広告を自社で利用した経験が少ないと、広告がどの程度売上アップにつながっているのかを実感するのは難しいです。中には「本当に広告って効果があるの?」と考えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
広告にはちゃんと自社利益につながる効果があります。しかし、広告ごとに、直接売上に貢献するものや認知を高めるものなど得意とする効果領域が異なります。まずは何を目的に広告を使いたいのか、広告を始める前に確認しましょう。
今回は広告効果とはどういうものなのか解説します。合わせてその測定方法や広告ごとの特徴についても説明していきます。
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広告には大きく3種類の効果がある
広告効果は以下の3つに分類することができます。ここでは一般的な分類に分けて説明します
- 接触効果
- 心理効果
- 売上効果
1.接触効果――商品について知ってもらう
広告を通して、商品やサービスの認知度を高める効果です。新商品などは商品が知られていないので、多くの人に商品を知ってもらう必要があります。とにかく商品やサービスの認知度を高めたいという場合は、この効果につながりやすい広告を中心に出稿していきます。
2. 心理効果――商品について理解してもらう
自社商品に対しての理解度を高め、商品・サービスへの好感を育む効果です。
実際に購入につなげていくためには、商品をもっと理解してもらわなければなりません。広告を通して、商品の魅力を伝えていきたい場合は、ユーザーから評価される広告の出稿が望ましいです。
3.売上効果――商品を購入して(行動を起こして)もらう
広告をトリガーに購買意欲を掻き立て、購入してもらいます。広告認知度・理解度が高まったら、直接的な売上アップにつなげましょう。BtoB商材のような高単価なものを扱う場合は、資料請求などの行動喚起がここに分類されるでしょう。
広告効果は、自社利益への貢献度合いを可視化する
広告効果を一言で説明すると、自社利益に対しての広告の貢献度合を可視化します。
広告を掲載した結果、どの程度売上を伸ばしたかなど、具体的なデータの変化をみます。広告を始めた後に売上や会員登録の数値などが増えていればその広告に効果があるといえ、その増加率が大きいほど効果が高い広告と判断できます。
世の中には数多くの広告がありますが、どの広告も効果測定が可能です。それゆえ、広告にどんな効果があるかを把握しておくことがとても重要です。また、広告の種類によって測定のしやすさや測定可能な範囲は変わってくるので、こちらもあわせて確認しておきましょう。
広告の種類によって測定方法や難易度が異なる
現代では多様な広告手法がありますが、それぞれ広告効果の測定方法や難易度が大きく異なります。テレビCMや新聞などの「マス広告」と呼ばれる広告は特に測定が難しいです。
ここでは2018年の「日本の広告費」から媒体別上位5つを紹介します。テレビCM、新聞、ラジオ、雑誌、インターネット広告に分けて、それぞれの広告の特徴や効果と、効果測定の方法について解説していきます。
参考:2018年 日本の広告費|媒体別広告費 – ナレッジ&データ – 電通
テレビCM
テレビCMの主な効果は「認知アップ」「ブランディング」です。テレビCMは幅広い層に向けて自社の魅力をアピールできるので、多くの人の記憶に残ります。また、テレビCMは商品・サービスのイメージを左右するので、ブランディングにも影響が大きいです。
テレビCMの効果を測定する方法
テレビCMの効果測定には「GRP」「GAP」という指標を用います。
- GRP
- GAP
GRPは「Gross Rating Point(延べ視聴率)」の略称です。テレビCM放映時の毎分の世帯視聴率をすべて足して計算します。GRPをもとに「どの程度のユーザーに広告が届くか」を試算します。
GAPは「Gross Attention Point(延べ注視量)」の略称です。
先に挙げたGRPは「ターゲット層が特定できない」「本当に見ていたかわからない」という課題がありました。GAPではセンサーカメラを導入して個人が識別できますし、実際に画面を見ているのか注視度合いまで測れます。
詳しい測定方法については以下を参考にしてください。
参考:テレビCMで見込める効果とは?効果測定の指標「GRP」についても解説
またテレビCMを見て問い合わせをしてきたユーザー数を収集しておきましょう。テレビCMをはじめとしたマス広告の場合、電話を介した問い合わせも多いので、どの広告媒体からの問い合わせか判別できるような工夫が必要です。例えば広告媒体に合わせて問い合わせの電話番号を変更するなどの方法があります。
新聞広告
新聞に掲載する広告のことです。「営業広告」「案内広告」「記事広告」など種類があります。
メディアの中でも特に歴史が古く、購読している方も新聞に対しての信頼度が高いので、ユーザーからの信頼につながりやすいです。また単純に購読者数が多い点や中年者以上のユーザーにも訴求できる点が メリットとして挙げられます。
新聞の効果を測定する方法
新聞の広告効果は「CPR」「CPO」という指標を用いるのが一般的です。
- CPR
- CPO
CPRは「Cost Per Response」の略称で、サンプルの申し込みや会員登録などの問い合わせといったレスポンスへの単価を意味します。「コスト÷レスポンス件数」という式で求めることができます。
CPOは「Cost per Order」の略称です。受注1件あたりの単価を意味し、「コスト÷受注件数」という計算式で求めることができます。
新聞の広告効果を詳細まで把握するためには「J-MONITOR」を利用しましょう。新聞広告の調査プラットフォームで、効果測定のためのデータを公表しています。出稿後の効果測定もこのプラットフォーム上で行うことができます。
参考:J-MONITOR – 新聞広告共通調査プラットフォーム –
ラジオCM
ラジオCMとはその名の通り、ラジオで流れるCMを指します。
時間帯や番組のリスナー層からターゲティングしやすく、ターゲットにピンポイントで訴求したいという場合に有効な手法です。新聞と同様に社会的な信頼度が高く、かつ地域に密着した販促などにも効果があります。費用対効果が高く、他の広告との相性も良いので、テレビCMやインターネット広告と合わせて利用するケースが増えてきています。
ラジオの効果を測定する方法
ラジオは「聴取率」を指標として効果を測定していきます。聴取率とはテレビでいうところの視聴率のような指標です。視聴率は世帯単位で確認していきますが、聴取率は個人単位で測定していきます。
この聴取率をもとに、テレビCM同様GRPを測ることができます。
参考:ラジオ個人聴取率調査データのご紹介(首都圏) | ビデオリサーチ
第2話 広告メディアと広告効果測定の話:視聴率と広告効果調査 | ROI+ ロアプラス
雑誌広告
雑誌広告は特定の雑誌に出稿する広告手法です。自社商品と親和性の高い雑誌を選ぶことができるので、ターゲティングの精度が高いです。また、ブランディングや直接的な売上アップに効果があります。
商品と近しいジャンルに関心があるユーザーに向けてアプローチできる点は大きなメリットの1つです。また、雑誌などは読み返すことができるので、ユーザーに対して何度も商品の訴求をすることができます。
雑誌の効果を測定する方法
雑誌は販売部数などをもとに、リーチ数を試算することができます。
しかし、雑誌広告は具体的な効果指標データを獲得するのが難しいです。雑誌広告の効果測定に関する指標不足を解決するために行っている雑誌広告効果測定調査「M-VALUE」などを参考にすると良いでしょう。
参考:雑誌広告効果測定調査 M-VALUE | ビデオリサーチ
インターネット広告
インターネット広告は広告手法が多く、求める効果に合わせて広告を使い分けることができます。すべての広告の中でもっとも効果測定に優れ、改善がしやすいという特徴があります。
インターネット広告が利用され始めた当初は、「ユーザーに行動を起こしてもらうための広告」という立ち位置でした。広告に接触することで自社サイトへの誘導(トラフィック効果)や、商品の購入・会員登録などの最終的な行動へとつなげる効果(コンバージョン効果)などに期待が集まっていました。
しかし、インターネット広告の発展とネットユーザーの増加によって、もともとマス広告の領域だと考えられていた「認知」「ブランディング」などの効果(インプレッション効果)にも期待されるようになります。現代においてインターネット広告はオールマイティな活躍ができる広告として知られています。
インターネット広告の種類について詳しく知りたい方は以下のページをご覧ください。
インターネット広告の効果を測定する方法
インターネット広告の効果を測定するための指標は非常に多いですが、下記の3つの指標を押さえておけば、ほぼ問題ありません。
- インプレッション(Imp)
- クリック率(CTR)
- コンバージョン率(CVR)
広告が表示された回数を示す値です。認知を広げていくためには、とにかく多くの人の目に触れなければなりません。インプレッションは認知に効果がある広告として機能しているかを測定する際に欠かせない指標です。
クリック率とは、広告がクリックされた割合を示す指標を指します。サイトへの誘導など、トラフィック効果を測るうえで欠かせないデータです。
クリック率は「(クリック数÷Imp)×100」で算出することができます。
コンバージョン率とは、広告を通して「商品の購入」「資料請求」など、広告出稿における最終的な成果(コンバージョン)がどの程度達成されたかを示す指標です。
コンバージョン率は「(CV数÷セッション数)×100」で算出することができます。
また、インターネット広告は3種類の広告効果をすべて測定できます。アトリビューションモデルという分析手法を使えば、どのインターネット広告がどのように貢献したのか(サービス認知に貢献したのか、複数の広告経由で売上に貢献したのかなど)がわかります。
参考:アトリビューションモデルとは?その種類と分析方法について解説
まずは効果測定しやすく成果もでやすいインターネット広告の利用がおすすめ
広告を始める際は種類が多いため選定に迷ってしまいますが、初めて広告を出稿するのであれば、インターネット広告の利用をおすすめします。
インターネット広告はマス広告と比べて効果測定が容易です。例えばGoogleが提供するGoogleアナリティクスを利用して、無料で広告の効果を計測することができます。
参考:Googleアナリティクスで広告の効果を測定する方法【マスター必須!】
有料の計測ツールを使えば複数の広告を一括管理して効率化が可能なので、広告の分析にかかる時間を圧縮できます。またコンバージョンまでのユーザーの行動パターンも分析できるので、より詳細な効果測定ができます
参考:広告効果測定ツールの選び方とは?プロが選ぶおすすめツール7種比較
このようにインターネット広告は効果測定がしやすいので、効果を実感しやすいです。費用の調整もしやすく、ものによっては安価ではじめることできます。
もちろん、マス広告もおろそかにすべきではありません。多くの人に接触できることは間違いなく、地域や広告を届けたい人によってはインターネットよりテレビやラジオの方が効果的なケースも少なくありません。
まず最初はインターネット広告を中心に活用し、着実に売上を伸ばしながら効果検証のキモをつかんでいきましょう。その経験がマス広告でも活用できるはずです。
まとめ
広告の効果と各広告の効果測定の方法を解説しました。
広告効果は3つに分類することができ、広告を出稿する際はそれぞれに向いた広告を選びましょう。
広告にはテレビCM、新聞広告、ラジオCM、雑誌、インターネット広告は特によく知られている広告手法ですが、インターネット広告以外は効果測定が難しいです。
広告は効果測定を行い、PDCAを回して最適化を図る必要があります。そのため、広告の出稿経験が少ない方はインターネット広告への出稿から始めるのが安全です。
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