チームワークはビジネスにおいて売上や利益に大きな影響を与えます。
管理者やリーダーの中には、自分のチームのチームワークが悪く、思うように成果が出ないと頭を抱えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
チームワークは高めるためには、あらかじめおさえておくべきポイントがあります。ポイントを踏まえてチームリーダーが意欲的に働きかけていけば、チームワークを高めることができるでしょう。
今回はチームワークを高めるための5つのポイントと、そのうえでリーダーがすべきこと、具体的な方法などについてもご紹介していきます。
目次
チームワークを高めるために必要な5つのポイント
ビジネスにおけるチームワークの向上には、次に紹介する5つのポイントが必要です。
- ビジョンの共有
- 具体的な目標設定
- メンバーの役割設定
- コミュニケーションの円滑化
- 情報共有
1. ビジョンの共有
チームの方向性、ビジョンをチームメンバーに共有してください。まずはチームが将来的に目指すべきこと、為すべきことをメンバーに共有しましょう。
チームのビジョンは以下のポイントをおさえて決めていきましょう。
- 目的(何のために)
- 理想の姿(どのような存在になるのか)
- 方針(具体的に何をするのか)
具体例
- 目的: 会社全体の売上を20%増加させるために、新規顧客獲得に注力する。
- 理想の姿: 業界内でのリーダー企業として認知されること。
- 方針: 毎月2回のミーティングを行い、各メンバーの進捗を確認する。また、新規プロジェクトを提案する際にはビジョンに基づいた具体的なプランを作成する。
2. 具体的な目標設定
ビジョンの共有が完了したら、そのビジョンを実現させるための具体的な目標設定が重要です。目標はチーム全体の目標とメンバーそれぞれの目標を設定します。
目標を設定する際には「SMARTの法則」を意識しておくと良いでしょう。
SMARTの原則とは目標設定における定番のフレームワークです。SMARTとは目標設定時におさえておくべき5つの基準の頭文字を表しています。
SMARTの法則 | 説明 |
---|---|
S……Specific(具体的) | 第三者でもわかる、具体的な目標になっているか |
M……Measurable(計測可能) | 目標の達成度合いがわかる定量的な設定か |
A……Achievable(達成できる) | 現実的に達成可能な目標を設定しているか |
R……Related(関連性がある) | 企業(チーム)の目標やビジョンに関連しているか |
T……Time-bound(期限がある) | 達成までの期限が定まっているか |
目標設定を正しく行わないと、たとえ達成できたとしても企業や部書・課の成長につながりません。上記の5つのポイントをおさえた目標であれば、チームのビジョンに近づけます。
具体例
- Specific(具体的): 年末までに新規顧客を50社獲得する。
- Measurable(計測可能): 月ごとに新規顧客の獲得数を追跡し、毎月の目標を5社と設定する。
- Achievable(達成可能): 過去のデータを基に、各月の営業活動を見直し、現実的に達成可能な数値を設定する。
- Related(関連性がある): 会社全体の売上目標に直結する目標として設定する。
- Time bound(期限が決まっている): 12月末までに達成することを目標とする。
3. メンバーの役割設定
メンバーがそれぞれどのように行動するのか役割を明確に設定しましょう。
メンバーの1人が仕事を放棄していたとしても、チームの目標が達成できることもあります。しかしそれは生産性の低下につながるため、ベストな状態とはいえません。
個々の役割が明確化されていれば、無駄な行動がなくなってやるべき業務に集中できるので、生産性が上がります。
役割分担することで、場合によってはメンバー同士の業務量に差が出ることも出てきます。その場合は、メンバー同士の役割を相互理解し、声がけをするなどして協力体制をとるようにしましょう。
具体例
- 新規顧客開拓担当:Aさん
- 既存顧客フォロー担当:Bさん
- マーケティング資料作成担当:Cさん
また、毎週の定例会議で進捗を共有し、お互いの業務状況を確認し合うことが重要です。必要に応じて、Aさんが忙しい時はBさんがフォローに入るなどの協力を行うと良いでしょう。
4. コミュニケーションの円滑化
チームワークを高める上で、メンバー同士の業務の進歩状況を共有したり、サポートし合ったりできるほど円滑なコミュニケーションが取れるようになるとベストな状態です。チーム内のコミュニケーションが取れていないと、目標や役割を共有するなどの協力体制をとることが難しくなります。
コミュニケーションの円滑化を図るためには、「挨拶をする」「日頃から声をかけ合う」「状況を伝え合う」など何気ない日々の行動が重要です。
また、完成した仕事に対してフィードバックの機会をつくるのも良いでしょう。コミュニケーションの円滑化とともに、スキルアップにもつながります。
コミュニケーションをとり続けることで信頼関係も生まれるため、挨拶や軽い声がけ以上の深い話ができるようになります。お互いに業務に対して具体的な助言をするなどサポートできるようになれば、チーム全体の生産性も上がっていくことでしょう。
具体例
- 毎朝の朝礼で挨拶と共に、その日の目標を簡単に共有する。
- 各プロジェクトの終了後にフィードバック会を設け、成功点と改善点を話し合う。
- プロジェクト管理ツール(例: TrelloやAsana)を使用して、各メンバーのタスク進捗を可視化し、随時更新する。
5. チーム内での情報共有
「目標」「メンバーの役割」「コミュニケーション」と大切なポイントを紹介してきましたが、これらの情報を含め、チームや個人のこと、業務のことなどをすべて共有することがポイントです。
個々のメンバーには強みや弱点もありますが、その情報や進歩状況などを共有することで、チーム内で助け合うことが可能です。チーム全体で最適化して、大きな成果へとつなげるためには情報共有が欠かせません。
具体例
- 社内の情報共有ツール(例: Slack、Google Drive)を活用し、重要な資料や情報を全メンバーがアクセスできる状態にする。
- 毎週のミーティングで、各メンバーが現在の進捗状況と今後の予定を報告し合う。
- メンバー各自のスキルセットや得意分野をリストアップし、適切なタスクを割り振る。弱点については、トレーニングや勉強会を通じて補完する。
チームワークを高めるためにリーダーがやるべき3つのこと
チームのリーダーは、チームワークを高めるための軸となる人物です。チームへの影響度が高いので、積極的に働きかけましょう。
次に紹介する3つの行動を実行することで、チームワークを高める一助になります。明日からできる内容なので、ぜひ実践してみてください。
1. 期待を寄せる声がけを行う
メンバー1人1人に期待を寄せる声がけを行うことで、程良い緊張感が生まれます。そして、期待に応えようと、目標達成に向けてより一層努力するようになるでしょう。
「期待しているよ」など抽象的な声がけは避け、「頑張っているね、今日中に○○の業務が完成したら、明日からの△△の業務も早く終わりそうだね」など、具体的な声がけをしたほうが効果的です。「頑張っているね」など、ねぎらいの言葉を付け加えると相手へのことを思っている気持ちが伝わりやすくなります。
あくまでも期待が伝わるように声がけをすることが大切で、「今日までに業務を終えられるよね」など威圧的に感じるような声がけは嫌悪感を抱くため避けましょう。
2. 目標達成できたメンバーを褒める
目標達成できたメンバーを褒めることで、メンバーのモチベーションが上がります。メンバーの自信が高まり、「次はもっと頑張ろう」とやる気が出ることで今後の成果にもつなげることができるでしょう。
褒める際は他のメンバー全員の前で褒めるとより効果的です。成果を上げたメンバー自身の喜びが増すと同時に、他のメンバーには刺激となりチーム全体のモチベーションが上がるメリットがあります。
3. 1対1でミーティングを行う
リーダーとメンバーの1対1でミーティングを行う機会を定期的に持ちましょう。ミーティングをすることで、それぞれのメンバーに対しての現状把握やアドバイスができ、成長へとつながります。
スケジュールを前もっておさえておき、当日までにお互いに準備をしておくことが大切です。リーダーは、なにを話すべきかアジェンダ(議題・課題)を決めておきましょう。そしてメンバーには、事前に聞きたいことを整理しておくように伝えると、スムーズにミーティングができます。
チームワークを高める具体的な5つの方法
チームワークを高める方法は数多くあります。今回は多くの企業が実行している、チームワークを高める具体的な方法を5つに絞ってご紹介します。
まずは簡単にできそうなものや、負荷の小さなものから順番に試してきましょう。
1.メンバー間の相互理解につながるダイアローグの開催
ダイアローグとは2人以上で行う「対話」のことで、意見交換の練習や相互理解を深めるために役立つコミュニケーション方法です。具体的な手法としては「ワールドカフェ」がポピュラーです。
ダイアローグで重要なのは意思決定や結論ではなく、「理解」です。お互いの立場を理解したり、それぞれの意見や考え方を深めあったりといったことに適しています。
他人の考え方を知ることができるだけでなく、自分の思考の癖や固定概念、偏見等に気づくことができます。チームワークを高める上で必要な「メンバー間の相互理解」にはダイアローグが最適です。
2.人間関係が円滑になるランチミーティング
ランチミーティングをチームとの交流を深めるのに適しています。
職場以外のリラックスした空間で同じ時間を共有することでチーム内のコミュニケーションが活発になっていきます。しかし休日に集まったり、業務時間外の飲み会などはプライベートの時間が圧迫されているように感じる方も多く、ハードルが高いです。
ランチミーティングであれば、勤務間の昼休憩の時間を活用でき、かつ勤務中の時間を削ることはないため、時間を有効活用できます。
3.経営を疑似体験できるチームビルディングゲームを実施
チームビルディングゲームとは、経営の疑似体験など仕事の要素が入ったビジネス系ゲームのことです。
チームビルディングゲームには、対話、ゲーム、アクティビティ、スポーツなど、さまざまな種類があります。普段会話する機会がないメンバーとも交流でき、チーム全体のコミュニケーションを図るために効果的です。
チームビルディングゲームについては数多くありますが、それぞれ方法が異なり、環境や時間もまちまちなので、比較的簡単にできそうなものからはじめていきましょう。
「NASAゲーム」「ペーパータワー」はチームビルディングゲームの中でもポピュラーな2つです。どちらも屋内でできますし、そこまで時間も長くないので、どれを選べばいいかわからないという方はこの2つから始めることをおすすめします。
参考:グループワークで使えるNASAゲームのやり方
参考:ペーパータワーのやり方
もっといろんなゲームを知りたいという方は以下の記事がおすすめです。
参考:チームビルディングにおすすめな「ゲーム」15選。短時間で楽しみながらコミュニケーション活性化を
参考:社員研修で使える!チームワークが強化するおすすめゲーム15選
4.「ありがとう」を伝えるサンクスカードの導入
メンバーに対してありがとうの気持ちをカードに書き、送る取り組みです。サンクスカードを導入することで、社内のコミュニケーションがの改善やメンバーのモチベーションアップに効果的です。
感謝の気持ちがサンクスカードという「見える」かつ「手にできる」形になることで、モチベーションアップにつながります。特に新人の場合は、感謝されたことが自信につながりやすいため、有効な方法です。
5.合宿や研修会への参加
チームワークを高めることを目的にした合宿や研修を行うのもおすすめです。スポーツやレクリエーションを通すことで、自然にコミュニケーションがとれます。
対抗戦のスポーツやゲームをするときには、チーム内で戦うのではなく、別のチームと戦うようにしましょう。チームが一丸となり別のチームと戦うことで、楽しみながらコミュニケーションや団結力が生まれます。
まとめ:チームワークを高めて、生産性の高いチームを目指そう
目標や役割の設定、コミュニケーション、情報の共有などのポイントを念頭に置いたうえで、この記事で紹介したリーダーがやるべきことや具体的な方法を実行しましょう。
スポーツやレクリエーション、ランチなど、業務外のコミュニケーションでチームワークの強化を図る方法もあります。多種多様な方法があるので、とりあえず目についたものや簡単に実践できそうなものから始めていきましょう。
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