営業力のあるソウルドアウトを 、テクノロジーにも強い会社に。アドテク領域で活躍するエンジニアの姿勢とは

Webマーケティングノウハウメディアの「LISKUL」と、IT/Web業界の求人紹介をしている「グロウスギア」の共同企画、「キャリアノート」。

第2回目の今回は、ソウルドアウト株式会社の小野友嘉さんに登壇いただきました。

まったくの未経験からIT業界に足を踏み入れ、前職では大ヒットゲームのテクノロジーを支える存在となるまでに成長を遂げた小野さん。

その“飛躍力”の根底には、未知の世界に対する強い好奇心と、メンターやチームメンバーとの関係を大切にする姿勢がありました。そのキャリアの変遷や現在の業務について聞いてみました。


飲食業界からIT業界へ転職。フリーランスのエンジニアに

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小野友嘉 ソウルドアウト株式会社 メディアソリューション部 マネージャー。サイバーエージェント子会社Cygamesを経て2014年ソウルドアウト株式会社へ入社。現在はアドテクノロジー領域(フィード広告、タグマネージャー)の業務に従事。

そもそも、飲食業界から転身されたとお聞きしていますが。

小野さん:学生の時には建築デザインを学んでいたのですが、在学時に父が他界。実家が経営している焼肉店を承継することになりました。

ところが、実際にフタを開けてみると思った以上に借金も大きく、自力での再建は不可能な状態。銀行に融資をお願いしたところで、当時、20歳そこそこだった私の話など取り合ってもらえず、結局、自己破産をする道しか残されていません。そのため、5年ほどかけて店を回しながら債務整理をおこなっていきました。

24歳になって、ようやく整理がついたので店を畳み、それから一年ほど、色々なバイトをしながら、“この先、何をやろうか?”と考えます。

当時は、ITバブルの全盛期。学生時代の先輩も口をそろえて、“ITは儲かる”と言っていました。ちょうどその頃、通っていたバーで、インターネット広告代理店のオプトの創業メンバーのひとりと知り合うことになり、その方から“君もIT業界にチャレンジしたほうがいい”と道を示してくれました。

サラリーマン経験もなかったので、“ITって何?”というような状態でした。ほとんどパソコンを使うこともなかったので、友人たちも「未経験でITなど無理。飲食店のほうが向いている」と言ってくる。でも、私としては、未知の業界に対して不安を抱くこともなく、やったことのない仕事に対して魅力を感じていました。それと、周囲の友人たちから“お前には向いていない”といわれている業界に挑みたいという、意地みたいなものもありましたね。

どのようにしてIT業界への転職活動を展開したのですか。

小野さん:当時はまだガラケーの時代だったので、iモードの求人サイトから「未経験歓迎」のIT企業を探すところからはじめました。最初はジャンルの違いもわからなかったので、なんとなくカッコいいと感じていた「アウトソーシング」と「Webデザイン」の2つのキーワードで職場をピックアップしていきました。

いくつか面接をした中で、私を選んでくれたのが、池袋にある小さな制作会社。いざ、入社を果たしたものの、知識もスキルもゼロなので、やらせてもらえる仕事は電話対応と御用聞きのようなものばかりでした。やがて、モバイルサイトを作るような簡単な仕事を見よう見まねでやるようになっていきました。

その会社には2年ほど在籍し、プログラミングとまではいきませんが、コーディングやフォトショップの作業などデザイン系の仕事は一通りできるようになりました。28歳となり、ある程度のスキルがついてきたので、ステップアップを図ろうと転職活動を開始。

そのときに、フリーのエンジニアになるという選択肢があると知りました。頑張れば頑張った分だけ稼ぐことができるというスタイルが気に入って、業務委託でサイバーエージェントに出向させていただくことに。そこでソーシャルゲームの開発に従事することになりました。

わずか2年の経験で、大手企業に採用されるまでになる…。ものすごい成長率ですよね。

小野さん:時代が味方してくれたと思っています。単にラッキーだっただけですよ。iPhone3が登場しスマホへの移行がはじまったころ、まだまだスマホ対応のサイトが少なかったです。ちょうど私のスキルセットが必要とされていました。

運よく、多くのヒット作に携わることが多かったですね。やがて、「小野と仕事をするとヒットするから、また一緒に作りたい」なんてプロデューサーに言われるようになって。ヒットするゲームってチームの温度や雰囲気が大きく作用するところがあって、結局、相性が良いというか、仲の良いメンバーが集まってプロジェクトを結成するケースが多かったです。だからいつも同じ顔触れになります。自分も仕事がやりやすいし、たぶん相手もやりやすかったでしょうね。

職場環境にも恵まれ、自分もそれなりに力をつけていたということもあって、一年後には社員にならないかとお話をいただきました。最終的には人気スマホゲームのエンジニア・リーダーを任されるまでになっていましたね。


自分のエンジニアとしてのスキルが、世の中の市場でどれほどの価値があるのか試してみたい

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順風満帆のキャリアを積んでこられた小野さんが、なぜそこで再度の転職を?

小野さん:IT業務を一通り経験し、ヒット作も作って、じゃあ、次はどうしようと考えたときに、プログラムが怖いとか苦手だとか思っている人に、そのネガティブなイメージを払拭したいと思い始めていたのです。未経験だった私にだってできたのだから、ITの仕事ってみんなが思っているほど怖くはないということを伝えたくなりました。

もちろん、もう少し広い世界で自分の力を試してみたいという思いもあります。自分のエンジニアとしてのスキルが、世の中の市場でどのくらいの価値があるのか?自分という人間がお客様に対してどのくらいの価値を生み出せるのか試してみたくなりました。

新しい世界を渇望していたときに、また私をIT業界に導いてくれた、例のオプトの創業メンバーの方に相談しました。もちろん、定期的に連絡を入れていたのですが、その方のことは好きだったし、示してくれた道をちゃんと歩いていたらここまで成長できましたから、そういう意味で、ずっと尊敬していたのですね。

私にとっては頼りになるメンターみたいな存在だったので、そういった話をしてみたら、じゃあ「ソウルドアウトという会社を紹介するよ」といってくださったのです。

紹介されたときは、率直にどのように感じましたか。

小野さん:そのときは、正直言ってソウルドアウトの存在は知らなかったので、“何それ?”という感覚でした。広告代理事業すら“何それ?”という感覚。前職であるサイバーエージェントにも広告事業部門はありましたが、ゲームの部門とは“別の国”みたいなものでした。

未知の仕事に対する興味もありましたが、それ以上に、面談でお会いした幹部の方々の人柄に惹かれ、“こういう人たちと働いたら面白そうだな”と直感的に思いましたね。“この人たちと働こう”という思いが先立ちました。

入社してからは、どのような業務に携わることになったのですか。

小野さん:入社以来、部署を3つほど異動しています。最初は制作系の部署で、お客様のクリエイティブの効果を改善する施策をおこなってきました。これまでのキャリアとはまったく畑の違う仕事のため、クオリティをあげるために、“経験して覚える”そして“聞く”という二つの方法をとるしかありませんでした。

その後、営業部門で経験を積んでから、アドテク領域の部署に移動。私がいるチームはアドテクを専門とし、テクノロジーに寄った業務を担当するチームをまとめさせてもらっています。教育をやりたいと考えていたため、チームメンバーにプログラムを教えたりできる点にやりがいを感じています。

まったく畑の違う業界のお仕事…苦労されたのではないですか。

小野さん:もう苦労しかないです(笑)。まだ、その苦労は乗り越えていませんが。最初の頃は本当に広告業界用語に慣れなくて、みんな“CPC”や“CVR”などといっているけれど、何を言っているのかまったくわからない。これは、とんでもないところにきたなと思いましたね。

これまではクリエイティブ寄りというか、どっぷりエンジニアリング業務だけをやっていれば良いような世界にいたので、ソウルドアウトのように営業中心の会社の文化に触れる経験もなかっただけに、そのギャップが大きかったです。はじめてエンジニアになった時よりもギャップが大きいかもしれません。

営業会社なので、良くも悪くも、“売っていくぞ!”という姿勢や数字に対する意識が強いのは当たり前だと思います。でも、それが達成できなかったからといって、責められるような会社ではないですね。未達の人に対するフォローアップもある。私たちアドテクチームもアドテク売価などの数字は追っていますし、営業部門と意識は共有しています。


営業に加えて、”テクノロジーにも強い会社”になるように、チームのメンバーが力をつけるサポートを

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小野さんは、ソウルドアウトではどのようなミッションを自覚されていますか

小野さん:“ソウルドアウトは営業力のある会社”というイメージが強いのですが、それに加えて“テクノロジーも強い会社”だと思われるようになりたいです。ボトムアップさせたいという思いがあります。会社の技術力を引き上げるには、やはり教育が重要。自分と同じスキルを持つブレーンを作っていけば、それが倍々で増えていくことになります。

テクノロジー力がアップしていくと、社内的には、より考える時間やお客様と向き合える時間が増やせるのではないかと思っています。例えば、現在は提案書づくりにかかっている時間も、それをフレームワーク化できれば、お客様と向き合う時間が増えます。結果、お客様のパフォーマンスも良くなって、効果も予算も上がっていく。そういったポジティブなサイクルが生まれると、個人的には思います。

そういった意味で、会社の根幹を支える技術力は重要になってくると。もちろんお客様あっての仕事なので、お客様に寄り添う営業力と技術力の両方がバランスよく備わってこそだとは思います。

チーム作りのポイントを教えてください。

小野さん:“わからないことはすぐ聞くよう”にということは徹底しています。“聞くのは悪いことではない、聞かないほうがむしろ問題だ”と。5分悩んでわからなかったら一回聞いてもらって、ヒントが欲しいのか答えがほしいのかを明確にしてもらうよう指示しています。

ソースコードが分からなければ、探し方を教えてあげて、そのプロセスに立ち会いながら、具体的に指導していますね。将来的には、可能であれば、社内に限らずITスクールみたいなものをやっていきたいと思っていますね。初心者だった私が身に着けてきた実践的な講習を展開してみたいですね。

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