時代」に掲げている対策「アドレサビリティ戦略」について解説しました。
これからの時代、WEB広告においてCookieレスの対策は必須です。そのなかで「アドレサビリティ戦略」は、広告主がユーザーとの接点を維持し、パフォーマンスを最大化するための重要な施策となります。
Criteoを実施している場合は、本記事を参考に「アドレサビリティ戦略」を活用していきましょう。まだ実施をしていない場合は、これを機にCriteoの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
※本記事はソウルドアウト株式会社提供によるスポンサード・コンテンツです。
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