
HubSpotとは、マーケティング・営業・カスタマーサクセスを1つの画面で完結できるオールインワン型CRMツールです。
このツールを導入することで、部門ごとに散在していた顧客データを一元化し、見込み客の獲得から商談化、さらにはサポート対応までをシームレスに連携できます。その結果、情報共有のロスや手作業によるミスが減り、リード育成の効率化や受注率の向上、顧客満足度の改善といった効果が期待できます。
ただし、HubSpotは機能が豊富な分、初期設計を誤ると「不要なデータで費用が増える」「ワークフローが乱立して属人化が再発する」といった課題が生じるリスクもあります。
そこで本記事では、HubSpotの基礎概念、5つのHubの役割、料金の考え方、導入を早めるメリット、運用設計の要点、よくある課題と対策など、実践に役立つポイントをまとめて解説します。
HubSpotの導入や活用方法にお悩みの方は、ぜひご一読ください。
目次
HubSpotとは?10年使ったマーケターが語る価値と魅力
HubSpotは、マーケティング・営業・カスタマーサクセスを同一データ基盤に統合し、部門横断でROIを高める“オールインワンCRMツール”です。
2006年のリリース以来、直感的なUIと継続的な機能強化を両立させながら進化を続け、今では世界135か国・24万社超が採用する「王道ツール」として定着しています。
参考:HubSpot(ハブスポット)|CRM・SFA・MA・CMSなどが一元化されたビジネスに最適なツールをご提供します
HubSpotが長年選ばれ続ける理由
HubSpotが定番となった最大の要因は、現場担当者がノーコードで成果物を作れる操作性と、経営層が意思決定に使えるデータの深さを同時に提供している点です。
ドラッグ&ドロップでLPやメールを作成できるため、導入直後から施策を走らせやすく、同じ画面で見積やチケットの進捗も確認できるため、部門間の情報連携が自然に生まれます。
さらに、生成AI「Breeze」に代表されるように、既存ユーザーが追加コストなしで恩恵を受けられる形で新機能が継ぎ足されるため、ツールが古くならない安心感があります。
オールインワンプラットフォームの全体像
HubSpotは複数のHubで構成されています。
- Marketing Hub:リード獲得・ナーチャリング
- Sales Hub:パイプライン管理・見積作成
- Service Hub:チケット対応・顧客ポータル
- CMS/Content Hub:Webサイト・コンテンツ運用
- Operations Hub:データ統合・自動化・データ品質管理
これらのHubは同じオブジェクト定義とタイムラインを共有しており、たとえば「資料請求メールを開封した顧客が商談化し、サポートチケットを発行するまで」のストーリーを1画面で追跡できます。
外部iPaaSを介さずに完結するため、データ連携の手間や二重管理のリスクが大幅に削減されます。
24.7万社が採用し続ける実績と安心感
同社の年次レポートによれば、HubSpotのユーザー数は2024年時点で24万7,000社を超え、売上は26億ドル規模に到達しました。スタートアップから上場企業まで幅広い導入事例が蓄積されているため、ツール選定時に参考になるナレッジが豊富です。
財務基盤が安定し、機能アップデートも計画的に提供されることから、長期運用を前提としたCRM採用でもベンダーリスクを抑えられる点が評価されています。
参考:HubSpot Reports Q4 and Full Year 2024 Results
HubSpotで一気に解決できる5つの組織課題
マーケティング・営業・カスタマーサクセスが別々のシステムや管理表に分かれていると、進捗共有や成果測定に“待ち時間”が生まれ、改善サイクルが鈍ります。
HubSpotは各部門が同じデータを同じ画面で扱えるため、現場の業務を止めずに情報共有が進み、組織全体の意思決定スピードが加速します。
ここでは、HubSpotが解決する4つの代表的な組織課題を紹介します。
1.マーケティング施策の属人化を解消
LPやメール、広告の実行環境とレポートが1つにまとまっており、施策の履歴と結果を「担当者に聞かないと分からない」という状況を解消します。
自動で残るタイムラインを見れば、誰でも過去のABテストやスコアリング変更を把握できるため、担当替えが起きてもノウハウが失われません。
2.営業パイプラインのブラックボックス化を解決
商談の進捗がGoogleスプレッドシートや個人管理のExcelに散らばっていると、最新状況を把握するのに毎回ヒアリングが必要になります。
HubSpotのパイプラインはカード形式でステージ変更が即時反映され、更新内容は自動で履歴に残るため、営業会議前に資料を手作業で作成する負担がなくなります。
結果として、商談遅延や停滞ポイントをリアルタイムで発見しやすくなり、管理職の介入タイミングも的確になります。
3.断片化した顧客データを一元化し、全履歴をひと目で把握
「資料請求フォームの情報はMAに、商談メモはSFAに、問い合わせ履歴はCSツールに」と分断されると、顧客の全体像を確認するだけで多くの画面を行き来する羽目になります。
HubSpotでは企業・担当者・取引・チケット・見積などが時系列のタイムラインに統合されており、マーケ起点のスコアと営業入力の受注確度、サポートチケットの履歴までワンクリックで遡れます。
データの“サイロ化”がなくなることで、セグメント精度とクロスセルの機会が大幅に向上します。
4.データ取り扱いリスクを低減し、内部統制を強化
HubSpotは各レコードの閲覧・編集・エクスポート操作を監査ログに自動記録し、ロール権限で閲覧範囲を細かく制御できます。
営業担当には自分の顧客だけを表示させ、管理者だけが全件を参照するといった運用が可能なため、情報漏えいや誤操作のリスクを大幅に低減できます。
また、ISO27001など国際的なセキュリティ認証を取得したデータセンターで運用されている点も、個人情報を扱う上で大きな安心材料となります。
5.レポート作成工数とヒューマンエラーを削減
レポートビルダーでKPIを選ぶだけでチャートが生成され、ダッシュボードに並びます。
CSVをダウンロードし、表計算ソフトで加工して貼り込むといった手作業が不要になるため、報告書作成に費やしていた時間と転記ミスのリスクが大幅に下がります。
空いた工数を分析や次の施策立案に振り向けられる点が、現場だけでなく経営層からも高く評価されています。
組織課題を解決に導く要は、営業とマーケをつなぐ「共通指標」を設計できること
前章では、HubSpotがマーケティング・営業・CSに散在していたデータや業務フローをまとめ、進捗共有を加速させる点を確認しました。
こうした効果を現場で確実に引き出すカギになるのが、部門をまたいで“同じ物差し”で顧客を評価できる共通指標(プロパティとステージ)の整備です。以下では、その設計と運用方法を具体的に解説します。
MQL→SQL→商談→受注をワンテーブルで管理
Marketing Hubのスコアによって見込み顧客がMQLになった瞬間、リードはSales Hubのリストへ自動で移行し、SQLに昇格するとパイプラインに登録されます。
顧客や取引のステータスが単一テーブルで管理されるため、マーケティングの加点ロジックを営業側で再入力する必要がなく、ステージ遷移の履歴もリアルタイムで可視化されます。
自動ワークフローで案件の引き継ぎをルール化
ステージ変更をトリガーに、架電タスクや商談タスクを担当者へ自動割り当てすると「次の担当者に連絡が届いていなかった」というミスを防げます。
インサイドセールスがタスク完了ボタンを押せば、次のタスクがフィールドセールスへ自動で回る。そんな流れをあらかじめ設定しておくことで、担当者間の受け渡しに伴う待機時間がなくなり、商談化までのリードタイムが短縮します。
ダッシュボードで共通KPIを即共有
MQL数、架電完了率、商談化率、受注率といった主要指標をダッシュボードで横並びに表示すれば、全員が同じ数字を基に議論できます。
部門ごとに資料を作り直す負担がなくなり、会議の時間を施策立案に集中させることが可能です。
リード評価の具体例を共有し基準を統一
ページ閲覧やメールクリックなどの行動に加え、業種や従業員規模といった属性を組み合わせてスコアを付けることで、案件の温度感を数値で把握できます。
「セミナー参加」と「従業員100名以上」の条件を満たせば加点する、といった具体例を共有テンプレートにしておけば、担当者が変わっても評価基準がぶれません。
HubSpotを構成するのは5つの機能モジュール「Hub」
前章までに挙げた「情報の分断」「属人化」「可視化不足」といった課題を、HubSpotが1つのツールで解決できる理由は、機能が5つの「Hub」に整理され、同じデータ基盤で連携しているからです。
本章では、その5つのHubがどのように役割分担しながら連動し、部門横断の業務を支えているかをご説明します。
1.Marketing Hub — リード獲得から育成までを一貫管理
フォームやランディングページ、広告、メール配信を同じワークスペースで作成・運用できるため、見込み客の獲得からナーチャリングまでをシームレスに実行できます。
成果はリアルタイムでレポート化されるので、施策の改善サイクルを短縮できます。
2.Sales Hub — 商談進捗と顧客コミュニケーションを一本化
案件カードをステージ移動するだけで進捗が全社に共有され、見積や電子署名も同じ画面で完結します。
システムが次のアクションを自動で提示してくれるため、タスク漏れを防ぎ、営業チームの生産性を高められます。
3.CMS Hub — 非エンジニアでも更新しやすいWebサイト基盤
ブロックエディタでページを組み立てながら、SEO推奨やパーソナライズ設定も行えます。
テンプレートとモジュールを集中管理できるため、複数担当者が触ってもブランドトーンが保たれ、開発者は同じ環境でカスタム要件を追加できます。
4.Service Hub— 顧客サポートと満足度向上を体系化
問い合わせをチケットとして一元管理し、優先度や回答期限を設定して対応漏れを防ぎます。
セルフサービス用のポータルを公開すると、顧客自身が進行状況を確認できるため、サポート負荷が軽減します。満足度アンケートも自動で蓄積され、改善活動に即活かせます。
5.Operations Hub — データ同期と業務自動化を担い全体を下支え
外部アプリとの双方向同期をノーコードで設定でき、重複排除やデータ整形も同じ画面で行えます。
加えてカスタムコードアクションを組み込めるため、特殊なビジネスロジックも内製で実装可能です。
各Hubに散らばるデータを一元化し、システム連携の手間とコストを大幅に削減します。
その他便利な機能も豊富
HubSpotには5つのHub以外にも、“あると効果が一段上がる”補助機能が豊富にそろっています。
実装の手間をかけずに導入できるものばかりですので、基本機能に慣れてきた段階でぜひ活用してみてください。
1.チャットボットとライブチャットで即時対応を強化
Webサイトにウィジェットを設置するだけで、チャットボットによる一次対応とオペレーターによるライブチャットを切り替えられます。
質問内容は自動でCRMのタイムラインに記録されるため、マーケティングや営業が後追いでコンタクト履歴を確認し、最適なフォローを行うことが可能です。
2.支払いリンクでオンライン決済を簡単にスタート
あらかじめ商品やサービスのプランを登録しておけば、ノーコードで決済リンクを生成できます。
リンクはメールやチャットで共有でき、顧客はブラウザ上でクレジットカード決済を完了できます。
受注から請求までのフローがHubSpot内に収まるため、小規模の有料セミナーやスポットサービスの販売に最適です。
3.カスタムオブジェクトで業界特有のデータを格納
標準の「会社」「取引」「チケット」だけでは表現しにくい情報を持つ場合は、カスタムオブジェクトが役立ちます。
たとえば「物件」「製品ライセンス」「保守契約」といった業界特有の単位を独自オブジェクトとして登録し、他オブジェクトと関連付けることで、外部データベースを用意せずに一元管理が行えます。
使いやすいと感じるUI/UXと、実践的な4つのポイント
HubSpotが長期利用でも評価を落とさない理由のひとつは、学習コストの低さとカスタマイズ余地が両立している設計にあります。
ここでは実際の運用経験から、とくに効果を感じたUI/UXの特徴と、活用時に押さえておきたいポイントを解説します。
1.LPをすばやく公開できるページビルダー
ランディングページは「要素をドラッグして並べる → 画像やテキストを差し替える → 公開ボタンを押す」という流れで、HTMLを書かなくても制作できます。
公開後にレイアウトを微調整してもURLが変わらないため、広告やメールのリンクを修正する必要がなく、テストの回転数を高められます。
2.テンプレートとモジュールでブランド統一をキープ
ヘッダーやCTAボタンなど共通パーツをモジュール化し、テンプレートとして保存しておくと、複数の担当者がページを更新してもデザインの一貫性が保たれます。
テンプレートはバージョン管理されるので、デザインガイドラインが改訂されたときも一括で反映でき、手戻りを防げます。
3.フォーム+ワークフローで細かな条件分岐を実装
資料請求フォームに入力された業種や従業員規模に応じて、自動返信メールや担当者への通知内容を変えられます。
条件は視覚的なフローチャート上で設定でき、複雑な分岐でも全体像を把握しやすい構造です。テストモードで入力例を流し込み、動作を確認してから本番反映できるので安心です。
4.ノーコードとコード編集の切り替えで発展性を確保
標準機能に行き詰まった場合は、同じ画面からコードエディタに切り替え、HTMLやHubL(HubSpotのテンプレート言語)を加筆できます。
マーケターはノーコード部分を維持しつつ、開発者が必要箇所だけをカスタマイズする運用が可能なため、チームのスキル差に応じて柔軟に役割分担できます。
料金は主に、選択するHub×機能レベル×マーケティングコンタクト数の3要素で決まる
HubSpotの月額費用は主に、以下の3つの要素の組み合わせで決まります
- どのHubを契約するか
- そのHubをどの機能レベル(Starter/Professional/Enterprise)で利用するか
- メール配信などを行うマーケティングコンタクト数を何件に設定するか
1.解決したい課題からHubを選ぶ
まずは自社の課題に直結する領域に絞ってHubを選びます。たとえば「リード獲得と育成を強化したい」ならMarketing Hub、「営業案件を可視化したい」ならSales Hubだけでスタートする方法が王道です。
必要最低限から始め、運用に慣れてから他Hubを段階追加すると投資対効果がぶれません。
2.機能レベルで深さを選択する
各HubにはStarter・Professional・Enterpriseの3段階があります。
Starterは自動化やレポート機能をライトに試せる入門層、ProfessionalはABテストや高度なワークフローが使える中核層、EnterpriseはSSO連携やサンドボックスなど大規模運用向けの管理機能を備えた最上位層という位置づけです。
チームの体制や求めるガバナンスの深さと照らし合わせ、段階を決めると失敗が少なくなります。
3.マーケティングコンタクト数を決める
マーケティングコンタクトは、メール送信などのマーケティング対象となるコンタクトのことです。
このマーケティングコンタクトの数が1,000件につき6,000円の追加費用が発生します。
キャンペーンで急にリードが増えると次の価格帯へ到達することがあるため、ダッシュボードで月次推移を確認し、上限が近づいたら不要コンタクトを整理してコストを抑えましょう。
マーケティング対象を厳選することでコストを抑えることができる
メール配信や広告対象に含めないコンタクトは「非マーケティング対象」に設定できます。
成約済みで追加提案予定のない顧客やテスト用アカウントを対象外にするだけで、その分のコンタクト料金が翌月から発生しなくなります。
月末に非アクティブなコンタクトを見直すフローを組むと、費用の膨張を防げます。
<補足>外部連携などで追加費用が発生するケースもあるので見積もりはしましょう
標準機能にないキャンペーン管理やレポート拡張を追加する場合はアドオン費用が上乗せされます。また、大量のAPIコールが必要な外部連携を組む場合は追加トークンの購入が必要になることがあります。
導入前に「どこまでが標準で、どこからが追加費用か」を洗い出し、見積もり段階で細部を確認しておくと安心です。
導入は早いほうがベター。遅らせるほどROI機会を逃す
HubSpotは使い始めた時点からデータがたまり、部門連携が進みます。早く導入した企業ほど学習コストを吸収しやすく、改善サイクルを何周も回せるため、投資対効果が時間とともに雪だるま式に伸びる点が特徴です。
ここでは、早期導入がもたらす具体的な利点と、リスクを抑えて始める手順をご紹介します。
システム分断を解消した企業は成果の複利効果を先取りできる
複数ツールを寄せ集めた環境では、CSVの受け渡しや手動連携が発生し、その分だけ確認作業や二重入力が増えます。
HubSpotを早く導入し、一つのデータ基盤にまとめてしまえば、手戻りや連絡待ちの時間が削減されます。
空いた工数を分析や施策立案に回せるため、改善サイクルが増え、数字の伸び幅も拡大しやすくなります。
寄せ集めツールはメンテナンス負荷が年々増える
フォーム、CRM、メール配信、広告管理を別々に運営すると、APIの仕様変更やバージョンアップのたびに修正作業が発生します。担当者が異動・退職すればノウハウが失われ、ブラックボックス化のリスクが高まります。
HubSpotに集約するとアップデートはベンダー側で完了し、運用チームは機能追加分を使いこなすだけで済みます。
スモールスタートから段階的に拡張する手順を推奨
CRMツール未経験者であれば、最初はMarketing HubのStarterと1,000件のマーケティングコンタクトだけで始め、フォームとメール配信を稼働させるなど、スモールスタートの方法がおすすめです。
運用が安定した段階でProfessionalへアップグレードし、A/Bテストや高度なワークフローを追加します。
営業管理を強化したくなったタイミングでSales Hubを契約すると、過剰投資を避けつつ機能を拡張できます。
HubSpot運用を成功させる重要ポイント5選
HubSpotを導入するとデータは自動で蓄積されますが、基盤設計が曖昧だと後から修正コストが跳ね上がります。
初期段階でこれから紹介する5点を押さえておくと、運用エラーと調整工数を最小限に抑えつつ、改善サイクルを安定して回せます。
1.プロパティ(項目名)を統一する
会社名・企業名・社名のように表記ゆれが起きやすい項目は、必ず一つのプロパティに集約し、命名ルールをドキュメント化します。
入力フォームやインポートファイルでも同じ名称を使うと、後工程での名寄せ作業がほぼ不要になり、レポートの精度も担保できます。
2.プロパティは必要最小限から追加する
項目を増やし過ぎると入力漏れや重複が起こりやすくなります。
最初は施策転換に不可欠な情報だけを登録し、分析で不足を感じたタイミングで段階的に追加すると、データ構造が肥大化せず管理が容易です。
ワークフローは命名+フォルダで整理する
自動化ルールは「目的_対象_日付」のように命名し、用途別フォルダに分類すると全体像を把握しやすくなります。
条件変更や修正依頼が発生した際に担当者が探し回る手間がなくなり、誤作動による二重配信やダブルスコアリングも防止できます。
利用者に必要最小限の権限を付与する
営業・マーケティング・カスタマーサクセスなど職種ごとに必要最小限のアクセス権を割り当てると、誤操作や情報漏えいのリスクが大幅に減ります。
新規メンバーが加わるたびに個別設定を行うのではなく、ロールテンプレートを編集して一括反映する運用が効率的です。
変更履歴を監査ログで可視化する
プロパティ追加やワークフロー改修などの変更履歴を監査ログで定期的に確認し、意図しない更新がないかをチェックします。
誰が何を変更したかが追跡できる状態にしておけば、トラブル発生時の原因特定が速く、復旧もスムーズです。
導入で不安を感じたら専門パートナーへ相談するのも一手
HubSpotは直感的なUIが魅力ですが、「自分たちだけで初期設定や運用を軌道に乗せられるだろうか」と不安に感じる方も少なくありません。
その場合は、公認パートナー企業の支援を受けることで、立ち上げ工数と学習コストを大幅に削減できます。
初期設定とトレーニングをまるごと任せる
アカウント開設からプロパティ設計、ワークフロー構築、権限ロールの設定までを専門チームが代行し、運用担当者向けに操作トレーニングを実施します。
「最初のハードル」をプロが取り除くことで、社内メンバーは施策立案に集中できます。
導入後の運用伴走と改善提案を受ける
設定が完了した後も、レポートの読み解き方やワークフローの最適化、メールやLPのABテスト設計などを伴走支援してもらえます。
定例ミーティングでKPIを確認しながら改善策を提案してもらえるため、効果検証のサイクルを止めずに回せます。
他ツール連携や独自データベース統合までカバー
基幹システムやEC、MAツールといった外部サービスとの連携、あるいは自社内にある独自データベースの同期など、技術的にハードルが高い作業もサポート対象です。
API設計やカスタムオブジェクトの設定まで丸ごと任せられるため、連携トラブルによる業務停滞を避けられます。
不安があれば、ご気軽にお問い合わせください
弊社グループ会社の「アンドデジタル株式会社」は、日本で数少ないHubSpotプラチナパートナーとして、初期導入支援から運用伴走、外部システム連携まで幅広いサポートを提供しています。
はじめてのCRM導入や他ツールからの乗り換えに不安をお持ちの方は、ぜひお気軽にご相談ください。
よくある課題と対策4つ
HubSpotは設計どおりに運用すれば高い投資対効果が得られますが、初期設定を誤ると費用や工数が想定以上に膨らむことがあります。
ここでは、導入企業がつまずきやすい四つの落とし穴と、その具体的な回避策をご紹介します。
1.マーケティングコンタクト急増による費用の跳ね上がり
広告キャンペーンやウェビナーを同時並行で走らせると、想定より早くコンタクト数が次の料金階段に到達してしまうことがあります。
月次レポートでコンタクトの伸びを確認し、成約済みや重複のリードを定期的に「非マーケティング」へ切り替える運用をルール化すると、コストの急騰を抑えられます。
2.ワークフロー乱立による属人化の再発
担当者が自由に自動化ルールを作成すると、似たようなワークフローが複数できるケースがあります。
命名規則とフォルダ構成を事前に定義し、作成権限を管理者かリーダーに限定すると、重複ルールの発生や誤作動による二重配信を防げます。
3.データ移行時の重複レコード爆発
複数のExcelや旧CRMからデータを取り込む際、フィールド名の相違や文字コードの違いで重複が大量発生することがあります。
移行前に「会社名」「担当者名」など主要プロパティを正規化し、サンドボックス環境でテストインポートを行うと、本番移行後のクレンジング工数を大幅に削減できます。
4.権限設計不足で情報漏えいリスクが高まる
「とりあえず全員にフルアクセス」を続けると、見積書の単価や顧客の個人情報が不用意に共有される危険性があります。
部門ごとに閲覧・編集範囲を最小特権で設計し、役職変更や異動のたびにロールを見直すフローを組み込むことで、内部統制を保ったまま運用できます。
まとめ
本記事では、HubSpotの基本概念、解決できる5つの組織課題、5つのHubの役割と連携、使いやすいUI/UXの実践ポイント、料金体系と最適化の考え方、導入を早めるメリット、運用を成功させる重要ポイント、よくある課題と対策を紹介しました。
HubSpotは、マーケティング・営業・カスタマーサクセスを1つのデータ基盤に統合できるCRM/CMSプラットフォームです。部門横断で顧客データを共有しながら、見込み客の獲得から商談化、顧客サポートまでを同じ画面で行えるため、情報分断や属人化によるロスを大幅に削減できます。
また、フォームやメールをドラッグ&ドロップで作成できる直感的なUIと、権限ロールや監査ログによるセキュリティ体制を両立している点も大きな利点です。
Starter・Professional・Enterpriseという機能段階とマーケティングコンタクト数の組み合わせで月額が決まるため、必要最低限からスモールスタートし、成果に応じて段階拡張することがコスト最適化の鍵になります。
ただし、プロパティ命名規則の統一やワークフローの整理、最小特権の権限設計といった「初期設計の精度」が成果を左右する点には注意が必要です。
導入前にデータ構造と運用ルールを固め、導入後は非アプローチ先を「非マーケティング」に切り替えるなど、定期的なメンテナンスを行うことで投資対効果を長期的に高められます。
自社のマーケティングと営業を一体運用し、データドリブンな意思決定をスピーディに回したい方は、HubSpotの導入を早めに検討してみてはいかがでしょうか。
コメント