スポットCMとは?タイムCMとの違いや料金相場・バイイングの流れを解説

スポットCMとは、テレビ局が指定したタイミングで放映されるCMのことです。

スポットCMはタイムCMと異なり、番組とは無関係に放送されます。それぞれのメリット・デメリット、効果には大きな違いがあるため、選択の際は注意が必要です。

本記事ではスポットCMの料金相場やタイムCMとの違いについてわかりやすく解説します。CM放送にあたって、どちらを選択するか迷っている方は、参考にしてください。


スポットCMとは

スポットCMをひとことで説明

スポットCMは、番組に関係なくテレビ局が定めたタイミングで挿入されるCMです。短期間でCM枠を購入できるため、タイムCMと比較して低予算で利用可能です。短期的なキャンペーンなどに向いています。

完全ランダムではなく曜日や時間帯などを指定できるため、自社製品の層を把握し適した時間帯や曜日を指定するとCM効果の向上につながるでしょう。


スポットCMとタイムCMとの違い

スポットCMが番組と無関係に流れるCMに対し、タイムCMは特定の番組を指定してその番組内で流すCMを指します。

そのため、番組の前後に「番組スポンサー」としてアナウンスされることも少なくありません。番組によっては全国エリアで放送されます。

スポットCMの最低放送期間は1週間です。基本的に放送エリアは各局エリアとなります。また、タイムCMのCM時間が30秒なのに対し、スポットCMは15秒から流せる点も大きな違いといえるでしょう。

主な違いは次のとおりです。

スポットCMタイムCM
予算キャンペーン毎2クール固定
主な最低放送期間1週間2クール(半年)
最低CM時間15秒30秒
放送エリア各局エリア全国エリアまたは各局エリア
主なメリット・幅広い層へアピール可能
・低予算でCMが流せる
・ブランディング効果
・番組スポンサーになれる

参考:タイムCMとは?スポットCMとの違いや番組の選び方を徹底解説!


スポットCMのメリット

スポットCMを利用する5つのメリットをまとめました。

  • 成果に早くつながる
  • 初CMや短期的なキャンペーンに適している
  • 考え方次第で費用対効果を高められる
  • 幅広いターゲット層に訴求できる
  • エリア限定のCMを流せる

成果に早くつながる

CMを出したいと考えてから、実際に放映がスタートするまでのスピードが速い点がメリットの1つです。

タイムCMの場合、枠に空きがないと購入できません。しかし、スポットCMであれば、枠に空きがあればどんどん放送できます。

すぐに流せるので、成果につながるまでのリードタイムが短くなります。

初CMや短期的なキャンペーンに適している

スポットCMは短時間・短期間での契約が可能なため、初めてテレビCMを流す際、その効果を確認するのに向いています。また、短期的なキャンペーンでも利用しやすい枠といえるでしょう。

さらに、放送時間の最小単位である15秒の時間枠で購入できるため、比較的低予算で利用できる点もメリットの1つです。

初めてテレビCMを流す場合、反応や効果がどの程度出るのか全く予想がつかないこともあるでしょう。また、半年にも満たないキャンペーンを行う際は、タイムCMだと枠が長すぎるという問題が生じます。

柔軟な出稿ができる

スポットCMは放映の時期・曜日・時間帯や放映する量などを柔軟に決めることができるため、予算や実際の効果に応じて出稿量を調整することができます。

例えば放送枠のいくつかをプライムタイムやゴールデンタイムに流し、残りを深夜枠に流すなどの自由な組み合わせが可能です。

幅広いターゲット層に訴求できる

番組を指定するタイムCMの場合、その番組の視聴者に向けての訴求しかできません。そのため、番組の趣向によりターゲット層に偏りが出ることがあります。

スポットCMであれば、番組の偏りがなくさまざまな番組中に放送される可能性があるため、幅広いターゲット層に訴求できます。

エリア限定のCMを流せる

テレビ局の地区や放送局をひとつに絞った場合、料金設定を安価にできます。さらに、その地域限定のCMを流すことが可能です。

特定地域に特化した、エリア限定のテレビ広告を流したい場合スポットCMを検討してみましょう。


スポットCMのデメリット

メリットの多いスポットCMですが、デメリットもいくつかあります。自社の事情とデメリットが合致する場合は、タイムCMを検討してみましょう。

ここでは、スポットCMのデメリットを3つみていきます。

ターゲットを絞りにくい

スポットCMの場合は、放送のタイミングを細かくコントロールできないのがデメリットです。そのため、ターゲット層が視聴する番組内にCMが流れない可能性が生じます。

一方タイムCMの場合は番組を指定できるため、ターゲット層をある程度絞ることができます。

低予算だと他のCMに埋もれやすい

スポットCMは低予算の場合は、他のCMに埋もれてしまい、視聴者の記憶に残らないこともあります。

スポットCMは番組や時間帯を変えて複数回流れます。そのため多くの人の目には触れますが、同じ人が複数回以上視聴するとは限りません。

低予算で放映回数が少ないとその分訴求も弱まります。


スポットCMに必要な料金相場

スポットCMの料金は具体的にどのくらい必要か気になる人は多いでしょう。ここからは、スポットCM料金の計算方法と、料金の決め方について解説します。

料金の計算方法

CMの料金は視聴率で決定します。つまり、視聴率の高い番組内に流れるCMの方が、低い番組に比べて高い料金となります。

かつては、世帯視聴率(GRP)を元に判断していましたが、2022年4月からは個人視聴率の合計値であるPRP(Persons Gross Rating Point)を用いることが主流となっています。

料金の変動条件

CM料金を決定するのは次の4つの要素です。

  • 放送パターン
  • 時間帯・放送局
  • 秒数
  • シーズナリティ

それぞれ詳しくみていきましょう。

放送パターン

スポットCMには「全日型」「ヨの字型」をはじめとした、複数のタイムテーブルがあります。この、放送パターンにより料金は変わります。放送パターンの詳細は後述しますので、そちらをご確認ください。

時間帯・放送局

放送局、時間帯により視聴率は異なるため、料金も変わってきます。

例えば、19時~22時のゴールデンタイムと呼ばれる時間帯は、勤労世帯でテレビを見ている人が多いため、料金は高くなります。

一方、14時~15時はそれほど視聴率があがらないため、安くなりやすい傾向です。

キー局や東京・大阪などの大都市にある放送局の料金は高く、地方局の料金は安くなります。

CM秒数

15秒と30秒のCMが主流です。全く同じ条件であれば15秒の方が安くなります。なお、CM時間が異なるとCMの制作費用にも影響があります。ただし、撮影の手間には大きな違いがないため、時間が倍だから制作費が倍になるということはあまりありません。

シーズナリティ

スポットCMには需要期と閑散期があり、具体的には、次のとおりです。

  • 需要期:9月~12月中旬、2月末~GW前
  • 閑散期:1月、8月

CMは総CM秒数が決まっているため、需要期には価格が高まり、閑散期には低下します。ただし、近年需要期と閑散期の差はあまり大きくない傾向となっています。


スポットCMを利用すべき企業

浴衣やひな人形、夏場に需要の増えるビールなど、シーズン物を販売する企業は、半年よりも短い期間でCMを流す方がよいため、スポットCMが向いているといえます。

また、食品やお茶、缶コーヒー、外食産業など企業や商品のターゲット層が不特定多数の場合、幅広い層の視聴者にCMを見てもらえる機会の増えるスポットCMの利用に向いています。

初めてのテレビCMで効果のほどを試したい場合や、低予算でテレビCMを流したい場合もスポットCMの利用を検討してみましょう。

テレビCM実施前後にさまざまな指標を測定すると、CM効果の有無が検証できます。例えば、次のようなものがあげられます。

  • WebサイトのPV・CV数
  • SNSでの露出数
  • 自社名の検索数
  • 店舗購入数
  • Web購入数
  • 売上金額

スポットCMのバイイングの流れ

実際にスポットCMを出すためには、エリアや時間帯の指定や予算設定などが必要です。CM放送枠を購入することをバイイングといいます。ここでは、スポットCM配信までの流れについてみていきましょう。
スポットCMバイイングのフロー

エリアや時間帯などを指定する

スポットCMを流すためには、まず、どの放送エリアで流すのかを決めなければなりません。エリアが決まったら、放送局を確定しましょう。

放送期間について定めた後、曜日や時間帯についても検討しておきます。

これらを決めるためには、自社商品やサービスに関する利用者層の把握が欠かせません。

例えば、ライフスタイル分析サービス「Market Watch Target Profiler」を活用することで、データを活用してライフスタイルや、嗜好性、購買行動などをプロファイリングすることができます。

PRPまたは予算を設定する

スポットCMの料金は、「1本当たりいくら」という計算方法ではありません。PRPと呼ばれる「延べ視聴率」を元に決定します。

例えば、CM予算が100万円、PRPの合計が20であれば、パーコストは5万円となります(100万円÷20=5万円)

パーコストとは「視聴率1%あたりのCMの値段」です。

なお、新年度や年末年始、年度末などスポットCMに注文が殺到する時期は、パーコストは上昇します。テレビのCM総数は決まっているため、需要が高まると多くの予算額が必要となる点は把握しておきましょう。

契約局がCMの放送枠を決める

スポットCMには、どの時間帯に放送するのかを決定するためのタイムテーブルがあります。タイムテーブルには4つのパターンがあり、事前に選択・購入します。パターンにより金額は異なるため、CMの目的やターゲットに応じて選択しましょう。放送パターンの詳細については後述します。

なお、そのタイムテーブル内のどの曜日や時間帯にCMを流すのかは原則として放送局が決定します。


スポットCMの放送パターン

スポットCMの主な放送パターンは次の4種類です。それぞれについて詳しくみていきましょう。

逆L型

平日の夜・深夜帯と土日前日の枠が、「逆L型」です。週末が休みとなるビジネスマンや若者をターゲットにした枠で、4つの中では一番コストが高くなります。

コの字型

平日の朝・夜・深夜帯と土日全日の枠が「コの字型」です。平日昼間はテレビを見ることのない、成人男女に向けた枠です。逆L型に続き、二番目に高いのがこの枠です。

ヨの字型

平日の朝・昼・夜・深夜帯と土日全日の枠が「ヨの字型」です。成人男女に加え、昼間に在宅でテレビを見ることのある主婦層に向けたCM放送が可能です。

平日の昼間は視聴率が下がるため、全日型に続き、やや安い価格で購入できます。

全日型

全ての曜日と時間帯枠を購入するのが「全日型」です。テレビ局の好きな時間に流せるため、最も安く購入できます。

CMのターゲットが、不特定多数に向けた場合や在宅していることの多い主婦に向けた場合に適した枠といえるでしょう。


まとめ

スポットCMとは、タイムCMのように固定された番組で流れるCMではなく、テレビ局の決めた時間帯に流れます。

そのため、不特定多数の人の目に留まりやすいというメリットがあります。また、タイムCMと比較して低予算で放送できるため、初めてのテレビCMや期間限定サービス・商品のCMに適してると言えるでしょう。

放送時間はテレビ局に一任されると言いましたが、実際には4パターンから購入でき、ある程度の時間帯や曜日を絞り込むことが可能です。スポットCMを流す際は、目的やターゲットに応じて、適した時間帯を選択しましょう。

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