AIの画像解析でできること|農業からデスクワークまで楽になる仕事5選

画像をAIで解析するとなんだかいろいろ楽になりそう。・・・だけど、AIってなんだか難しそうで自分たちで導入できるかわからない、と思っていませんか?

しかしすでに農業や工業などの産業分野からデスクワークの領域まで、身近なところでAIによる画像解析技術の導入は進んでいます。皆さん自身が抱えている業務の課題解決は、AIに任せたほうがうまくいくケースも増えてきているのです。

本記事では、AIの画像解析が具体的にどのような使われ方をしているかの事例を5つ紹介します。AI導入のハードルが低くなってきていること、さらにその技術を業務に取り入れることのメリットをご説明していきます。

本記事を読めば、自分の身の回りの仕事のどこにAIの画像解析が導入できそうか、イメージを持つことができますので、ぜひ参考にしてみてください。


さまざまな産業で活躍するAI

AIによる画像解析は、農業や工業などの産業分野から各種サービス業やデスクワークの領域まで広く導入され始めています。

農業では、植物の生育状況をドローンで撮影し、その撮影画像をAIが解析してから水やり時期や農薬散布時期を判断するといった使われ方もあります。

さらに身近なところで、小売店などのサービス業では、店内カメラに映るお客様の顔をAIで解析し、性別・年代を判定してマーケティングに活かす取り組みも始まっています。

そもそも画像解析とは

画像解析とは、画像の中の特徴をコンピュータがとらえて、画像からなんらかの情報を導き出す処理のことです。昨今AIの技術が急激に進んだことにより、カメラやセンサーなど「機械の目」で見た物体や情景について、コンピュータが自動でそれが何であるかを識別できるようにまでなりました。

比較的古くからある身近な画像解析の例では、デジカメやスマートフォンでの顔識別があげられます。レンズを向けると、自動で顔に枠がついてそこにピントが合いますが、これも画像解析の一つです。目、鼻、口の位置や形など“特徴点”となる部分が抽出できるように設定しておけば、あとはコンピュータが背景と顔を区別し、「これは顔」と判断をしてくれます。

上記にあげた「これが顔である」との識別のように、画像に映る物体の特徴からそれが何であるかをコンピュータで識別できる技術を、画像解析と言います。さらにAIを組み合わせると、「これが顔である」という識別に加えて、「この顔は女性の40代である」などの分析も自動でできるようになります。


AI画像解析活用例5選

事例1:農業では、作物の病変発見や収穫タイミング見極めに活用

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上記では身近な一例を挙げましたが、画像の特徴をAIが判断する事例は様々な産業分野で使われています。例えば農業。特に大規模農業では、作物の病変を発見したり、収穫タイミングを見極めるために、AIによる画像解析の活用が進んでいます。

農業というと日照条件や降雨、あるいは突然の病気など自然の環境に左右されやすく、これまでは人間の熟練した経験や知識、勘が必要となってくる産業でした。

しかしこれからの農業は「データ」とそれを解析するAIが、人間の熟練した経験や知識や勘を補う、あるいはそれを上回っていく場面も多くなります。葉の病変の画像データを蓄積し、AIで画像解析する。そうすることで、これまで人間の眼で判断してきたものが、蓄積されたデータとAIによる判断に取って代わることができるようになります。

少子高齢化が急速度で進み、人手不足が叫ばれる現代では、人手不足を補う代替手段の確保は急務となっています。農業におけるAI利用は、日本の農業を支える大きな柱ともなりえるのです。

参考:AIで農業の人手不足解消へ トマトを自動で収穫するロボットが活躍

「ドローン×AI」一体型ソリューションも

農業では、ドローンの空撮画像をAIで画像解析する「ドローン×AI」の流れも出てきています。ドローンを広大な農地に飛ばして作物の生育状況を空撮。AIがその画像を解析して水やりや農薬散布のタイミングを見極め、そしてまたドローンを飛ばして農薬散布を行う。このようにドローンとAIを組み合わせてソリューションして一体化することで、大規模農家も人手をかけずに管理が楽になることが期待されているのです。

事例2:「ドローン×AI」で危険箇所の点検もラクに

また、ドローンとAIの組み合わせで、もう一つ問題解決に役立っている例をご紹介します。それは「危険な場所の設備点検」。例えば太陽光発電設備など、山奥にある設備の点検は人手の確保の問題に加え、危険度が高いという問題がつきものです。そこでドローンにカメラを積んで設備の写真を撮影し、それをAIが画像解析することで故障個所を検出するなどの取り組みが始まっています。

例えば、ドローンソリューションを提供している「センシンロボティクス」では、ドローンとAI画像解析を組み合わせた太陽光発電設備点検をサービス化しています。

参考:ドローンとAIを用いた太陽光発電施設の点検パッケージ

さて、ここまで農業や設備点検といった大型産業へのAI利用が進んでいることをご紹介してきましたが、ここからはさらに身近な例をご紹介していきます。

事例3:AIがアダルト画像と力士画像の違いも識別

AIの画像技術を生かした取り組みとして、アダルトサイトやバイオレンス画像のフィルタリングを自動で行うサービスなども始まっています。

これ教育機関などの有害サイトのフィルタリングといえば、手動でURLを設定するのが主流です。しかし次々と新しく生まれるURLは、追いかけきれないのが現場の実情です。それでは人手がいくらあっても足りません。

そこでAIによって、アダルトサイト内の画像が占める肌の露出度などで「エロ度」を判定します。条件に合致した画像は自動的に表示対象外となるので安心です。

参考:AIによる不適切画像フィルタリング

事例4:SNSの画像から特定のブランドだけを抽出

特定のブランドロゴを検出し、ブランドファンとの関係深化に生かしている事例もあります。飲料メーカーのキリンは、TwitterなどSNSの投稿画像から、特定の商品やロゴが写った写真を自動抽出し飲用シーンの分析に活かしています。

スマホで写真を撮って、パッとSNSにアップすることが当たり前になった昨今、「今日の仕事終わりに〇〇ブランドのビールを飲んだよ」と書き込む人はいません。「本日は仕事の打ち上げ!」という言葉とともにビールの写真を投稿する、そんな利用場面のほうがリアルに思い浮かぶでしょう。

消費者は、いつ、どんなときに「ワクワク」とした気持ちでビールを楽しんでいるのか。そんな飲用シーンにマーケティングのヒントがあるならば、飲料メーカーや小売店などは、SNSに書き込まれたテキストではなく写真画像を集めて分析をしたいでしょう。

マーケティングの材料として使えるほど大量の画像を解析するのは、人力では限界があります。マーケティングの世界でもAIによる画像解析は有効といえるでしょう。

参考:画像認識AIによるSNS投稿分析でキリン「一番搾り」の消費シーンをリサーチ

地域や国ごとのファッショントレンドもAIが分析

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画像を解析することで、新たなインサイトを導き出す取り組みはファッションの世界でも進んでいます。こちらでご紹介するのは日韓の画像比較により流行の違いをレポート化している例です。

参考事例5: 画像を比較することにより地域に特化したトレンドを発見 〜

ここまで、農業や設備点検、またアダルトサイトやバイオレンス画像のフィルタリング、SNSの画像を解析など、さまざまな分野にわたるAIの画像解析技術の活用事例をご紹介してきました。いかがでしたでしょうか。


AIを導入する2つの大きなメリット

五つの事例を見ると、AI導入のメリットとして2つの観点が挙げられます。

メリット1:「人」の問題が解決できる

少子高齢化が急速度で進み、人手不足が叫ばれる現代。人手不足を補う代替手段の確保は急務となっています。農業や太陽光設備点検など、人の手が足りなくなりそうな産業、また人のアクセスしづらい場所での業務をAIが代替するなど「人」に関する問題を解決する強力な手段となっています。

メリット2:「大量のデータ」を「速く」解析できる

人が大量のデータを瞬時に解析するのは実質不可能ですが、大量の作業をもくもくと行うことはコンピュータの得意分野です。また画像の解析であれば撮影画像や動画をAIの解析エンジンにかけるだけで済みます。

人よりも大量に、人よりも速く、画像を解析することで一定の結論を導き出せることは大きなメリットにつながります。SNSに投稿されている写真などから、新しい見解を導き出すことができるようになると、売上につながるような新しい発見があるかもしれません。


実際にAI活用をはじめるには? 「AIを使ってなにがしたいか」からスタート

ご紹介してきたように、AIによる画像解析は非常に応用範囲が広い分野です。自社で「AIを使ってみたい」との話が出た際には、まず「AIを使ってなにがしたいか」を決めることが重要といえるでしょう。また、「AIを使って〇〇をしたい」と決まったとしても、AI活用は幅広い知見やノウハウが必要になります。そこでまずは、AIソリューションと活用事例を持っている専門家に相談してみることをお勧めします。


まとめ

いかがでしたでしょうか?

本記事の中でご紹介したように、AIは今後の「働く現場」を大きく変える力を持っています。労働力の確保はもちろん、業務の大幅な効率化、人間では収集できなかったデータの分析による新しい戦略立案など、これまで経験や勘などに頼らざるを得なかった属人化した業務から脱却することが可能となります。

さまざまな課題を解決してくれる、まさに救世主的な存在といえるのです。今後もその動向にぜひ注目してみてください。

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