「テレビCMを実施してみたいが、実際効果はあるのだろうか?」と疑問に思われている方も多いのではないでしょうか。
最近では、テレビCMに比べて費用が安く済むなどメリットが多いことから、テレビCMからYoutube広告などのWeb広告にシフトする動きが加速しつつあります。
それでもテレビCMを制作するメリットは何なのか、効果は見込めるのか。
結論から申し上げますと「テレビCMは効果がある」「効果を引き出す使い方が重要」だと言えます。
この記事では実際のデータや事例から、テレビCMを実施するメリットやその効果について解説致します。
こちらを読むことで、テレビCM実施の懸念点が解消でき、実施の検討を自信を持って進められるようになるでしょう。
テレビCMの効果を示したデータ
テレビCMは効果があるのか?と疑問にお思いの方向けに、テレビCMの効果についての調査データをご紹介します。
テレビCMに接触すると購入意向が向上
「野村総合研究所」の調査によれば、テレビCMに接触した人と接触していない人を比較したときに、全体の3.1%に購入意向の創出が見られました。
比率で言えば、出稿前から約15%増えている計算になります。
認知拡大だけでなく、購買促進に関してもテレビCMに高い効果があることが分かります。
テレビCMの方がネット広告よりも信頼度が高い
野村総合研究所が実施した「生活者1万人アンケート(8回目)」によると、以下のようにテレビCMの方がネット広告よりも信頼度が高いというデータが報告されています。
テレビCMの信頼度:56%
ネット広告の信頼度:13%
参考:テレビCMはきちんと見てる?|INSIGHT SIGNAL
また総務省の「情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」でも、テレビが情報源としてまだまだ高い信頼をされていることが分かります。
ただし若年層を中心に、インターネットが「情報源としての重要度」としてテレビを逆転するようになっており、インターネットを活用する重要性が増していることも伺えます。
テレビCMは商品購入のための情報源として有用
同じく野村総合研究所の調査において、テレビCMに対する視聴者の反応として、以下の結果が示されています。
商品認知に有用:30%以上
購買時に迷ったらCMで見た商品を購入:10%以上
更に、商品購買のための情報源として、テレビCMが2012年・2015年・2018年のいずれも40%以上と、店頭の陳列商品に次いで高い比率となっています。
以上のことから、ネット広告などの他チャネルと比較しても、テレビCMが認知拡大・購買促進に効果があることが分かります。
テレビCMはリーチ・CPMに優れている
テレビCMの特徴として多くの人にリーチできることが挙げられますが、「デジタルインテリジェンス」社のデータからも、非常に高いリーチと到達率を実現できることが分かります。
またリーチに優れているだけでなく、単価においてもテレビCMが優れていることが以下から分かります。
CPMというのは1,000インプレッション(表示)における単価のことです。
Youtube広告と同等、また他媒体と比較しても低いCPMで、多くの人にリーチできるのがテレビCMであるといえます。
テレビCMの費用がどれくらいかかるかについては、以下の記事をご参照ください。
参考:テレビCMの費用(料金)はいくらかかるのか?費用対効果についても解説
テレビCMの効果
前章では、テレビCMの効果を示すデータをご紹介しました。
改めてテレビCMの効果を整理すると、以下が挙げられます。
- 圧倒的なリーチによる商品認知度の向上
- 購買意欲の喚起
- 商品・サービスに対する信頼性を高められる
参考:ネット専業広告代理店によるテレビCM提案のコツと、地方・中小企業の支援にも効果的なワケ
圧倒的なリーチによる商品認知度の向上
前章でご紹介したように、テレビCMは費用を掛ければ80%以上の世帯にリーチすることができ、それに伴い商品認知度の向上が期待できます。
テレビCMによる認知拡大のデータは様々公開されています。
以下のように、テレビCMの出稿量に比例して、認知率も拡大する傾向にあります。
購買意欲の喚起
こちらも前章でご紹介した通り、商品の購買意欲を高める効果がテレビCMにはあります。
野村総合研究所の調査データによれば、デジタル広告と比較して広告を見た後に購買に移る人の割合が高く、また購買まで至らずとも商品を認知する人の割合も高いことが分かります。
商品・サービスに対する信頼性を高められる
テレビCMには、商品・サービスの信頼性を高められる効果があります。
先の総務省の調査に加えて、「株式会社サイカ」の調査でも、信頼できる媒体としてテレビCMが挙げられています。
消費者の生活に深く根付いているテレビCMに対して、多くの人が信頼を寄せていることが分かります。
そんなテレビCMに出た商品は信頼できるブランドである、という印象を与えることができます。
テレビCMを効果的に活用した「Sansan」の事例
テレビCMを効果的に活用した事例として、Sansan社のテレビCMの活用事例を紹介します。
CM実施の背景
「SanSan」は、クラウド名刺管理サービスを扱っている会社です。
SanSanがテレビCM制作に踏み切った理由は、もっと早いスピードで圧倒的に認知を広げなければならないという思いでした。
最初は見積もっていた金額よりも高く、費用面の折り合いがつかなかったものの、クオリティの高いCMを作り効果を上げるため、その後資金調達をし、テレビCMの制作が実現しました。
どのようなCMを実施したか
実際のCMでは、実力派の俳優を起用し、名刺の重要性を響かせたCMとなっています。
「全社員が持っているすべての名刺を社内で管理・共有する」ことの価値を伝えています。
また、実際に起こりそうなビジネスシーンをリアルに、かつユーモアもふまえて描いているため、視聴者の印象に残りやすいCMとなっていると言えるでしょう。
参考:「それさぁ、早く言ってよ~」CMシリーズ最新作!岩松了さん演じる社長が初登場! クラウド名刺管理SansanのTVCM第5弾、9月11日より放送開始 〜シリーズ初のスピンオフをWeb限定で同時公開
CM実施したシーズンは受注件数が2倍に
CCM実施後は問い合わせが増加し、初めてCMを流したシーズンは受注件数が2倍になりました。
SanSanはサービスの性質上、決裁者は社長や役員クラスが多く、CMの実施により、さまざまな会社の社長などから認知され、信頼を獲得できました。信頼の獲得によって、受注に直接結びつきやすかったことも成果が上がった要因として挙げられます。
参考: クラウド名刺管理サービス・Sansanが”クリエイティブ”に力を入れる理由|AdGang
テレビCMで効果をあげるためのポイント
テレビCMを出稿する際に、効果をあげるためのポイントは主に以下があげられます。
- ペルソナに最適な内容・局・時間帯・番組にCMを流す
- CM放送前後のホームページの流入数の変化などを計測して効果検証する
- テレビCMとSNSを連動させる
- ネット広告と併用してテレビCMの効果を高める
ポイント1.ペルソナに最適な内容・局・時間帯・番組にCMを流す
事前に商品のペルソナを明確に作成して、ペルソナの属性に最適なテレビ局・時間帯・番組のテレビCM枠に放送すると効果的です。
ペルソナとは、実際に自社の商品やサービスを使ってくれるであろうモデルとなるユーザーのことです。
上記を実践するためには、きちんと過去の反響データを保持してして、実績があり、的確なプランニングができる広告代理店に相談することが重要になります。
例えば広告代理店大手の博報堂などは、テレビCMの効果を最大化する「プラニング・バイイング・モニタリング」を支援するソリューションを提供しています。
これらを活用してテレビCMのプランニングを最適化すると良いでしょう。
参考:博報堂DYMP、運用型テレビ広告サービス「TV AaaS」をアップデート ダッシュボード機能を追加|MarkeZine
ポイント2.CM放送前後のホームページの流入数の変化などを計測して効果検証する
テレビCMは放送して終わりにするのではなく、放送前後のサイト流入数や商品売上数の変化など、自社で計測可能なデータは徹底的に集計して効果検証するのが重要です。
テレビCMの効果検証の方法として、Youtube広告と併用して効果を検証するという方法があります。
Youtube広告を扱うGoogleが提供している「Ads Data Hub(ADH)」を活用することで、リーチ単価やブランドリフト効果、セグメント別の効果など様々な分析が可能です。
以下などで様々な事例が公開されているので参考にしてください。
参考:「テレビ画面」でも関心層へのリーチと PDCA ——積水ハウスのコネクテッドテレビ広告に学ぶ | Think with Google
テレビCMの効果測定については「テレビCMの効果測定の方法」もご覧ください。
ポイント3.テレビCMとSNSを連動させる
テレビCMをSNSと連動させることで効果を高めることができます。
代表的なSNSはTwitterです。
電通社によれば、Twitter利用者の約30%が、週1回以上、テレビを見ながらTwitterを利用し、番組に対するツイートをしています。
こうした利用状況において、テレビCMとTwitterを連動させることで、以下の効果が認められています。
項目 | 期待できる効果 |
---|---|
リーチ効果 | キャンペーンの統合リーチが伸びる |
ブランドリフト効果 | ブランドへの態度変容が起きやすい |
ツイート発生効果 | ブランドのツイート量が増える |
Twitterに限らず、テレビを普段観ない、ネットメディアしか観ない層が一定数存在します。
SNSとテレビCMを連動させることでそうした層にもアプローチでき、かつSNSとテレビCMを併用するユーザーにも効果的にアプローチすることができます。
参考:「テレビ×Twitter」広告キャンペーンの3大効果とは?|電通報
ポイント4.ネット広告と併用してテレビCMの効果を高める
テレビCMはネット広告と併用するとより効果的です。
例として、以下の広告媒体と併用する方法をご紹介します。
- YouTube広告
- TVer広告
- リスティング広告
YouTube広告
YouTube広告は、テレビCMと併用することで効果を最大化できる代表的な媒体です。
Youtube広告を扱うGoogle自身が、テレビCMとYoutube広告の併用の成功事例を多く公開しています。
以下から各記事を閲覧可能です。
私がテレビCMとYoutube広告の併用を推奨する理由として、以下の5つが挙げられます。
- 理由1.コネクテッドTVの利用者が増えている
- 理由2.テレビを観ない層にリーチできる
- 理由3.テレビCMの素材を流用できる
- 理由4.細かいターゲティングができる
- 理由5.Youtube広告で効果を分析できる
特に大きいのが、コネクテッドTV(インターネット回線に接続されたテレビ)の利用者が増えていることです。
Googleの発表では、日本では1ヶ月で2,000万人以上がYouTubeをテレビで視聴しています(2021年3月時点)。
このテレビでYouTubeを視聴するユーザー向けであれば、テレビCM素材そのままでも十分に効果を得ることができます。
広告素材の制作コストを抑えて、安価にYouTube広告を始められることが魅力です。
以下でより詳しく解説しているので是非参考にしてください。
参考:事例から学ぶテレビCMとYoutube広告の併用のメリット・コツ | LISKUL
参考:「テレビでYouTube」が月間 2,000 万人に急成長中ーーコネクテッドテレビ広告、スマートニュースやパナソニックはこう使った | Think with Google
TVer広告
TVer広告は、TVerや各放送局の自社サービス(FODなど)、さらにシンジケーションサイト(GYAO!など)のユーザーにも配信ができる動画広告です。
テレビ番組のネット配信サービスなので、当然ながらテレビCMとは相性が良い媒体になります。
TVer広告の主な特徴は以下の通りです。
- 特徴1.⾼い視聴完了率
- 特徴2.独自のターゲティングが可能
- 特徴3.嫌悪感・違和感なく広告が受け入れられる
- 特徴4.普段あまりテレビを観ないユーザーに届けられる
- 特徴5.TVCMとの相乗効果でブランドリフトが実現できる
テレビCMで使った動画をそのまま流用することができ、低単価で広告配信可能で、ユーザーが広告をスキップ不可なのも魅力と言えます。
昨今では、自分の観たい番組だけを自分の好きな時間に観るといったユーザーが増加しています。場所・時間・好みを自由に選択して動画視聴できるTVerはテレビCMとの相乗効果を期待できる効果的な広告媒体と言えるでしょう。
参考:TVer広告とは?メリット・特徴・費用・出稿方法を解説 | LISKUL
リスティング広告
リスティング広告は、テレビCM視聴後のユーザーの商品購入導線の確保の観点で、必須な広告と言えます。
テレビCM視聴後に商品が欲しくなり、検索してリスティング広告をクリックしてそのまま商品購入に至る、といった流れが十分考えられます。
仮にリスティング広告を実施していない場合、自社の商品ページが検索結果に上位表示できていない場合は、ユーザーを購入ページにうまく誘導できず機会損失を生じてしまいます。
また、自社でリスティング広告を実施しておらず、他社の類似商品がリスティング広告を実施していた場合、ユーザーが他社の商品ページに誘導され販売チャンスをみすみす逃してしまうことも十分考えられます。
リスティング広告を実施することで、テレビCMで商品を認知し、興味関心を持ったユーザーをスムーズに購買まで誘導できます。
テレビCMの効果測定の方法
テレビCMの効果測定の方法は、主に以下が挙げられます。
- リサーチにより特定の指標を測定し検証する
- GRP(延べ視聴率)
- GAP(延べ注視量)
- 自社で測定できるデータの変化を見る
- 分析ツールを活用する
方法1.リサーチにより特定の指標を測定し検証する
リサーチにより特定の指標を測定して検証する方法です。
代表的な指標として、GRPとGAPがあります。
GRP(延べ視聴率)
GRP(Gross Rating Point)とは、訳すると「延べ視聴率」で、一定期間に流したCM1本ごとの視聴率の合計のことです。
GRPは、一定の期間中、CMが放映された時の毎分の「世帯視聴率」を計測し、それをすべて足して算出します。
GRP(%) = リーチ(広告の到達率)× 平均フリークエンシー(広告接触の頻度)
例えば毎分視聴率が10%の時間帯に2本、5%の時間帯に3本CMを放映した場合、35GRPとなります。
また、GRPはCM放映以前にそのCMを流す時間帯や頻度を決める際の指標としても使用されます。
その際は、世帯到達率(リーチ:複数回放映された際に、何%の世帯が見たか)と平均接触回数(フリクエンシー)のかけ合わせによってGRPを算出すればOKです。
GRPはCM放映時に「チャンネルがついていたか」を測るもので、そのCMを実際に見ていたのかは判別できません。
テレビをつけたまま別の場所へ移動していたり、他のことをしていてテレビを見ていない可能性もあるからです。
そのため、次に紹介するGAPもあわせて、効果検証するのが有効です。
GAP(延べ注視量)
GAP(Gross Attention Point)は、毎秒単位で個人が「テレビ画面を注視している割合」を計測し、その合計を算出するもので、「延べ注視量」とも言われています。
視聴者が画面を1秒注視したら1GAPとなります。
GRPでの問題点
- 「世帯視聴率」を測る指標であるため、ターゲット層が見ているか分からない。
- テレビをつけていても実際に見ていたかが判別できない。
このような問題を解決するため、デジタルインテリジェンスは、GAPを新しい指標として提唱しました。
GAPの特徴
- センサーカメラで顔認識ができ、誰が見ているか個人を識別できる。
- 人物が実際に画面を見ているのか、画面注視度合い(AI値:アテンションインデックス)が測定できる。
GAPは、対象商品のターゲット層が実際にどれくらいそのCMを見ていたのかを知れます。GRPとあわせて測定するのが有効といえます。
参考:テレビCMの本当の効果を測る新指標『GAP(グロス・アテンション・ポイント)』とは何か (1/3):MarkeZine(マーケジン)
GAP(グロス・アテンション・ポイント®) | Digital Intelligence Inc.
方法2.自社で測定できるデータの変化を見る
自社で測定できるデータが、テレビCMの実施前・実施中・実施後でどう変化したかを見て検証する方法です。
例えば以下の指標の前後比較をします。
- 店舗購入数
- Web購入数
- 問い合わせ数
- 売上金額
- 検索数(自社名やサービス名など)
- WebサイトのPVやコンバージョン数
方法3.分析ツールを活用する
テレビCMの効果測定・分析が可能なツールを活用する方法です。
分析ツールを活用するメリットは以下が挙げられます。
- 出稿の翌日にはデータが測定できる
- 売上データやオウンドメディアのアクセスデータと連携して分析ができる
- GRPでの測定も可能
- クリエイティブや広告枠の最適化も可能
- 企画~出稿~分析までワンストップで依頼可能なサービスもある
まとめ
本記事では、テレビCMの効果を示した調査データをご紹介しました。
テレビCMの効果は主に以下があげられます。
- 圧倒的なリーチによる商品認知度の向上
- 購買意欲の喚起
- 商品・サービスに対する信頼性を高められる
テレビCMで効果をあげるためのポイントは主に以下があげられます。
- ペルソナに最適な内容・局・時間帯・番組にCMを流す
- CM放送前後のホームページの流入数の変化などを計測して効果検証する
- テレビCMとSNSを連動させる
- ネット広告と併用してテレビCMの効果を高める
ネット広告と併用すれば、テレビCMの効果を高めることが可能です。
併用におすすめなネット広告は以下になります。
- Youtube広告
- TVer広告
- リスティング広告
テレビCMの効果測定の方法は、主に以下が挙げられます。
- リサーチにより特定の指標を測定し検証する
- GRP(延べ視聴率)
- GAP(延べ注視量)
- 自社で測定できるデータの変化を見る
- 分析ツールを活用する
ぜひ本記事を参考に、テレビCMの導入検討を前向きに進めていただければ幸いです。
なお、より詳しくテレビCMの集客効果を高める方法を知りたい方は「マス広告・ネット広告の併用提案メソッド」で説明していますので、ぜひ無料でダウンロードしてご覧ください。