残業時間を削減!働き方改革の成功事例8選と失敗しない取り組み方

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近年、政府の推進する「働き方改革」によって、働く人の意識が変化しています。長時間労働の是正や働きやすい環境づくりに取り組んでいる企業も多いかと思います。とはいえ、具体的にどうすればよいかわからないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そこで本記事では、働き方改革に成功した8つの事例を紹介します。後半では取り組み方まで解説するので、本記事を読むことで、各企業の成功のポイントを理解することができます。ぜひ自社の取り組みにも活かしてみてください。

意外と効率化できるムダ業務まとめ


目次

働き方改革の成功事例

働き方改革の成功事例を下記の2つのケースに分けて紹介します。

  • 長時間労働の抑制
  • 有給の取得推進・特別休暇制度の導入

長時間労働の抑制に成功した3つの事例

【事例1】時間外労働が13%減少した「東日本電信電話株式会社」

東日本電信電話株式会社(NTT東日本)は、通信業を営む社員数5,000名ほどの会社です。生産性の高いワークスタイルの確立とワークライフバランスの実現を掲げ、以下の取り組みを行いました。

▼取り組みの概要
・在宅勤務を積極的に活用し、Web会議も導入
在宅勤務を積極的に活用するほか、移動時間や費用削減のためにWeb会議を導入しました。

・時間外労働を夜型から朝方にシフト
20時以降の時間外労働を原則として禁止する一方、朝方時間外労働を朝の6時からと定めました。

▼取り組みの効果
働き方改革導入後は導入後と比べて時間外労働が13%減少し、月間時間外労働が45時間以上の社員が34%減少しました。

社員からは、仕事と家庭の両立ができるようになった、夜遅くに働くよりも健康的な生活になったという意見が寄せられました。時間を意識して計画性をもって働くようになったという意見もあり、社員の意識改革につながっています。

参考:取組事例|働き方・休み方改善ポータルサイト

【事例2】残業代を社員へ返還する取り組みを実施した「SCSK株式会社」

SCSK株式会社は、システム開発・ITインフラ構築をする、社員数12,000名ほどの会社です。働きやすい職場作りに向けた意識改革を目標にしています。

▼取り組みの概要
・残業代として支給予定だったお金をインセンティブとして支給
前年よりも残業を20%削減し、有給休暇20日の完全取得を達成した社員には、本来は残業代として支給予定だったお金をインセンティブとして支給する仕組みです。残業削減と有給休暇取得をセットで推進し、残業削減、有給休暇取得の両方を同時に改善できました。

▼取り組みの効果

  • 月間平均残業時間を35時間→18時間に削減
  • 年次有給休暇取得日数を13日→19日に増加

参考:CSR情報:当社の「働き方改革」|SCSK株式会社

【事例3】法定労働時間外勤務を2014年度比で1割強削減した「住友商事株式会社」

住友商事株式会社は、社員数5,000名ほどの卸売業を営む会社です。人材ひとりひとりの価値観や発想を受け入れ活かすために「人材のダイバーシティ推進」を目的として以下の取り組みを行いました。

▼取り組みの概要
・毎週金曜日は有給取得、もしくは15時退社を推奨
「メリハリのある働き方」の推進の一環として、プレミアムフライデーの取組を行いました。経済産業省が推進する月末金曜日に限定せず、毎週金曜日を実施日にしました。

プレミアムフライデー当日は全休・午後半休の取得奨励日とし、有給休暇取得が難しい場合はコアタイム終了時刻(15時)での退社を奨励しています。

▼取り組みの効果
前年の金曜日と比較し、有給休暇取得及びフレックス退社する従業員が1.5倍増加。また、法定労働時間外勤務が2014年度以降減少し、2014年度比、1割強削減できました。

参考:取組事例|働き方・休み方改善ポータルサイト

有給の取得推進・特別休暇の導入に成功した5つの事例

【事例4】年次有給休暇取得率が全部署で50%以上になった「株式会社永和システムマネジメント」

株式会社永和システムマネジメントは、ソフトウェア開発などの情報サービス業を営む、従業員数216名の会社です。「多様な働き方」を受け入れる環境を社員目線で作っていくために、以下の取り組みを実施しました。

▼取り組みの概要
・半日有給制度を開始
午前・午後の区別なく半日分(4時間)の有給取得ができる制度を設けました。勤務の中抜けや1日の中での分割取得も可能です。通院や子供の授業参観のために柔軟に利用でき、有給休暇が取りやすい職場となりました。

・3日間連続で有給を取得できる制度を開始
3日間連続で有給休暇を取得できる制度を設けました。土日やゴールデンウイーク、年末年始の大型休暇に合わせて取得可能。まとまった休暇が取れるため、多忙なプロジェクト後のリフレッシュや子供の卒業シーズンでの家族旅行のために利用されています。

▼取り組みの効果
全部署で年次有給休暇の取得率が50%以上になり、中には取得率が70%近い部署もあります。

参考:取組事例|働き方・休み方改善ポータルサイト

【事例5】特別休暇制度で従業員のワークライフバランスを支援する「日本システムウエア株式会社」

日本システムウエア株式会社(NSW)は、情報通信業を営む、1,800名以上の社員を抱える企業です。従業員のワークライフバランスの向上を目指し、以下の取り組みを行いました。

▼取り組みの概要
・NSWホリディ制度の導入
1994年に連続休暇を促進するための特別休暇制度を導入し、従業員が年間5日間の連続休暇を取得できるようにしました。

・特別休暇の柔軟な運用
火災や自然災害の際に特別休暇を取得可能にし、失効する有給休暇を積み立てて傷病や介護に利用できる制度を設けました。

▼取り組みの効果
NSWホリディの導入により、年間有給休暇取得日数が平均15日以上で推移し、制度の利用率が95%に達しました。従業員のワークライフバランスが向上し、離職率の低下や採用時のアピールにもつながっています。

参考:取組事例|働き方・休み方改善ポータルサイト

【事例7】仕事・家族・社会を見つめなおす3つの特別休暇制度を導入「ヤフー株式会社」

ヤフー株式会社は、インターネット事業を営む従業員数4,860名の会社です。同社では、仕事・家族・社会を見つめなおす休暇として以下の制度を導入しました。

▼取り組みの概要
・土曜日が祝日の場合、前日の金曜日を休暇にする「土曜日祝日振替休暇」
土曜日祝日振替休暇は、土曜日が祝日と重なったとき前日の金曜日を休暇として3連休にする制度です。取引先や出向先の都合で金曜日に取得できない場合、翌月末までの振替が認められています。

・最長3カ月間休暇にできる「サバティカル休暇」
サバティカル休暇はキャリアを見つめなおすために利用できる最長3か月間の休暇です。勤続10年以上の正社員が対象で、2~3か月間の休みをとれ、1か月間は給料も支給されます。

取得後には報告書の提出が必要です。

・課題解決休暇
課題解決休暇は、「他人の課題を解決するため」の有給休暇制度で、年度内3日を上限に取得できます。条件は専用のアプリで報告書を提出することです。課題解決として種類は問われず、例えば、地域の夏祭りの手伝い、自治会のごみ拾い、東日本大震災復興イベントなどがあげられます。

▼取り組みの効果
土曜日祝日振替休暇、サバティカル休暇、課題解決休暇いずれも、従業員が仕事と自分、家族、社会のかかわりを見つめなおし、多様な働き方の実現に貢献しています。

参考:取組事例|働き方・休み方改善ポータルサイト

【事例8】社会貢献活動とボランティア休暇を同時に構築「日本オフィス・システム株式会社」

日本オフィス・システム株式会社は情報サービス業を営む、従業員数400名ほどの会社です。従業員の声に耳を傾け、特別休暇制度として以下の取り組みを行いました。

▼取り組みの概要
・リフレッシュ休暇
リフレッシュ休暇は勤続10年で3日間の休暇と8万円分の旅行券を、勤続25年で5日間の休暇を付与する制度。社員の9割以上が利用しています。

・子どもの誕生日休暇
子どもの誕生日休暇は小学3年生までの子供の誕生日に認められる休暇です。この制度は従業員満足度調査で「子どもの誕生日が祝えない」といったコメントが寄せられたことから導入されました。

・ボランティア休暇
ボランティア休暇は、社会貢献プログラムとしてスタートさせた森林保護活動に対して特別の休暇を付与する制度です。年に5回開催され、そのうち平日の3回が特別休暇として認められています。

▼取り組みの効果
従業員の声を取り上げることで、従業員の満足度向上につながりました。

参考:企業事例編|国土交通省

【事例9】年休を気兼ねなく取得できるようになった「日立ソリューションズ」

株式会社日立ソリューションズは、従業員数4,500名ほどのソフトウェア・サービス事業を営む会社です。同社では、ワーク・ライフ・バランスを推進するべく、以下の取り組みを行いました。

▼取り組みの概要
・年休を気兼ねなく取得するために、細かなルールをなくした「ポジティブ・オフ休暇制度」
あなたがポジティブに休暇を使うのならば、それがポジティブ・オフ ” というスタンスで設立された休暇です。細かなルールはほとんどなく、休みを取得するのに明確な名目もありません。

「ポジティブ・オフ」と総称することより、従来の特別休暇制度にある「休暇に何らかの名目が付いていないと休みが取りづらい」といった懸念を解消しています。

▼取り組みの効果
導入以前にあった4つの年休制度(プロジェクト休暇、メモリアル休暇、子育て休暇、ボランティア休暇)を合わせた利用者数が月当たり全社で20人程度だったのに対し、「ポジティブ・オフ休暇」導入後の取得者数は月当たり約60人と3倍に増加しています。

参考:企業事例編|国土交通省

ここまで成功事例をご紹介してきました。一方で、失敗する企業にも特徴があります。
働き方改革が上手くいかない企業の特徴や、「働き方改革」に失敗した企業が見落としている『当たり前のこと』をまとめた資料をPDFで用意したので、同じ落とし穴にはまらないよう、お手元においてみてみてください。

ダイエットに例えると_「働き方改革」に失敗した企業が見落としている『当たり前のこと』


働き方改革を実現する2つの方法

働き方改革を実現するためには、2つの方法があります。

  • 業務を効率化し、労働時間を短縮する
  • そもそも長時間労働を防止できる制度をつくる

1:業務を効率化し労働時間を短縮する

業務を効率化し時間短縮をするためにアウトソースの活用・ツールの導入によって実現できます。

アウトソースを活用する

長時間労働の一因として、コアの業務だけでなくデータ処理などの周辺業務にも時間を割かなければならないという状況があげられます。

周辺業務は、その分野の専門家にアウトソースすることで、効率的に業務時間を削減できます。例えば、データ処理や注文受付のように、誰がやっても一定の結果がでる業務は、アウトソースに向いています。

ツールを導入する

業務が非効率となる一因として、業務に必要な情報がバラバラ、社内コミュニケーションがとりづらいなどがあります。これらの課題はSFA・CRMツールやビジネスチャットツールの導入によって解決できます。

例えば、トップシェアを誇るSFA・CRMツールにSalesforceがあります。顧客情報を一元化するほか、別部門や各担当者の商談状況を全社的に把握できます。またリアルタイムで情報共有が可能で、日報などの報告書作成する手間も省けます。外出先からモバイル端末を用いてアクセス可能で情報を共有するために帰社する必要もありません。

ビジネスチャットツールとしてはチャットワークがあげられます。グループチャットやタスク管理、ビデオ通話など、ビジネスシーンに応じた機能を備えており、社内外のコミュニケーションがスムーズになります。また、社外ユーザーや未登録端末からのアクセス制限などビジネスに欠かせないセキュリティ対策も万全です。

労務管理ツールとしては、3年連続シェアNo.1(※)を獲得しているSmartHRがあげられます。人事・労務に関する手続きの自動化を実現する機能を揃えており、「従業員の入社・退社の手続き」や「従業員情報の管理」「雇用契約書の作成・締結」を効率化することができます。

2:そもそも長時間労働を防止するための制度を整える

そもそも長時間労働を抑止する制度を構築することも大切です。事例にもみられるように、各社が法で規定された基準よりも充実した制度を構築しています。

長時間労働を防止するための制度例

  • リモートワークの導入
  • 夜間残業の制限と朝型勤務へのシフト
  • フレックスタイム制の整備
  • マネージャーによる業務把握やフォローアップ体制の整備
  • 半日休暇制度など柔軟な有給休暇の取得できる制度
  • 育児・介護休暇、記念日休暇、ボランティア休暇など、ワークライフバランスを意識した休暇制度の創設

働き方改革に取り組む3つのステップ

以上の事例や手段を踏まえ、働き方改革の取り組む際の手順をみていきましょう。

ステップ1:現状の把握と目標を設定

まずは、自社の現状を把握しましょう。月あたりの残業時間や年次有給休暇の取得率などの客観的データを調査します。同時に従業員に対してアンケートやヒアリングを実施し、望など主観的な情報を取得します。

この2つのデータをもとに働き方改革で達成したい目標を詳細なテーマに落とし込みましょう。例えば、生産性の向上という目標達成のために、残業時間の1割削減といった具体的な目標を設定しましょう。

ステップ2:目標を達成できる手段を選択

次に目標を達成できる適切な手段を選択しましょう。手段はひとつに絞る必要はなく、複数の手段を組み合わせましょう。例えば残業時間の1割削減という目標に対し、業務の効率化の点から、報告書作成を自動化できるツールやWeb会議・チャットツールを活かして、不要な会議・報告を削減します。

同時に、夜間20時以降の残業を許可制にするフレックスタイム制を導入するなど制度を構築します。さらに従業員への呼びかけなどキャンペーン活動をします。複数の手段を組み合わせて相乗的に目標達成を目指すとよいでしょう。

ステップ3:効果の検証と取り組みの改善

最後に効果を検証します。取り組み後の労働時間や年休取得率をチェックしたり、従業員へのアンケートやヒアリングを実施します。

これらのデータを検討し、取り組みを改善したり、新しい施策を取り入れます。以上のようなサイクルを繰り返し、働きやすい職場づくりを目指すとよいでしょう。


働き方改革に関するよくあるご質問

働き方改革でお悩みの方に役立つQ&Aをまとめています。

Q.働き方改革でリーダーシップはどう変わる?

A.働き方改革では、リーダーシップは柔軟性を重視し、従業員の個々のニーズに対応する姿勢が求められます。上司が指示を出すだけでなく、従業員との対話を重視し、自己成長を促進する支援型のリーダーシップが求められます。

Q.働き方改革において従業員のモチベーションはどう変わる?

A.柔軟な働き方の導入により、従業員のワークライフバランスが改善されることでモチベーションが向上することがあります。特に、リモートワークやフレックス制を採用する企業では、自己管理能力が高まり、結果として生産性が上がるケースが見られます。

Q.働き方改革で新たな問題は生じる?

A.働き方改革によりリモートワークが進むと、コミュニケーション不足やチーム連携の課題が浮上します。定期的なオンラインミーティングや、ツールを活用した情報共有が解決策として有効です。

Q.働き方改革によって、企業文化はどう変わる?

A.働き方改革により、企業文化は柔軟性と効率性を重視する方向へ変化しています。時間や場所にとらわれない働き方が普及し、成果主義が強調される企業文化が一般的になっています。

Q.働き方改革は健康管理にどう貢献する?

A.働き方改革では、長時間労働を削減し、休暇取得を促進することで、従業員の健康維持に貢献します。また、リモートワークにより、通勤によるストレスが軽減されることも健康管理の一環とされています。


まとめ

働き方の成功事例とその取り組み方をご紹介してきました。

働き方改革を実現するには、業務を効率化し時間短縮を図るアプローチと、そもそも長時間労働を防止できる体制をつくるアプローチの2種類があります。改革を実践する際には、「現状の把握と目標を設定」→「目標を達成できる手段を選択」→「効果の検証と取り組みの改善」の3ステップで進めていきましょう。

ご自身の会社で働き方改革を行う際にはぜひ参考にしてみてください。

意外と効率化できるムダ業務まとめ