IPv6とIPv4の違いから移行の方法や注意点まで一挙紹介!

IPv6 IPv4

IPv4からIPv6への移行が推奨される中、具体的な違いや、具体的な移行の手順にお悩みの方も多いのではないでしょうか。

そこで、本記事では、IPv4からIPv6へ移行が推奨される理由、IPv6とIPv4の違い、それぞれのメリットとデメリット、移行する方法、移行の流れ、注意点などの情報を一挙に紹介します。

IPv4からIPv6への移行でお悩みの方は、ぜひご一読ください。

IPv6環境でもIPv4が利用できる「IPv4 over IPv6」とは?


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IPv4からIPv6へ移行が推奨されている3つの理由

インターネットの急速な成長と進化に伴い、IPv4のアドレス空間の限界が明らかになり、IPv6への移行が強く推奨されています。

その背景には、アドレス空間拡大やセキュリティ向上の必要性が高まっていることや、ネットワークアドレス変換の排除の動きなどが挙げられます。

1.アドレス空間を拡大する必要がある

IPv4アドレスの枯渇とインターネットユーザーの増加を踏まえ、IPv6への移行が推奨されます。

IPv4の32ビットアドレス体系は、約43億のユニークなIPアドレスを提供します。

しかし、スマートデバイス、IoT機器の増加、およびグローバルなインターネットユーザーの拡大により、これらのアドレスは急速に不足しています。

IPv6は128ビットのアドレス体系を採用しており、実質的に無限のユニークなIPアドレスを提供することができます。

これにより、将来にわたるデバイスの接続性とインターネットの成長が保証されます。

2.セキュリティの向上が求められている

IPv6への移行は、インターネットセキュリティの向上に期待できます。

IPv6は、セキュリティを強化するために設計されています。IPsec(インターネットプロトコルセキュリティ)は、IPv6の標準機能として組み込まれており、データの暗号化と認証が強化され、通信のプライバシー保護とセキュリティが向上すると期待されます。

しかし、IPv6がIPv4に比べてセキュリティ強度が高いとはいえ、セキュリティ上の懸念は完全には解消されていません。IPv4環境においてもSSL/TLSなどの暗号化技術は広く普及しており、通信の暗号化は可能です。

重要なのは、IPv6でもIPv4でも中間者攻撃(man-in-the-middle attack)のリスクが存在することです。この攻撃は通信を中継し、平文に戻すもので、IPsecの暗号化機能があるからといって、これらの攻撃から完全に安全であるとは言えません。

IPv6への移行はセキュリティ面での改善をもたらしますが、セキュリティ対策においては、IPv4と同様に、引き続き総合的なアプローチが必要です。

これには、暗号化技術の適用、ネットワークの監視、侵入検知システムの導入など、複数の側面からの対策が含まれます。

3.NAT・NAPT/IPマスカレードの排除が求められている

IPv6の採用により、NAT(ネットワークアドレス変換)やNAPT(ネットワークアドレスポート変換)/IPマスカレードが不要になり、エンドツーエンドの接続性が実現します。IPv4環境で必要とされるこれらの技術が、セッションの追跡やアプリケーションの互換性に問題を引き起こすことがあるため、大きな利点です。

IPv6では、豊富なアドレス空間により各デバイスに固有のIPアドレスを割り当てることができるため、NATやNAPT/IPマスカレードを排除することが可能になります。これにより、アプリケーションの性能と開発の容易さが向上し、ネットワークの透明性も高まります。


IPv6とIPv4の違い

IPv6とIPv4の主な違いは、使用されるアドレスの構造と容量にあります。

IPv4は32ビットのアドレスを使用し、約43億のユニークなアドレスを提供しますが、インターネットの急速な成長によりこれらのアドレスはすでに枯渇しています。

一方、IPv6は128ビットのアドレスを使用し、ほぼ無限とも言える量のユニークなアドレスを生成する能力を持っています。

この根本的な違いにより、IPv6はインターネットの将来にわたる拡張性とセキュリティを提供します。

IPv4IPv6
アドレス長32ビット128ビット
アドレス形式数値(ドット区切り)アルファベット数字(コロン区切り)
アドレス空間約43億のアドレス実質的に無限のアドレス
自動設定DHCPが必要自動設定機能
セキュリティIPsecをオプションでサポートIPsecを標準でサポート
ヘッダーの複雑さ複雑(オプション含む)単純化されたヘッダー
フラグメンテーション送信元と中継点で実行送信元のみ実行
ブロードキャストサポートするブロードキャストを直接サポートせず、同様の機能をマルチキャストアドレスを用いて実現する
NAPT/IPマスカレード広範に使用不要(十分なアドレス空間)

IPv4とは

IPv4(インターネット・プロトコル・バージョン4)は、1981年にRFC 791として標準化され、インターネット上でデバイス間の通信を可能にするためのプロトコルです。

32ビットのアドレスを使用することにより、約43億のユニークなIPアドレスを生成できますが、インターネットの急速な拡大により、これらのアドレスは既に枯渇してしまいました。

IPv4のメリット2つ

1.普及率が高く情報も多い

IPv4は現在もインターネットの基盤として広く利用されており、多くのデバイスやネットワークがこの標準に基づいて構築されています。

2.実績豊富で互換性も高い

長年にわたる運用を通じて、IPv4は高い信頼性と安定性を実証しています。

多くのシステムやネットワーク機器でサポートされており、広範な互換性を持ちます。

IPv4のデメリット

IPv4アドレスは有限であり、新たなデバイスやサービスの拡張に伴い、既に枯渇しています。

これはインターネットの成長に制限をもたらし、新しい技術の採用を妨げる可能性があります。

IPv6とは

IPv6(インターネット・プロトコル・バージョン6)は、IPv4のアドレス枯渇問題に対処するために開発された新しいインターネットプロトコルです。

128ビットのアドレスを使用することにより、事実上無限に近い量のユニークなアドレスを提供できます。

IPv6はIPv4に比べてネットワーク構造をシンプルにし、より多くのデバイスが容易にネットワークに接続できるようになります。これにより、IoTやIoEの普及が進むことが期待されます。

IPv6のメリット3つ

1.膨大なアドレスを提供

IPv6は、実質的に無限とも言える量のユニークなアドレスを提供します。

これにより、インターネットデバイスの数が急増しても、アドレスが枯渇することはありません。

2.セキュリティが高い

IPv6は、設計段階からセキュリティを重視しており、IPsecがデフォルトで組み込まれています。これにより、データの暗号化と認証が標準でサポートされ、通信の安全性が向上します。

しかし、暗号化された通信も完全に安全ではなく、中間者攻撃などの脅威は依然として存在します。そのため、IPv6では、IPsecに加えて、SSL/TLSなどの他のセキュリティ対策を複合的に用いることが推奨されます。

3.ルーティングとパケット処理が効率的

IPv6のアドレス構造は、より効率的なルーティングとパケット処理を可能にします。

これは、ネットワークの遅延を減少させ、パフォーマンスを向上させることに貢献します。

IPv6のデメリット

IPv6の採用は進んでいますが、まだIPv4が広く使用されているため、両プロトコルが共存する期間が長くなりそうです。

この過渡期は、ネットワーク管理者にとって複雑な問題を引き起こす可能性があります。


IPv4からIPv6に移行する3つの方法

次に、IPv4からIPv6への移行を実現するための3つの主要な方法である「デュアルスタック」、「トンネリング」、「トランスレーション」について説明します。

移行方法特徴考慮事項
デュアルスタックIPv4とIPv6を同時に使用ネットワーク機器のアップグレードが必要な場合があり、管理が複雑になる
トンネリングIPv6ネットワークでIPv4パケットを転送パフォーマンス低下や設定の複雑さが課題
トランスレーションIPv4とIPv6アドレスの直接変換を行う変換プロセスが技術的に複雑で、特定の設定が必要

1.デュアルスタック

デュアルスタックは、ネットワークデバイスがIPv4とIPv6の両方のアドレスを同時に持つことを可能にする技術です。

これにより、デバイスは両方のプロトコルで通信できるため、移行期間中でも連続性と互換性が保たれます。

デュアルスタックを採用することで、IPv6インフラストラクチャを段階的に導入しつつ、既存のIPv4設備との互換性を維持することができます。

参考:IPv6をデュアルスタックで利用する方法

デュアルスタックの主な利点は、新旧のプロトコルが共存できる柔軟性にあります。

しかし、デュアルスタックの実装は、ネットワーク機器が両方のプロトコルをサポートしている必要があるため、機器のアップグレードや追加の設定作業を伴うことがあります。

また、IPv4とIPv6の両方を運用することは、管理上の複雑さを増す可能性があります。

2.トンネリング

トンネリング技術は、IPv4パケットをIPv6ネットワーク上で転送するために使用されます。

これは、IPv4とIPv6のネットワークが直接通信できない場合に役立ちます。

トンネリングでは、IPv4パケットがIPv6パケット内にカプセル化され、IPv6インフラストラクチャを介して転送された後、目的地で再びIPv4パケットとして抽出されます。

トンネリングは、IPv6移行の中間段階で特に有効であり、異なるプロトコルのネットワークが共存する環境をサポートします。

3.トランスレーション

トランスレーションは、IPv4とIPv6アドレス間の直接的な変換を行い、異なるプロトコル間での通信を可能にする方法です。

NAT64はこの方法の一例で、IPv6ネットワーク内のデバイスがIPv4サービスにアクセスできるようにします。

トランスレーションは、IPv6へ完全に移行することが困難な場合や、特定のIPv4レガシーサービスへのアクセスを維持する必要がある場合に役立ちます。

ただし、トランスレーションプロセスは技術的な複雑さを伴い、正確なアドレス変換のために特定の設定が必要になる場合があります。


IPv4からIPv6に移行する流れ4ステップ

次に、IPv4からIPv6に移行する流れを4つのステップに分けて説明します。

1.組織のニーズとリソースを確認して具体的な目標を設定する

初めに、将来的にどのようなネットワーク環境を構築したいのかや、移行プロジェクトに必要なリソース(人的、技術的、財務的リソース)を確認し、IPv6移行に関する具体的な目標とタイムラインを設定しましょう。

2.インフラやデバイスのIPv6サポート状況を確認して方法を選択する

現在のネットワークインフラストラクチャとデバイスがIPv6をサポートしているかを確認し、必要に応じてアップグレードまたは置換を計画します。

そして、デュアルスタック、トンネリング、トランスレーションなど、適用可能な移行技術を決定し、具体的な移行計画を策定します。

3.段階的に移行を推進する

選択された移行技術に基づいて、段階的にIPv6へ移行を実行します。

移行の各ステップ後に、ネットワークのパフォーマンスと互換性をテストし、問題があれば修正します。

問題がなくなるまでこの工程を繰り返しましょう。

4.移行が完了したら継続的な監視と最適化を行う

IPv6ネットワークの継続的な監視と最適化を行います。

必要に応じてIPv6環境におけるセキュリティ対策を更新していきましょう。

また、トラブルに備えて技術スタッフの知識を更新したり、トレーニングも怠らないようにしましょう。


IPv6を利用可能にする際の注意点3つ

最後に、IPv6を利用利用可能にする際の主要な注意点を3つご紹介します。

これらのポイントに配慮しないとせっかくのIPv6のメリットを享受できないので注意しましょう。

1.インフラ、OS、アプリがIPv6をサポートしていることが前提

IPv6への移行には、ネットワークインフラストラクチャ、オペレーティングシステム、アプリケーションがIPv6をサポートしていることが前提となります。

移行プロセスの初期段階で、既存のハードウェアとソフトウェアの互換性を評価し、必要に応じてアップグレードや更新を行う必要があります。

特に古いシステムやカスタムソフトウェアが関わる場合には注意が必要です。

2.セキュリティ対策もIPv6に対応させる

IPv6は、IPsecを標準でサポートし、ネイティブのセキュリティ機能を強化しています。

しかし、新しいプロトコルでは新たな脅威や脆弱性が生じる可能性があり、既存のセキュリティモデルとポリシーをIPv6に適応させる必要があります。

特に、IPv6環境における増加したエンドポイントの直接接続性は、適切なセキュリティ対策を講じなければ、攻撃の表面を拡大させる可能性があります。

3.アドレス計画と管理

IPv6では、IPv4に比べて桁違いに大きなアドレス空間が提供されます。

この豊富なアドレス空間を効率的に管理するためには、しっかりとしたアドレス計画が必要です。

アドレスの割り当てや管理を簡素化するために、階層的なアドレス構造を計画し、場合によってはアドレス管理ツールを活用しましょう。


まとめ

IPv6はIPv4に比べて膨大なアドレス空間を提供し、セキュリティも強化されています。

また、ルーティング効率の向上やNATの必要性の排除など、多くの技術的改善が図られています。
移行の方法には、デュアルスタック、トンネリング、トランスレーションという3つの方法があり、組織の具体的なニーズとリソースに基づき、最適な方法を選択することが重要です。

移行する際には、ハードウェアとソフトウェアの互換性、セキュリティ対策の再検討、アドレス計画と管理に注意を払う必要があります。

これらのポイントをおさえて移行を行うことで、IPv6の持つ潜在的なメリットを最大限に活用することが可能となります。

そしてIPv4からIPv6への移行を検討する際には、本記事で紹介した情報が一助となれば幸いです。

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