「新規営業部署が大型案件を受注してくるが、最近トラブルが多い…」という悩みを抱えている、広告代理店の方も多いのではないでしょうか。
ネット広告の案件は、リテラシーや認識不足などのために、トラブルが多く起きる場合が多くあります。そうならないためには、押さえるべきポイントがあります。
本記事ではネット広告案件を受注した後に、クライアントと認識を統一して合意形成を行い、トラブルを回避していく方法を解説していきます。
一読してポイントを把握し、トラブルを回避しつつ有意義な取引が続くように、実践していただければ幸いです。
※本記事は「ジッセン!オンライン」の講座を基に執筆しております。
目次
受注後のトラブルを回避するための方法
相手のリテラシーを理解して取引をすすめることが大事です。
- 業界の当たり前は通用しない
- 思ってもいない誤解が起きる
- 教育不足が説明不足に繋がる
当たり前だと思っていても、相手にとっては必ずしもそうではありません。お客様がどれだけ理解しているのかはきちんと確認しておきましょう。
また、本当に思ってもいないような誤解が起きることもあります。よくない営業マンはお客様のせいにしたりしますが、伝わっていなければそれは説明した側の責任です。
トラブル回避の方法は徹底した合意形成です。認識の相違と誤解がトラブルに発展します。そのため、徹底した認識統一と合意形成を行いながら取引を進めることが重要なのです。
一歩進んだら必ず証拠を残す、商談の場で話をしたとしても、必ずきちんと後で証拠を残していくということを徹底すれば、受注後にトラブルになることはかなりの確率で減らせます。
お客様に合意いただいておくポイント
ネット広告を受注したあとにトラブルが起こるポイントは多くの場合、次の4つです。
- 目的
- リスク
- シミュレーション
- 提供サービスのレベル
目的
プロモーションの目的が認知なのか資料請求なのか販売なのか、という違いがあります。目的によって打つべき施策は全く異なりますので。起点となるこの目的の認識がずれると大問題に発展しかねません。
よくあるトラブルとして、認知が目的とは言ったが、こんなに効果が悪い(売れない)とは聞いていないというケースがあります。
リスク
想定されるリスクは必ず明確に伝えておきましょう。アカウント変更や予算変更、テストマーケなど特に効果が落ちる可能性がある施策は要注意です。
よくあるトラブルとして、テストマーケから開始するとは聞いて履いたがこんなに効果が悪い(売れない)とは聞いていないというケースがあります。
シミュレーション
シミュレーションは想定であり、運用後に再精査は必須です。しかしながら、担当者が代理店側のコミットや達成は確実な数値目標の試算と勘違いとして社内決裁をとってしまうこともあるので注意が必要です。
よくあるトラブルとして、「プロなのにいい加減なシミュレーションを作るとは詐欺だ!」と言われてしまうケースがあります。
提供サービスのレベル
対応時間や入差調整の頻度、掲載内容の変更回数など運用のレベル、他にもレポートにおける考察のボリュームやレポートの頻度などもトラブルの原因となります。
よくあるトラブルとして、土日や深夜、毎日の掲載内容変更など過度なサービスレベルを運用開始後に求められるといったケースがあります。
特に、他の広告代理店が運用していたアカウントを受注したときには注意が必要です。自分たちはどこまで対応ができるのか、運用レベルの細かなところでもトラブルになりえます。
お客様との合意形成の方法
基本的には教育と証拠の徹底です。
- 商談時の細かな認識確認と教育
- 商談後の議事録の送付
- 電話後の確認メールの送付
また、議事録や確認メールに必須で入れるべき情報にも注意しましょう。
- 内容(主語を必ず)と決定事項(双方合意した内容)
- 目的、目標、今回解決する課題、残論点
- 内容に相違があれば連絡いただくという記載
良くない議事録ほど、余計なことを書いています。必要のないことは含めないのがいいでしょう。
また、受発注に絡む情報は担当同士のやり取りでは進めないのが重要です。
- 予算などの受発注(お金)に関する情報は必ず先方の上長を入れる
- 担当の勝手な判断で会社としては聞いていないというトラブルを回避
売掛金のみ入金などはよく起きます。お金に関しては性悪説で進めたほうがよいかと思います。
トラブル回避の方法は徹底した合意形成です。トラブルの起こるポイントはすべて事前にわかっていますので、そこを開始して逆に合意をしながらすすめていくのが重要です。
必ずアウトプットとして証拠を残していくということも大切です。
商談内容の認識統一とトラブル回避の方法
顧客との認識統一の重要性と手法とWebマーケティングの業界特有のトラブルの背景を理解していただくために解説していきます。
この方法を理解しておけば、お客様と商談をしたあとや取引が始まったあとに、思ってもいなかったような認識相違によるトラブルが起きることは避けられると考えています。
商談内容の認識統一の重要性
旧来のマスマーケティングだと、投資対効果が曖昧な面があり、失敗と成功などの詳細が不明瞭でしたが、WEBマーケティングは使った費用の効果がすべて明確に結果としてレポートで把握できます。
そのため、WEBマーケ初心者の企業担当は、想定と実績のブレの範囲の感覚を理解していないことが多く認識の相違が起きやすくなっています。
結果はすべて定量化されROIが明確化されるからこそ、徹底した認識の統一が重要です。WEBマーケはPDCAが重要であり、起点となるP(PLAN)の認識が異なるまま実行するとすべてが失敗となってしまいます。
ネット広告商談のよくある認識相違トラブル
具体的な認識相違によるトラブルについて紹介していきます。
目標、目的の認識相違
認知を目的と聞いていたので認知拡大を目的としたプロモーションを展開したが、結果報告の際に「売上が悪い!」というクレームに発展してしまうケースです。
目的によって打つべき施策は全く異なるため、要注意です。商談の際にこういったズレを確実になくすことが重要です。
想定数値の認識相違(想定と目標)
提案時のシミュレーション(想定)と違う、といった認識相違もよくあります。たとえば以下のようなケースが挙げられます。
- 必ず達成するコミットだと思っていた
- クリック単価が想定よりも高い
- 成約件数が想定よりも低い
- 成約単価が想定よりも高い
- 成約率が想定よりも低い
あくまでシミュレーションは実際の数値とは異なり、業界平均などから作成したりしていると思います。しかしながら、そのデータがどういうものなのか、お客様にきちんと説明しておく必要があります。
改善期間の認識相違
また、よくあるのが半年や3か月という期間で、PDCAを前提として立てられた計画に沿ったシミュレーションを、スタートして1週間で全然改善がされないとクレームが入るなど、待てないケースもあります。
- テストマーケ、検証(PDCA)が遅い
- 一週間、一ヶ月経っているのに改善されない
- もう少し早く改善されると思っていた
- プロだからすぐに効果が出ると思った
たとえばスタート時の数字に関する変動や難しさをあらかじめ伝えておかないとこのようなトラブルに発展しやすくなります。
権限を越えた担当者からの運用指示内容の認識相違
また、担当者の権限を越えた運用の指示が出てくることもあります。
- そんな指示出していない!
- そこまで大きな結果に繋がると思っていなかった
- 予算超過→未回収や関係悪化
- 広告掲載ミス
わからないからこそ曖昧な指示を出してしまったり、影響を甘く見た指示が出てしまったりと、担当者の指示通り行って結果として、予算を超過したり、掲載がミスになったりしてしまうことがあります。
このような場合、双方悪気がないにも関わらず、法定で争う問題にまで発展してしまうケースもあります。とにかく認識相違が起きないように進めるのが大切です。
認識相違トラブルの回避方法
次の3つを徹底して行うことでトラブルを回避することができます。
- 商談時の細かな認識確認と教育
- 商談後の議事録の送付
- 電話後の確認メールの送付
企業側のリテラシーが低い場合には特に注意が必要
例えば次のようなケースがあります。
- 担当者が間違った認識で予算決裁の稟議資料を作る
※シミュレーションをコミットと認識するのが最も危険 - 結果が出たあとには保身に走って代理店が悪者に
- 未回収にまで発展することも多々
これらを開始するためには、商談時に上長を同席してもらい確認と教育を意識することが大切です。
まとめ
WEBマーケティングやネット広告において、認識の相違は起こる前提で、回避できるように動いていくのが大事です。
この記事を通して、認識統一の重要性がご理解いただけたかと思います。認識統一ができないと、いちばん大事なお金に関わるトラブルに発展してしまいます。
本記事を参考に、少しでもトラブルが減り、広告代理店とクライアントとのより良い継続した取引が増えれば、この上なく幸いです。