コアバリューとは?得られるメリットと策定までのステップや注意点

コアバリュー

コアバリューとは、企業や個人が重要視する価値観を指す言葉です。コアバリューを基準とすることで一貫した意思決定や行動をとることができます。

一貫した意思決定や行動は、持続可能性を考慮した長期的戦略や計画を策定するうえで非常に重要です。

しかし、具体的にはどのようなものなのか、ビジョンやミッションとの違いは何なのか、どうやって策定すれば良いのか分からないという方も多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、コアバリューの基礎や、類似した概念との違い、メリット、策定の方法、事例、注意点などの情報を一挙に解説します。

コアバリューの策定にお悩みの方は、ぜひご一読ください。


コアバリューとは、企業や個人が重要と考える価値観のこと

コアバリューとは、企業や個人が意思決定や行動の際に重要視している価値観のことです。

コアバリューとは、企業や個人が意思決定や行動の際に重要視している価値観のことです。この価値観は、組織の文化やアイデンティティを形成し、そのビジョンやミッションを支える基盤となります。

企業のコアバリューは、従業員に対する指針や動機づけとして機能し、企業の目指す方向性を明確にします。また、顧客やパートナーとの関係構築にも影響を及ぼし、ブランドイメージや信頼性の構築に貢献します。

個人にとってのコアバリューは、その人の行動や決断を導く内部的な指針です。自身の価値観に基づいて選択を行うことで、一貫性のある行動を保ち、自己実現に向けた道を切り開くことができます。

本記事では、企業を例に解説します。


コアバリューと類似した概念

次に、コアバリューと似た概念として比較されることが多いものをカバー範囲の広さや粒度が大きい順に並べてご紹介します。

用語定義
理念企業の基本的な信念や哲学社会貢献など
パーパス企業が存在する理由や目的人々の生活を豊かにするなど
ビジョン将来の理想状態や目標2025年までに業界のリーダーになるなど
ミッションビジョン実現のための具体的な活動高品質な製品を提供して顧客満足度を高めるなど
カルチャー企業内での行動様式や慣習(コアバリューが具体化された形)オープンなコミュニケーションを奨励するなど
コアバリュー行動や意思決定にかかわる普遍的な価値観顧客重視、革新性など
バリュー企業や個人が重要視する、状況に応じて変化する具体的な価値観。協調性など

理念

理念とは、企業の根本的な信念や哲学のことです。最も広い範囲をカバーします。

パーパス

パーパスとは、企業が存在する根本的な理由であり、活動の目的を示すものです。

ビジョン

ビジョンとは、企業が将来達成したい目標や理想的な状態や長期的な目標を指します。

ミッション

ミッションとは、ビジョンを実現するための具体的な活動や目的を指します。

カルチャー

カルチャーとは、企業内での慣習を指し、コアバリューが具体化された形です。

コアバリュー

コアバリューとは、ミッションやビジョンを実現するための企業の行動や意思決定の基準となる普遍的な価値観を指します。

バリュー

バリューとは、企業や個人が重視する価値観であり、コアバリューとは異なり状況に応じて変化します。


コアバリューを策定するメリット

次に、コアバリューを定めることで得られるメリットを7つご紹介します。

1.組織共通の基盤となる価値観を形成できる

コアバリューを策定することで、企業は基盤となる文化を形成したり、従業員と同じ価値観を共有することができ、組織全体の一貫性を保つことができます。

2.一貫した意思決定を行うことができる

コアバリューは、日々の業務や意思決定に活用することができるガイドラインです。

これにより、経営陣や従業員は、戦略、計画、行動、製品やサービスなどに関する意思決定を、共通の価値観に基づいて決断することができます。

3.従業員のエンゲージメントを向上できる

従業員の価値観も反映した組織のコアバリューを策定することは、従業員の組織への共感や所属感、モチベーション、エンゲージメントを向上させることにつながります。

4.ブランドアイデンティティを強化できる

コアバリューを策定することで、企業は自身のブランドアイデンティティを強化し、競合他社との差別化を行うことができます。

参考:ブランドアイデンティティとは?構成要素から作り方まで一挙解説|LISKUL

5.顧客ロイヤルティの向上が期待できる

コアバリューを通じて、顧客に企業の価値観(意思決定基準)を伝えることで、信頼を獲得しやすくなります。

6.価値観が合致する人を採用しやすくなる

コアバリューを明確にすることで、企業の価値観に共感する人材を採用しやすくなります。

7.持続可能性を強化できる

コアバリューを持つことで、長期的な計画や戦略が立てやすくなり、変化する環境への対応力が向上します。


コアバリューを策定する方法4ステップ

次に、コアバリューを策定する方法を4ステップに分けて説明します。

1.タタキを作成する

コアバリューを策定する最初のステップは、基礎の設計です。

ミッションやビジョンを言語化できていない場合には、それらを言語化しましょう。

ミッションやビジョンがある場合には、それらと整合する企業の価値観を列挙します。

通常この工程は、経営陣で行うことが多いです。

ここで列挙する価値観は、最終的なものではなく、ステークホルダーから情報を収集するための基礎となります。

2.ステークホルダーからの意見を募る

タタキを作成したら、経営陣だけでなく、従業員や、顧客、場合によっては取引先など、様々なステークホルダーからの意見を集めましょう。

この工程では、従業員の価値観を取り入れることが特に重要です。

従業員は、自分の価値観が組織のコアバリューに反映されることで共感が高まります。

3.10個程度に絞り込む

コアバリューの候補が出揃ったら、収集した情報の中から、組織にとって最も重要な価値観を特定していきます。

そして最終的には、10個程度の数に絞り込むことが好ましいです。

10個程度の数に絞り込むことで、日常の業務の意思決定の基準として活用しやすくなります。

4.組織全体へ共有・活用する

最後に、絞り込まれたコアバリューを組織全体に共有しましょう。

この際、コアバリューへの理解を深めるための説明会やトレーニングを行うことで、コアバリューを組織文化や日常業務、意思決定プロセスに統合することができます。


コアバリュー策定の事例/ソウルドアウト株式会社

次に、コアバリューとは、実際にはどのようなものなのかを見ていきましょう。

今回は、LISKULを運営するソウルドアウトグループのコアバリューをご紹介します。

ソウルドアウト株式会社は、「志のある日本全国の中小・ベンチャー企業がもつ潜在能力が開花されていくための支援をし、日本を元気にする。」という理念を持っています。

しかし、理念のままでは日々の行動や意思決定の指針とするには粒度が大きすぎます。

そこで、以下のような基準となる価値観を策定しました。

  1. できる理由をさがす。
  2. 伴走者として。
  3. 技術を磨く。
  4. 挑むことは、進歩。
  5. 最前線に立つ。
  6. 成果は勤勉から、信頼は行動から。
  7. 意義を大切に。
  8. チームソウルドアウトで挑む。

参考:バリュー | ソウルドアウト


コアバリューを定める際の3つの注意点

最後に、コアバリューを定める際に注意すべきポイントを3つご紹介します。

これらの注意点を守らないと眺めてるだけのものが出来上がってしまう可能性があるので注意しましょう。

コアバリューは具体的なものにする

コアバリューを策定する際には、具体的な価値観を設定しましょう。

曖昧だったり、抽象的な価値観は、実際の行動指針として機能しにくく、従業員が日々の業務に適用するのが難しくなります。

例えば、「革新性を追求する」というコアバリューは、新しい技術や方法の積極的な採用といった具体的な行動方針に結びつけることができます。

このように具体的であることが、コアバリューを実行に移す上でひとつの鍵となります。

コアバリューは体現可能なもの

コアバリューは、日常業務や戦略的決定に実際に適用可能であることが重要なので、必ず体現可能な価値観を設定しましょう。

コアバリューは、理念とは異なり、実際の業務や意思決定において具体的な基準となるべきものです。

たとえば、コアバリューに「顧客第一」を設定する場合、製品開発やサービス内容の決定などにおいて、具体的な基準となるよう体現可能なものにしましょう。

意思決定や行動に反映する

策定したコアバリューは、積極的に意思決定や行動へ反映しましょう。

コアバリューは、経営方針、行動、製品やサービスなどに活用して初めて価値あるものとなります。

せっかく策定しても眺めたり唱えているだけでは意味がありません。

たとえば、「持続可能性」を重視する企業であれば、原材料をエコフレンドリーなものに置き換えたり、省エネルギー化を進めたりするなど、日々の意思決定に活用していきましょう。


まとめ

本記事では、コアバリューの基礎や、類似した概念との違い、メリット、策定の方法、事例、注意点について解説しました。

コアバリューとは、企業や個人にとっての意思決定や行動の基準となる価値観を指す言葉です。

コアバリューは、ミッションやビジョンを体現するためかつ、行動に一貫した指針を与えるためのものです。

コアバリューを持つことのメリットは一貫した意思決定だけでなく、従業員のエンゲージメントの向上や、ブランドアイデンティティの確立など多岐にわたります。

策定の際には、従業員の意見を募ったり、具体的かつ体現可能な価値観を設定し、意思決定や行動に積極的に活用していきましょう。

最後に、本記事で紹介した情報がコアバリュー策定の際に一助となれば幸いです。