CTV広告とは?テレビ×デジタルで成果を最大化する最新広告手法

KW:CTV広告

CTV広告とは、インターネットに接続されたテレビデバイス上で配信されるアドレッサブルな動画広告のことです。

この手法を活用すると、大画面ならではの高い視認性と没入感を得ながら、世帯属性や視聴履歴に基づく精密なターゲティングを行い、ブランド認知から購買促進まで一貫して成果を引き上げられます。

一方で、在庫品質のばらつきや計測指標の統一不足、ブランドセーフティ対策、プライバシー規制への対応など、導入前に押さえるべき課題も存在します。

そこで本記事では、CTVの基礎概念から注目度が高まる背景、メリットとデメリット、代表的な広告フォーマット、効果測定指標、導入ステップまでを網羅的に解説します。

テレビ×デジタルの相乗効果を追求したいマーケターの方は、ぜひ最後までご一読ください。

目次


そもそもCTV(コネクテッドTV)とは

CTV(コネクテッドTV)とは「インターネットに常時接続されたテレビデバイスを介して、IPベースの動画コンテンツを視聴できる環境全般」を指します。

スマートテレビ本体はもちろん、Amazon Fire TV StickやApple TV、Chromecast、さらにはPlayStationやXboxといった据え置き型ゲーム機も“テレビをオンライン化する端末”としてCTVの一部に含まれます。

従来の地上波・BS/CS放送が放送電波を一方向に送る仕組みだったのに対し、CTVは双方向通信が前提です。

視聴者はオンデマンドで動画を選び、広告主は接続されたデバイスIDや視聴ログをもとに細かくターゲティングできます。

この「テレビの大画面リーチ」と「デジタル広告のきめ細かなデータ活用」を同時にかなえる点こそ、CTVが近年マーケターの注目を集める最大の理由です。

さらに 5G/10Gbps光回線の普及や、サブスクリプション型ストリーミングサービスの定着が後押しし、家庭内の“テレビ=オンラインメディア”という認識が急速に広がっています。


CTV広告とは

CTV広告とは「インターネットに常時接続されたテレビデバイス上で配信されるアドレッサブルな動画広告」であり、放送型テレビCMの圧倒的リーチ力と運用型デジタル広告の精緻なターゲティング・計測機能を両立させたハイブリッド手法です。

スマートテレビやFire TV Stick、Apple TV、ゲーム機などが家庭のテレビをオンライン化し、視聴ログやデバイスIDを用いた世帯単位のセグメンテーションを可能にしました。

これにより広告主は、「テレビ画面ならではの高没入感」と「視聴者属性や興味関心に基づく配信最適化」を同時に実現できます。

具体的には、YouTubeやTVer、HuluなどOTTサービスのテレビ視聴面に挿入されるプレロール動画、番組間で挿入される 1秒・3秒スポット、さらにオーバーレイやショッパブル機能を備えたインタラクティブフォーマットなどが代表例です。

買付はプログラマティック保証やPMP、オープンオークションなど複数モデルが存在し、広告配信面の透明性とレポーティング精度はデジタル広告水準にまで高まっています。

KPIにはインプレッション数・視聴完了率・CPVに加え、ブランドリフト調査やオフライン売上とのリフト計測が用いられ、テレビ広告投資のROASを可視化しやすくなりました。

このようにCTV広告は、リビングの大画面という“プレミアム枠”を活かしながらデータドリブンな運用を行えるため、ブランド認知から購買促進までフルファネルで活用できる次世代の動画広告手段として急速に普及しています。


CTVが注目される背景にある3つの要因

リビングのテレビがインターネットと常時接続されたことで視聴体験と広告配信の境界が曖昧になり、CTVは「テレビの大画面リーチ」と「データドリブン運用」を両立できる媒体として急速に存在感を高めています。

ここでは注目度を押し上げる3つの要因を紹介します。

1.視聴者行動の変化と動画視聴時間シフト

テレビ番組のリアルタイム視聴からオンデマンド視聴へ移行が進み、従来の番組枠買いだけでは捉えきれないターゲット層が拡大しています。

  • 20〜49歳では週あたりのCTV視聴時間が地上波実視聴時間を上回ったという調査結果がある
  • 仕事終わりや深夜など個人の余暇時間が視聴ピークとなり、生活者インサイトが細分化
  • 視聴者が自発的にコンテンツを選ぶため、広告はパーソナライズされたメッセージでないとスキップされやすい

2.広告主の投資再配分とメディアミックス最適化

CTVはブランド認知と獲得両方のKPIを一つの画面で計測できるため、テレビ予算とデジタル予算のハイブリッド投資先として採用が拡大しています。

  • 世界的に動画広告予算の約三割がCTV・OTTに配分されたというレポートが公表されている
  • ブランドリフトとオンラインCVを同じダッシュボードで可視化できるため、経営層への説明が容易
  • 既存テレビCM素材を転用しABテストを高速で回せるのでクリエイティブコストを抑制できる

参考:メディアミックスの成功例5つと成功するためのポイント、注意点を解説|LISKUL

3.インフラ整備とプログラマティック技術の成熟

高速通信網の普及とストリーミング端末の低価格化、そして広告配信プラットフォームの進化がCTV導入の障壁を下げています。

  • SSPやDSPがCTV専用スロットを提供し、プログラマティック保証やPMPで在庫品質を担保
  • 自動コンテンツ認識(ACR)やスマートリモコンログなどテレビ特有のデータでオーディエンス拡充が可能
  • IAB Tech LabのOpenRTBやVAST4.x・OMSDK(Open Measurement SDK)対応が進み、ビューアビリティとブランドセーフティを確保しやすい

これら3つの要因が重なり合い、CTVは「テレビ予算のデジタル化」と「動画広告の最終フロンティア」を担う媒体として国内外のマーケターから注目を集めています。

参考:DSP広告とは?仕組みからおすすめサービスの比較までわかりやすく解説|LISKUL


CTV広告のメリット4つ

CTV広告は「テレビCMの大画面による高インパクト」と「デジタル広告の精密ターゲティング・効果計測」を一つの枠内で実現できるため、ブランド認知から購買促進までフルファネルでROIを最大化できるなどの強みがあります。

以下では代表的なメリットを4つ紹介します。

1.大画面×高没入リーチでブランド想起を強化

家庭のリビングというリラックス環境で再生されるため、視覚的インパクトと記憶定着効果が高く、動画完視聴率もモバイルより優位に出やすい傾向があります。

  • 平均視聴完了率はモバイル動画広告より約15〜20ポイント高いという海外調査結果がある
  • 「ながら視聴」が前提のスマホと違い、スクリーン占有率100%のため広告への集中度が高い
  • テレビCM用に制作した30秒クリエイティブを流用でき、制作コストを抑えつつリーチを拡大できる

2.データドリブンターゲティングで無駄打ちを削減

視聴ログやデバイスIDを用いた世帯属性セグメントにより、従来の“番組枠買い”よりも細かな配信が可能です。

  • 年齢・性別・世帯年収などの基本属性に加え、ACRデータを活用したコンテンツ嗜好セグメントも設定可能
  • CRMデータや購買データをマッチさせたリタゲ配信で、テレビ画面からオンラインCVを直接狙える
  • 類似オーディエンス拡張機能を使えば、購買確度の高い世帯へ効率的にリーチできる

3.計測・最適化がテレビ広告のROIを可視化

プログラマティック配信と統合ダッシュボードにより、テレビCMでは難しかった細粒度の効果測定が可能になっています。

  • インプレッション、視聴完了率、CPVなどの動画KPIをリアルタイムで確認
  • ブランドリフト調査を同一面上で実施でき、認知向上効果を数値化
  • オフライン売上データやPOSデータと突合してインクリメンタルリフトを検証できる

4.柔軟な買付・運用でコスト効率を向上

保証型・PMP・オープンオークションと複数の買付モデルが選べるため、目的や予算規模に合わせた運用が可能です。

  • インプレッション保証のプログラマティック保証を使えば在庫品質とリーチを担保しやすい
  • 月額数十万円規模からテスト出稿できるため、中堅企業や地方企業でも導入ハードルが低い
  • ABテストで高パフォーマンスなクリエイティブを継続配信し、視聴単価を最適化できる

これらのメリットを踏まえると、CTV広告は「テレビのブランド力」と「デジタルの運用力」を同時に欲するマーケターにとって欠かせない選択肢となりつつあります。

次章では、導入時に注意すべきデメリットや課題を紹介します。


CTV広告のデメリットや課題4つ

CTVは大画面リーチとデータドリブン運用を両立できる一方で、導入前に把握すべき制約や運用リスクも存在します。

ここでは代表的な課題を4つ紹介します。

1.在庫・配信面の品質ばらつき

CTVの広告在庫はプラットフォームやアプリごとに品質が大きく異なり、視聴シチュエーションも多様です。

そのため「視聴完了率は高いがブランドセーフな面が少ない」「在庫が不足してリーチを取り切れない」といった悩みが生じがちです。

  • ロングテール系アプリでは視聴頻度が低く、フリークエンシー管理が難しい
  • プレミアム在庫はプログラマティック保証が中心で入札競争が激化しやすい
  • ターゲティングを細かく設定し過ぎると想定リーチに届かないケースがある

2.計測指標の統一不足とクロスメディア比較の難しさ

CTVはデジタル広告に近いKPIを取得できるものの、地上波CMやモバイル動画と定義が揃っていない指標も多く、メディア横断でROIを正確に比較しづらい状況です。

  • 視聴完了率の閾値や視聴秒数の定義が事業者ごとに異なる
  • 重複リーチを正確に除外したユニークリーチ推計が難しい
  • ブランドリフト調査の設計がプラットフォームごとに違い、横串の分析に手間がかかる

3.ブランドセーフティと広告詐欺リスク

CTV面でも不正インベントリや視認性の低い枠が混在しており、ブランド保護の観点からフィルタリング体制を整える必要があります。

  • オープンオークション経由の在庫に無許可アプリや重複配信面が紛れるリスクがある
  • SPO(サプライパス最適化)を行わないと手数料の多重構造でCPMが高騰する
  • VASTビーコン改ざんによる無効インプレッションが報告されている

4.プライバシーと世帯単位データの同意管理

CTVはデバイスIDや家庭IPを用いたターゲティングが主流ですが、プライバシー規制の強化によりデータ取得・活用のハードルが上がっています。

  • EUや米州でプライバシー関連法が改正され、世帯レベルでもオプトアウトを容易にする流れが加速
  • ACRデータやスマートTVの操作ログの共有範囲を巡り、プラットフォーム間でガイドライン整備が進行中
  • クッキーレス同様、ID連携が制限されるとリタゲ施策の精度が低下する可能性がある

これらのデメリットは、「在庫品質を優先した買付戦略」「共通指標のマッピングとMMM活用」「認証済みサプライチェーンの選定」「同意管理プラットフォームの導入」などで緩和できますが、導入段階から体制を整えることが重要です。

次章では、こうした課題を踏まえつつ成果を最大化するためのフォーマット選定とクリエイティブ制作のポイントを解説します。


CTV広告のフォーマットとクリエイティブのポイント

CTV広告は「動画フォーマットの選び方」と「クリエイティブの作り込み」が配信成果を大きく左右します。ここでは代表的なフォーマットを整理したうえで、テレビ画面ならではの視聴環境を踏まえた制作・運用のコツを解説します。

インストリーム動画:プレロール・ミッドロール・ポストロール

オンデマンド番組や映画の再生タイミングに差し込まれる王道フォーマットです。番組視聴の流れを阻害しにくく、高い視聴完了率が期待できます。

  • プレロールは再生直前に配信されるため離脱率が低く、認知獲得やブランド想起向上に最適
  • ミッドロールはコンテンツ視聴熱が高い区間で挿入されるため視聴完了率が高いが、間延びしないテンポが重要
  • ポストロールはエンゲージメントが維持されにくいので、強いコールトゥアクションやオファー提示が効果的

インタラクティブオーバーレイ:選択式ボタンやQRコード連携

動画再生中にリモコン操作を促せるフォーマットで、テレビ画面からオンライン誘導を図れます。視聴者が“自分で選ぶ”体験を持つためエンゲージメント指標が高まりやすいのが特徴です。

  • 「詳しくはこちら」「店舗検索」などリモコンの左右ボタンで選択可能なUIを実装し、遷移先を最小化
  • QRコード併用でスマホへシームレスに誘導し、コンバージョンを補完
  • オーバーレイ表示のタイミングはラスト5秒など動画の山場直後に合わせるとクリック率が向上しやすい

ショッパブル動画:EC連携で購入までワンストップ

商品情報カードや価格テロップをオーバーレイ表示し、そのままカート追加や店舗在庫検索へ遷移させる“買える動画”です。リテールやD2Cブランドが活用を拡大しています。

  • SKUが多い場合は「ランキング上位三点」など表示商品を絞り、情報過多による離脱を防止
  • リモコン操作だけで完結しない場合は、必ずQRコードでスマホECに誘導して購入摩擦を削減
  • 動画冒頭に商品イメージを先出しすると視聴者の購買モードが高まりクリック率が上がる傾向

クリエイティブ制作・運用ベストプラクティス

テレビサイズの没入感と家庭視聴の文脈に合わせた演出が成果の分水嶺になります。以下のポイントを押さえてABテストを高速で回しましょう。

  • 5秒以内でブランドロゴとメインメッセージを提示して認知漏れを防ぐ
  • 縦型スマホ動画をそのまま流用せず、16:9フルHD以上でテキストは安全ゾーンに配置
  • 音声オフでも内容が伝わるよう字幕やモーショングラフィックスを活用
  • フリークエンシー上限を6〜8回程度に設定し、過度な接触によるブランド疲労を回避
  • リーチ重視とCV重視で尺とCTAを変えたクリエイティブを用意し、プログラマティック入札に合わせて自動最適化を実施

フォーマット選定とクリエイティブの工夫によって、CTV広告はブランド認知から購買促進まで高い効果を発揮します。次章では、これらのフォーマットを最大限に活かすための効果測定指標とKPI設計を解説します。


CTV広告の効果測定と主要KPI

CTV広告はテレビCMとデジタル広告のハイブリッドであるため、動画視聴データ・ブランド指標・行動データを横断した設計が欠かせません。この章では成果を定量化するうえで押さえておくべき代表的なKPIを4つのカテゴリに分けて紹介します。

1.動画視聴指標:アテンションを可視化

リーチ量だけでなく「どれだけ視聴されたか」を細かく追うことで、クリエイティブ改善や入札戦略に活かせます。

  • インプレッション数:配信在庫やフリークエンシー上限を検証する入口指標
  • 視聴完了率(VCR):15秒・30秒で分けて計測し、完視聴コストを最適化
  • 視聴単価(CPV):入札上限とクリエイティブ効果を同時に評価
  • スキップ率:5秒地点離脱などを取得し、冒頭メッセージの改良に役立てる

2.ブランドリフト指標:認知と好意の変化を定量化

テレビ画面の没入感を活用しつつ、デジタルならではのアンケート設計や比較テストを組み合わせると効果が鮮明になります。

  • 広告想起リフト:ノンエクスポーズ群との比較で想起上昇を測定
  • 好意度・購入意向リフト:中長期のファネル移動を確認
  • 検索リフト:ブランド名や商品名の検索回数を指標化し、興味関心の変化を補足
  • ソーシャルバズ量:ハッシュタグ投稿や動画シェア数で態度変容を補完

3.行動・購買指標:オンラインとオフラインの成果を統合

CTVはオンライン誘導が比較的少ないものの、QRコードやスマホ連携で直接CVを生み出すケースが増えています。さらにオフライン売上との突合で投資対効果を明確にできます。

  • クリック率・QRスキャン率:行動喚起力を数値化
  • オンラインCV数・CPA:EC購入や資料請求など即時成果を評価
  • オフライン売上リフト:位置情報やPOSデータと連携し、店舗来店や購買への寄与を測定
  • インクリメンタルROAS:統制群と比較し、広告接触がなかった場合との差分売上を算出

4.統合分析と最適化サイクル:MMMとLTV視点で意思決定

指標ごとの部分最適に留まらず、施策全体のビジネスインパクトを把握することで次の投資判断が精緻になります。

  • MMM(マーケティングミックスモデリング)でCTVを含む全チャネルの売上貢献を定量化
  • MTA(マルチタッチアトリビューション)と組み合わせ、ファネル横断の接触順序を可視化
  • LTVシミュレーションで新規顧客獲得価値を評価し、CPVやCPAの許容範囲を設定
  • 週次レポート→月次再入札→四半期MMM更新というリズムで改善サイクルを定着

複数のKPIをレイヤーごとに束ね、リアルタイム指標と中長期指標を併用するとCTV投資の効果を多角的に把握できます。次章では、この測定枠組みを前提にした導入プロセスと運用フローを解説します。


CTV広告の始め方と運用フロー5ステップ

CTV広告を成果につなげるには「設計→準備→実行→改善」という四段階を、テレビ特有の視聴環境とデジタル運用型のベストプラクティスを組み合わせながら進めることが重要です。ここでは一般的なフローを5つのステップに分けて紹介します。

ステップ1:目的設定とKPI設計

まずはCTVで何を達成したいのかを明確にし、ファネル段階ごとの指標を定義します。目的が曖昧なままだと、クリエイティブの方向性や予算配分がぶれやすくなります。

  • ブランド認知向上:インプレッション、ユニークリーチ、想起リフトを主要KPIに設定
  • 興味関心獲得:視聴完了率、検索リフト、サイト流入をKPI化
  • 購買促進:QRスキャン率、オンラインCV、オフライン売上リフトを重視
  • 期間目標と達成ラインを数値で定義し、週次で進捗確認できるダッシュボードを準備

ステップ2:媒体・プラットフォーム選定

目的に合った在庫とデータ連携のしやすさで媒体を絞り込み、買付モデルを決定します。プレミアム在庫中心か、リーチ重視でオープン化するかで運用方針が変わります。

  • YouTube Connected TVやTVerなど大量在庫×細かなターゲティングが可能な面はテスト出稿向き
  • スマートテレビメーカー系プラットフォームはACRデータ連携で世帯視聴履歴を活用できる
  • プログラマティック保証で基礎リーチを確保し、PMPでリタゲ・高CPM面を補完するハイブリッド構成が定番
  • SSPのストアフロントやDSPのCTV専用ラインアイテムを利用し、配信面の重複と手数料を最小化

ステップ3:クリエイティブ制作と素材準備

テレビ画面の没入感とリモコン操作の制約を踏まえ、16:9フルHD以上の高解像度で閲覧距離に最適化したデザインを用意します。

  • 冒頭5秒でブランドロゴ、メインメッセージ、USPを提示し離脱を抑制
  • 音声オフ環境を想定し、読みやすい字幕やモーショングラフィックスを追加
  • リーチ目的30秒、獲得目的15秒、強いCTA付き6秒という尺別フォーマットを最低三本制作
  • インタラクティブ用の静止画レイヤーとQRコードを別素材で用意し、遷移先LPのモバイル最適化も同時に実施

ステップ4:計測タグ設定とテスト配信

配信前に計測インフラを整備し、1〜2週間のテストフライトでパフォーマンス基準値を取得します。

  • VASTビーコン、OMSDK、コンバージョンタグを事前に検証環境で動作確認
  • ブランドリフト調査パネルを設定し、広告想起や好意度リフトを測定可能にする
  • 重複リーチ推計のため、スマートテレビメーカーの世帯IDやACRデータと連携したログ取得を許可
  • テスト配信でCPV、VCR、QRスキャン率のベンチマークを把握し、本番入札の上限単価を決定

ステップ5:運用・最適化サイクル

本配信ではABテストと予算配分最適化を週次で回し、月次ではMMMやMTAで全チャネル比較を実施します。

  • 週次で低VCRクリエイティブを停止し予算を高パフォーマンス素材へ自動シフト
  • フリークエンシーが上限に達したセグメントは除外し、新規リーチ枠を確保
  • QRコード経由のCVが想定より低い場合はCTAテキストやランディング速度を改善
  • 四半期単位でテレビCMやモバイル動画との重複リーチを分析し、プラン全体のメディアミックスを再調整

上記5つのステップを体系化して進めることで、CTV広告を初めて導入する企業でも「テスト→拡大→ROI検証」のサイクルを短期間で回せます。


まとめ

本記事では、CTV(コネクテッドTV)の基礎から、広告フォーマット・測定指標・導入ステップまでを体系的に解説しました。

CTVは、インターネット接続されたテレビデバイス上でオンデマンドコンテンツを視聴できる環境を指し、CTV広告はその大画面リーチにデジタル広告の精緻なターゲティングと計測機能を掛け合わせたハイブリッド手法です。

ユーザーの視聴行動がオンデマンド中心へシフトし、広告主がテレビ予算とデジタル予算を統合する動きが加速する中、CTVは「テレビ×データドリブン」の最適な投資先として注目されています。

メリットとしては、没入感の高い大画面でブランド想起を強化できる点、世帯単位や興味関心データを活用した無駄打ち削減、リアルタイム指標とブランドリフト調査によるROI可視化、そして柔軟な買付モデルによるコスト効率向上が挙げられます。

一方で、在庫品質のばらつきや指標の統一不足、ブランドセーフティ対策、プライバシー規制への対応など、導入時にクリアすべき課題も存在します。

フォーマットはプレロール/ミッドロールの王道インストリーム動画に加え、インタラクティブオーバーレイやショッパブル動画が登場しており、クリエイティブは「冒頭5秒でブランドとメッセージ提示」「字幕・QR併用」「尺別CTA設計」が成果の鍵となります。

効果測定では、インプレッション・視聴完了率・CPVといった動画指標に加え、ブランドリフトやオフライン売上リフトを取り入れ、MMMやMTAでチャネル横断の最適化を行うことが推奨されます。

導入フローは〈目的設定→媒体選定→クリエイティブ制作→計測タグ設定→運用最適化〉の五ステップで進めるとスムーズです。

週次のABテストと月次のROI検証を定着させれば、CTV広告はブランド認知から購買促進までフルファネルでビジネス貢献度を高められます。

テレビCMの影響力とデジタル運用型の効率を同時に求める企業にとって、CTV広告は今後欠かせない選択肢となるでしょう。

まずは小規模テストで指標のベンチマークを取得し、自社のメディアミックスにおける最適ポジションを探ってみてはいかがでしょうか。