ビジネスでは、日常的なやり取りにメールを使いますが、「メールの書き方に自信がない」という方も案外多いのではないでしょうか。ビジネスメールでは、ただ連絡を取り合うだけではなく、相手に失礼のないようにマナーを守ることが重要です。
マナーを意識せずにメールのやり取りをしてしまうと、気づかない間に相手に不快感を与えてしまうかもしれません。
本記事ではビジネスメールの基本の文型と最低限意識すべきマナーについて解説しています。シチュエーション別の文例や送付前のチェックリストもご用意していますのでぜひご活用ください。
件名・宛名・署名の書き方から、間違いやすい表現まで幅広く解説しますので、これさえ身に着ければ、ビジネスメールで円滑なやり取りができるでしょう。
目次
ビジネスメールの基本構成
最初にビジネスメールの基本構成をご紹介します。
〇〇株式会社
マーケティング部
部長 △△様
お世話になります。
△△株式会社の✕✕でございます。
突然のメールをお許し下さい。
この度、私たち△△株式会社では新製品の発表会を開催いたします。
〇〇様におかれましては、ぜひともご参加いただけますと幸いでございます。
日時: 2023年4月15日(金) 14:00~16:00
場所: ■■ビル 13階 大会議室
内容: 新製品「XYZ」の発表及びデモンストレーション
その他: 終了後、懇親会を予定しております(17:00~19:00)
ご多忙のところ恐れ入りますが、ご参加いただけます場合は、4月10日(日)までにご返信をお願いいたします。
また、ご不明点がございましたら、何時でもお問い合わせください。
ご参加を心よりお待ちしております。
✕✕
—
DEF株式会社
営業部 ✕✕
TEL:03-xxxx-xxxx
Mail:ooo@xxx.co.jp
〒100-xxxx 東京都中央区xx x-x-x △△ビル
1. 件名はひと目でメールの内容がわかるように書く
件名は、ひと目でメールの内容がわかるようにしましょう。例えば、かっこ【 】などで会社名、案件名を強調させると分かりやすいです。
なぜかというと、メールを開く前に件名でメール概要を把握してもらった方が、メール本文を読む際に内容を理解してもらいやすくなるからです。
また、相手が数多くのメールを扱っている場合、送信したメールが埋もれてしまいかねませんので、「先日はお世話になりました。」など内容が伝わらない件名は避けましょう。
- 2/15 打ち合わせについて
- 【XXX社】お見積書の送付
- 資料送付の依頼
2. 本文の最初に必ず宛名を入れる
本文の最初には、必ず宛名を入れましょう。宛名は送信先によって書き方が異なります。
個人宛のメールの場合
「会社名、部署名、役職、氏名」の順に記載します。会社名と部署名の後は、それぞれ改行するのが一般的です。氏名が不明な場合は「ご担当者様」と書いておきましょう。会社名の前株、後株や送信先の役職などを間違えないよう十分気を付けましょう。
また、「部長様」など役職に敬称を付けるのは誤りです。敬称は氏名の後ろにのみ付けます。
組織や団体に送信する場合
特定の個人ではなく、組織や団体に送信する場合、つまり組織の人間であれば誰がメールを開いてもよい場合、「御中」を用います。「御中」に敬意が含まれているため「XXX様 御中」は間違った使い方となります。
また、大勢の人にまとめて送信する場合は、「各位」を用います。例として、「関係者各位」「〇〇部各位」などです。
そして、CCを設定している場合は、TOの宛名の下に(CC:鈴木様)と入れましょう。また、BCCで一斉送信する場合には、「BCCで一斉送信しております。」などひと言添えるとよいでしょう。(TO、CC、BCCについて、詳しくは後述しています。)
- XXX株式会社
- 営業本部
- 部長 XXX様
3. 宛名の次に挨拶・名乗りを入れる
宛名の次は、挨拶と自らの所属、氏名を記載するのが礼儀です。挨拶は送信先との関係によって適宜変えましょう。
その次に、所属と氏名を名乗ります。例えば、「YYY株式会社の鈴木でございます。」などです。
- お世話になっております。
- ご連絡ありがとうございます。
- ご無沙汰しております。
4. 必ず結びの言葉を入れる
伝えたい内容を書き終えたら、結びの言葉で締めましょう。
- よろしくお願いいたします。
- 今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。
- 何卒よろしくお願い申し上げます。
5. 本文を書き終えた後には署名を入れる
本文を書き終えたら、必ず署名を入れましょう。署名には以下の情報を記載します。
- 会社名、部署名
- 氏名(英語名)
- 郵便番号、住所
- 電話番号、FAX番号
- メールアドレス
- ホームページURL
本文と見分けやすくするため、上下に「—」や「***」などの記号を置き、署名の部分を挟むことが多いです。
業種によっては、営業時間や定休日を入れるとよいでしょう。「いつもご支援を賜り、心より感謝申し上げます。」など、挨拶を入れる場合もあります。
ビジネスメールの基本マナー6選
ビジネスメールのコミュニケーションにおいては、相手に対して失礼な印象を与えたり、非常識だと思われないように、最低限守るべきマナーがあります。
ここでは、最低限注意すべき基本マナーを6つに絞ってご紹介します。
1. 受け取ったメールは、必ず1営業日以内に返信する
取引先からのメールには、必ず1営業日以内に返信しましょう。返信が遅れると、取引先に不安感・不快感を抱かせてしまう恐れがあります。
すぐに結論が出せないような内容だとしても、メールを受け取ったという旨だけでも取り急ぎ伝えるようにしましょう。その際は、いつ頃までに回答できそうか、という予定も併せて伝えると親切です。
お世話になっております。
○○について、承知いたしました。
社内で確認したうえで、●●日までにご回答いたします。
引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。
2. 依頼メールは、依頼理由と内容を明確に記載する
ビジネスシーンにおいて、取引先に何らかの依頼をする機会があると思います。仮に、依頼のメールを雑に送ってしまえば、先方に不快な印象を持たれてしまいます。
前提として誠意が伝わる文調にし、そのうえで依頼する理由と内容を明確に記載しましょう。誠意と依頼の理由・内容がはっきりと伝わることが重要です。
平素より大変お世話になっております。本日は○○についてご相談したくご連絡致しました。
○○ですが、●●という理由のため、△△という状況になっております。
つきましては、貴社に××をお願いすることは可能でしょうか。
お忙しい中お手数おかけしてしまい大変恐縮ですが、ご検討いただけますと幸いでございます。
3.打ち合わせ・訪問などの後は必ずお礼メールを送る
ビジネスにおいて取引先のお客様と会う機会は打ち合わせ・訪問・会食など色々とありますが、お客様と会う機会があったらその後に、必ずお礼メールを送りましょう。
単純にコミュニケーション量が増えて、お客様の中での存在感・好感度が増したり、今後の取引の進め方を確認できるなど実務的な効果もあります。
基本的には翌日までに送りましょう。まずお礼の意を伝えたうえで、会った際に話した内容を簡単にまとめ、さらに今後の動き方についても簡単に触れておくとよいです。
昨日はお忙しい中貴重なお時間を頂戴し、誠にありがとうございました。
○○○について詳しくお話を伺うことができ、大変参考になりました。
今後は●●●という方向で進めさせていただければと思います。
今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。
4. TO、CC、BCCの違いを理解して使い分ける
送信先の設定にはTO、CC、BCCの3種類があります。この設定を間違えると、個人情報保護の観点で問題になる恐れもあるため、しっかりと理解しておきましょう。
TOとCCはシステム上の差異は無く、「特に内容を伝えたい相手かどうか、返信が欲しい相手かどうか」という意味上の差異しかありません。対して、BCCは他の送信先に対してアドレスを隠すという重要な機能が付いています。
BCCに設定すべき相手をTO、CCに設定してしまうとの受信者にその人のメールアドレスが露出してしまい、プライバシーの侵害や情報漏洩のリスクが生じる可能性がありますので、十分注意して送信しましょう。
TO
メールの内容を伝えたい本人、返信を求める相手を設定します。TOに設定された相手はTOとCCの送信先アドレスを確認できますが、BCCの送信先アドレスは見ることができません。
CC
メールのやり取りを把握しておいて欲しい上司、関係者などを設定します。返信を求めるものではありません。CCに設定された相手はTO、CCのアドレスを確認できますが、BCCの送信先アドレスは見ることができません。
BCC
互いに面識の無い複数人に一斉送信する時に用います。顧客への一斉送信などに使用します。BCCに設定された相手は、TO、CCの送信先アドレスを確認できますが、他のBCCの送信先アドレスは見ることができません。
5.急用にメールを使わない
急用の連絡、特に早急に相手から返信を要する場合には、メールを使うのは適切とはいえません。相手に返信を急かしてしまうのはマナーに反するからです。急ぎの連絡には、電話など代替の方法を考えましょう。
6.添付ファイルのサイズに注意する
会社によっては、送受信可能なデータサイズが制限されている場合があります。目安としては2MB以内に抑えるのが良いでしょう。大きなデータファイルを添付して送信したい場合は、ファイルを圧縮するか、ファイル転送サービスを利用しましょう。
参考:メール添付容量は2MBまで!知るべきマナーと大容量データの送り方|NTT東日本
ビジネスメールで注意すべき4つの表現
ビジネスメールを送る際、間違えやすい表現についても確認しましょう。
1.役職や「御中」には「様」をつけない
役職に「様」を付けたり、「御中」に「様」を付けるなど、宛名の敬称を誤るケースがあります。様は役職ではなく氏名に、御中には様を付けないので、気をつけましょう。
2.「御社」ではなく「貴社」
「御社」は口言葉での敬称、「貴社」が書き言葉での敬称です。ビジネスメールでは基本的に「貴社」を用います。
3.「ご苦労様です」「了解しました」を使わない
「ご苦労様です」は、目上の者が目下の者に対して、その働きをねぎらう時に使う言葉です。目上の相手へのメールにで使用しないように注意しましょう。
また、「了解しました」は正しい尊敬語ではないと言われています。「承知しました」「かしこまりました」を用いましょう。
4.あまり関わりがない相手に「お世話になっております」を使わない
本文の最初の挨拶に最もよく使われるのは「お世話になっております」ですが、ほとんど関わりがない相手や初めてメールを送る相手に対して、このフレーズを使用するのは不自然です。
「お世話になります」などを使用しましょう。
【シチュエーション別】ビジネスメールの文例
ビジネスメールの文例をご紹介します。
初対面の方へのメール
営業部
部長 〇〇様
初めてご連絡いたします。
△△社の✕✕です。
貴社のウェブサイトを拝見し、△△株式会社が展開されている〇〇プロジェクトに大変興味を持たせていただきました。
私ども○○株式会社は、□□□事業を中心に、〇〇〇や△△△など、多岐にわたるプロジェクトを展開しております。
特に□□□分野においては、多くの実績を上げており、貴社との協業により、相乗効果を生むことができると確信しております。
是非とも、私どもの事業内容をご高覧いただき、今後のビジネスにおいて何かお手伝いできることがございましたら、お知らせいただけますと幸いでございます。
また、お忙しいところ大変恐縮ではございますが、近々お時間をいただき、弊社の詳しい事業内容をご説明させていただく機会を頂戴できればと考えております。
ご多忙の折、大変お手数をおかけいたしますが、何卒ご検討のほどよろしくお願い申し上げます。
〇〇〇
打ち合わせ後の御礼メール
- メール冒頭で感謝の意を伝える
- 打ち合わせで出た質問事項への回答やネクストアクションを記載する
〇〇様
お世話になっております。
△△社の✕✕です。
先ほどは貴重なお時間をいただき、誠にありがとうございました。
本日〇〇様からご質問いただいた内容につきましては、
社内確認の上、〇月〇日までに回答致します。
ご不明点やご要望などございましたらいつでもお申し付けくださいませ。
引き続き、よろしくお願いいたします。
✕✕
取引先・顧客への謝罪メール
- 明確な謝罪の表現
- 問題の原因とそれに対する対応策の説明
- 今後の再発防止策
〇〇様
お世話になっております。
△△社の✕✕です。
まず初めに、先日お届けした商品に不具合があり、大変ご迷惑をおかけしたこと、心よりお詫び申し上げます。
具体的には、商品□□において不具合が発生してしまいました。原因は、製造過程における■■であり、現在、弊社内で詳細な調査を行っております。
〇〇様には大変なご迷惑をおかけしましたことを深くお詫び申し上げますと共に、以下の対応をさせていただきます。
- 不具合のあった商品の回収と新しい商品との交換
- 交換にかかる費用は弊社が全額負担いたします
- 今後の再発防止策として、製造プロセスの見直しと改善を行います
再発防止のための具体的なアクションプランについて、確定次第、改めてご報告させていただきます。
〇〇様には多大なるご迷惑とご心配をおかけしましたこと、重ねてお詫び申し上げます。今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。
✕✕
催促・リマインドメール
- 件名に「リマインド」など直接的な表現は避ける
- 相手を気遣う一文を入れる
- 期日など、相手に求めるアクションを伝える
〇〇様
お世話になっております。
△△社の✕✕です。
〇日にお送りしたメールにて、「〇〇」につきましてのご返送をお願いしておりましたが、ご確認いただいておりますでしょうか?
念のため本メールにて「〇〇」を再送いたします。
お忙しいところ恐縮ですが、こちら〇月〇〇日までにご返送くださいますようお願い申し上げます。
なお、本メールと行き違いに対応済みでしたら何卒ご容赦くださいませ。
よろしくお願いいたします。
✕✕
ビジネスメール送付前のチェックリスト
チェック | 項目 |
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ビジネスメールに関するよくあるご質問
ビジネスメールを身に付けたい方に役立つQ&Aをまとめています。
Q. ビジネスメールの本文を作成する際に気をつけるべきことは何ですか?
A.敬語の使い方に注意し、相手に失礼のない表現を選ぶことが重要です。また、簡潔に要点をまとめ、読みやすい構成にすることが求められます。
Q. ビジネスメールの返信期限はどのくらいが適切ですか?
A.できるだけ早く返信するのが理想ですが、遅くとも24時間以内に返信するのが一般的です。遅れる場合は、その理由を簡潔に伝えることが望ましいです。ただし、深夜帯や早朝など、相手が稼働していない時間帯に送るのは基本的に避けたほうがいいでしょう。
Q. ビジネスメールの署名に含めるべき情報は何ですか?
A.氏名、会社名、役職、連絡先、住所などが一般的です。メールアドレスや電話番号も忘れずに記載することが大切です。
Q. ビジネスメールでのファイル添付時に注意することは何ですか?
A.ファイルの内容が正しいか、ウイルスチェックが済んでいるかを確認することが重要です。また、添付ファイルのサイズに注意し、大きすぎる場合はクラウドサービスの利用を検討することが推奨されます。
Q. ビジネスメールでの敬語の使い方に注意するポイントはありますか?
A.相手の立場や状況に応じた適切な敬語を使用することが重要です。また、二重敬語や過剰な丁寧表現は避けるべきです。
Q. ビジネスメールでの確認依頼の書き方にはどのような工夫が必要ですか?
A.具体的な確認事項や期限を明示し、相手が誤解しないように配慮することが重要です。箇条書きにするとさらに明確になります。
Q. ビジネスメールで誤字脱字を防ぐための対策はありますか?
A.送信前に必ず校正を行うことが推奨されます。また、ツールを活用して自動的に誤字脱字を検出する方法もあります。
Q. ビジネスメールでのCCとBCCの使い分け方は何ですか?
A.CCは複数の受信者に同じ内容を共有したいときに使用し、BCCは受信者同士のメールアドレスを非表示にしたいときに使用されます。
まとめ
ビジネスメールは単なる連絡ツールではなく、正しく書けていなければ相手からの評価が下がりかねない、重要な文章だといえます。
相手に失礼がないよう、マナーを守った正しい書き方を理解しておけば、必要に応じて即座にメールを送信・返信できるようになります。コミュニケーション量が増えて、取引先のお客様からの好感度が増したり、依頼した内容への確度が増すなどの効果があるでしょう。この記事でご紹介した内容を踏まえて、ビジネスメールで円滑なコミュニケーションを進めてください。