【最低限知っておきたい】薬ネット販売のルール&メリデメまとめ

2014年6月12日、ネット販売での一般医薬品販売が解禁されました。
これは、ネット通販に関わる方は衝撃の出来事だったのではないでしょうか?

さて、薬のネット販売解禁によりネット業界ではビジネスチャンスは広がったのですが、規制やルール等は正しく理解できていますでしょうか。

薬のネット販売は今までにも何度か検討されてきましたが、安全性が懸念され、ずっと先送りになってきました。
そのような背景もあり、人を介することができないネットでの販売に踏み切るにあたり、細かい規制やルールが敷かれています。きちんとこれらを理解しておかないと、法に触れる可能性も大きいですし、何より人の体に関わるものなので、事故が起こってしまっては取り返しがつきません。

とはいえ、法律ルールが細かすぎて把握しきれない! という方のために簡単にまとめてみました!
最低限、下記の記事にあることは理解しておきましょう。

▼目次
一般用医薬品のインターネット販売について
ネットで販売可能な医薬品の種類
ネット販売におけるルール/チェックリスト
有形店舗のルール
ネット店舗のルール
サイト表記上のルール
実例
さいごに


一般用医薬品のインターネット販売について

まずここでは「販売可能な薬の種類」「販売ルール」「販売の際の注意点」の3つを簡単にまとめてお伝えします。

ネットで販売可能な医薬品の種類

ネットで販売できるものは下記のとおりとなっています。

【ネットで販売可能】
・一般医薬品
今まで薬局で買っていた薬類。薬剤師(国家資格)か登録販売者(都道府県試験)を持った人が販売できる分類のもの。第1類~第3類まで種類が分かれていて、第1類医薬品は薬局・薬店での店舗購入だったとしても、対面販売のみ可能な分類。

【ネットで販売不可】
・医療用医薬品
処方箋が必要な「処方薬」に関しては、引き続きネットでの販売はできません。

【一覧表】
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ネットで薬の販売がOK! となったからといって、もちろんですが無作為に販売できるようになったわけではありません。きちんと責任者が管理している中での販売のみ可能です。


ネット販売におけるルール/チェックリスト

次に、ネットで薬を販売する上で絶対におさえておかなければいけないルールを解説します。

一般用医薬品の販売は、薬局・薬店の許可を取得した有形の店舗が行わなければならない
ネットのみの店舗はNGです。必ず「お店」として実在している事が条件となります。
さらに、その上で下記のチェック項目をすべて満たしている必要があります。

【有形店舗のルール】
ネットの販売ルールだけではなく、まず、実店舗がキチンとしたお店かどうかの確認が入ります。
例えば、下記のような項目をクリアしていないと、いくら「薬剤師」や「登録販売者」という資格保有者がいても薬の販売はNGです。

□購入者の見やすい場所に標識
□購入者が容易に出入りできる構造
□ネットの他に、対面や電話での相談体制を整備
□広さは薬局の場合は19.8㎡以上(調剤室6.6㎡以上必要)。薬店の場合は13.2㎡以上が必要
□照明は60ルスク以上
□十分な喚起、清潔さ、居住空間との隔離
□情報提供カウンター
□週30時間以上を目安に実店舗の開店
□薬剤師等の専門家による薬局などの実地の管理
□営業時間内の薬剤師等、専門家の常駐
□薬剤師等の専門家の名札等の着用
□テレビ電話の設置など薬事監視を確実に行える仕組みの整備(店舗閉店時にネット販売を行う場合)
□専門家の氏名・販売時刻等の記録の作成・保存(1類義務、2類・3類努力義務)(店舗販売も同様)

【ネット店舗のルール】
上記の「有形店舗ルール」をクリアした上で、下記のネット販売ルールも確認して下さい

□店舗名称を厚労省のHPに一覧を掲載
□メールの自動送信・一斉送信不可
□ネットの他に、対面や電話での相談体制を整備
□販売記録の作成・保存(第1類医薬品は義務/第2類・3類は努力義務)
□購入者が情報提供内容を理解した旨の確認(※2)
□購入者に再質問がない事の確認(※2)
□指定第2類について、禁忌の確認を促すための掲示・表示等(※1)
□情報提供義務免除の範囲および判断者の見直し(継続使用者等について、薬剤師が情報的今日の要否を判断)(※2)
□乱用などのおそれのある医薬品の販売個数の制限など(※1)
□使用期限の表示・使用期限切れの医薬品の販売禁止(※1)
□オークション形式での販売の禁止(※1)
□購入者によるレビューや口コミ、レコメンドの禁止(※1)
□モール運営者の薬事監視への協力(※1)

(※1)薬剤師は厚労省HPで確認可能。登録販売者は各自治体に問い合わせ)

【サイト表記上のルール】
□実店舗の写真
□許可区分(薬局または、店舗販売業)
□許可証の記載事項(薬局開設者名、店舗名、所在地、所轄自治体名等)
□薬局・店舗の管理者名
□当該店舗に勤務する薬剤師・登録販売者の性別・指名担当業務等(※2)
□対応専門家の勤務シフト表の表示(※2)
□取り扱う一般用医薬品の区分
□現在勤務中の薬剤師・登録販売者の性別・指名
□営業時間・営業時間外の相談時間
□注文のみの受付時間がある場合にはその時間
□通常相談時及び緊急時の連絡先
□店舗の開店時間とネットの販売時間が異なる場合は、それぞれの時間帯
□第1類~第3類の定義及び解説
□第1類~第3類の表示や情報提供に関する解説
□指定第2類の販売サイト上の表示などの解説および禁忌の確認・専門家への相談を促す表示
□一般用医薬品の販売サイト上の表示の解説
□副作用被害救済制度の解説
□販売記録作成に当たっての個人情報利用目的
□その他必要な事項(自治体、業界団体などの苦情相談窓口など※施行通知で明示)
□店舗での陳列(=表示)の状況をわかる写真を表示する事
□リスク区分別に表示する方法を確保すること
□サイト内検索の結果を、各医薬品のリスク区分についてわかりやすく表示する事
□医薬品の使用期限を明記する事

(※2)薬剤師は厚労省HPで確認可能。登録販売者は各自治体に問い合わせ)

【例】コープシーアドラックネットショップ
下記のような表記が必要です。(一部の表記のみイメージとして抜粋)
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以上が、ネット販売時の気を付けるべき一覧です。

いかがでしょうか? 大量ですね・・・。
上記のすべてをクリアして、初めて販売が可能となります。
やはり人体に関わる「薬」の販売に関しては気を付けるべき点が多いのでしょう。サイト構築やプロモーション等の際には気をつけて展開するようにしましょう。


さいごに

ネットでの薬販売は長年議論されてきた事ですが、あるリサーチによるとネットでの薬の販売は「賛成60%」「どちらでもない30%」「反対10%」と賛成に軍配が上がっています。
さらに、人工の少ないエリア程、賛成の声が多いという事で実店舗が家の周りにない場合は、とても重宝される可能性が高いのではないでしょうか。

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また、インターネットでの購入意志は80%に上っており、今まで実店舗では購入しづらかった「滋養強壮剤・ビタミン剤」「育毛剤」等をネットであれば新たに購入したいという声も見られました。

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参照:市販薬のインターネット販売に関する意識調査 – 電通

上記より、ネットでの薬販売に関しては、まだまだ伸びるチャンスがあり、難しい決まりが多いからこそ突破したら大きな市場が開けるのかもしれません。
きちんと規定・ルールはチェックの上販売するようにしましょう!

参考

一般用医薬品のインターネット販売について – 厚生労働省
市販薬のインターネット販売に関する意識調査 – 電通

※この記事は2014/9/17のものです

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