近年、ChatGPTを筆頭に生成AIの開発と活用が急速に進んでいます。
生成AIを活用することで、作業を効率化や自動化したり、予測を行ったり、サポートを行うなど多岐にわたる分野で革新的な役割を果たしており、その可能性は未だ拡大し続けています。
しかし、具体的にはどのような活用可能性があるのか知りたいという方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、海外の生成AI事例を10個ご紹介します。
生成AIの活用可能性について知りたい方は、ぜひご覧ください。
また、国内の生成AI事例については、下記の資料でより詳しくご紹介しております。
ぜひ本記事と併せてご覧ください。
数字で効果を⾒る! ⽣成AI活⽤事例集 7選
目次
- 1.文書の要約や生成、質疑応答などマルチに利用される生成AI「ChatGPT」/OpenAI
- 2.高解像度の顔写真を生成「StyleGAN」/NVIDIA
- 3.独自の音楽をAIが自動生成「Magenta」/Google
- 4.文脈を考慮した自然な翻訳をAIが実現/DeepL
- 5.AIが医療画像の診断や疾患を予測「CoDoC」/Google
- 6.ノーコードでプログラム生成「Codex」/OpenAI
- 7.株価予測や金融データを分析「Bloomberg Terminal」/Bloomberg
- 8.生成AIで映像制作「RunwayML」/Runway AI
- 9.個別の学習ニーズに応じた教材や評価を生成「Alta」/Knewton
- 10.土地のポテンシャルから設計案を生成「ArchiStar」/ArchiStar
- まとめ
1.文書の要約や生成、質疑応答などマルチに利用される生成AI「ChatGPT」/OpenAI
生成AIと言われて誰もが最初に連想するのは、OpenAIの「ChatGPT」だと思います。
ChatGPTは、OpenAIが開発した自然言語処理AIモデルの一つで、大量のテキストデータを学習したことによる自然な対話が特徴であり、その活用方法は多岐にわたります。
以下に活用方法の一例を挙げます。
- 文書などのコンテンツ生成
- 文書の要約
- 文書の翻訳
- FAQなどの質疑応答
現在では、個人利用だけでなく、様々なAIを活用したサービスに用いられていたり、企業ごとに専用のカスタマイズを行ったりすることで世界的に活用されています。
また最近では、GPTStoreからカスタマイズ済みのもの利用することも可能となり、利便性が向上しています。
しかし一方では、以下のような課題が残っていることも確かです。
- 誤った情報を生成する可能性がある
- 倫理的に問題のある情報を生成する可能性がある
- 著作権を侵害する可能性がある
参考:ChatGPT
2.高解像度の顔写真を生成「StyleGAN」/NVIDIA
画像生成GAN (Generative Adversarial Networks)は、写真のような画像を生成したり、被写体の一部シェイプの加工を自動で行うことができます。
その中でもNVIDIAのStyleGAN(Style Generative Adversarial Network)は、高品質な画像生成に特化しており、リアルな顔写真の生成に優れた性能を持つことで知られています。
以下は特徴の一例です。
- 高解像度画像生成:高解像度の画像生成に適し、リアルな顔写真やディテールの豊かなアート作品を生成できます。
- スタイルの制御:顔写真生成の場合、髪型や表情、肌のトーンなどを制御できます。
- 局所的な制御:画像の局所的な領域(例: 目、鼻、口など)に対するスタイルの制御も可能です。
GANは、Deepfake技術や、顔写真のアート風変換などの分野で広く利用されています。
参考:HyperStyle
入力した画像をほぼリアルタイムで好きなスタイルに変更できる「HyperStyle」
3.独自の音楽をAIが自動生成「Magenta」/Google
AI音楽生成モデルとは、AIを活用してメロディの生成や、アレンジ、リズムパターンや店舗の変更などを行うことができる生成AIの一種です。
その代表的なものにGoogleのMagnetaが挙げられます。
Magentaは、Googleが開発したオープンソースのプロジェクトで、機械学習とAI技術を用いて、音楽やアートの創造性を促進し、支援することを目的としています。
Magentaを活用することで以下のようなことができるようになります。
- 音楽生成:メロディの生成やアレンジ
- インタラクティブな音楽体験:ユーザの入力に合わせて音楽が変化
参考:Magenta
人工知能が音楽を奏でる動画:グーグルの新プロジェクト「Magenta」
4.文脈を考慮した自然な翻訳をAIが実現/DeepL
テキストや音声を自動翻訳するサービスは、Google、Microsoft、Amazonなど多くの企業が提供しています。
中でも、ドイツのスタートアップが開発したDeepLは、翻訳の質の高さで知られています。
ニューラルネットワークの活用による文脈を考慮した自然な翻訳が特徴です。
以下はDeepLの特徴です。
- 高品質な文書の翻訳:ニューラルネットワークを活用した自然な翻訳ができる。
- ウェブサイトやドキュメントの翻訳:多言語コンテンツを簡単に作成できる。
参考:DeepL翻訳:高精度な翻訳ツール
DeepL翻訳は何がすごい?アプリの活用術やGoogle翻訳との違いを解説
5.AIが医療画像の診断や疾患を予測「CoDoC」/Google
生成AIは医療診断の分野でも注目されています。
AIと機械学習を活用することで、医療診断の精度を高めたり、医療提供者の負担を軽減することができるためです。
たとえばGoogleのDeepMindを利用した医療用AIツール「CoDoC(Complementarity-driven Deferral-to-Clinical Workflow)」は、AI予測と医師の判断を適切に組み合わせることで、医療診断の精度向上を目指しています。
以下はCoDoCでできることの一例です。
- 乳がん検診における偽陽性の削減
- 結核検査の胸部X線画像のトリアージ改善
参考: Developing reliable AI tools for healthcare
6.ノーコードでプログラム生成「Codex」/OpenAI
AIモデルは、プログラミング言語に関する知識を活用して、コードの自動生成やデバッグの支援を行うことも可能です。
これらは、プログラミングの効率化や、プログラマーの負担を軽減、ミスの削減に寄与するだけでなく、知識のない人によるプログラミングを可能にします。
代表的なものに、OpenAIの「Codex」が挙げられます。
Codexは自然言語を用いたプログラミング指示に基づき、コードを生成するAIで、GitHub Copilotとしても知られています。
実際にできることとして、以下のようなことが挙げられます。
- コード生成
- コードの分析と説明
- バグの特定と修正
- コードの最適化
- データの可視化
参考:OpenAI Codex
7.株価予測や金融データを分析「Bloomberg Terminal」/Bloomberg
生成AIは株価予測や金融データの分析に使用されることもあり、投資家やトレーダーに重要な情報を提供しています。
代表的なものとして「Bloomberg Terminal」が挙げられます。
Bloomberg Terminalは、金融専門家向けのソフトウェアシステムで、市場データ、分析ツール、ニュースなどを提供しています。
活用することで以下が実現できます。
- 世界中の金融市場に関するリアルタイムデータにアクセス
- 株価の動き、経済指標、企業の財務報告などの分析
- 株式、債券、通貨、商品市場の動向を追跡
- ポートフォリオの管理
- トレード戦略の策定
8.生成AIで映像制作「RunwayML」/Runway AI
生成AIは、映像の編集にも利用されており、クリエイティブ活動を支援しています。
たとえばRunway AIの「RunwayML」というサービスは、クリエイター向けのAIベースの映像・画像編集プラットフォームで、機械学習モデルを利用した映像や画像の作成や編集を簡単かつ高度に行うことができます。
以下は活用方法の一例です。
- スタイル変換
- オブジェクト検出
- 映像生成
- 映像編集
参考:Runway – Advancing creativity with artificial intelligence.
9.個別の学習ニーズに応じた教材や評価を生成「Alta」/Knewton
生成AIは教育においても有用で、教材のカスタマイズ、自動評価、質問の生成など、教育支援ツールとして利用されています。
たとえば、Knewton Altaは、AIを活用したアダプティブラーニングプラットフォームで、学生のパフォーマンスと学習スタイルに基づいて個々の学習経路をカスタマイズし、理解度に応じた教材を提供します。
活用によって、以下ができるようになります。
- 個別化された学習パスの生成
- リアルタイムのフィードバック
- ヒントや説明の提供
10.土地のポテンシャルから設計案を生成「ArchiStar」/ArchiStar
生成AIは、建築デザインにも用いられています。
生成AIを活用することによって建築デザインやインテリアデザインのアイデアを生成したり、設計プロセスを補完することができます。
たとえば「ArchiStar」という建築設計と都市計画のためのAI支援プラットフォームを用いることで、土地の分析や、規制やガイドラインに準拠した設計案を生成することができます。
以下は活用例です。
- 土地分析と評価
- 規制遵守の設計案生成
参考:Archistar For Property Developers – Archistar
まとめ
本記事では、生成AIの海外事例を10個ご紹介しました。
生成AIは、様々な分野で新たな可能性を生み出しており、継続的に発展しています。
ChatGPTによるテキストベースのコミュニケーションを革新をはじめに、画像や音楽の生成、診断精度の向上、コード生成やデバッグを支援、金融市場分析、映像制作、教育支援、建築デザインなど、活用の幅は留まるところを知りません。
これらの事例はテクノロジーの進歩がもたらす多様な可能性を示しています。
そして今後も生成AIの進化から目が離せません。