ネット広告の中でも費用対効果が非常に良いと言われているリマーケティング広告。(Googleはリマーケティング、Yahooはサイトリターゲティングと呼ばれていますが、ここではリマーケティング広告と統一させて頂きます)
ただ、実際に自分で運用となると、どのように設定すれば効果が出やすいのか分からない、という方は多いのではないでしょうか。そのようなお悩みをお持ちの方に、確実に成果を出せるリマーケティング広告の運用方法をご紹介致します。
私はリマーケティング広告がリリースされた2009年からその運用に携わっており、多くの成功例を出すことが出来ました。その中でも今回は誰にでもできる基本的な施策をお伝え致します。リマーケティング広告の概要をお知りになりたい方は、まずは下記の記事をご覧くださいませ。
リマーケティング広告を始める人にこれだけは知っておいてほしい!2つのポイント
目次
1.基本中の基本!コンバージョンユーザを除外して配信すべし
これはリマーケティング広告を実施する上で本当に基本です。
リマーケティング広告はサイト来訪したがコンバージョン(購入や資料請求等のサイト上の成果地点)にたどり着かなかったユーザに向けた広告配信という考え方が主流となっているため、コンバージョンユーザは配信対象外に設定しましょう。
逆に、リピート購入を促す商品やサービスの場合は、コンバージョンしてから30日以上経ったユーザのみに配信することもあります。
リマーケティング広告はサイト来訪ユーザをページ単位で配信設定・除外設定が出来るため、この設定が非常に重要になってきます。
2.獲得件数24倍/獲得単価92%減! ユーザのモチベーション別に運用
先述の「サイト来訪ユーザをページ単位で配信設定・除外設定が出来る」という観点からの施策です。
サイト来訪ユーザの閲覧ページによって、ユーザのモチベーションは異なります。
通販サイトで例えるなら、①TOPページに来訪してすぐに離脱したユーザと②TOPページ→商品一覧ページ→商品詳細ページまで閲覧して離脱したユーザでは購入に対するモチベーションが異なります。
そのため、①と②では配信する広告やLP、入札を変更する必要があります。
過去の通販サイトの事例では、CVしなかったユーザ全体に配信したとき(変更前)とCVしなかったユーザをページ毎に細かく設定して配信したとき(変更後)で、表示回数はほぼ変わらなかったですが、獲得率が8倍、獲得件数が24倍となり、結果として獲得単価が変更前後で92%減となりました。
変更前後の設定は下記図の通りです。
図1)変更前の配信(グレー部分のユーザ全体に配信)
図2)変更後の配信(ページ毎に配信する広告、LP、入札を変更)
図2に関して、詳細をご説明致します。
① TOPページにしか来訪せずに離脱したユーザ
図の一番上のユーザは商品を何も見ずに離脱しているため、購入に対するモチベーションは他ユーザに比べて低いと考えられ、目的の商品が分かりません。このユーザに対しては様々な商品を訴求した広告を配信し、入札は低めで設定しました。
② カテゴリA、B、Cに来訪して離脱したユーザ
このユーザは目的の商品カテゴリは明確であるため、その商品カテゴリを訴求した広告を配信し、①のユーザよりも入札は高めに設定しました。
③ 各商品詳細ページに来訪して離脱したユーザ
このユーザも目的の商品カテゴリは明確ですが、②よりもモチベーションは高いと考えられるため、②と同じ広告で入札は②よりも高めに設定しました。
④ カートまで来訪して離脱したユーザ
このユーザはあとひと押しで購入するので、モチベーションは非常に高いです。ただ、通常のリマーケティングでは何の商品をカートに入れたか分からないため、広告は①と同じですが、入札は③よりも高めに設定しました。
これらの設定を行ったことで、図3のような実績を出すことが出来ました。
図3)モチベーション別運用への変更前後比較(変更前を100%としたときの割合)
3.獲得効率改善!テキスト/バナーで広告グループを分けて運用
これはリマーケティングに限らず、ディスプレイネットワークを運用する上で必ず実施すべきことですが、テキストとバナーで広告グループを分けて運用しましょう。
理由は下記2点です。
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- 同じ配信でもテキストとバナーで効果が大きく異なる
- 広告グループを分けることでテキスト/バナーの実績を可視化できるため、効果改善が行いやすい
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過去の事例では、同じリマーケティングの設定でもテキストとバナーを分けて運用したことで、図4のようにバナーがテキストに比べて圧倒的に効果が良いことが分かりました。この結果からバナーは入札強化を行い、テキストは広告文を変えるなど、施策を変えていきました。
バナーがテキストよりも必ず効果が良いとは言い難いですが、過去の運用例ではバナーのほうがテキストに比べて効果が良いことが多かったため、出来る限りバナーも入稿しましょう。
図4)テキストとバナーのリマーケティング実績比較(テキストを100%とした場合の割合)
4.デバイス毎の実績を確認して運用調整すべし
これもリマーケティングに限らず、全ての広告で言えることですが、運用していく中でデバイス別の実績を定期的に確認しましょう。PCとスマートフォンで同じ入札単価を設定していると、スマートフォンに大量に配信される場合があります。スマートフォンの入札競争がPCほど激しくないこと、スマートフォンに配信している広告主が少ないことが要因と考えられます。
そのため、いつの間にかスマートフォンに大量に配信されていて、効率が悪化していたという話もよく聞きます。
図5はスマートフォンの入札単価をPCより抑えているにもかかわらず、表示回数・クリック数はPCよりも非常に多く、コストがPCの約5倍、獲得単価がPCよりも高くなった例になります。
図5)リマーケティングのデバイス別実績
この例ではLPがスマートフォン用に作られていたため、結果的にスマートフォンのCVが多く、大事には至りませんでしたが、仮にLPがスマートフォン用でなかったらと考えると恐ろしいです。
リマーケティング広告はリスティング広告と違い、ユーザを追いかけて配信するため、いつの間にか表示回数が多くなっているということがありますので、日予算設定でコスト進捗を抑えるなど、充分に注意して運用して下さい。
5.獲得件数1.9倍! コンバージョンオプティマイザーを活用
これはGoogleだけですが、コンバージョンオプティマイザーという機能があります。
広告の過去実績を元にGoogleのシステムが自動で最適なクリック単価を計算し、その単価に応じて広告が表示されます。なので、自分で入札調整する必要がなくなります。
クリック単価を設定するのではなく、目標の獲得単価を設定すれば、あとはGoogleが過去実績を元に調整してくれます。
コンバージョンオプティマイザーの概要について詳しくは下記URLをご確認下さい。
同じページに来訪したユーザでも昨日訪れたユーザと10日以上前に訪れたユーザではCVに対するモチベーションは異なるでしょう。コンバージョンオプティマイザーはその点も考慮し、昨日のユーザは入札を高め、10日以上前のユーザは入札を低めという調整を自動でしてくれるのです。
過去の事例では、コンバージョンオプティマイザー導入前後で獲得単価は10%ほど上昇したものの、獲得件数が1.9倍にもなったことがありました。詳細は図6をご確認下さい。
図6)コンバージョンオプティマイザー導入前後比較(導入前を100%とした場合の割合)
ただ、コンバージョンオプティマイザー導入には下記事項をクリアしている必要がありますので下記2点をご確認下さい。
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- GoogleAdwordsのコンバージョントラッキングを使用している
- 過去30日間で15件以上のCVが発生している
(多ければ多いほどコンバージョンオプティマイザーの精度が増します)
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また、コンバージョンオプティマイザー実施直後は、Googleのシステムが獲得件数最大化のために一時的に表示回数を増やす傾向があります。表示回数・クリック数を増やし、CVがどれくらい取れるかを学んだ上で最適化を進めていきます。
そのため、この期間は獲得単価が上昇することが懸念されます。この期間中は、獲得単価を下げるために目標の獲得単価を下げたりしないでください。Googleのシステムが学ぶ機会を無くすことになります。
また、目標の獲得単価を初めて設定する場合は、現時点の獲得単価より低く設定すると広告が表示されにくくなることがありますので、最初は高めの獲得単価を設定しておくとよいでしょう。高めの獲得単価を設定しても、その単価に到達せずに獲得件数が増えることも多々あります。
まとめ
いかがでしたでしょうか。リマーケティング広告は一言で言うとサイト来訪ユーザへの広告配信ですが、サイト来訪ユーザにも様々なモチベーションのユーザがいるため、実は非常に奥が深い広告になります。
今回ご紹介した内容は、どこの企業でも活用できる内容で本当に基本的な施策となります。もし、これ以上の効果を上げていきたい場合には、是非ご相談下さいませ。
ご連絡お待ちしております。
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