ビジネスコミュニケーションとは?3つの必須スキルと意識すべきポイント

ビジネスコミュニケーションとは、社内・顧客先を含む仕事上でのコミュニケーション全般のことを指します。

職場内で上司や同僚との会話ややりとりはもちろん、取引先との商談や顧客との折衝など、業務や人間関係を円滑にするために大変重要なものであり、ビジネスコミュニケーションは同僚や上司、顧客との関係性を次第で、仕事ができるか否かの差がつくといっても過言ではありません。

しかし、このような悩みではないでしょうか。

「ビジネスコミュニケーションは普段のやりとりとどう違うのか」
「どういうスキルが必要なのか知りたい」

お互いの意図がずれてしまって会話自体が成立しなかったり、求める結果と異なってしまったりしては、業務をスムーズに進めることはできません。

ビジネスコミュニケーションがうまくいくかどうかは「信頼関係」であり、そのため関係性をいかに構築するかが重要です。

ビジネスの場合は、気心知れた関係がベースにあるとは限らないからです。

そこで本記事では、ビジネスコミュニケーションの本質的な意味、ビジネスコミュニケーション力を上げるポイントや、役立つツールを解説します。

この記事を読むことで、実際の現場でスムーズなやりとりを行うための基本をおさえ、あなたの仕事の質を今よりも上げるヒントにしていただければと思います。


ビジネスコミュニケーションの本質は、相手と信頼関係を構築すること

ビジネスコミュニケーションは、社内外におけるコミュニケーション全般のことですが、その本質は相手との共通認識を作り、関係を構築することにあります。

ビジネスでは、友人や家族のように自分と親しい間柄といった個人間でのコミュニケーションとは違い、自分と異なる立場にいる相手に対して意思疎通を図り、信頼を得ながら業務を進めていきます。

そのためには、単に自分が伝えたいことを伝えるための伝達力だけではなく、「相手が聞きたいことが伝わったか」「相手の立場をいかに想像できるか」を意識することが重要です。

ビジネスコミュニケーションでは、相手にどうしてほしいのかという「自分の意図」を明確に示しつつ、表現や言葉を慎重に選んで相手との信頼関係を構築していく必要があります。


ビジネスコミュニケーションが必要な理由

ビジネスコミュニケーションは、職場でも顧客先でもビジネスの根本を支えるために不可欠なものです。

その理由としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 職場のどの階層にも必要な基本スキルであるため
  • 業務をスムーズに進めるため
  • 認識のずれをなくすため

職場のどの階層にも必要な基本スキルであるため

ビジネスコミュニケーションは、全社員に求められる基本スキルです。

マネジメント層、リーダー層、メンバー層といった階層によって必要な能力の種類には違いがありますが、ビジネスコミュニケーションのスキルにおいてはどの階層でも求められます。

組織の一員として活躍するためには、立場に関わらず仕事に関わる人々とより良い関係を築いていくことが重要となります。

業務をスムーズに進めるため

ビジネスコミュニケーションは業務を円滑に進めるために行います。

仕事は多くの人の協力を得て進めるものであり、ビジネスコミュニケーションがうまくいっていれば、業務の連携や分担もしやすくなります。

例えば、過去の受注先の膨大なデータや書類をあたって、新規見込み顧客資料を明日にでも揃えないといけないといった場合、日頃からの協力体制ができていれば「データ整理は●●さん」「クリッピングは●●さん」と分担して進めることが可能です。

コミュニケーションが活発な職場であれば、お互いのタスクも把握しやすくなり、問題の早期発見やサポートもしやすくなるなど、風通しが良く明るい組織風土を保つこともできるでしょう。

認識のずれを無くすため

関係者間の認識のずれをなくすことも、ビジネスコミュニケーションが必要な理由です。

自分の思いや考えが、相手や他の人と同じとは限りません。

例えば、営業担当である自分の担当ホームページ制作案件で、スケジュールは順調と思っていても、デザイナーにとっては明日をも知れぬひっ迫した事態なのかもしれません。

単に事実情報を共有するだけではなく、考え方や価値観、コンセプトを共有し、お互いの認識をすり合わせ、自分以外の人と認識を極力近づけていく必要があります。

参考:ビジネスコミュニケーションの目的とメリットとは? | Slack


ビジネスコミュニケーションの3つの基本スキル

ビジネスコミュニケーションに求められる基本スキルには、以下の3つが挙げられます。

  • 伝達スキル
  • ヒアリングスキル
  • 質問スキル

伝達スキル

まず一つ目は、自分が伝えたい内容を明確にし、話の筋道を作ってロジカルに伝える「伝達スキル」です。

ビジネスで重要なのは、自分の意見や考えを相手に伝える力です。伝達スキルが未熟だと意思疎通がうまくいきません。

このスキルを磨くためには以下のようなことを意識すると良いでしょう。

  • 専門用語を使わず、簡単な言葉で伝えるようにする
  • 断言することで相手の不安を解消する
  • 最初に結論から話す
  • 期日や期限を明言する(〇日後、〇時間後、〇分後)

ヒアリングスキル

相手が何を伝えようとしているかを正確に聞き取る「ヒアリングスキル」はビジネスコミュニケーションにおける必須のスキルです。

ビジネスコミュニケーションを取る上では、単に相手の会話を「聞く」だけでは不十分で、相手の意図を正しく把握することができなければ、意思疎通が難しくなりビジネスが立ち行かなくなります。

例えば、相手が話している途中で会話を遮って自分が話し始めてしまったり、資料を目で追うことだけに必死になってしまったりという場合、相手は「自分の話に興味がない」と感じてしまい、会話が続けにくくなります。

ここでのポイントは「いかに相手が自分の話をしっかり聞いているかを理解してもらうこと」です。

相手の話は最後までしっかりと聞いた上で自分の意見や話をする、適度に相槌やアイコンタクトを取るといった対応を意識するようにすると良いでしょう。

参考:部下を前向きにするフィードバックの正しいやり方・7つのポイント

質問スキル

会話の中での不明点や疑問点について深掘りする「質問スキル」もビジネスコミュニケーションに欠かせません。

ビジネスでは、相手の意図や状況を正確に把握し、適切な判断や提案を行っていくことが重要です。

例えば、上司から顧客データ管理作業の指示をもらった際、「目的」「内容」「期日」「提出形式」などを明確に確認しておかなければ「こんなはずじゃなかった」という事態になりかねません。

質問には「クローズドクエスチョン」と「オープンクエスチョン」の2種類があり、使い分けを意識すると良いでしょう。

初対面に対する質問や、端的な回答が欲しい時は、YesかNoかで答えてもらう「クローズドクエスチョン」を活用します。

相手の深い考えや自由な意見を引き出したい時は「オープンクエスチョン」を活用します。

参考:1on1の導入で得られる4つの効果と効果を最大化するテクニック | LISKUL
   質問力とは?ビジネスで必須の質問力を身に付ける方法と高めるポイント|HRドクター   


ビジネスコミュニケーション力を上げる3大ポイント

ビジネスコミュニケーション力を上げるためには、以下の3つの基本的なポイントをおさえましょう。

  • 結論から伝える
  • 相手が行動を起こしやすいようにする
  • 誠実な態度・対応をする

結論から伝える

まず1つ目のポイントは、自分が伝えたい内容の結論から伝えることです。

話の冒頭ではっきりと結論を示し、相手に何を伝えたいのかを明確にすることで、相手側もどういう返答が求められているのかをあらかじめ知ることができ、会話がスムーズに進むようになります。

具体的には、PREP(プレップ)法を使ってみると良いでしょう。

PREP法とは、結論(Point)、理由(Reason)、具体例(Example)、結論(Point)の流れで話を伝える方法のことで、以下のポイントを押さえるとコツが掴みやすくなります。

聞かれたことに答える

相手から「聞かれた内容」に対して、シンプルに答えるようにします。

相手の心理を深読みしすぎず、まずシンプルに「良い/悪い」を明確に答えるようにすることで、結論から伝える流れが作りやすくなります。

例えば、以下のような報告のシーンを例に挙げてみます。

【良い例】

上司「今日のプレゼンの結果は?」
自分「だめでした」
上司「なぜ?」
自分「実は事前にお送りしていた競合調査資料をしっかり見ていただけておらず、コンセプトの理解は得られたものの、具体的なアクションプランまでは話を進めることができませんでした」
上司「そうだったのだね、次回はどう改善する?」
自分「はい、もう一度課題を整理して再度ご提案を行いたいです」
上司「わかった、では今週のチームミーティングを実施しよう」

【悪い例】

上司「今日のプレゼンの結果は?」
自分「はい・・・。事前にお送りしていた競合資料があったのですが、話を進めるのが大変で・・・」
上司「で、どうだったの?」
自分「大枠は認めてもらえましたし盛り上がったのですが、具体的なアクションプランのところで行き詰まってしまって」
上司「で、結局どうだったの?
自分「はい、だめでした」
上司「……それを最初に教えてほしい」

良い例では、最初に「聞かれたことにのみ」答え、次に出る相手の反応に対して答えていく流れでスムーズに話を展開できています。一方、悪い例の方では、経緯や所感を話してしまい、相手を混乱させてしまっています。

このように、まず質問に対して「Yes/No」と明確に返答することを心がけましょう。

相手に何をしてほしいかを先に伝える

相手への要望を先に伝えるのもスムーズに会話するためのコツです。

話の冒頭に、相手にどう行動してもらいたいのかを伝えておくことで、相手は自分が具体的にどのような対応をすれば良いかあらかじめ準備をすることができます。

例を挙げて説明します。

【良い例】

お疲れ様です。●●です。

●●の商品写真について確認とお願いです。

もし、●●さんが既に撮影したものをお持ちでしたら、
お手数ですが1/28●の12時までに3点ほどメールでお送りいただけませんでしょうか。

実は昨日、メーカーから掲載商品が来週にならないと到着しないという
連絡の旨が入り、別商品との差し替えをしなくてはならなくなりました。

先方とのミーティングに間に合わせたく、ご協力をお願いいたします。

【悪い例】

お疲れ様です。●●です。

昨日、メーカーから掲載商品が来週にならないと到着しないという
連絡の旨が入りました。

別の商品との入れ替えを検討するためには、
詳しい商品情報とサンプルを入手して再撮影をしなければなりません。

カメラマンは今週から不在のため、社内の誰かに撮影を依頼して
急いでコピーを差し替えなければ間に合わない状況です。

先日●●さんが撮った商品写真があると●●さんから聞いたのですが、
1/30に先方とのミーティングがあるので、ご協力いただきたくお願いいたします。

良い例のほうは「1月28日の12時までにメールで画像3点を送って欲しい」という意図が明確にわかり、メールをもらった側はすぐに行動を起こすことができます。

一方、悪い例だと、最後まで読んで、「協力してほしい」という依頼であることはわかりますが、「何を」「どのように」して欲しいのかが曖昧であるため、具体的にアクションを取ることができません。

詳しい理由や背景を伝えるに越したことはありませんが、常に相手に取ってもらいたい行動は何かを、いったん自分で明確にしてから相手に伝えるようにしてください。

相手が行動しやすいようにする

ビジネスコミュニケーション力を上げる2つ目のポイントは、相手が行動を起こしやすいようにすることです。

ビジネスにおいては、自分と相手がしっかりと意思疎通を行い、何にどう対応すべきか迷わずすぐに行動を起こす必要があるためです。

相手が聞いてきたことを自分の言葉で相手に再確認し、認識合わせをすると良いでしょう。

具体的には「5W1H」を活用するのがおすすめです。特に、相手と初めて一緒に仕事をする場合など、お互いの信頼関係が築けていない場合に有効です。

例えば、営業担当が新規取引先のサイト制作打ち合わせの際のアポを取るとします。

その際には以下の点を明確にして、事前に相手に伝えておくとスムーズに進めやすいです。

  • When(いつ)=3月30日午後3時
  • Where(どこで)=●●社会議室
  • Who(誰が)=●●さん、△△さん
  • What(何を)=サイトのテーマについて
  • Why(なぜ)=コンセプト、方向性確認のため
  • How(どのように)=制作事例を実際のPC画面で見て操作性を含めて確認

何を、いつまでに、どうすれば良いのかなどをしっかりすり合わせをして具体的に取るべき行動を明確にするようにしてください。

誠実な態度・対応をする

3つ目のポイントは、誠実な態度・対応をすることです。

ビジネスコミュニケーション能力が高い人は、相手に対して誠実な態度や対応を行っており、常に「相手に伝わるかどうか」を意識し、丁寧に対応していくことで相手との信頼関係をより深めることができます。

具体的には、以下のような態度を指します。

  • ルールやマナーを守る
  • 礼儀正しい
  • 正直である
  • 感謝や謝罪を忘れない

これらを身につけるには、基本的なスキルである「報告・連絡・相談(ホウレンソウ)」の段階を見直してみるのもひとつの方法です。

  • 報告=仕事の進捗具合や状態、結果について上司などに知らせること
  • 連絡=仕事の目標を達成する上で、必要な連絡を行うこと
  • 相談=問題や難しい判断が必要な際、上司や先輩などにアドバイスをもらうこと

これらをおさらいした上で、適切な対応を取るようにしてください。

参考:【報連相を完全マスター】怒られない報連相をするためのポイントとコツ|LISKUL


ビジネスコミュニケーションに有効なツール一覧

ビジネスコミュニケーションには、ツールを積極的に活用しましょう。

ツールをうまく活用すれば、ビジネスでの意思疎通がスムーズになり、相手との信頼関係を構築しやすくなるからです。

それぞれの機能やメリット、製品例を一覧にしましたので、自社や自分にどんなコミュニケーションが必要かチェックしてみてください。

ツール例特徴製品例
チャットツール・個人やチームに簡単かつスピーディーにメッセージが送れる
・グループでの連絡や、複数人での情報共有がしやすい
・Slack
・ChatWork
・elgana
など
ビデオ会議ツール・PCやモバイルでインターネット上の会議が可能
・チャットや電話で伝わりにくいニュアンスを伝えやすい
・Microsoft Teams
・zoom
など
ファイル共有ツール・ファイルを簡単に閲覧・共有・ダウンロードが可能・GoogleDrive
・One Drive
など
タスク管理ツールやるべきこと(タスク)をリスト化し管理・運用しやすい・Jooto
・Trello
など

参考:【2022年最新版】ビジネスチャット16選!シェア・料金・機能などを厳選比較 | LISKUL
   【2022年最新版】失敗しないビデオチャットツールの選び方とおすすめツール厳選10選 | LISKUL
   【2022年版】ビジネス向けタスク管理ツールのおすすめ15選を比較 | LISKUL
 

共有のスピードがあがる

従来の電話などでの方法に比べて、よりスピーディーで確実なやりとりができるようになります。

関係者でグルーピングすることが容易なため、個別にやりとりする時間を省くことができます。

相手とやりとりした内容を他の人と共有しなければならない場合、メールや電話の場合で行っていれば、新たに書類を作成するなどの必要があり属人的で非効率になりがちです。

チャットツールやファイル共有では、リアルタイムに情報を伝達できるため、非常に効率的です。

複数人での情報共有がしやすくなる

ツールを活用すれば、担当者だけでなく業務に関係する複数人で情報を共有しやすくなります。

共有先をデジタル情報として一箇所に集めておくことができるためです。

一度ファイルを格納しておけば必要な人が場所や時間を問わず情報を確認することもできるため、会議の時間の削減にも繋がります。

セキュリティを強化できる

ツールを使えば、紙の資料のような従来の共有方法より、セキュリティを強化することができます。

コミュニケーションツールには、通常、管理者によるメンバー管理、端末管理、ユーザー認証などのセキュリティ対策が施されているからです。

サイバー攻撃のリスクが全くないわけではありませんが、ツールの設計段階から対策を行っているので、紙のように紛失や流出のリスクの低減は期待でき、危機管理がしやすくなります。


まとめ

ビジネスコミュニケーションは、社内外におけるコミュニケーション全般のことを言います。

しかしながらその本質は「相手との共通認識を作り、関係を構築すること」です。

そのためには、相手への伝達力はもちろん、相手側にとって聞きたいことが伝えられているかを意識します。

ビジネスコミュニケーションが必要な理由としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 職場のどの階層にも必要な基本スキルであるため
  • 認識のずれを無くすため
  • 業務を円滑に進めるため

また、必要なスキルは以下の3つです。

  • 伝達スキル
  • ヒアリングスキル
  • 質問スキル

ビジネスコミュニケーション力を上げるためには、以下の3つをポイントにします。

  • 結論から伝える
  • 相手が行動しやすいようにする
  • 誠実な態度・対応をする