絞り込み部分一致│リスティング広告のプロ直伝「効果倍増」の使い方

「絞り込み部分一致」は活用することで、コストと手間という2つの無駄の削減を同時に実現することができる非常に有効なマッチタイプです。
しかし、絞り込み部分一致をどのように使えばよいか、わからない方が多いのではないでしょうか。
実は、運用のプロであるはずの、リスティング広告の代理店でも「絞り込み部分一致」を使いこなせていない企業や運用担当者が少なからずいるようです。先日、ある代理店から弊社にリスティング広告運用を移行した際、絞り込み部分一致を設定しただけで、効果が倍増するという事例も見られています。
そこで、本日は絞り込み部分一致を活用した成果倍増の方法について説明していきます。すでに絞りこみ部分一致を有効活用されている方にとっては、基本的なことばかりですが、活用できていない方は、ぜひ実践して成果を倍増させてください。

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事例:絞り込み部分一致を設定しただけで効果倍増

以下のキャプチャ(もしくは表)は、あるリスティング代理店から弊社に移行したお客様の運用結果です。弊社に運用移行後すぐに効果が倍増し、その後も獲得水準をキープしています。

効果倍増の要因は「絞り込み部分一致」の設定です。弊社移行前は設定されていなかった「絞り込み部分一致」を新たに設定したことで効果が倍増したのです。このように、絞り込み部分一致を理解し設定するだけで効果を倍増させることができます。

絞り込み部分一致


そもそも、「絞り込み部分一致」とは何か?

そもそも絞り込み部分一致とは、どういうものなのかについて、簡単に説明しておきます。

絞り込み部分一致は、ひとことで言えば「ちょうどいい」マッチタイプと言えます。
文章では理解しづらいので、以下の図をご覧ください。

図:「内祝い   ギフト」のマッチタイプ別の対応 検索キーワード

絞り込み部分一致の図

主軸となる、「内祝い」「ギフト」を押さえておくことで、ユーザのニーズとの一致を担保しながらも様々な検索結果に広告を表示できる、これが「ちょうどいい」理由です。

※マッチタイプの詳しい定義については、以下をご確認ください。

キーワードのマッチタイプを活用する(GoogleAdWordsヘルプ)
https://support.google.com/adwords/answer/2497836?hl=ja

マッチタイプについて(Yahoo!プロモーション広告ヘルプ)
http://yahoo-jp-ss.custhelp.com/app/answers/detail/a_id/2163


絞り込み部分一致を設定する「だけ」で効果が倍増するアカウントとは?

実は一定の条件に該当するアカウントであれば、絞り込み部分一致を設定するだけで効果が倍増します。その条件とは、

・絞り込み部分一致を全く使っておらず、

・部分一致によって必要以上にリーチが広がってしまっているアカウント

になります。具体的に見て行きましょう。

以下の画像は当社で運用するあるアカウントで「グループウェア 無料」というキーワードで設定した広告が表示された際に、実際に検索されていたキーワード(クエリ)です。

検索部分一致検索クエリ

全く関係のないキーワードである「グループ セッション」でこのキーワードで掛かったコストの10%以上を使っているだけでは無く他社製品名の「あいぽ」や「グリッディ」対しても意図せず表示されて、多くのコストが発生していることが一目瞭然です。
このように部分一致により必要以上にリーチが広がってしまっている場合には、絞り込み部分一致を活用することで、ほぼ確実に成果が倍増します。(参考:リスティング運用自動化ツールの一覧 ≫


(補足)部分一致の除外キーワード設定とその限界

なお、このような状況を防ぐため、部分一致に対して「除外キーワード」を設定することで、関連性の薄いキーワードを含む場合には、広告表示しないということも可能です。

※除外キーワードについて詳しく知りたい方はこちらをご確認ください。
アドワーズヘルプ:除外キーワードとは?
https://support.google.com/adwords/answer/105671?hl=ja

しかし、部分一致に対して除外キーワードを設定し絞って行くという方法は、絞り込み 部分一致で登録するのに比べると無駄が発生しやすい方法と言えます。理由は2つあります。

・除外設定するまでの期間は広告が出てしまい無駄なコストになってしまう
・部分一致がどんなキーワードに拡張していくかは読みきれないため、常に検索クエリをウォッチして除外ワードを設定しつづける必要がある。

もちろん、手間ひまかけて除外キーワードを緻密に設定し、部分一致のみで成果を出している場合もありますが、効率的とは言えません。


【効果倍増実践①】部分一致を絞り込み部分一致に設定を変えよう

先程説明した通り「絞り込み部分一致を全く使っておらず、部分一致によって必要以上にリーチが広がってしまっているアカウント」が絞り込み部分一致による成果倍増の条件です。

この条件に当てはまっているアカウントであれば「部分一致」に設定されている掛け合わせキーワードを「絞り込み部分一致」に設定変更してするだけで、無駄なコストが削減されます。そのコストを獲得効率の良いキーワードに再配分することで成果が倍増します。

リスティング広告の運用を代理店に依頼しているのであれば、この記事を見せて「コストを多く使っている部分一致を絞り込み部分一致に変更して欲しい」という依頼をすればOKです。その際、どのキーワードを部分一致から絞り込み部分一致に変更し、結果どのように効果が変わったか報告してもらいましょう。

ご自身で運用されている場合には、以下の手順に沿って設定してください。

※最も簡単な手順を記載しています。全体のアカウント構成を崩さないよう登録したい場合には、下記を参考に各自設定してください。
※便宜上、Googleアドワーズの管理画面で説明していますが、Yahoo!プロモーション広告でも同様に設定できます。

STEP1】クリック数が多くコストを使っている部分一致キーワードをピックアップ

管理画面より、キーワードのタブを選択、
「フィルタ」を選択「キーワードマッチ」を「部分一致」と一致という条件で適用
「ご利用金額が多い順にソート」

STEP2】検索クエリをチェック

コスト上位のキーワードを選択し、詳細から検索語句の選択を選ぶ
目安としては目標CPA以上にコストを使っているキーワード。

「詳細」から「検索語句の選択」を選ぶと実際に検索された語句が表示される。未登録のキーワードの中で、コンバージョンが出ているキーワードやコンバージョンに繋がりそうなキーワードは「キーワード」として追加する
全く関連性がなく、広告を表示したくないキーワードは「除外キーワード」として追加する

STEP3】絞りこみ部分一致に登録変更

管理画面に戻り、部分一致のコスト利用上位からキーワードをクリックし、絞り込み部分一致に変更する

上記の設定をすることで、これまで部分一致の拡張により浪費していたコストが浮きます。そのコストを獲得効率の良いキーワードに投下することで、効果は倍増します。


【効果倍増実践②】部分一致と絞り込み部分一致を併用して効果倍増

絞り込み部分一致は、部分一致と併用することで、さらに効果を発揮します。

・予算に余裕があり、リーチをさらに広げたい場合。
・想定できるキーワードのみでは、獲得単価が高騰しすぎてしまう場合

このような場合には、絞り込み部分一致と部分一致を併用することで、より大きな効果を発揮することができます。これまで、手っ取り早く効果を上げるための方法を説明して来ましたが、部分一致と絞り込み部分一致は併用するのが本来的な活用方法です。

では、部分一致と絞り込み部分一致の併用のポイントを説明します。

【ポイント1】「絞り込み部分一致」を高めの上限CPCで入札

部分一致と絞り込み部分一致を併用する際、必ずしておくべき設定は、「絞り込み部分一致の入札額を部分一致の入札額よりも高く設定すること」です。

具体的には、例えば「新宿  歯医者」の部分一致を上限CPC50円で入札、絞り込み部分一致を上限100円で入札、というように設定します。
こうすることで、「新宿駅  審美歯科」で検索された時には部分一致が低単価(≒下位)で表示、「新宿 人気 歯医者」 で検索した時には絞り込み部分一致が高単価(≒上位)で表示されます。

この様に設定することで、部分一致によるリーチは担保しながら、より親和性の高いキーワードの場合には絞り込み部分一致で上位表示する事が可能になります。

【ポイント2】意図と異なる拡張をする「地域名」は絞り込み部分一致で登録

例えば「新宿  歯医者」で広告を出したい歯科医院があった場合に「新宿 歯医者」を部分一致で登録すると、「歌舞伎町 歯医者」や「東京  歯医者」でも広告が表示される場合があります。これは、「新宿」と「歌舞伎町」や「東京」が関連語句として認識されているためです。

このような場合に、「+新宿  歯医者」という形で「新宿 」を絞り込み部分一致で登録しておけば、「歌舞伎町」というピンポイントの地域名や「東京」というより広い地域名での検索時に広告が表示されることなく、狙いたいターゲットにあった広告表示が実現できます。

地域名ように、掛け合わせた時に拡張すると困るキーワードのみ「絞り込み部分一致」で登録し、拡張させたいキーワードを「部分一致」で登録するのがポイントです。

【ポイント3】部分一致の検索クエリを定期的にチェック

部分一致の検索クエリを定期的にチェックします。その際実施することは2つです。

・関連しないキーワードを部分一致と絞り込み部分一致両方の除外キーワードとして登録する
・獲得のあった部分一致の検索のクエリから単語を抽出して絞り込み部分一致で登録する。

後者について特筆すべき事として、検索キーワードが文章や話し言葉になっているようなケースが増えてきました。これは、音声検索がスマートフォンを中心に増えてきている事が要因の一つで、今後もさらに増えていくと予想されます。

文章や音声の検索ではバリエーションが広がるため、網羅的に登録することは事実上不可能ですが、絞り込み部分一致を上手く活用することで、効率的に広告表示することができます。

具体的に説明すると、獲得のあった検索クエリが「新宿駅から徒歩五分以内のクチコミで人気の歯医者さんを知りたい」という文章形式だった場合には、その文章で検索語句に含まれる単語「+新宿駅  +人気 +歯医者」という絞り込み部分一致を登録しておけば、これらのキーワードを含んだ場合に広告表示が可能です。

このように登録をしておけば「人気の歯医者を新宿駅の近くで調べたい」で検索された場合にも、「新宿駅の歯医者さんで人気の歯医者を知りたい」で検索された場合にも広告表示されるようになります。


【補足】なぜ、絞り込み部分一致は活用されていないのか?

これまで説明した通り、絞り込み部分一致は非常に有効なマッチタイプですが、多くのお客様で活用されていません。その理由は3つ考えられます。

理由の1つ目は、そもそもあまり知られていない、ということです。絞り込み部分一致という機能が登場したのが2010年の夏頃で本格的に普及していったのは2011年、まだそれほど時間が経過していません。それ以前にリスティング広告を運用していた人の中には、絞り込み部分一致の機能自体をよく知らない方もいます。

理由の2つ目は、部分一致の方がより広いキーワードに広告出稿するため、予算を消化しやすいという事が挙げられます。特に利用額に連動した手数料を請求している運用代理店の中には、効果を度外視してでも予算消化しようとする代理店がまれにあります。そういう代理店には運用を任せない方が良いでしょう。

理由の3つ目は、設定が手間であること。例えば、絞り込み部分一致はキーワードの前に「+」を入れることで設定できますが、エクセルの仕様上、冒頭に「+」をつけると数式と認識されてエラーになってしまいます。この状況を回避するためには、冒頭に半角スペースを入力する必要があります。また、エクセルマクロなどを活用してキーワードの掛けあわせを行うツールが絞り込み部分一致に対応していない場合もあります。


【まとめ】絞り込み部分一致を使えば効果が上がり、運用の負担も減る

絞り込み部分一致を活用することでのメリットは2つあります。1つは部分一致の拡張による無駄なコストを削減し、効果のあるキーワードに予算をシフトすることで効果が倍増すること。もう一つは、部分一致の除外キーワード設定のメンテナンスの負担を省き、運用業務が効率化されることです。

ぜひ、記事の内容を参考にして絞り込み部分一致を有効活用し、リスティング運用の効果改善につなげてください。(参考:リスティング運用自動化ツールの一覧 ≫