購買行動の変化を掴め! データ活用で真のニーズを捉える手法4選

既存ユーザーの売上を伸ばしたい、新規ユーザー獲得数を増やしたい・・・。
マーケティング担当者なら、誰もがこのために頭を悩ませることと思います。

今回は、最新のユーザー購買行動のパターンと実際に購買行動を把握する方法、既に取り組んでいる企業の事例をご紹介します。

自社のオンラインの購買行動、特に、購買前の比較検討行動や情報収集のポイントを知ることで、よりユーザーニーズにマッチした施策の実施が可能になった事例を多数見てきました。
読みながら、あなたのお客様の購買行動はどのパターンにあてはまるのか、を考えてみてください。そこから売上アップ、新規ユーザー獲得のためのマーケティングアプローチに活かしていただけたら幸いです。


今起こっている購買行動の変化とは?

では最初に、今起こっている購買行動の変化のうち、重要な4つの点について見ていきます。

1. 店頭+オンラインの行動変化

スマートフォンやタブレットの普及により外出先で簡単に情報収集ができるようになった結果、ユーザーは実店舗とオンラインという両方のチャネルを同時に行き来するようになりました。
これまでは(1)オンラインで情報収集(2)実店舗で購入 の(1)と(2)のあいだには時間的・情報流通的な空白がありましたが、現在では同時並行で行われています。

Googleが2011年に提唱したZMOT(ジーモット;Zero Moment of Truth)という購買意思決定モデルをご存知の方も多いと思います。
店頭で購買商品を決定する瞬間がFMOT(エフモット)=First Moment of Truth と言われるのに対し、Googleは実店舗に行く前のオンライン上の情報収集時に何を購買するかの意思決定がされている=Zero Moment of Truth と定義しました。

今では、FMOTとZMOTは同時に起こっていることになります。つまり、スマホで商品について情報収集しながら、同時に店頭で実商品を手に取り、購買決定がなされています。これは、スマートフォンの利用拡大に伴う、これまでにはなかった新しいユーザー行動の一例です。

2. ショールーミング

ZMOT+FMOT は、店頭でオンライン上の情報収集を行いつつ棚で実物を見て、店頭で購入する、という流れでした。
一方、ショールーミングと言われる行動では、ユーザーはまず実店舗で商品を手に取り検討をし、購入商品を決めた後で、オンライン上で同じ商品をもっとも安価に提供するネットショップを探して購入します。
昨年、大手家電量販店がこの動きに対し対抗するため、実店舗でネットでの提示価格を含めた最低価格保証を行った結果、値引き額が増大し赤字転落しています。
この事実から、特に家電量販にとってこのショールーミングがいかに大きな脅威と捉えられているかが窺えます。

3. マルチデバイス利用による購買行動の変化

これまで見てきたように、スマートフォンの出現は購買行動に大きな変化をもたらしています。タブレット、会社のPCなども含めると、ひとりのユーザーの購買プロセスに、2~4つものデバイスが使われることも当たり前となりました。
また、ブラウザからのサイトアクセスに加えアプリからのアクセス、アプリ内での購買、という行動も加わってきました。
複数のデバイス+複数のタッチポイントを横断したユーザーの購買行動をいかに捉え、どこでどうアプローチするかは、非常に重要なポイントです。

4. オンラインチャネルの使い分け

これまで一般的に、オンラインでの購買行動は、購入重視点として価格の比重が非常に高いと考えられてきました。しかし、最近の弊社調査では、必ずしも価格だけが重視されているわけではないことが分かってきています。ユーザーの重視点は機能、ブランド、ポイント、価格、利便性など複数存在し、重視点によってメーカー直営サイト、Amazon、楽天等選択されるチャネルが異なります。
もしあなたがオンライン上で複数のチャネルで取り扱いがある商品のマーケティング担当者なら、自社商品・サービスのユーザーのニーズ、重視点と利用チャネル、購買までの行動パターンを把握することは、オンライン上でのマーケティング戦略を考える上で非常に助けになるでしょう。


どのようにユーザーの購買行動を
知ることができるのか?

では、ユーザーの購買行動の変化について、どのように把握できるでしょうか。その方法を見ていきましょう。

これからご紹介する方法は、「自社内に存在する複数のデータを統合・整備(または新たにデータを取得)して既存ユーザーの購買行動を可視化」「外部データを利用して、自社ユーザー、競合ユーザーの購買行動を可視化」の2つに分けることができます。

ユーザー行動把握の種類
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まず、「自社内に存在するデータを統合・整備(または新たに取得)」の3つの方法について紹介いたします。

1. 実店舗での購買行動とオンライン上での行動を知るためには

プライベートDMPの構築
自社の既存ユーザーの実店舗での購買行動とオンライン上での購買行動を知るためには、いわゆるプライベートDMP(Data Management Platform )を構築する方法があります。自社内にばらばらに存在している実店舗での購買行動データ、サイトから取得しているオンライン購買データ等を、DMPツールを使用して統合し、ユーザーごとに購買行動を一元化できるようにします。DMPについては昨年より非常にホットなトピックとなっているので、興味のある方は書籍などでご参照ください。

実際に弊社でも、大手情報サイト運営会社様で会員の売上アップを目的とし、データ統合、分析、施策までのお手伝いをさせていただいた事例があります。
社内に散在していた会員データ、商品情報データ、購買データ、サイトアクセスログデータ等を整備、統合し、ユーザープロファイルの生成・ユーザーの購買行動パターンの抽出を行ったことで、各ユーザーにマッチしたコンテンツ提供、アプローチが可能になり、実施前よりも会員のCV率が上昇する結果につながりました。

2. 実店舗での購買行動とオンライン上での行動を知るためには

新たなデータの取得 アプリを使った例
自社でスマホアプリを持ち、店頭でチェックイン、購買時にポイント付与などをすることで、実店舗の行動とアプリ内での行動を紐づけて一連の購買行動を把握することができます。また、アプリ内で会員IDやSNSのIDを入力させることで、さらにCRMでの情報、SNS上での興味関心、登録属性についても併せて把握することが可能です(参考:安価に最短1ヶ月でアプリ制作!運用までフルサポートの「yappli」サービス資料)。

このような取り組みをしている企業の事例として、無印良品を展開する良品計画があります。
スマホアプリMUJI passport では、ユーザーは好みの商品の登録、使用クチコミの書き込み等を行うことができ、実店舗に来店した際にはチェックイン、商品購入時にはスマホ内のバーコード読み取りで購買情報を登録します。良品計画では、このアプリを「顧客時間の最大化」のためのツールと位置づけており、ユーザーの無印良品に関わるオンライン、オフラインの垣根ないあらゆる情報を集約する場としています。

参考:ビッグデータ分析で「顧客時間」の拡大に挑む、無印良品のO2O戦略

このようなデータを蓄積していくことが、ユーザーの購買行動を可視化する元となっていくわけです。

また最近ではアプリの顧客データを最大限活用するため、詳細にアプリ市場を分析できるツールもあるので、導入するのも良いでしょう。

3. サイト解析ツールを使って複数デバイス間、
オンライン・オフライン間のユーザーの購買行動を可視化する

Google Analytics ユニバーサルアナリティクス
GoogleのWebサイト解析ツールGoogle Analyticsが今年大きく変わろうとしています。大きく機能が追加になったユニバーサルアナリティクスへの移行が始まり、Google Analyticsによるユーザーの購買行動の把握が飛躍的に進むことになりそうです。
ユニバーサルアナリティクスで実現できるようになることのうち、ユーザーの購買行動の変化の把握に利用できる機能が2つあります。

1つ目は、Google Analytics内で、これまでは別々のユーザーとしてしかカウントできなかった、ひとりのスマホ、家のPC、会社のPC、タブレット、といった複数のデバイス利用を1ユーザーとして計測することが可能になることです。(ただし、自社で会員ID等を持っており、各デバイスで会員ログインさせることが前提になるようです)

2つ目は、購買データなどサイトアクセスログ以外のデータも統合できるようになることです。そのため、オンライン、オフラインのユーザーの購買行動を併せて把握することが可能になります。

ユニバーサルアナリティクスは、単なるサイト解析ツールのバージョンアップ版というより、先ほどご紹介したDMPのような、企業の様々な情報を紐づけ、計測し、プロモーションにつなげる場に進化したものと言えそうです。
※ 現在発表されている内容を元に記載しておりますが、今後変更の可能性もあります。最新の情報はGoogle発表情報にて確認してください

また、Adobe Analytics(旧Site Catalyst)では、Adobe Audience Manager と組み合わせることで、DMPの構築が可能になります。このように、今後は既に導入しているサイト解析ツールを機能拡張し、データを統合することでユーザーの購買行動を可視化するという方法も選択肢のひとつになるでしょう。

DMP、サイト解析ツールを使った購買行動可視化
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次に、自社データではなく 外部のデータを利用して、自社ユーザー、競合ユーザーの購買行動を可視化する方法について、ご紹介します。

4. すぐにできる「自社」「競合」の
購買プロセスを含めたユーザー行動の把握

ソーシャルデータ、ユーザー行動ログデータの利用
ここまでご紹介した方法は自社データ統合やアプリ開発、サイト解析ツールの拡張など、事前に社内で準備が必要なものでした。実現までに時間がかかり、自部署だけで実現できないことも多いかと思います。
これからご紹介するのは、「自社での事前準備が不要」「短い時間で実施可能」「ユーザーの購買行動が見える」方法です。さらに「自社のユーザー」だけではなく、「競合のユーザー」「まだ自社にまったく接触していないユーザー」についての行動も把握することができるのが、最大の特徴です。
そのカギは、自社のデータではなく、「外部データ」を利用することにあります。

ブログやTwitterなどに書き込まれたユーザーのクチコミデータを利用することで、自社の商品を購入したユーザーが、購入の前にどんなことを考え、何を基準に選び、どこで購入したか、から購入後の評価までを知ることができます。
このようなソーシャルデータから、クチコミされているものであれば、実店舗、オンライン、どちらの購買行動についても知ることができます。

ユーザー行動ログデータは、数万人規模のパネルに対し、オンライン上のサイト閲覧履歴と検索キーワードを知ることができるデータです。このデータは、特定のサイトのアクセスログだけではなく、そのユーザーが見ている全てのサイトの閲覧情報が記録されています。そのため、例えばAという商品をA社のメーカーサイトで買った人、Amazonで買った人、楽天で買った人が、普段どんなことに興味を持っており、どんなニーズがあって、どこで情報収集し、何と迷って最終的にAをそのチャネルで購入したのか、ということも分かります。ユーザー行動ログデータを使う場合は、実店舗での購入に関しての把握はできませんが、オンライン上の購買行動について詳細に知ることが可能です。

これらのソーシャルデータ、ユーザー行動ログデータは、ツールの利用やユーザー行動調査レポートのような形で利用することができます。自社で取得しているデータとは違い、「競合商品Bを買った人」「自社商品Aと競合商品Bを比較し、結局Bを買った人」についての購買行動、また購買までのプロセスを知ることができるため、自社商品と競合商品の強み弱みの把握、差別化ポイントの把握の上で非常に有効です。

ソーシャルデータ、ユーザー行動ログデータの特徴
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商品開発への活用も
ユーザー行動ログデータを利用して、ユーザーの購買行動を把握し、商品開発に活かした事例を紹介いたします。

ある大手通販化粧品会社様では、主力商品のリニューアルにあたり、これまでの商品よりも価格帯をやや高めに設定できる商品の企画を検討していらっしゃいました。
そこで、ユーザー行動ログデータを使用し、価格帯の高い同カテゴリ商品を検討・購入しているユーザーが、どのようなきっかけで商品を探し始め、どのような情報を必要とし、何を重視して比較検討した上で最終的に購買に至るのか、という購買までの「カスタマージャーニー」を商品ごとに可視化しました。

その結果、当該カテゴリの高価格帯商品を購入するユーザーには大きく分けて2つのタイプが存在することが分かりました。

ある悩みを解消するための方法を必死で探しており、その解決方法のうちひとつが化粧品、という位置づけである場合。一方でいわゆる「ブランドイメージ」で高価格帯商品を選んでいるユーザーも一定数存在していることが分かりました。

この化粧品会社様では、「深い悩み解決型」が自社の強みを活かせると考え、その後の開発方針に反映されました。

※カスタマージャーニーに関しては、下記の記事をご参照下さい
【LISKUL】カスタマージャーニーを理解・活用する 3スライド+5サイトまとめ


変化するユーザー行動を捉え、
自社の施策を変え、売上を上げる!

ここまで、ユーザーの購買行動の変化とその理由、実際に購買行動を把握するにはどうしたらよいか? と、実施されている企業の事例を見てきました。

ユーザー行動がここまで大きく変化する中、自社の「今」のユーザー行動を確認せずに、これまでと同じ仮説でマーケティングプランを実施することは、ユーザーにマッチしない、的外れのものになってしまう危険性があります。
今後、定期的にユーザーの購買行動をウォッチし、最新の結果をマーケティングプランに反映していくことが、より必須になるでしょう。

ぜひ今日から、あなたのお客様の「今」の購買行動を把握し、施策に反映することを意識してみてください。きっと考えうるアプローチが変わり、結果につながるはずです。

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