AI導入で期待できることとは?業務拡大や改善に効果的なAIの導入方法

AIを使って何かを効率化したい、利益を生み出したいと漠然と思っている方も多いと思います。事実多くの企業がAIの導入に踏み切っていて、一昔前よりもずいぶんと身近になりました。

しかし、具体的にどんなことができるのかがイマイチ分かっていない方や、導入するにも何から始めたらいいかわからないという方も多いのではないでしょうか?

この記事ではAIを導入することでできること・可能になることを解説し、そのうえで導入フローについてご説明しています。


AIは「パターン化した行動」「データをもとにした分析」を得意とする

AIができることは、「認知」「通知」「提案」「自動化」「予測」「事前対処と予防」「環境認知」の大きく分けて7つあります。

例えば、デパートやスーパーなどの小売店でAIを使うのであれば、過去の売り上げデータから、今年一番売れ筋となる商品はなにかを推測するのは「予測」の分野に含まれます。

AIにできることは多いですが、人間と会話をしたり情報をベースに記事を書いたりする自然言語処理や、数種類の音や声を聴き分ける音声解析などが、特に得意としているジャンルです。

逆にAIが苦手としていることは、「臨機応変な対応が必要となること」や「コミュニケーションが必要となること」です。

AIは、データをベースにパターン化した行動は得意ですが、パターンから外れたことは苦手なのです。

企業活動にAIを取り入れたい場合は、AIの得意分野と苦手分野をしっかりと理解したうえで行いましょう。

参考:今すぐ役立つAI活用ノウハウ 第1回 今さら聞けない! AI導入を成功させるコツ : 富士通

AIの機械学習・深層学習が可能にしたこと

AIには、機械学習(アクティブラーニング)と深層学習(ディープラーニング)があり、それぞれの技術がビジネスシーンで可能にしたことは異なります。

機械学習の面では、AIの言語処理能力のおかげで、ユーザーの趣向に合った情報をユーザーに表示することを可能にしました。

一方深層学習は、画像認識の発達を助けています。例えば、医療分野でAIが患者の診断と治療を行う、農業分野でドローンを活用して集めた画像データを分析するなどが、深層学習により可能になりました。

AI活用のトレンドは深層学習(ディープラーニング)

ビジネスシーンでのAI活用は、特に深層学習(ディープランニング)の分野の発展が今のトレンドです。

技術の発達によりAIを活用できるシーンが広がってきているので、一般の消費者の生活の中にも、AIが活用されていることが多くなってきています。

例えば、近年のトレンドとなっているアレクサやSiriなどの音声アシスタントも、一般家庭でAIが活用されている例の1つです。

これらのAI音声アシスタントは、AIが得意とする自然言語を使ったサービスなので、企業が一般家庭に普及する製品を作るうえでAIを使うメリットは多いと言えるでしょう。

参考:第2回 AIの活用トレンドとその導入方法 | NTTデータ先端技術株式会社

【職種別】企業活動におけるAI活用のメリット

近年のAI技術を使った製品のトレンドや、AIが得意とすることを考えると、企業活動においてAIを活用するメリットは大いにあります。

AIは新しい技術を取り入れるためだけでなく、すでにある企業の業務改善においても活用することができる技術です。

業務改善と業務拡大をするうえでAIは重要な役割を果たすため、直接AI技術を開発する分野だけでなく、マーケティングや営業、経理などの幅広い分野でAIを活用できます。
分野別のAIの活用シーンの例は以下の通りです。

職種AIでできることAIを導入した成功例
営業顧客のデータを分析することで、経験などは関係なく、顧客のニーズに合った提案ができる営業部門は新人ばかりで成績が悪かったが、AIによるデータ分析のおかげで、ニーズに合った提案をしやすくなった。
新規の顧客も獲得しやすくなった。
マーケ売り上げデータや顧客の購入履歴を分析し、トレンドやユーザーのニーズに合った提案ができるデータの収集をするだけの人員が足りなかった中小企業だったが、AIを導入したことで膨大なデータの分析が可能になり、
市場やユーザーのニーズに合った提案をしやすくなった
接客過去のデータを集め学習することで、顧客のニーズに合った答えを自動で答えることができるよくある質問はチャットボットで答えることで、人材不足の解消につながった
経理データの自動仕分け能力で、出金と入金のデータを解析し、仕分けができる伝票の仕分けや出入金の確認がなくなり、経理の人数が少なくても多くの取引数を扱えるようになった
生産管理湿度や温度などのデータや画像データを分析し、異常がないか自動で確認できる。人員を配置しなくても、不良品の検知が可能になった。熟練した従業員がいなくても、不良品かどうか確認しやすくなった
設備管理不良品の検知を画像データにより行うことができるAIを使って環境やデータの異常を検知できるため、設備管理に充てる費用・人件費を抑えられた

参考:【事例つき】AIの活用が進む5つの領域 | AI専門ニュースメディア AINOW
参考:【人工知能(AI)×接客】AIを接客に活用すると、サービスはどのように向上するのか│人工知能(AI)接客システム AIさくらさん


AIを導入した企業の成功事例4選

AIは業務改善や業務拡大をするうえで重要な役割を果たすと説明しましたが、実際にどうやってAIを使っていけばよいのか分からない企業も多いのが事実です。

ここでは、実際にAIをマーケティングやカスタマーサービスに導入した企業の成功事例を見ていきましょう。

チャットボットの導入で「よくある質問」の受電数が半減させた事例

AIの自然言語処理能力を利用したチャットボットを導入したエリアリンク株式会社では、AIを導入したことにより、よくある質問の受電件数を半数程度に削減することに成功しました。

自動会話プログラムのチャットボットを取り入れることで、HPの案内だけでは分かりにくい、知りたい情報にたどりつけないという客層の満足度を高めることが可能になったのです。

AIによるチャットボットの精密度は高く、チャット利用者の82%からよいという評価があったようです。

エリアリンク株式会社のAI導入は、よくある質問をチャットによる自動回答で済ませることで、今まで電話の対応に費やしていた時間を他の業務に充てることができるようになったという、AIによる業務改善の例の1つです。

参考:チャットボットの導入事例13選!企業の活用例から効果まで徹底解説

IBMの人工知能を導入して、コールセンターの顧客応対時間を20%削減した事例

三井住友銀行、みずほ銀行、三菱東京UFJ銀行の日本国内3大バンクでは、コールセンターにIBMの人工知能「Watson」を導入しています。

AIの得意分野とも言える、人間同士の会話を解析し確認事項と答えを表示するという仕組みで、電話による顧客対応時間の約20%を削減することに成功しました。

これは、コールセンターのオペレーターのサポートとしてAIを導入することで、オペレーター数の不足を解消するだけでなく、顧客の待ち時間を減らして満足度を上げるということが可能になった成功例です。
参考:メガバンクのコールセンターが人工知能に?みずほ、三井住友が導入

営業力全体の底上げを図る保険会社の事例

日本国内最大級の保険会社である日本生命では、営業の分野でAIを活用しています。

顧客が入力したプロフィール情報や保険の加入状況から、顧客一人一人に合った最適な保険をAIが提案することで、新たな客層の確保やリピーターを増やすことに成功しました。

また同社ではAI活用の幅を広げるため、2020年1月より、営業職員向けにスマートフォンの支給を開始。スマホの中でも特に注目すべきなのは、AIを活用して営業トークの改善案などを提案する「ロープレAI」という機能です。

ロープレAIは2020年4月より追加される新機能で、顧客に提案している様子を自撮りすることで、AIが自動的に内容を評価してくれます。

同社ではAIを営業効率の向上だけではなく、各営業職員のスキルの底上げにも役立てています。

参考:【事例つき】AIの活用が進む5つの領域 | AI専門ニュースメディア AINOW
参考:営業トークの「威力」をAIが判定、日本生命がアプリ搭載スマホ4万台を職員に導入 | 日経クロステック(xTECH)

AIの画像認識を活用した自動採寸によりコスト削減した事例(PR)

ユニフォームの販売、レンタルおよびクリーニングを含めた総合サービスを展開する株式会社ユニメイトは、サイズ集計・交換に伴う費用および人的コスト削減を目的として、AIによる画像認識を活用した自動採寸アプリ『AI×R Tailor(エアテイラー)』を開発しました。

返品率低下によるコスト削減、またサイズ交換に備えた必要数以上の在庫が廃棄品となることを防止、最終的には正確なサイズ把握が顧客に対してのサービス改善になると考えられています。

参考:AIの画像認識を活用した自動採寸アプリを開発し、事業のコスト削減に貢献 | 株式会社モンスター・ラボ


AIを導入するまでの3段階のステップ

AIを自社に導入するためには、大きく3つのステップを行っていく必要があります。

まずAIに必要なデータ収集を行い、データをもとに学習させていきます。学習まで完了したら、プログラミングを通してサービスに組み込んでいきます。

参考:【2020年最新簡単3ステップ】 初心者でも分かるAI(人工知能)の作り方 | AI入門ブログ

AIの導入に必要なデータを集める

AIの導入を考えるのであれば、まずはAIが能力を発揮するために必要なデータを集める必要があります。

ベースとなるデータの数が多ければ多いほど、AIはより性能の高い提案をすることができるため、できるだけ多くの顧客データや画像データを準備するのがよいでしょう。

例えば、過去のデータを元に顧客へ新しいプランを提供したいのであれば、過去のデータが最低でも5,000人程度必要になります。

必要なデータを集めるには、社内にあるデータを使用する方法やWebサービスを利用する方法、外部に委託する方法などがあります。

AIに機械学習させる

必要なデータが用意できたら、次はAIに機械学習をさせましょう。

もちろん、機械学習をさせるためには専門的な知識が必要なので、知識が全くないという場合は人材の採用もあわせて進めましょう。

機械学習に必要なツールは多くあり、担当者の能力に合わせて選ぶことをおすすめします。

参考:機械学習ツール早見表 – Qiita

プログラミングを使ってサービスに組み込む

機械学習が完了したら、サービスに組み込むためのプログラミングが必要になります。

学習済みのAIをWebにアップロードする方法などがありますが、AIを実際にサービスに組み込むのは、どれもプログラミング能力が必要なプロセスです。

そのため、プログラミングができない初心者であれば、セミナーに参加してプログラミングのやり方を学ぶか、外部へ委託したりする必要があるでしょう。


自分の企業に合ったAIの導入方法

AIは様々な分野で活用できる便利なツールではありますが、AI技術者が社内にいないと、企業が独自に開発するのは難易度が高いです。

ここでは、自分の企業に合ったAIの導入方法を見ていきましょう。

自社エンジニアがいないなら企業向けのAIサービスを活用する

自社エンジニアがいない企業だと、AIを独自に開発して導入するのは難しいため、企業向けのAIサービスを利用するのがおすすめです。

例えば、過去の自社データを分析して活用したいという場合は、データ分析に特化したAIサービスを利用するのがよいでしょう。

チャットボットやコメント機能などの簡単なAIであれば、導入は非常に簡単に行うことができます。

目的別に様々なAIサービスが企業向けに販売されているため、自社での導入が難しければ、目的に合ったサービスを探してみましょう。

参考:全296サービス!「AIサービスマップ 2019」5カテゴリ124サービス増加 | AI専門ニュースメディア AINOW

社内に技術者がいる場合は既存のプラットフォームを利用する

社内にプログラミングができる技術者がいる場合は、既存のプラットフォームを利用してAIを導入する方法がおすすめです。

大手企業が提供しているプラットフォームには、画像認識や音声解析などの様々な機能が用意されているため、これらを活用することで高精度のAIを導入することが可能になります。

複数のプラットフォームを目的に合わせて組み合わせていくことが必要になるため、自社のエンジニアがある程度のプログラミング技術を持っていることが必要となります。


AIの導入を成功させるコツ

AIは企業の業務改善や拡大において非常に便利なツールですが、使い方によっては上手く活用できなかったというケースもあります。

ここでは、効率よくAIを使えるようになるため、AIの導入を成功させるコツを見ていきましょう。

すべてのことをAIに任せきりにしない

AIはデータを分析して最適な提案をしてくれるため、便利ではありますが、決して万能ではありません。AIさえ導入すれば……という幻想はきっぱりと捨ててください

作業の効率化を図るために、AIが処理しきれないタスクを人員で管理したり、AIが上手くデータを取り入れられるように人員でサポートをする必要があります。

例えば、営業の分野でAIを使うのであれば、データをベースにした顧客への提案をAIで行い、その提案が顧客の性格や現在の状況にも合っているのかを人員が行うことで、より満足度の高い営業活動を行うことが可能になります。

AIを導入すればそれだけで会社利益が上がるというわけではないということを覚えておきましょう。

AIに学習させるデータの責任者を配置する

AIに学習させるデータ量を安定させるためにも、データの責任者を配置しましょう。

AIを導入する際は企業全体を挙げてデータの収集や管理をするようになりますが、導入からしばらくすると面倒になりデータ入力がおろそかになる可能性があるので、責任者を立てておくのが安全です。

責任者が定期的に新しいデータを入力したり、データを整理したりすることで、AIを導入したシステムの精度の高さをキープさせることにつながります。

AI研修プログラムに参加させる

企業がAI導入のプロジェクトを始動させても、その約半数は企画段階で打ち切りになっているのが事実です。AIの導入にはプログラミングや膨大なデータの収集などが必要になるため、初めてAIを導入しようと試みる企業はハードルが高いと感じてしまうようです。

企画から導入までの流れをスムーズにさせるために必要な知識や情報を身に着けさせるため、AIプロジェクトに関わる社内チームや部署をAI研修プログラムに参加させましょう。

AIのニーズが高まっているため、AI導入のためのセミナーやプログラムは頻繁に開催されています。

参考:人工知能のIT勉強会・セミナー・イベント情報 – TECH PLAY[テックプレイ]


まとめ

AIはマーケティングや営業など企業の様々な分野で活用できるため、業務改善や拡大を考えている企業に非常におすすめです。

導入までにはデータの収集や機械学習などのプロセスが必要ですが、導入すれば業務が効率化され、売り上げや顧客満足度の向上に効果が見込めます。
AIを導入することで、自社の業務の効率化と精度の向上を図ってみてはいかがでしょうか。

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