ロングテールキーワードでのリスティングの罠|成功・失敗パターン

リスティングに携わる人は「ロングテール」という言葉をよく耳にするのではないでしょうか?なんとなく使ってはいるものの・・・きちんと理解しているかどうか実は不安であるという人もいらっしゃるのではないかと思います。

実際クライアントとの打ち合わせ時に「ロングテールを狙って・・・」というような会話がされる事はよくあります。ただ、このロングテールというワードはきちんと理解してから、施策として取り組まないとデメリットが大きくなる可能性もあるので要注意です。

今回はそもそものロングテールとは?といった基本のお話から、リスティング広告で活用する際の成功パターン・失敗パターンをお伝えしたいと思います。

自分の扱う商品・サービスがロングテール戦略をとった時に成功するか否か。この機会に一度考えてみては如何でしょうか?

–■目次■—————————————————————–
◆ロングテールとは?

◆ロングテールとリスティング広告
●メリットとデメリット
●成功例)
-転職サイト:業種を増やして獲得数UP
-個別指導塾:エリアとの掛け合わせを増やして獲得数UP
●失敗例)
-教育系サイト:獲得に至らないワードを大量に登録して無駄コストが増加
-通信講座サイト:ニッチ講座も全て登録。検索数がないがキャンペーン情報の更新作業のみが毎月掛る

◆ロングテール向きor不向きのケース
●ロングテール向きのケース
●ロングテール不向きなケース

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◆ロングテールとは?

ロングテールとは、「Amazon」の成功により有名になったビジネスモデルです。

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【ロングテールとは?】
インターネットを利用したネット販売などにおいては、膨大なアイテム(商品)を低コストで取り扱うことができるために、ヒット商品の大量販売に依存することなく、ニッチ商品の多品種少量販売によって大きな売り上げ、利益を得ることができるという経済理論。ロングテール効果、ロングテール現象、ロングテール経済、ロングテール市場という形でも使われる。
(引用:http://www.itmedia.co.jp/im/articles/0601/17/news095.html
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“今まで商品を幅広く取りそろえる”=”固定費が掛る”故、ある程度売り場に出す商品は取捨選択が必要とされていましたが、ネット時代到来によりオンラインビジネスを行う上で、在庫を広く取りそろえても”固定費が掛る”という制限をリアルよりは低減する事が出来るようになりました。

テール部分は、マイナー商品群として日の目をみる事はあまりないですが、特定のユーザーにピンポイントで重要があるため、ちりも積もれば・・・的な積み重ねでかき集めると、メジャー商品よりも大きな売り上げを占める事もあります。

 


◆ロングテールとリスティング広告

リスティング広告はマス広告と比べて費用感も非常に低価格で簡単に始める事が可能です。
それ故、マスで広告を出しても売上が見込めないようなニッチなターゲット層にも手軽に安く広告を掲載する事ができます。
リスティングはクリック課金なので、ロングテールでキーワードを登録していてもクリックされなければお金は掛らず、特にデメリットがないように感じられます。

競合の少ないロングテールのキーワードをたくさん登録して獲得機会を増やしていく!そんな運用をしている方も多いのではないかと思います。

が、実際にはほとんどクリックされないワードが登録されているだけで、アカウント全体の媒体からの評価が下がってしまい、CPCが高くなる可能性がある・・等デメリットが複数ある事をご存じでしたでしょうか?

もちろん、全ての場合でロングテール運用がダメな訳ではなく、良い運用になる事も多々ありますが、デメリットを知らずのうちにロングテール運用をしていると手間ばかりが掛り、とても残念な結果になってしまう事があります。

まずは、ロングテールで運用する際のメリットとデメリットをきちんと把握しましょう!

●メリットとデメリット

【ロングテールキーワードを登録するメリット】

  • 入札をしている競合が少ないので、CPC相場が安い可能性がある
  • ニッチワードでは検索数自体は少ないが少数派の高モチベーション層を獲得できる可能性がある
  • 獲得数が数件ずつでも、ちりも積もれば方式で大きな獲得数を得る事ができる

【ロングテールキーワードを登録するデメリット】

  • 検索がされない、CTRの低いキーワードがたくさん登録されている事で、アカウント全体の品質スコア・品質インデックスの低下に繋がる恐れがある
    (品質スコア・品質インデックスが分からない場合はコチラを参考にして下さい)
  • 1キーワードにおける、クリック数・課金額は小額だが、ちりも積もれば方式で無駄コストが多く掛っている
  • 検索がされもしないワードに対してキャンペーンの変更などオペレーションばかりが掛り生産性が落ちる

如何でしょうか?デメリットに引っかかっていそうな項目はありませんか?
これだけではイメージがつきにくいかもしれないので、次に成功例と失敗例を記載します。

●ロングテール成功例

①転職サイト:業種を増やして獲得数UP

ある、転職系クライアントから、よりもっとIT技術職系の人からの申し込みを増やしたいという要望をもらい、IT技術職に特化した職種を網羅。
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・実施事項
⇒技術職系の職種一覧をクライアントから貰い全職種を登録。

・結果
⇒技術職系の職種からの引き合いUP。ニッチな職種については競合もいなかったためCPCも安く誘導する事ができた
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②個別指導塾:注力エリアの駅名・地名との掛け合わせを増やして獲得数UP

ある、個別指導塾クライアントより全体で獲得数をもっと伸ばしたいと相談を受ける。CVRに関してはある程度高い水準を既に担保できていたため、impを増やすべく見込みワードを追加。

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・実施事項
⇒個別指導塾名の認知度が高いと思われる注力エリアに関しては、駅・地名まで細かく網羅し登録

・結果
⇒駅近を謳っている塾だったこともあり、駅名からの獲得数からを特に増やす事に成功。
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●ロングテール失敗例

①教育系サイト:獲得に至らないワードを大量に登録して無駄コストが増加

あるスクール系クライアントからの依頼でアカウント診断をした際、獲得に至っていないワードが大量に入っていました。
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・アカウント状況
⇒通学スクールにも関わらず「通信」と掛け合わせたキーワードがはいってたり、「検索」「探す」といったざっくりした行動を促すワードとの掛け合わせが大量に登録されていました。広告費としてかけている費用以上にロングテールキーワードが大量に入っているため、日予算による掲載抑制も掛っている状況でした。

半年間のデータを確認したところ、ロングテールキーワードで登録されたうちの3/4のキーワードの検索数がほぼなく、コストはそのほぼ獲得ができていないキーワード群に半分程度投資されていました。

・ロングテールキーワードの運用をやめると・・・
⇒検索数がある1/4のキーワードに絞り運用した結果、効果が良いワードの日予算抑制が解除され、獲得数はアップ。無駄コストも減り、CPAも改善しました。
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②通信講座サイト:ニッチ講座も全て登録。キャンペーン情報の更新作業のみが毎月かかる

多種類の通信講座を運営しているクライアントからの依頼でニッチ講座もリスティングを実施したいという依頼を頂きました。それ自体は非常に良い事だと思います。が、問題は登録を依頼されるキーワードの検索数自体がない事でした。
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・アカウント状況
⇒キーワードを登録するも検索数がない。そのため、広告掲載自体ができない。インプレッションが出る月もたまにあるが10以下。
⇒キャンペーンの入れ替えが多く、掲載停止や、広告文の変更作業に丸々1日を作業として月に一度かけていた。

・ロングテールキーワードの運用をやめると・・・
⇒検索数のあるメイン講座に絞って配信。結果としては、獲得数が減る事もなく作業変更に掛っていた時間も減り生産性のUPに繋がった。
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如何でしたでしょうか?とにかくなんでも思いつくままにロングテールキーワードを登録してしまう運用は効率の良いキーワードを圧迫したり、無駄な作業を増やしたりと、良い事はありません。

今回紹介した成功例の場合でも、ある一定の期間(だいたいの場合は3カ月~半年程度)運用した後に、獲得が出来ていないワードは再度削る等の整理をする必要はあります。リスティング広告の場合、ロングテールキーワードを運用する際には登録して終わりではなく、定期的に見直しを掛けて上げる事が重要なポイントです。

 


◆ロングテール向きのケースor不向きなケース

●ロングテール向きのケース

ある程度の検索数があるキーワードが事前にあると分かっている場合はロングテールキーワードを登録し運用する事で効果が得られるでしょう。

例えば、
・不動産系企業→エリアとの掛け合わせワードをロングテールキーワードで登録。

「市区」や「駅」などのエリアワードと「賃貸」「マンション」等の不動産関連ワードを組み合わせた場合、個々のキーワードごとにある程度の検索ボリュームがある事が想定できます。

その他にも「旅行→エリアとのロングテールキーワードでの掛け合わせ」「人材→職種とのロングテールキーワードでの掛け合わせ」等、ある程度組み合わせた時にキーワードとして検索ボリュームがあり、キーワードからの流入後の受けページも対応するものがきちんとある場合はロングテールキーワードで運用し得られるメリットが大きいでしょう。

また、上記のようにロングテールキーワードを運用する場合、それに見合うだけの費用がある。という事が大前提です。
キーワードは大量に入っているが、日予算によりそもそも掲載が抑制されてしまってはロングテールキーワードで運用する意味がないので、どのくらいの検索ボリュームがあり費用がいくら必要かは事前に見積もりを想定した上で開始しましょう。見積もりを取る場合はGoogleのキーワードプランナーが便利なので使用してみてると良いでしょう。使い方は下記リンクを参照にして下さい。

キーワード プランナーを使用してキーワード候補とトラフィックの見積もりを取得する

業種・業界・サービスとしては、ロングテールキーワードでの運用に向いているけど、全部のキーワードを運用する程予算がない!という場合は、注力したい「エリア」や「業種」等カテゴリを絞り、そこのみ深堀したロングテールワードで運用していくことをおススメします。

●ロングテール不向きのケース

キーワードの幅が広がらない場合はあまり無理してロングテールキーワードで運用しようとするのはやめましょう。
例えば、過去見てきたケースだと下記のようにムリヤリ意味を広げて誘導を掛けるとCVRが低くCPAが見合わない結果になる事が多いです。

・エステ系企業→ハンドマッサージの痩身エステサービスにも関わらず、”痩せる”という括りだけで「バナナダイエット」や「運動やせる」といった、とにかく痩せたい人が検索しそうなワードを大量登録。

それぞれのキーワードを検索してきたユーザーの意図を考えれば、エステではなく既に別の目的をもった検索ワードのため、エステの広告をクリックする可能性は低いです。
もし、こういったワードでたまに獲得が出たとしてもその1件を得るために投下するコストはおそらく見合わない事でしょう。

さらに、飛び先としての受けページも検索ワードと合っていない場合はGoogleやYahoo!の審査により掲載が落とされる可能性も高いです。
こういった場合はムリに検索数を増やすロングテールキーワードでの運用よりも、ディスプレイ広告等別の広告掲載手法に広告費用を投下した方が効率的かと思います。

(ディスプレイ広告が分からない方はコチラを参考にして下さい)

 

如何でしたでしょうか?
「ロングテール」の良し悪しをしっかり見極めた上で、自分のアカウントはロングテールキーワードで運用するべきか否か、これを機会に一度考えてみて頂ければと思います。

なお、リスティング広告初心者向けの無料ガイドブックでは、中小・ベンチャー企業でもリスティング広告で効果を出す方法について60ページに渡り丁寧に解説しています。

無料でダウンロードできますので、興味のある方は参考にしてみてください。