戦略人事とは?従来の人事との違いや失敗しやすい理由、防ぐポイント

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戦略人事とは戦略的人的資源管理の略語で、経営戦略を達成するための人事施策を行うことを指します。
従来の人事は給与管理などの管理・オペレーション業務を中心としていましたが、戦略人事では経営目標達成のための人事施策を行います。

人事担当者の中には、「良い人材が確保できない」「採用しても現場からミスマッチだと言われる」という悩みを抱えることがあるでしょう。この悩みは多くの人事部門が抱えており、経営戦略と人事が連動できていないことが原因です。

戦略人事を導入して人事の在り方を変えることで、より経営戦略に貢献できる人材確保や育成につながります。

本記事では、戦略人事とは何かを事例を交えながら解説し、導入のメリットや進め方、成功に導くポイントを解説します。

人事戦略の考え方や把握すべきことを理解して、自社に導入するか検討するための材料にしてください。

戦略人事を実現するタレントマネジメントシステム HRBrain


戦略人事とは経営戦略達成を目指した人的マネジメントのこと

戦略人事の全体図

戦略人事とは、戦略的人的資源管理(Strategic Human Resources Management)を略した用語です。
人材採用や勤怠管理といったオペレーション業務だけを行うのではなく、経営戦略に直結した“攻めの人事”を行います。

具体的には、従来の労務管理に加え、経営戦略を強く意識した人材採用や組織の改革、従業員のキャリアやメンタルケアといった役割が求められます。

戦略人事は、1990年代に経営思想家であるデイビッドウルリッチ氏が提唱しましたが、現在になって日本でも広く採用されるようになりました。

高度経済成長期に普及した終身雇用制度は、現在の社会では古い制度と言わざるを得ません。現代はグローバル化などで市場が激しく変化しており、日本でも転職が肯定的に捉えられるようになりました。さらに少子高齢化が進み、採用に難航する企業は少なくありません。

上記のような現状で、競合他社より優位になるためには、激しい変化に柔軟に対応できる人材の確保が急務です。

そのため、様々な企業から「戦略人事」という考え方が注目されています。

従来の人事との違い

役割職務
従来の人事業務が円滑に行われるための人事制度や組織設計、採用給与や労務管理などの定型のオペレーション業務が中心
戦略人事経営戦略・事業戦略を達成するための人事戦略設計・実行積極的に経営に参画し人事施策を実行

戦略人事と従来の人事の違いは、その役割にあります。

従来の人事は、人事制度の設計・運用や、労務管理や給与計算などのオペレーション業務が中心でした。
こうした業務は、企業の存続のためには欠かせない業務ではありますが、競合他社との比較においては差別化がしにくい面があります。

また定型作業が中心なので、いかに効率化するかが求められていました。

一方の戦略人事は、こうした従来の人事に加えて、経営戦略・事業戦略を達成するための人事戦略を設計・実行します。
積極的に経営にも参画し、競合他社に対して優位性を持つための人事施策を実行することが求められます。

従来の人事が、安定的に業務を行うための守りの機能であるとするならば、戦略人事は競合他社との差別化を図るための攻めの機能であるといえます。

このように、経営に積極的に人事部が参画し、その経営目標達成のための人事施策を実施することが戦略人事の基本的な考え方です。

インフラ人事・オペレーション人事との違い

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戦略人事とインフラ人事・オペレーション人事の違いは、その機能にあります。

インフラ人事は、企業の業績を維持・上昇させるための人事業務の制度や仕組みを整備したり設計したりする機能です。

またオペレーション人事は、インフラ人事で設計された人事システムの運用や労務管理など、日常的な人事業務を行う機能のことを指します。

戦略人事・インフラ人事・オペレーション人事はピラミッド状になっており、経営戦略に直接関わる戦略人事になるほど、高度なビジネス理解が求められます。

このように、戦略人事で経営戦略を達成するための方法を考え、インフラ人事で求められた人事システムの開発・整備をし、オペレーション人事で運用やトラブル対応を行うという構造になっています。


戦略人事に求められる4つの機能

戦略人事には、大きく以下の4つの機能が求められると、提唱者のウルリッチは定義しています。

機能名役割
ビジネスパートナー経営戦略・事業戦略に基づく人事戦略の設計
変革エージェント経営理念やバリューに合致する人事戦略や組織の設計
管理エキスパート業務の効率性を高めるための労務管理
従業員チャンピオン従業員の労働意欲向上を目的とした組織・制度設計

1.経営戦略に人事面から貢献する「ビジネスパートナー」

ビジネスパートナーは、経営戦略の実現のために必要な人事戦略の立案・実行を、人事のプロフェッショナルとしてリードすることが求められます。

原著ではhuman resources business partnerと記されていて、日本ではHRBPと略して用いられます。

従来の人事では、経営陣が決めた経営戦略がトップダウンで人事部門に降りてきて、それに基づいて人事施策を設計し実行する形でした。

しかしビジネスパートナーでは、人事が積極的に経営戦略に係わることが求められ、経営層と同じ視点に立って人事戦略を設計する必要があります。

そのためには、自社の経営理念・ビジョンから経営戦略・事業戦略までの深い理解や、事業部門と連携して現場の課題の把握と最適な解決策の遂行が求められます。

2.組織の変革を促す「変革エージェント」

変革エージェントは、経営理念やビジョン、バリューに合致するように、人事戦略や組織、風土の設計を行う機能のことです。

戦略人事では経営戦略に沿った人事施策の実行が求められますが、その経営戦略は経営理念やビジョン、バリュー、パーパスに基づいて策定されます。

当然、経営理念やビジョンに沿った組織設計ができていなければ、当然戦略人事=経営戦略の達成は実現できません。

そのために経営理念の浸透施策を実施したり、ときには組織変革を行い、組織風土の変革を推進します。

3.業務の効率性を高めるために労務管理を行う「管理エキスパート」

管理エキスパートは、従来の人事でメイン業務として行われてきた労務管理を、より正確かつ効率的に遂行することが求められます。

これは給与計算など人事部門が行う業務を効率化するというだけでなく、従業員が関与するオペレーション(評価面談など)の効率化も必要となります。

そのためには、HRテックとよばれる人事業務全般を効率化するソリューションを活用することが不可欠です。

給与計算などの定型的な労務管理を、テクノロジーを活用することで効率化できれば、その分空いたリソースを攻めの人事にまわすことができるようになります。

4.「従業員チャンピオン」として従業員のケアやサポートを行う

従業員チャンピオンとは、従業員の労働意欲向上を目的とした組織や制度の設計・実行を行う機能のことです。

社員のキャリアアップの支援や、メンタルのケアをしたり、人事部門は従業員に寄り添う役割が求められます。

経営陣と従業員が対立することがあれば、経営陣の考えをわかりやすく伝えたり、従業員の声を聞いて経営陣に伝えたりと、両者の橋渡し的な立ち回りも必要です。


戦略人事の進め方

戦略人事の具体的な進め方は、以下の5ステップです。

  • 経営戦略や会社のビジョンの理解を深める
  • 経営目標の達成に必要な人材像を定める
  • 人材確保に必要な戦略を考える
  • 戦略に基づく制度設計を行う
  • 社内への制度の浸透施策を実施する

ステップ1.経営戦略や会社のビジョンの理解を深める

戦略人事の目的である「経営戦略の達成」を実現させるために、まずは経営戦略や会社のビジョンを再確認し、人事部が理解を深める必要があります。

達成したい経営戦略は何なのか、どこに課題点・改善点があるのかなどを把握していなければ、何が足りていないのかが見極められません。

経営戦略や会社のビジョンを再確認して、必要な人材を明確にしましょう。戦略人事の一貫性にもつながります。

ステップ2.経営目標の達成に必要な人材像を定める

次に、経営目標の達成に必要な人材像を定めましょう。

経営目標を達成するためにはどんなスキルが必要か、どんな気持ちを持った人材が適切かなど、最適な人材像を決めていきます。

また、社員数の最適化も必要です。

人材が多すぎても少なすぎても、経営スピードにマイナスの影響が出てしまいます。長期的なデータを参考にしつつ、どの程度人材が必要なのかも確認しましょう。

ステップ3.人材確保に必要な戦略を考える

次に、人材確保に必要な戦略を考えましょう。

現状の人事制度を見直しつつ、新しい人事制度案や採用方法の改善案など、最適な人材を確保するための戦略を検討します。

現状の人事制度の見直しを行うのは、戦略人事として経営戦略を達成できるように機能させるためです。どれだけ戦略人事で良いシステムができたとしても、制度に問題があれば嚙み合わずにうまくいかない恐れがあります。

また、人材確保に必要な戦略を考える際は「人手不足=採用」という1つの策にこだわらず、従業員と経営層が納得できるように、幅広く検討することが大切です。

最近では副業人材の登用などもひとつの手段になっているので、以下の資料を参考にしてみてください。

参考:はじめての外部人材活用ガイドブック

ステップ4.戦略に基づく制度設計を行う

次に、戦略に基づく制度設計を行いましょう。改善点に沿った人事制度を設計したり、採用方法を変更したり、企業にとって制度設計は様々です。年功序列型の人事制度を見直し、成果主義などフレキシブルな制度に変えるのも手段の1つです。

ここで注意すべき点は、理想を膨らませすぎないことです。理想が高すぎると実現できない、または実現できても失敗したときのリスクが高くなります。

例えば、成果主義に制度を変更した結果社内からの反発が想像以上に強いなら、反対意見もよく聞いて検討し直すのもいいでしょう。経営陣と相談しながら、人事のプロとして折り合いが付けられるような戦略を提案します。

人的資源や予算から、出した戦略が現実的に運用可能かどうかも同時に考えましょう。

ステップ5.社内への制度の浸透施策を実施する

最後に、社内への制度の浸透施策を実施しましょう。

どのようにして社内に戦略人事を浸透させるか、どのように説明すれば従業員に理解・共感してもらえるのかを考えたうえで、浸透施策を実施します。

浸透させるための施策として、スローガンフレーズを掲げる企業も多いものです。経営陣と従業員が同じ言葉を意識することで、より浸透しやすくなります。また社内行事決算発表会で、人事戦略について丁寧に説明して重要性を訴える方法も有効です。

どれだけ良い戦略でも、理解してもらわなければ反感をもらいます。従業員のモチベーションにも関わるため、分かりやすい言葉に変換するなど、制度の浸透施策を工夫しましょう。


戦略人事の導入が失敗に終わりやすい3つの理由

戦略人事が失敗する主な原因として、以下の3つが挙げられます。

  • 【経営面】経営層の理解や戦略のすり合わせが不十分
  • 【人事面】既存業務に圧迫されリソースが足りない
  • 【従業員】戦略人事に対する理解不足により溝ができる

多くの企業が戦略人事の重要性を理解している一方で、実際にうまく機能している企業はわずか3割ほどという調査もあります。

そのため失敗に終わりやすい理由を事前に認識しておく必要があります。

参考:約9割の企業が戦略人事の重要性を認識しているが、実際に機能している割合は約3割に留まる|日本の人事部

理由1.【経営面】経営層の理解や戦略のすり合わせが不十分

経営層が戦略人事に関する理解が浅いと、企業にとって良い案を提供しても、受け入れてもらえない可能性があります。

また戦略のすり合わせが不十分な場合も、経営戦略の改善点が十分に見つからず、最適な戦略人事の実行が難しく、導入が失敗に終わりやすいです。

戦略人事を導入する際は、経営層に理解してもらえるように戦略人事の重要性を伝えつつ、お互いが納得できるまで戦略のすり合わせを行いましょう。

理由2.【人事面】既存業務に圧迫されリソースが足りない

戦略人事の導入が決定したとしても、戦略人事を立ち上げるにはパワーが必要です。

既存業務に圧迫されリソースが足りないと、必要なパワーが足りず、戦略人事の導入が失敗に終わりやすくなります。

また、必要パワーを満たしていても、人事担当者が経営戦略をあまり理解していないと、経営戦略に戦略人事を反映できず、失敗に終わる可能性が高くなります。

戦略人事を導入するリソースを確保しつつ、「攻めの人事」を行えるように労務管理以外の業務知識を人事担当者に身につけさせましょう。

理由3.【従業員】戦略人事に対する理解不足により溝ができる

経営面や人事面が万全でも、従業員が戦略人事に対する理解が不足していると、企業側と従業員側に溝ができて、戦略人事の導入が失敗に終わる恐れがあります。

特に、年功序列や終身雇用に慣れている従業員は、戦略人事を受け入れずに非協力になりやすいです。

従業員に戦略人事を理解してもらうためにも、戦略人事の重要性に加えて、戦略人事を導入した際の従業員のメリットなども説明しましょう。


戦略人事を成功に導く3つのコツ

戦略人事を成功に導くためには、以下の3つのコツを押さえることが重要です。

  1. 各部署の協力を得るため
  2. オペレーション業務はなるべく自動化する
  3. リソースが足りなければ戦略人事コンサルティングの活用を検討する

1.各部署の協力を得る

戦略人事を成功に導く1つ目のコツは、「各部署の協力を得る」ために奔走することです。

戦略人事の重要性や各部署のメリットを伝え、自分たちにとって必要であると理解してもらえるように説得します。部署同士や経営層と従業員で対立してしまうことがあれば、橋渡し役として戦略人事が実現するよう立ち回る姿勢が重要です。

各部署の協力がないと、事業内容が多角化したときの状況を把握しきれない、事業内容の変化に対応しきれないといった問題が発生します。

そのため、戦略人事部署が事業リーダーと一緒に組織を作る姿勢が必要です。部署の協力を得るために必要なことを次で解説します。

経営層を含め社内に重要性を理解してもらう

各部署の協力を得るためには、経営層を含め社内に重要性を理解してもらうことが大切です。

戦略人事が機能しない原因は様々ですが、『経営白書2020』によると、戦略人事が機能しない最大の理由は「経営陣の理解不足」でした。

戦略人事は経営戦略と密接に関わっているため、経営陣が戦略人事の重要性を理解していないと、成功に導くのは難しいです。社員が非協力であっても同様です。

まずは経営陣を含む社員に、話し合いの場を設けて戦略人事について理解してもらいましょう。

策定した戦略は従業員とも共有する

また策定した戦略を従業員と共有することも、各部署の協力を得るために必要です。

共有しないままだと従業員が混乱するだけでなく、業務過多になって活動時間を確保できなったり実行するための能力が足りなかったりと、様々な問題が発生します。

策定した戦略を従業員と共有することで、行動が明確化され、戦略人事の導入に協力的になるでしょう。加えて、様々な問題点の早期発見にもつながります。

2.オペレーション業務は自動化する

戦略人事を成功に導く2つ目のコツは、「オペレーション業務の自動化」です。

戦略人事を導入すると業務量が増えるため、業務過多に陥りやすくなります。その結果リソースが足りず、戦略人事の活動時間が少なくなったり従業員のモチベーションが下がったりして、失敗に終わるリスクが上がってしまうのです。

戦略人事を成功させるには、活動時間を捻出することが大切です。運営や管理を行うオペレーション業務は自動化して、業務過多にならないようツールで改善できるものは積極的に行いましょう。

例えば労務手続きや雇用契約、申請書類をペーパーレス化するツールなら書類管理や郵送コストが削減できます。マイナンバー管理や年末調整を自動化するツールもあり、オペレーション業務の効率化にはITツールが欠かせません。

3.リソースが足りなければ戦略人事コンサルティングの活用を検討する

戦略人事を成功に導く3つ目のコツは、「戦略人事コンサルティングの活用」です。

戦略人事を実行するにはパワーが必要で、リソースが足りないと失敗に終わりやすくなります。また、戦略人事の導入を意識しすぎて目的がすり替わり、本来の目的である「経営戦略の達成」を見失う可能性もあります。

経営コンサルティングサービスを提供する会社の中には、戦略人事サービスに特化したコンサルティングを行う会社もあります。費用はかかりますが、戦略人事のノウハウを持つプロとして、人材マネジメントを改革したり組織・人事を統合するよう推進したりするのでより確実に戦略人事を進められるでしょう。

戦略人事の全体像を設計したうえで、リソースが足りないと判断して立案や実行に悩む場合、プロの手を借りることも1つの手です。


戦略人事の成功事例4選

ここでは、戦略人事を成功させた事例を4社紹介しています。
他社が具体的にどのようなことをして成功させたのかを、事例を参考に確認してみてください。

事例1.2人の主担当で年間200人を採用した『日清食品』

多くの大ヒット商品を生み出している大企業『日清食品株式会社』。

日清食品株式会社は、日本の消費者の人口減少をはじめ成長戦略について悩んでいました。そこで、海外市場での即席めん事業もスタートさせました。

日清食品株式会社が戦略人事を導入したのは、合計3つの市場を拡大させるためでした。

戦略人事として行ったこと

日清食品株式会社が戦略人事として行ったことは、採用内部の変更です。

キャリア採用では書類選考や1時面接などプロセスのほぼすべてに採用担当者が関わるようにしました。採用担当者がここまで入り込むのは珍しいことです。

また、専門性やベーススキル以外にキャリアビジョンまでマッチさせることに注力して、両社がハッピーになる体制を作りました。

採用担当者が全プロセスに入り込む理由の1つは、納得して入社してもらうためです。

企業説明会に関しては、Attractive(魅力的情報提供)、Both sides(都合よいものではなく応募者に覚悟も求めるような情報)、Concrete(具体情報提供)の「ABC」で説明するように変更。人事部がオーバーワークにならないよう、効率化も図りました。

さらに、採用者の出現率を高めるため、エージェントの数を300~400から20社に絞り、その20社に定期説明会を行い、キャリア採用で結果を出しやすい仕組みを作ることで精度の高い応募者を紹介してもらうようにしました。

会社のステージに合わせて変化する人事部を目指した形で、日清食品株式会社は戦略人事を行ったのです。

戦略人事を導入した結果

日清食品株式会社は、戦略人事の導入により、2人の主担当で年間200人の人材を採用できるようになりました。2018年には、新卒採用の4倍である200人ものキャリア採用をたった2人で行ったそうです。

毎年100~200人ペースでのキャリア採用を行い、目的であった事業成長に貢献しています。

採用担当者の積極的なコミットと、採用者の出現率を高め効率化する体制づくりで成功した事例です。

参考:人材マネジメントのノウハウを豊富な他社事例から学べる|カオナビ導入事例

事例2.グローバルな戦略人事に成功した『オムロン』

大手電気機器メーカー『オムロン株式会社』は、「事業を通じてよりよい社会づくりに貢献する」という趣旨の企業理念を大切にしてグローバルに浸透させる企業の1つです。

オムロン株式会社が戦略人事を導入するキッカケとなったのは、企業理念を実現させるため。価値観が多様化する中、社員と企業がしっかりつながる変革を人事で実現しようしたのです。

戦略人事として行ったこと

日々の社員の仕事と理念を紐づけて業務を遂行する中で、社員が同じ方向に進めるよう工夫したオムロン株式会社。その工夫の1つが「TOGA(The Omron Global Awards)」です。

TOGAは成果や成績を評価せず、「理念実践にチャレンジし続ける風土」の醸成を狙った社内表彰制度で、2012年に立ち上げました。

特に特別な活動をするわけではなく、日ごろの仕事の中で企業理念とのつながりを見出しエントリーしてもらいます。そして、実行した取り組みを全社員に共有し、企業理念を共感・共鳴させます。

「SECIモデル」を利用して、このサイクルを年間通して行います。


引用:【The Omron Global Awards|オムロン株式会社】

社員に無理をさせない形で、企業理念を改めて考える機会を会社側が用意したのです。

戦略人事を導入した結果

戦略人事を導入した現在では、企業理念の実現に対して、社内外問わず共感・共鳴しています。加えて、オムロン株式会社が成長する原動力にもなっています。

また、TOGAのエントリー人数に関して、2012年の参加人数が2,481人でしたが、2020年には6,461人と、年々増加しています。

企業と社員のつながりが生まれる瞬間を逃さず、自然と企業の価値観を理解してもらえる工夫で人事戦略を進める事例です。

参考:オムロンに学ぶ「あうんの呼吸」が通じない時代の組織力強化|DIAMOND Online

事例3.「生き方改革」で自律的な生き方をサポートする『カゴメ』

『カゴメ株式会社』は、飲料水や食品などを製造・販売している大手総合メーカーです。

戦略人事を導入するキッカケとなったのは、働き方改革でした。様々な手法を用いて働き方を改善していきましたが、進めていくほど「働き方改革が会社側の論理で行われている」ということを強く感じるようになりました。

そして、従業員は個人の幸せ、つまり「暮らし方改革」を求めているはずだと想ったのです。

戦略人事として行ったこと

「仕事と職務が結びついて、それに対する評価が明確な体制を作る。」と考ええ、その一環として「グローバル職務等級人事制度」を検討し、ジョブ型をベースとした人事制度への変革を進めました。

そのため、カゴメ株式会社は、働き方改革と暮らし方改革を組み合わせた「生き方改革」に挑戦しました。会社で使いすぎていた時間を個人に向けて、充実した人生を実現してもらうと考えたのです。

生き方改革で導入された制度は様々です。例えば、勤務場所や時間を個人の配慮で選べる「地域カード制度」や、副業制度などが挙げられます。

カゴメ株式会社は、従業員一人一人が自分のキャリアを自分で決められるようにすることを本質として、生き方改革を進めました。

戦略人事を導入した結果

年功序列・終身雇用が根強かったたカゴメ株式会社。しかし、戦略人事を導入してから、多種多様な働き方が実現でき、従業員の市場価値や生産性の向上に期待できるようになりました。

カゴメ株式会社が挑戦した生き方改革は、EVPを高めることにもつながるでしょう。

現在も生き方改革を実行しており、従業員の自律的な生き方をサポートしています。

参考:【イベントレポート】社員の自律的成長で、経営改革を実現するカゴメの人事戦略|HR review

事例4.「ポテンシャル採用」で採用実績を6倍に伸ばした『ヤフー』

インターネット業界の大手企業『ヤフー』は、設立して以降の十数年は一般的な人事制度で人材を採用していました。

しかし、2012年に社長が交代して「爆速経営」を掲げたことをキッカケに、人事や事業、採用が大きく変革しました。

戦略人事として行ったこと

爆速経営では、「社員の才能と情熱と解き放つ」ことを最重視して施策を検討しました。そして、2012年以降100を超える人事改革が行われたのです。

例えば、iPhone・ノートPCの貸与や育児休暇既定の充実化、1on1ミーティングなどが挙げられます。

また、採用でも改革を行いました。IT系人材の獲得を目指すべく、ヤフーは新卒の一括採用を廃止して、通年採用による「ポテンシャル採用」を導入。留学中の学生や研究発表で多忙な学生も応募できるよう窓口を広げました。

加えて、キャリア採用は応募を待つだけでなく、ヘッドハンティングする「攻めの採用」に変更し、転職市場にいない人材へのアプローチも実現させました。

戦略人事を導入した結果

ヤフーが行ったポテンシャル採用は、自社発信だけでなく、様々なメディアでも大きく取り上げられました。

その結果、2015年から2018年の3年間で、採用実績はダイレクト・ソーシング経由で約6倍、リファラル経由で約2倍に上昇したのです。

参考:ヤフーにおける人事戦略とは。人財開発企業に向けた取り組み【セミナーレポート】|d’s JOURNAL

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まとめ

今回は、戦略人事の導入メリットや進め方、成功に導くポイントなどについて紹介しました。

戦略人事は経営戦略達成を目指した人的マネジメントのことで、業務の効率化を図る従来の人事とは違い、組織作りと人的資源を確保するために行います。

戦略人事に求められる機能は、「HRビジネスパートナー・変革エージェント・管理エキスパート・従業員のチャンピオン」の4つです。

これらの機能を駆使しつつ、以下の進め方で戦略人事を導入していきます。

1.経営戦略や会社のビジョンを再確認する
2.経営目標の達成に必要な人材像を定める
3.人材確保に必要な戦略を考える
4.戦略に基づく制度設計を行う
5.社内への制度の浸透施策を実施する

  
様々な企業が戦略人事を導入していますが、失敗している企業が多いのが現実です。

失敗する理由と成功させるためのコツは、それぞれ3つずつあります。

戦略人事が失敗する理由戦略人事を成功させるコツ
・経営層の理解や戦略のすり合わせが不十分
・既存業務に圧迫されリソースが足りない
・戦略人事に対する理解不足により溝ができる
・各部署の協力を得るために奔走する
・オペレーション業務はなるべく自動化する
・戦略人事コンサルティングの活用を検討する

戦略人事が失敗する理由や成功させるコツに加えて、企業の事例を参考にし、戦略人事の成功を実現してください。

戦略人事を実現するタレントマネジメントの成功ポイント

本記事では、戦略人事について従来の人事との違いを踏まえながら解説しました。

戦略人事を実現するためには、人材のパフォーマンスを最大化するタレントマネジメントが重要となります。 そこで今回は、タレントマネジメントを成功させるために知っておくべきポイントを解説した資料をご用意しました。

多くの失敗事例から導き出した「成功させるための共通要素」について記載されています。タレントマネジメントを始める際の「第一歩」としてご覧ください。

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