ユーザーからの問い合わせ対応などに、チャットボットを導入する企業が増えています。これから自社でチャットボットを導入し、問い合わせ対応を効率化したいと考えている担当者も多いのではないでしょうか?
この記事ではチャットボットの導入を検討している方に向けて、チャットボットのメリットと成功事例を紹介します。実際にチャットボットを導入する際の注意点を失敗事例とともにご説明しますので、自社での運用をお考えの方は参考になさってください。
チャットボットツールをお探しの方は以下の記事も参考にしてください。
参考:【2024年最新版】チャットボットツールおすすめ41選を比較!選び方も紹介
目次
チャットボット導入のメリット
ここではチャットボット導入のメリットを紹介します。
顧客との接点が増加する
チャットボットにより気軽に質問できるようになり、深夜帯でも問題なく対応できるので、顧客との接点が増加します。「資料請求」や「メール問い合わせ」のように個人情報を入力する必要がないのも大きな要因です。
顧客との接点が増えることで、自社の商品を知ってもらえる、顧客のニーズを知るチャンスが多くなるなどのメリットがあります。
顧客対応の効率化
チャットボットを利用することで顧客対応に人材を費やさずに済みますので、人件費の削減に期待できます。
例えば頻出する「よくある質問」をチャットボットが返答するだけでも業務の圧縮につながります。もちろん現段階ではすべての質問に対してチャットボットが対応できるわけではありませんが、従業員はチャットボットが判断できない質問にのみ対応すればいいので効率的です。
蓄積したデータを活用することで、確度の高い顧客やリードが獲得できる
チャットボットはユーザーとのコミュニケーションをデータとして記憶していきます。このデータベースを分析することで顧客ニーズの把握が容易です。従来よりも確実性の高いデータとなるので、より効果的な施策を打ち出すことが可能です。
チャットボット導入企業の成功事例
ここではチャットボット導入企業の成功事例を紹介します。
24時間対応を可能にした事例
SBI損害保険株式会社
SBI損害保険株式会社は、自動車保険を中心にがん保険、火災保険など広く扱っている保険会社です。自動車保険の相談や見積もり依頼にオペレーターが対応していたため、営業時間外である17時半以降の問い合わせには対応できない状態でした。
【目的】
自動車保険の問い合わせを24時間対応にする
【施策】
・トップページにチャットボット対応窓口を設置した
・平日の9時30分~17時30分は有人サポート、平日の17時30分以降や休祝日はチャットボットという分業体制にした
【結果】
・ユーザーが24時間いつでも問い合わせできるようになった
・オペレーターの負担が減った
富田林市
大阪府の富田林市では幅広い行政ニーズに対し人によるサポートを行っていましたが、平日に役所を利用できない市民の問い合わせには対応できませんでした。
【目的】
平日に問い合わせできない市民ニーズに応える。
【施策】
キーワードを入れるだけで目的の質問にたどりつける、完全自動応答タイプのチャットボットを導入した。
【結果】
市民の広範な行政ニーズに、24時間いつでも応えられるようになった。
人件費削減に成功した事例
アスクル株式会社
アスクル株式会社は、インターネット通販サイト「LOHACO」を運営している企業です。Q&Aを掲載していたものの、電話による問い合わせは減らず担当者の負担も増大していました。
【目的】
電話やメールでの問い合わせ対応を減らし、人件費を削減する。
【施策】
人工知能をベースにしたチャットボット「マナミ」を開発した。
【結果】
全問い合わせの3分の1をチャットボットが受け持ち、6.5人分の人件費が削減された。
島村楽器株式会社
島村楽器株式会社は、全国168箇所に音楽教室を展開している企業です。深夜の問い合わせに対し、翌日以降の回答となってしまい、顧客の不満につながるのではと懸念していました。
【目的】
・電話やメールの問い合わせ対応を減らし、人件費削減につなげる
・顧客の疑問点をすぐに解消することで顧客満足度を向上させる
【施策】
チャットボットを導入して、営業時間外の問い合わせにもスピーディに対応できるようにした。
【結果】
メールの問い合わせ件数が2割から3割減少し、人件費の削減につながった。
顧客接点の増加につながった事例
森永製菓株式会社
森永製菓株式会社は、お菓子にオリジナルの絵をプリントできる「おかしプリント」というサービスを提供しています。口コミやメディアの影響で、法人からの問い合わせが多くなり、顧客対応も難しくなっていました。
【目的】
増え続ける法人からの問い合わせにスムーズに対応したい。
【施策】
問い合わせに対し自動応答・返答を可能にし、ユーザー別の訪問数もわかるようにした。
【結果】
問い合わせ件数が4倍に増加し、新規顧客にもアプローチできるようになった。
株式会社シルバーライフ
株式会社シルバーライフは、国内最大手の配食サービスを提供している企業です。買い物や料理が困難になった高齢者に向けた「まごころ弁当/配食のふれ愛」サービスを提供したところ、新規問い合わせが月間3,000件になり、顧客対応が困難になりました。
【目的】
日々増加する問い合わせに対応して顧客満足度を上げたい。
【施策】
外部連携機能を利用して、郵便番号と住所の一部を入力すれば、利用できる店舗がわかるようにした。
【結果】
・新規顧客からの問い合わせが20%以上増えた
・サポート人員を増やさずに、問い合わせに対応できるようになり顧客満足度が上がった
チャットボットを自社で利用するためのポイント
ここではチャットボットを運用するためのポイントを紹介していきます。
データを利用しチャットボットの精度を上げる
チャットボットの精度を上げるには、運用データを蓄積し日々分析・改善していくことが大切です。答えられなかった質問があれば、適切な回答をデータベースに登録しなおし、ユーザーのニーズに応えられるようアップデートが必要です。
ユーザーの負担なくオペレーターに引き継ぐ体制を作る
質問内容によっては、購入履歴や登録情報などから顧客ごとに異なる回答を提供した方がよい場合があります。このようなケースでは、人によるサポートが必要不可欠です。ユーザーに負担がかからないような引き継ぎ体制を作る必要があります。
チャットボット導入の注意点
チャットボット導入の注意点についてみていきましょう。
導入する際に手間・時間がかかる
一般的なチャットボットは比較的簡単に導入できますが、精度の高いものを導入する場合は、開発に手間と時間がかかります。現在の技術では、全ての業務を自動化できないため、有人カスタマーサポートとの連携体制も必要です。実用性を重視するなら、ある程度の手間と期間は想定しておく必要があります。
メンテナンスの継続が必要
精度の高いチャットボットにするには、適切なシナリオやAI仕様の設定など、定期的なメンテナンスやチューニングが必要です。チャットボットが対応できなかった質問について、常に検討し改善していかなければなりません。
無機質に感じられる場合がある
チャットボットはデータベースに登録された質問にしか答えられないため、どうしても機械的な対応と感じられる場合もあります。特に電話での問い合わせに慣れていると考えられるユーザー層への返答内容は、より慎重に作成するようにしましょう。無機質と感じさせないためには、文言の工夫が必要です。
チャットボット導入企業の失敗事例
ここではチャットボット導入企業の失敗事例を紹介していきます。
Webメディア制作会社
Webメディア制作会社では、社内の各部署に対する問い合わせに対し、満足のいく回答が得られない状態が続いていました。そのような背景から、社内のあらゆる情報を一つにまとめ、誰でも簡単に答えにたどり着けるようなシステムの開発が必要になりました。
【目的】
社内部署から管理部門への質問に自動回答し、問い合わせ業務の工数を削減する。
【施策】
人工知能を利用したチャットボットを開発した。
【結果】
「何が必要か」より「何ができるか」を優先してしまったため、機能はあるもののユーザーが使いにくく、徐々に使われなくなってしまった。
通信会社
ある通信会社では社内データベース内の膨大なデータの中から、取引先企業の概要や営業ノウハウなど、必要な情報を取り出せるシステムの構築が必要とされていました。
【目的】
社内情報を検索できるようにして、営業活動や社内手続きを簡略化する。
【施策】
・営業や接客に使える対話型支援チャットボットを開発した
・2万2000以上の社内意見を集め、営業ノウハウや取引先企業情報などのビッグデータを体系的に結びつけた
【結果】
AIになにができるか、という観点で設計してしまい、実際に使用する営業担当の社員が何に困っており、なにを必要としているかを分析しなかった。そのため、数か月後にはほとんどの社員が使わなくなった。
チャットボットの事例に関するよくあるご質問
チャットボットの導入を検討中の方に役立つQ&Aをまとめています。
Q. チャットボットの導入で業務効率化はどの程度期待できますか?
A.チャットボットを導入することで、顧客対応にかかる工数を大幅に削減できる可能性が高いです。特に、24時間対応や定型的な質問への自動応答を行うことで、人的リソースの負担軽減が期待できます。
Q. LINE公式アカウントでのチャットボット運用のメリットは何ですか?
A.LINE公式アカウントでチャットボットを運用することで、ユーザーとのコミュニケーションを自動化し、顧客対応の迅速化や機会損失の防止が期待できます。特に若年層や学生層へのアプローチが効果的です。
Q. チャットボットはどのような業界で導入事例が多いですか?
A.チャットボットは、ECサイトやカスタマーサポート、医療、教育などの業界で広く導入されています。特に、顧客対応の効率化やコスト削減を目的とした事例が多いです。
Q. チャットボットはどのようにして顧客満足度を向上させますか?
A.チャットボットは、迅速で一貫性のある回答を提供することで、顧客の待ち時間を短縮し、満足度を向上させる可能性が高いです。特に24時間対応可能な点が評価されています。
Q. チャットボットはどのようなプラットフォームで利用できますか?
A.チャットボットは、Webサイト、LINE、ビジネスチャットなど様々なプラットフォームで利用できます。導入先のニーズに応じたプラットフォーム選びが重要です。
Q. AI搭載型チャットボットの強みは何ですか?
A.AI搭載型チャットボットは、ユーザーの意図を解釈し、多様な質問に対応できる点が強みです。学習機能により、運用を続けるほど精度が向上します。
Q. シナリオ型とAI搭載型の違いは何ですか?
A.シナリオ型は事前に設定したシナリオに基づいて応答するため、定型的な問い合わせに強い一方、AI搭載型はユーザーの意図を学習しながら幅広い質問に対応できる点が異なります。
まとめ
チャットボットは24時間いつでも問い合わせ可能で、新たな顧客層へアプローチできる自動会話プログラムです。質問に対し自動で応答してくれるため、人件費の削減にも効果的です。実際に、「オペレーターの負担が減った」「問い合わせ件数が増大した」という成功事例も多く報告されています。
ただし精度の高いチャットボットを導入するには、費用や時間がかかることも忘れてはいけません。導入後も、チューニングや定期的なメンテナンスが必要です。成功事例だけでなく失敗事例も参考にして、自社に合ったチャットボットを開発してください。
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