エンドポイントセキュリティとは?種類、機能、導入法まで一挙解説!

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エンドポイントセキュリティとは、PCやスマートフォンなどの端末をサイバー攻撃や情報漏洩から保護するための対策です。

現代のビジネス環境では、リモートワークやモバイルデバイスの普及により、従来の境界防御だけでは十分な保護が難しくなっています。

エンドポイントセキュリティを導入することで、各端末が抱えるリスクを軽減し、企業全体の安全性を向上させることが期待できます。

一方で、エンドポイントセキュリティには、導入コストや運用負荷の増加、システムへの負荷などの課題も存在し、導入には慎重な検討が必要です。

そこで本記事では、エンドポイントセキュリティの基礎や、種類、機能、導入方法、代表的なソフトなどの情報を一挙に解説します。

企業のセキュリティ対策を強化したい方は、ぜひご一読ください。

目次


エンドポイントセキュリティとは

エンドポイントセキュリティとは、企業や組織がPCやスマートフォンなどの端末(エンドポイント)を外部からのサイバー攻撃や内部不正から守るためのセキュリティ対策を指します。

近年、リモートワークやBYOD(Bring Your Own Device)の普及により、社内外でのエンドポイントの使用が増え、従来のネットワーク中心のセキュリティ対策だけでは不十分となっています。

こうした背景から、エンドポイントセキュリティの重要性がますます高まっているのです。

エンドポイントセキュリティは、ウイルス対策ソフトやファイアウォールだけでなく、エンドポイント検知と対応(EDR)やエンドポイント管理システム(EMM)といった高度なセキュリティ技術を活用することが一般的です。

これにより、企業はエンドポイントを包括的に監視し、脅威が発生した際に迅速に対応することが可能になります。

エンドポイントセキュリティの導入は、企業のデータ保護、コンプライアンスの遵守、そして従業員の生産性を維持するための重要な要素であり、現代の企業運営に欠かせない基盤と言えます。


そもそもエンドポイントとは

エンドポイントとは、ネットワークに接続されるデバイスや端末のことを指します。

具体的には、PC、スマートフォン、タブレット、プリンター、IoT機器など、ユーザーが直接操作するあらゆる機器がエンドポイントと分類されます。

企業のネットワークでは、これらのエンドポイントが各種業務データやアプリケーションにアクセスする役割を担っており、ビジネス活動の要となっています。

しかし、エンドポイントは外部からのサイバー攻撃の入り口にもなりやすい場所です。

特に、リモートワークの普及により従業員が自宅や公共の場所からアクセスする機会が増えたことで、これまで以上にセキュリティリスクが増大しています。

エンドポイントごとに適切な保護対策が講じられていなければ、サイバー攻撃者が不正アクセスや情報漏洩を引き起こす危険性が高まります。

つまり、エンドポイントの保護は企業のセキュリティ対策において不可欠であり、エンドポイントセキュリティが注目される理由のひとつです。

この保護が適切に行われているか否かで、企業全体のセキュリティレベルに大きな差が生まれると言えるでしょう。

エンドポイントの例7つ

1.パソコン(PC)・ノートPC

社内外での業務に頻繁に利用され、特にリモートワーク環境で重要な役割を果たします。

アクセス権やファイルの保存状況に対する管理が必要です。

2.スマートフォン・タブレット

企業のメールや業務アプリにアクセスするために利用されることが多く、外出先での使用が一般的です。

紛失や盗難リスクが高く、リモートでのロックやワイプ機能が求められます。

3.プリンター・複合機

ネットワークに接続されることが増え、リモートで印刷やスキャンを行えるようになっています。

印刷データの漏洩リスクがあるため、アクセス管理やログ管理が重要です。

4.IoTデバイス

工場の機器やオフィスのスマートセンサーなど、ネットワークに接続された小型デバイスです。

しばしば専用のセキュリティ対策が不足しているため、ファームウェアの更新やネットワーク隔離が有効です。

5.POSシステム

小売業などで使用される決済端末で、顧客の個人情報やクレジットカード情報を扱います。

厳重なアクセス制御や暗号化が不可欠です。

6.サーバー

ユーザーが直接操作することは少ないものの、企業内外からのアクセスが集中するエンドポイントです。

データの保護とアクセス権の管理が重要です。

7.ウェアラブルデバイス

スマートウォッチやARヘッドセットなど、近年普及が進むデバイスで、健康情報や業務データを扱うことも増えています。

特にプライバシー保護とデータ暗号化が求められます。


エンドポイントセキュリティが注目される背景にある5つの要因

エンドポイントセキュリティが重要視される背景には、現代のビジネス環境におけるいくつかの変化とサイバーリスクの増大が関係しています。

以下にその代表的な要因を5つ紹介します。

1.リモートワークの普及

コロナウィルスの流行を契機にリモートワークが急増し、従業員がオフィス外で業務を行うことが一般化しました。

自宅や公共のネットワークを介したアクセスはセキュリティリスクを伴い、従来の境界防御だけでは防御が難しいため、エンドポイントごとに保護する必要が高まっています。

2.サイバー攻撃の高度化と多様化

サイバー攻撃は以前よりも高度化し、特にフィッシング攻撃やマルウェアを用いたエンドポイントへの直接的な攻撃が増加しています。

従業員端末がターゲットにされやすくなり、エンドポイントでの多層防御が不可欠です。

参考: サイバー攻撃とは?事例や攻撃目的と対策をわかりやすく解説!│LISKUL

3.クラウドサービスの普及

クラウド技術の普及により、従業員は多様なデバイスからクラウド上のリソースにアクセスするようになりました。

クラウド上の情報に安全にアクセスするためには、エンドポイントのセキュリティが重要です。

4.モバイルデバイスの増加

業務でのスマートフォンやタブレット利用が増え、企業のデータにアクセスするデバイスが多様化しています。

紛失や盗難のリスクに加え、個人と業務の区別が難しいケースが増えているため、モバイルエンドポイントの管理が求められています。

5.データ保護とコンプライアンス要件の強化

GDPRやCCPAなど、個人情報保護の法規制が強化され、企業はデータ保護に対してより厳密な対応が求められるようになっています。

エンドポイントセキュリティは、データ漏洩やプライバシー侵害を防ぎ、法的要件を満たすための重要な対策です。

これらの要因が複合的に作用し、企業はより多層的かつ高度なエンドポイントセキュリティの導入を検討するようになっています。

エンドポイントごとの保護対策を整備することが、現代の企業にとって不可欠なセキュリティ戦略の一環と言えるでしょう。

参考:GDPRとは?今すぐ対応すべき企業と最低限実施すべき5つの対策│LISKUL


エンドポイントセキュリティと他セキュリティの違い

エンドポイントセキュリティの特徴は、ユーザーが直接操作するデバイスを保護する点にあります。
ネットワーク全体を守る従来のセキュリティ対策(境界防御)や、データの保護を重視するセキュリティと比べ、エンドポイントセキュリティは「端末そのものに直接対策を施す」ことが目的です。
このアプローチの違いが、エンドポイントセキュリティのユニークな役割を形成しています。

種類保護対象主要な機能特徴
エンドポイントセキュリティデバイス(PC、スマートフォン等)ウイルス対策、EDR、デバイス管理端末ごとの保護が可能、リモートワークに有効
ネットワークセキュリティネットワーク全体ファイアウォール、IPS、IDS境界防御を実施、ネットワークの不正アクセスを防止
クラウドセキュリティクラウド環境アクセス制御、データ暗号化、監視クラウド内のデータ保護、リモートアクセスを制御
データセキュリティデータ暗号化、アクセス管理、データマスキングデータ漏洩防止に注力、法規制の遵守に役立つ
アプリケーションセキュリティアプリケーション脆弱性診断、不正アクセス防止アプリケーション層の保護、アプリの健全性維持

ネットワークセキュリティとの違い

ネットワークセキュリティはファイアウォールや侵入防止システム(IPS)を活用し、ネットワーク全体を監視・防御しますが、エンドポイントセキュリティはデバイスごとのリスク管理にフォーカスします。

特にリモートワークが進む現在、各エンドポイントが外部からアクセスする機会が増え、デバイス単位での保護が必須となっています。

クラウドセキュリティとの違い

クラウドセキュリティはクラウドサービス自体を守るための対策で、クラウド環境にあるデータやアプリケーションの保護を重視しています。

一方、エンドポイントセキュリティはクラウドにアクセスする端末そのものの安全を確保するため、異なるセキュリティレイヤーでありながら互いに補完関係にあります。

データセキュリティとの違い

データセキュリティは情報そのものの保護に重点を置き、暗号化やアクセス制御などによってデータの漏洩や改ざんを防ぎます。

エンドポイントセキュリティは、データを扱う端末を保護することで、データ保護を支援する役割を担います。特に、エンドポイントからのデータ漏洩リスクに備える点が特徴です。

アプリケーションセキュリティとの違い

アプリケーションセキュリティは、特定のアプリケーションに対する脆弱性対策や、アプリケーション層での不正アクセスの防止を行います。

エンドポイントセキュリティは、アプリケーションが稼働するデバイス自体を保護するため、アプリケーションとデバイス双方の安全性を保つために補完的な役割を果たします。

エンドポイントセキュリティは、このように各セキュリティ層の補完的な役割を担いながら、端末ごとのリスクを直接管理する点で他のセキュリティ対策と異なります。

ユーザーが操作するデバイスを中心に保護することで、内部からの脅威にも対応できる包括的なセキュリティとして、企業にとって重要な存在となっているのです。


エンドポイントセキュリティのメリット5つ

エンドポイントセキュリティの導入は、企業の情報資産を守り、業務効率や信頼性を高める上で以下のようなメリットをもたらします。

特に、デバイス単位での保護が可能になることで、従来の境界防御ではカバーしきれない脅威にも対応できる点が大きな利点です。

1.外部からのサイバー攻撃防御が強化される

エンドポイントセキュリティを導入することで、外部からのウイルス感染や不正アクセスのリスクが低減されます。

これにより、特にリモートワーク時にデバイスが直接攻撃のターゲットになるケースにも対応可能です。

2.内部からの情報漏洩リスクの軽減

エンドポイントセキュリティは、デバイスからの情報漏洩対策にも有効です。

たとえば、デバイスの紛失や盗難による情報流出の防止、内部の不正アクセスや無許可のデータ持ち出しの抑制に役立ちます。

3.迅速なインシデント対応が可能

多くのエンドポイントセキュリティツールは、異常な挙動を検知するとアラートを発し、即座に対応できる仕組みを備えています。

これにより、インシデント発生時の初期対応が迅速化し、被害を最小限に抑えることが可能です。

4.規制遵守とデータ保護が強化される

個人情報保護法やGDPRなど、データ保護に関する法規制への対応が求められる企業にとって、エンドポイントセキュリティは有効な対策です。

デバイスごとに情報を適切に保護することで、法規制の遵守に必要な安全性を確保できます。

5.デバイス管理の一元化による運用効率の向上

多くのエンドポイントセキュリティソリューションは、複数のデバイスを一元管理する機能を備えています。

これにより、IT部門は全社のエンドポイントの状態を把握しやすくなり、効率的な運用と管理が可能となります。

これらのメリットにより、エンドポイントセキュリティは単なる防御手段を超え、企業全体のセキュリティ体制を強化する重要な柱として位置づけられています。


エンドポイントセキュリティのデメリット5つ

エンドポイントセキュリティは多くのメリットをもたらしますが、導入にはデメリットも存在します。

これらの課題を理解し、対策を検討することが重要です。

1.コスト負担の増加

エンドポイントセキュリティの導入や運用には初期費用やライセンス料、さらに日々の運用コストがかかります。

特に、従業員が多い企業では費用が膨らむため、コスト面での計画が必要です。

2.システムへの負荷とパフォーマンス低下のリスク

一部のエンドポイントセキュリティソフトウェアは、リアルタイムでのスキャンや監視機能により、デバイスのパフォーマンスに影響を与える場合があります。

これにより、業務効率が低下する可能性があるため、負荷の少ないソリューションの選定が求められます。

3.運用管理の負担増

エンドポイントの数が増えるほど、管理するデバイスも増え、IT部門にとっての管理負担が増加します。

定期的な更新やパッチの適用、セキュリティポリシーの適用を行う必要があり、リソースが限られる中小企業にとっては特に負担となります。

4.ユーザーの利便性が制約される可能性

エンドポイントセキュリティは、業務で使用するデバイスに対してアクセス制限や使用制限をかけることが多く、ユーザーが感じる操作性や利便性に影響を与えることがあります。

特にリモートワークやモバイルデバイスでの利用には、バランスが必要です。

5.導入・運用時のノウハウが必要

エンドポイントセキュリティの効果を最大限に活かすためには、導入や運用に関する知識とノウハウが求められます。

適切な設定や運用が行われなければ、セキュリティの弱点を生む可能性があるため、専門知識のある人材や外部パートナーの支援が不可欠となることが多いです。

これらのデメリットを理解し、適切なリソース配分や導入計画を立てることで、エンドポイントセキュリティを企業にとって効果的かつ実用的なものとすることが可能です。


エンドポイントセキュリティの種類5つ

エンドポイントセキュリティには、企業のセキュリティニーズに応じてさまざまな種類が存在します。各種類の特徴を理解することで、企業環境に適した保護対策を選択できます。

1.アンチウイルスソフトウェア

最も基本的なエンドポイント保護手段で、ウイルスやマルウェアの検出と除去に特化しています。

リアルタイムスキャンや定期スキャンを通じて、エンドポイント内の不正なファイルやプログラムの活動を防ぎます。

2.エンドポイント検知および応答(EDR)

EDRは、より高度なエンドポイント保護を提供するシステムで、脅威の検知や分析、対応までをリアルタイムで行います。

異常な挙動を検出し、自動的に応答することでインシデントを即時に対処します。

特にリモート環境での監視に適しています。

3.次世代型アンチウイルス(NGAV)

従来のアンチウイルスソフトウェアに比べてAIや機械学習を活用し、未知のマルウェアやゼロデイ攻撃にも対応可能な保護機能を提供します。

パターンマッチングに依存せず、振る舞いベースで脅威を検出します。

4.デバイス管理ツール(MDM/EMM)

主にモバイルデバイスやタブレット向けのエンドポイントセキュリティで、リモート管理、紛失対策、データ保護に対応します。

BYOD環境でも業務と個人利用の区別を付けてセキュリティを強化できるため、特にスマートフォンの業務利用が多い企業に有効です。

参考:【2024年最新版】MDMおすすめ29選を比較!選び方も紹介│LISKUL

5.データ損失防止(DLP)

DLPは、エンドポイントを介した情報漏洩を防ぐためのソリューションです。

機密データの持ち出しや不正な転送を制御し、データ流出のリスクを低減します。

データの重要性が高い企業で特に求められる対策です。

これらのエンドポイントセキュリティの種類は、それぞれ異なるリスクに対応するため、企業のニーズに応じて組み合わせて使用することが効果的です。

包括的なエンドポイント保護体制を構築するためには、これらの種類を適切に選定し、企業全体のセキュリティレベルを強化することが重要です。


エンドポイントセキュリティの主な機能6つ

エンドポイントセキュリティは、多層的な機能を備え、デバイスを保護し、企業のデータを守るための包括的な対策を提供します。

以下は、エンドポイントセキュリティにおいて代表的な機能です。

1.リアルタイムスキャンとマルウェア対策

エンドポイント内のファイルやプログラムをリアルタイムで監視し、ウイルスやマルウェアの感染を防止します。

リアルタイムスキャンは、新たにダウンロードしたファイルや実行ファイルの安全性を瞬時に判断し、感染のリスクを低減します。

2.ファイアウォールによる通信制御

外部からの不正なアクセスやデータの持ち出しを防ぐための通信制御を行います。

ファイアウォール機能は、許可された通信のみを通過させることで、デバイスが不正アクセスの対象となることを防ぎます。

3.侵入検知と応答(EDR機能)

EDR機能は、異常な動作や疑わしいアクセスを自動的に検出し、脅威の分析や対応を行います。

これにより、即時に対策を講じることができ、インシデント発生時の被害を最小限に抑えられます。

4.デバイスのリモート管理

紛失や盗難時にデバイスを遠隔操作でロックしたり、データを削除したりすることが可能です。

また、リモートでのセキュリティ設定変更やソフトウェアアップデートも行えるため、運用効率の向上にもつながります。

5.データ損失防止(DLP)機能

DLP機能は、エンドポイントを介した機密データの流出を防ぐために、データの転送や保存に制限をかけます。

不正なデータ持ち出しやアクセスを検知し、情報漏洩リスクを低減します。

6.脆弱性管理とパッチ適用

エンドポイントのソフトウェアやOSに存在する脆弱性を自動で検出し、適切なパッチを適用します。

これにより、セキュリティホールを悪用した攻撃からデバイスを守り、常に安全な状態を維持できます。

エンドポイントセキュリティのこれらの機能を活用することで、企業は多層的かつ効果的な防御を構築できます。

個々の機能が連携して働くことで、エンドポイントをターゲットとしたサイバー攻撃への耐性を高めることが可能です。


エンドポイントセキュリティを導入する方法6ステップ

次に、エンドポイントセキュリティを導入する一般的な手順を6つのステップに分けて紹介します。

1.リスク評価と目標設定

まず、企業が直面するリスクを洗い出し、エンドポイントセキュリティの導入によって解決したい課題を明確にします。

たとえば、リモートワーク時の不正アクセス防止や、個人情報の保護など、具体的な目標設定が導入の指針となります。

2.適切なソリューションの選定

次に、企業のニーズに合致するエンドポイントセキュリティソリューションを選定します。

基本的なウイルス対策からEDR、DLP、リモート管理機能まで、必要な機能を備えた製品をリストアップし、比較検討することが重要です。

たとえば、社員が頻繁にモバイルデバイスを使用している場合、モバイルデバイス管理(MDM)を備えたソリューションを選ぶと、リモートでの管理や紛失時のロックが可能です。

デスクトップ中心のオフィスには、リアルタイム監視とウイルス対策が強化されたEDRが適しています。

3.セキュリティポリシーの策定と設定

ソリューション導入に合わせて、エンドポイントの使用やアクセス権限に関するセキュリティポリシーを策定し、システム上で設定します。

ポリシーを明確にすることで、全従業員が一貫したルールの下でデバイスを利用できるようにします。

たとえば、「従業員は業務データを社外のクラウドストレージに保存してはならない」「外部のUSB機器の使用を制限する」といったルールを定め、システムで制御することが可能です。

このポリシーを明示することで、従業員がデバイスを使用する際の統一された行動指針ができます。

4.段階的な導入とテスト

セキュリティシステムは一度に全てのデバイスに導入せず、まずは一部の部門や端末で試験的に導入し、問題がないかを確認します。

テストで得られたフィードバックをもとに、設定を調整し、全社展開をスムーズに行います。

たとえば、営業部門でテスト導入を行い、フィードバックを基に改善を行った上で全社に展開するといった形で進めていきます。

テスト中に、正常な業務が行われているかやデバイスのパフォーマンスに影響がないかを確認します。

5.従業員への教育と意識向上

セキュリティの効果を最大化するためには、従業員への教育が欠かせません。

エンドポイントセキュリティの重要性や操作方法についてトレーニングを実施し、全従業員が正しく対応できるよう意識を高めます。

たとえば、フィッシングメールの見分け方や、不審なファイルを開かないようにする指導を行います。

オンラインでトレーニングを実施し、従業員がサイバーリスクに敏感になるよう促進しましょう。

6.継続的な監視と更新

エンドポイントセキュリティは導入後も常に監視し、最新の脅威に対応するための更新が求められます。

定期的にリスクを見直し、ソフトウェアやポリシーを必要に応じてアップデートすることで、セキュリティ体制を強化し続けます。

たとえば、セキュリティポリシーを定期的に見直し、ウイルス対策ソフトの定義ファイルやデバイスのソフトウェアを最新の状態に保つことで、常に最新の脅威に対応できるようにしたり、ログ監視を活用し、異常なアクセスが発生していないかを常にチェックしましょう。


エンドポイントセキュリティの主なソフト5つ

エンドポイントセキュリティの分野には、各種の脅威に対応するためのソフトウェアが多く存在します。

代表的なソフトウェアを理解することで、企業のニーズに合った適切なエンドポイントセキュリティ対策を選定する参考になります。

1. Symantec Endpoint Protection

ウイルス対策から侵入防止、ファイアウォール、DLP(データ損失防止)まで、包括的なエンドポイント保護機能を提供します。

特に大企業において、複数の機能を一元管理したい場合に適した選択肢です。

参考: Symantec Endpoint Protection

2. Microsoft Defender for Endpoint

Windows環境に強みがあるエンドポイントセキュリティで、EDR(エンドポイント検知と応答)機能やリスク分析機能を搭載しています。

Microsoft 365との連携もスムーズで、特にWindowsユーザーが多い企業には導入しやすい製品です。

参考: Microsoft Defender for Endpoint

3. CrowdStrike Falcon

クラウドベースのEDRソリューションで、リアルタイムでの脅威検知と迅速な対応が特徴です。

クラウド環境で動作するため、リモートワークが多い企業や、迅速な導入を求める企業に適しています。

参考: CrowdStrike Falcon

4. Kaspersky Endpoint Security

複数のプラットフォーム(Windows、Mac、Linux)に対応しており、企業の規模や業界を問わず使用されています。

マルウェア検出精度が高く、堅牢なデバイス保護が求められる企業に適しています。

参考: Kaspersky Endpoint Security

5.Sophos Intercept X

AIとディープラーニング技術を活用した次世代型のエンドポイント保護を提供します。

ランサムウェア対策やエクスプロイト防止機能も充実しており、特に高度な攻撃対策を求める企業に最適です。

参考:Sophos Intercept X


エンドポイントセキュリティに関するよくある誤解5つ

最後に、エンドポイントセキュリティに関するよくある誤解を5つ紹介します。

誤解1:「アンチウイルスだけで十分な保護ができる」

エンドポイントセキュリティはウイルス対策にとどまらず、EDR(エンドポイント検知と応答)やデータ損失防止、脆弱性管理など、多層的な対策が求められます。

現代のサイバー攻撃は高度で多様化しているため、アンチウイルスだけでは十分に防ぎきれません。

誤解2:「エンドポイントセキュリティは大企業だけが必要」

エンドポイントセキュリティは企業規模にかかわらず重要です。

小規模な企業もサイバー攻撃のターゲットになりやすく、特にリモートワークが普及する中、エンドポイントの保護は必須です。

小規模企業向けのコストを抑えたセキュリティソリューションも多く提供されています。

誤解3:「導入したら自動的にすべての脅威が防げる」

エンドポイントセキュリティは強力な防御手段ですが、常に最新の脅威に対応するためには定期的なアップデートと監視が欠かせません。

さらに、ユーザー側の注意も重要で、フィッシングメールなど人為的なミスを防ぐための教育も並行して行う必要があります。

誤解4:「エンドポイントセキュリティを導入すると業務が遅くなる」

一部のセキュリティソフトはパフォーマンスに影響を与えることがありますが、近年のエンドポイントソリューションは軽量で効率的に動作するものが増えています。

導入時に企業の環境に適した製品を選ぶことで、業務への影響を最小限に抑えられます。

誤解5:「クラウドでの業務だからエンドポイントセキュリティは不要」

クラウド環境での業務でも、デバイスが不正アクセスやマルウェアに感染すると、クラウド上のデータにも影響が及ぶ可能性があります。

クラウド利用が増えている現代こそ、エンドポイントの保護が必要です。


まとめ

本記事では、エンドポイントセキュリティの基礎や、種類、機能、導入方法、代表的なソフトなどの情報を一挙に解説しました。

エンドポイントセキュリティとは、PCやスマートフォンなどの端末をサイバー攻撃や情報漏洩から守るための対策です。

特にリモートワークが増える中で、エンドポイントの保護は企業のセキュリティ戦略においてますます重要な位置を占めています。

エンドポイントセキュリティには、ウイルス対策やEDR(エンドポイント検知と応答)、データ損失防止(DLP)などの多様な種類と機能があり、これらが組み合わさることで多層的な防御を実現します。

導入にはリスク評価やポリシー策定、従業員教育などが必要で、企業ごとのセキュリティニーズに応じたソリューションの選定がポイントです。

エンドポイントセキュリティソフトにはSymantecやMicrosoft Defenderなど、企業規模や利用環境に応じたさまざまな製品があります。

自社の業務形態に合ったソフトを選び、継続的な監視と更新を行うことで、より強固なエンドポイント保護が可能です。

エンドポイントセキュリティを導入することで、企業はデータ保護や業務の安全性を向上が期待できます。

セキュリティの強化にお悩みの方は検討してみてはいかがでしょうか。

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