リーダーシップとは?種類、含まれる要素、育成方法まで一挙紹介!

リーダーシップとは

リーダーシップとは、他者のパフォーマンスを最大限に発揮して目的の達成を推進する能力を指す言葉です。

リーダーという言葉からは、状況を把握し的確な指示を出す人という印象がありますが、他にもビジョンの共有や、モチベーションを高めたり、共感を呼び起こすなどのスキルセットが要求される複雑な役割です。

リーダーシップを発揮することで、不確実性の高い環境において変化に素早く対応したり、ビジネスを成功に導くことができます。

しかし、具体的にどのようなことを身に着ければ良いのかわからないという方も多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、リーダーシップの基礎や、リーダーシップが高い状態・低い状態、リーダーシップの種類、含まれる要素、課題と対策、リーダーシップを育成する方法、などの情報を一挙に解説します。

リーダーの役割がぴんと来ていないという方は、ぜひご一読ください。


目次

リーダーシップとは、他者のパフォーマンスを高めて目的達成を推進する能力のこと

リーダーシップとは、目標達成に向けて他者を導く能力のことです。

他者とビジョンを共有することで進むべき道を明確にしたり、コミュニケーションを通じて士気を高めるなどすることで、環境の変化に迅速かつ柔軟に対応することが可能となります。

つまりリーダーシップの有無は、チームや組織のパフォーマンスに大きな影響を与え、成功または失敗に直結する要因となり得ます。

効果的なリーダーシップは、チームのポテンシャルを最大限に引き出し、目標達成へ導く一方で、リーダーシップが欠けている環境では、チームのパフォーマンスが低下し、生産性の低下を招くなどの恐れがあります。

そのためリーダーは、効果的なコミュニケーション、チームビルディング、問題解決などの多様なスキルを身につけることが求められます。


リーダーシップが高いと士気や生産性が向上する

次に、リーダーシップが高い状態とはどのような状態か、またそのようなときにはどのような効果をもたらすのかを説明します。

リーダーシップが高い状態を示す5つのポイント

まずは、リーダーシップが高い状態とはどのような状態かを見ていきましょう。

1.明確なビジョンや方向性を提示・共有できている

リーダーが目標を明確にし、チームに方向性や戦略を共有できている状態です。

2.良好なコミュニケーションが行われている

リーダーとチーム間でオープンかつ効果的なコミュニケーションが行われている状態です。

3.信頼や尊敬を得られている

リーダーシップが発揮されている場合に、リーダーはチームメンバーから信頼や尊敬を得ることができます。

4.変化や問題に柔軟に対応できている

個人の力ではなく、チーム単位で変化に迅速に対応したり、柔軟に適応できている状態です。

5.共感やサポートを行えている

リーダーは、チームのニーズに注意を払い、共感やサポートが行えている状態です。

リーダーシップが高い場合に期待できる4つの効果

リーダーシップが高まることで以下4つの効果を期待することができます。

1.チームの士気と職場の満足度が向上する

高いリーダーシップは、チームの士気や職場満足度を大きく向上させます。

このような環境では、従業員は自分が大切にされ、価値ある一員であると感じ、その結果、職場へのロイヤルティが高まります。

2.チームの生産性と効率が向上する

効果的なリーダーシップは、チームの生産性と効率も向上させます。

目標が明確で、役割が適切に配分されていると、チームメンバーは自分の責任範囲を理解し、効率的にタスクを遂行することが可能になります。

また、リーダーがサポートとリソースを提供することで、作業の質と速度が向上します。

3.目標達成の可能性が高まる

高いリーダーシップの下では、設定された目標達成の可能性が高まります。
士気が高く、生産性が高まることで、チームは目標に向かって一丸となって動き、最大限のパフォーマンスが発揮されます。

4.イノベーションを促進できる

効果的なリーダーシップは、イノベーションの促進にも寄与します。

チームのコミュニケーションが増えることで、チームメンバーは新しいアイデアを提案しやすくなります。

このような環境では、革新的な解決策やアイデアが生まれやすく、組織全体の成長と進化に貢献します。


リーダーシップが不足すると士気が下がり生産性も低下する

次に、リーダーシップが不足するとどのような状態になり、何が起きてしまうのかを説明します。

リーダーシップが低い状態を示す6つのポイント

まずは、リーダーシップが低い状態から見ていきましょう。

1.方向性が欠如している

リーダーシップが不足すると、チームは明確な目標やビジョンを欠き、何を目指して働くべきかの方向性が不明確になります。

2.モチベーションが低い

リーダーが動機づけを行わないため、チームメンバーはモチベーションを失い、不満を抱えることが多くなります。

3.コミュニケーションが不足する

コミュニケーションが不十分になると、誤解が生じやすくなり、チーム内の協力関係が損なわれます。

4.信頼感が欠如する

チームメンバーがリーダーを信頼せず尊敬しないことで、リーダーの指示や意見に対する反応が悪くなります。

5.柔軟性がなくなる

変化に対応する能力が低下し、新しい状況や問題に適切に対処することが困難になります。

6.サポートがない

リーダーがチームのニーズに無関心であるため、メンバーは必要なサポートを受けられず、能力を十分に発揮できません。

7.問題解決の遅延

問題への対応が不適切または遅れるため、小さな問題が大きな障害に発展するリスクが高まります。

リーダーシップの不足が生み出す4つの影響

次に、リーダーシップが不足した場合にどのような悪影響があるのかをご紹介します。

1.チーム士気と職場満足度が低下する

リーダーシップが不足するとチームの士気が低下し、職場に対する満足度も減少します。

これにより、従業員の離職率が高まる可能性があります。

2.生産性と効率が低下する

チームの士気が下がることで生産性が低下し、効率が悪化します。

タスクの遅延や品質の低下が生じ、全体的な業績に影響を及ぼす可能性があります。

3.失敗のリスクが増加する

明確な方向性が欠如したり、士気の低下により生産性が低下することにより目標達成が困難になったり、失敗のリスクが増加します。

4.イノベーションと創造性が抑制される

コミュニケーションが不足することにより、創造的な思考や新しいアイデアの発展が抑制され、イノベーションの機会が減少します。


リーダーシップの種類6つ

次に、リーダーシップの種類について、感情知能(EQ)に関する研究を行うダニエル・ゴールドマンが提唱するリーダーシップの6つの分類を基に説明します。

ゴールドマンは、これらのスタイルは補完的であり、状況に応じて柔軟に使い分けることが重要であると述べており、ひとつのスタイルを選べば良いというわけではないので注意しましょう。

1.直接的に支持を出す指令型

指令型(Coercive)リーダーシップは、緊急な状況や軌道修正が必要な場合に効果的な「やらせる」アプローチを採用します。

このスタイルは非常に直接的ですが、過度に用いるとチームの士気を損なうリスクがあります。

2.ビジョンで引っ張る指導型

指導型(Authoritative)リーダーシップでは、ビジョンに基づいてチームを導きます。

このアプローチは、変革が必要な状況や新しいビジョンの共有に適しています。

3.人をつなげる提携型

提携型(Affiliative)リーダーシップは「人々をつなげる」スタイルで、チームビルディングやモラル向上、コミュニケーション強化に焦点を当てます。

このスタイルは、チーム内の信頼を築き、ハーモニーを促進します。

4.アイディアを募集する民主型

民主型(Democratic)リーダーシップは、チームメンバーの意見やアイデアを集めて決定を下すスタイルです。

チームの関与と責任感を高めますが、迅速な決断が必要な場合には不向きな場合があります。

5.自ら基準を設定するペースセッティング型

ペースセッティング型(Pacesetting)リーダーシップは、「自分が示す」というアプローチで高いパフォーマンス基準を設定します。

このスタイルは高いスキルを持つチームに対して効果的ですが、過度に用いると燃え尽き症候群を引き起こすリスクがあります。

6.個人の成長を促すコーチング型

コーチング型(Coaching)リーダーシップは、個々の従業員の個人的および職業的な成長に焦点を当て、長期的な成長と発展を目指します。

このスタイルは、個々の強みや弱点を理解し、それらを改善するための支援を提供します。


リーダーシップに含まれる12の要素

次に、リーダーシップに含まれる代表的なスキルセットやマインドセットなどの要素を12個ご紹介します。

1.ビジョンの明確化と共有

効果的なリーダーは、チームの将来像を明確に描き、それを説得力を持って共有します。

このビジョンは、目標達成の方向性を提供し、チームメンバーにモチベーションを与えます。

2.明瞭なコミュニケーションを促す

明瞭で理解しやすいコミュニケーションは、チーム内の信頼と協力を促進し、誤解を防ぎます。

伝わりやすいメッセージを心掛けたり、聞き手の意図を理解するリスニングスキルなどの能力が含まれます。

3.決断力と責任感

リーダーは迅速な決断を行い、その結果に対して責任を持つことが求められます。

具体的には、リスクやリターンを評価する能力が含まれます。

4.感情的な課題への対応

リーダーは、感情的な課題を扱うことも求められます。

自己の感情を理解し管理したり、他者の感情を理解し対応することで、チームの士気を高め、対人関係を強化することができます。

5.ポジティブな影響力と動機付け

リーダーは、自身の情熱などを通じて他者に影響を与えたり、鼓舞し成長に導いたり、高いパフォーマンスを発揮するように動機付けたりすることが求められます。

6.柔軟性と適応性

リーダーは、予期せぬ変化や困難に直面した際に柔軟に対応し、計画を迅速に調整する能力が求められます。

7.チームビルディング

効果的なチームビルディング能力は、信頼と協力を促進し、協調性の高いチーム環境を作り出します。

個々の能力を認識し、強みを活かすことが重要です。

8.倫理と誠実性

リーダーは高い倫理基準を持ち、誠実かつ透明性を持って行動することが求められます。

自身が模範となることで、信頼を築くことができます。

9.継続的な学習と成長

リーダーは、自己のスキルと知識を常に更新しつづけることも求められます。

変化に対する柔軟な対応を行うためには、新しいトレンドや技術に対する理解が欠かせません。

10.課題解決能力

リーダーには、目的達成の障壁や生産性低下の要因となる課題を特定したり、解決策を見つける能力が求められます。

11.リスク管理と革新性

リーダーは、リスクを理解し管理したり、新しいアイデアやアプローチを探求することも求められます。

これらは、組織の継続的な成長には欠かせません。

12.業務の委任と成長機会の提供

業務を適切に委任し、チームメンバーに自己決定の機会を与えることで、リーダーは効率を高め、チームメンバーのスキルと自信を育てます。


リーダーシップのよくある課題と解決策3つ

次に、現代のリーダーシップのよくある課題と解決策の例を3つご紹介します。

1.価値観の違いには、コミュニケーション促進が効果的

多様化が進むことで多くの価値観が生み出されていますが、これはしばしばリーダーシップにおける課題となることがあります。

チーム内に異なる文化的背景や価値観を持つメンバーがいる場合、各人が尊重され、貢献できる環境を作ることが重要です。

オープンなコミュニケーションを促進し、異なる視点を受け入れ、互いに学び合う機会を提供するなど、多様性を価値として認識する文化を築きましょう。

2.リモートワークによる課題は、ガイドラインやツールを活用する

近年加速するリモートワークもリーダーシップの課題になり得ます。

物理的な距離により、チームの一体感が失われたり、オンラインでのコミュニケーション難などが挙げられます。

このような場合には、定期的なオンラインミーティングの実施、クリアなコミュニケーションのガイドラインの設定、デジタルツールの活用により、チームの連携を強化しましょう。

3.技術変化への対応は、学習する文化の醸成が有効

激しく変化する技術への適応もリーダーシップの障壁になります。

特に、慣れ親しんだ業務のデジタル化は、しばしば社内で反発を生むこともあります。

このような事態を少しでも軽減するためには、持続的な学習と適応の文化を促進したり、新しい技術トレーニングを提供することが有効です。

変化をチャンスと捉え、イノベーションを奨励することで、技術変化に対応しましょう。


実践的なリーダーシップの育成方法7つ

リーダーシップの育成には、メンタリング、コーチング、フィードバック、実践的なトレーニング、チームビルディング活動、自己啓発、リーダーシップ開発プログラムの利用など、多様なアプローチが有効です。

1.メンタリングを受ける

メンタリングは、経験豊かなリーダーが、より少ない経験を持つ個人に指導と助言を提供するプロセスのことです。

経験豊富なリーダーから実践的な知識やキャリア開発を受けることは成長の近道となります。

2.コーチングを受ける

コーチングは、個々の目標達成をサポートするより個別化されたアプローチです

。コーチングを受けることで、自己認識を高めたり、個人の強みと弱点を理解したり、それらを改善するための具体的な戦略を開発することができます。

3.フィードバックを得る

定期的なフィードバックは、リーダーシップ能力の向上に不可欠です。

フィードバックを通じて、リーダーは自己の行動の影響を理解し、改善のための具体的な行動計画を策定できます。

フィードバックは、同僚や上司、部下からのものであることが重要であり、多角的な視点からの意見を取り入れることで、より包括的な自己改善が可能になります。

4.実践的なトレーニングを行う

ケーススタディ、シミュレーション、グループディスカッションを含むインタラクティブなトレーニングセッションは、実践的なスキルを強化し、実際のビジネス環境での適用を促進します。

これらの活動は、リーダーシップの理論を実際の状況に適用する方法を学ぶのに理想的な環境を提供します。

5.チームビルディング活動を行う

チームビルディング活動は、実際のプロジェクトやチーム活動を通じて、リーダーシップスキルを実践的に適用し、育成する機会を提供します。

これらの活動は、チームの協力とコミュニケーションを強化し、リーダーとしての自信と能力を養うのに役立ちます。

6.自己啓発を行う

リーダーシップに関する書籍やセミナー、ワークショップへの積極的な参加は、新しい知識を取り入れ、異なる視点を学ぶ機会を提供します。

自己啓発は、継続的な学習と自己反省を促し、リーダーシップスタイルの進化と改善に寄与します。

7.リーダーシップ開発プログラムを利用する

通信教育やオンラインコースは、柔軟性と便利さを提供し、個人のペースで学習を進めることができます。

これらのプログラムは、リーダーシップの基本原則から高度な戦略まで、幅広いトピックをカバーしています。


まとめ

本記事では、リーダーシップの基礎や、リーダーシップが高い状態・低い状態、リーダーシップの種類、含まれる要素、課題と対策、リーダーシップを育成する方法について解説しました。

リーダーシップとは、他者のパフォーマンスを最大化することで目的達成を推進するための能力のことです。

このリーダーシップは、ビジョンを明確にしたり、コミュニケーションを活性化したり、士気を高めたりと求められることが多く、非常に複雑です。

リーダーシップを正しく発揮することにより、チームの士気や生産性が向上し、目的達成の可能性が上昇します。

しかし、不足すると信頼を築けず、生産性の低下や、創造性、柔軟性の欠如を招く恐れもあります。

これらに対してゴールドマンが提唱する6つのスタイルを使い分けたり、リーダーシップの要素を理解したうえで、課題を解決したり、リーダーシップを高める方法を実践することでビジネスの継続的な成長を実現することが可能となります。

そしてリーダーシップを高める際には、本記事で紹介した情報が一助となれば幸いです。