官公庁や自治体の入札は案件単価の高さや、公的機関との取引実績によって自社の信頼度が高まるなど、民間企業にとって多くのメリットがあります。そのため、入札に挑戦したいと考えている企業も少なくありません。
しかし、過去に入札の経験がないと、どういうフローで進めるべきなのか、事前にどのような準備が必要なのかわからないでしょう。
本記事では自治体入札に参加する流れをステップ形式でまとめています。また、入札案件を勝ち取るためのポイントについても解説しています。
この記事を読むことで迷わずに入札に参加できるようになるので、これから自治体の入札に参加したいと考えている方は必見です。
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目次
自治体の入札の流れ
官公庁・自治体の案件への入札の流れは以下の7ステップです。
- 全省庁統一資格を取得
- 都道府県ごとに案件を探す
- 参加資格を確認する
- 業務の内容を確認する
- 入札のスケジュール・提出物・プレゼンの有無を確認する
- 案件に入札する
- 契約締結後に業務を開始する
1.全省庁統一資格を取得
まず「全省庁統一資格」を取得しましょう。
全省庁統一資格とは、言葉通り「全省庁・自治体の入札案件の参加に必要な資格」のことを指します。
入札の種類が「物品の製造・販売」「役務の提供」「物品の買受」に該当する場合、全省庁統一資格が必要です。全国を対象にした資格でカバー範囲が広いため、あらかじめ取得しておきましょう。
※建設・土木工事、測量工事・建設コンサルタントなどの入札には利用できないので注意してください。
参考:【官公需の早わかりガイド】官公需について理解して、ビジネスチャンスを広げましょう。 | 経済産業省 中小企業庁
2.都道府県ごとに案件を探す
次は入札案件を探すフェーズです。
案件は各機関のホームページに詳細が記載されているので、とにかく定期的にサイトを閲覧するようにしましょう。
ただし、自治体ごとにフォーマット・掲載場所が異なるので注意が必要です。
3.参加資格を確認する
応募したい案件を見つけたら、次は参加資格を確認してください。
全省庁統一資格だけで良いのか、それとも個別で入札資格が必要なのかを確認します。
個別の資格が必要な場合、期間内に資格取得が完了しないこともありますので、自治体に「資格取得と同時進行で応募しても良いか」など確認すると良いでしょう。
また案件によっては「特定地域内の事業所に限定した募集」もあります。地域振興などを目的としている場合、地域外の企業ではそもそも応募できない場合があるので注意してください。
4.業務の内容を確認
参加資格を確認後、業務の詳細について確認しましょう。
そもそも自社が提供できる業務内容なのか、外部委託は可能かなどを確認します。
5.入札のスケジュール・提出物・プレゼンの有無を確認
案件の詳細を確認しましょう。特に以下の3点は必ず確認してください。
- 応募期間
- 提出書類、提出方法
- プレゼンの有無、日程、実施方法(オンライン・オフライン)
入札案件は公示後1~2か月以内とされているものが多いので、準備にかかる期間から逆算して、間に合うスケジュール感なのか検討します。
案件の詳細は仕様書の取得が必要です。仕様書は発注機関に出向くパターンと、Webサイトに公開されているパターンがあります。中には仕様書の取得のために説明会の参加が求められることもあります。
また、コロナ禍が沈静化しインバウンド観光客が急増しているなかで、観光客誘致の入札案件が増えてきています。
「【広告代理店向け】自治体入札案件を攻略!観光誘致にてオススメしたいデジタル施策」では、地方代理店の方向けに、観光客誘致に欠かせない3つのデジタル施策について解説しています。
是非ご提案の参考にしてください。
6.案件に入札する
実際に入札するフェーズです。入札は「会場入札」「電子入札」「郵便入札」の3パターンがあります。
- 会場入札:発注機関が指定する会場に赴いて、入札書を提出する
- 電子入札:ネット上でICカード・カードリーダーを使って入札する
- 郵便入札:発注機関に入札書を郵送する
入札の方法によって必要な準備が異なります。例えば電子入札であれば、ネット環境やPCだけではなく、電子証明書・ICカードリーダーなどが必要になるのであらかじめ注意してください。
参考:入札参加が初めての方向け官公庁入札の流れ5つのステップ | 入札徹底ガイド
7.契約締結後に業務を開始する
自社が落札できたら、契約を締結して業務を開始しましょう。
業務に入る前に、担当者とミーティングを実施して、実務の準備を進めます。実務だけではなく定例報告なども業務に含まれるので、参加者へのリマインドを忘れずに行いましょう。
業務終了後に業務報告書の提出や個人情報の削除報告を求められるケースもあります。
全省庁統一資格取得の流れ
全省庁統一資格取得の流れは以下の通りです。
- 書類の準備
- 申請
- 審査
1.書類の準備
申請に必要な書類を準備しましょう。必要書類は以下の通りです。
- 登記事項証明書(法人のみ)
- 納税証明書(その3の3)
- 財務諸表(賃借対照表・損益計算書)
- 屋号の住所を証明する書類(納税証明書と住所が異なる場合に添付、個人のみ)
登記事項証明書と納税証明書は発行日から3か月以内の書類でなければなりません。また財務諸表は1年分の提出が求められるため、あらかじめ注意が必要です。
2.申請
書類が準備できたら申請します。以下より申請が可能です。
申請方法は官公庁や自治体によって異なりますが、「書面による申請」と「オンライン申請」の2つが一般的です。
- 書面による申請:必要な書類をまとめ、所定の申請書に記入して提出します。書面申請では、郵送や直接提出など、官公庁や自治体の指定する方法で申請書類を提出します。
- オンライン申請:インターネットを通じて申請手続きを行います。官公庁や自治体のウェブサイトや専用の申請ポータルを利用し、必要な情報や書類をオンライン上で提出します。
3.審査
審査方法は官公庁や自治体によって異なりますが、一般的には書類審査や面接審査が行われます。
- 書類審査:提出された書類を審査し、要件や条件を満たしているかどうかを確認します。
- 面接審査:応募者に対して面接を行い、資格取得に向けた詳細な情報や能力を確認する場合があります。
審査機関は官公庁や自治体の関連部署が担当します。審査完了までの期間は、申請の内容や官公庁・自治体の状況によって異なりますが、数週間から数ヶ月を要することが一般的です。
入札案件を成功させるポイントは「案件探しの効率化」
自治体の入札では、効率良く案件を探すことが重要です。
前述した通り入札案件の募集期間は1~2か月ほどが多いですが、案件によって特別な資格が必要となる場合があり、資格の取得だけで1か月近くかかることもあるので、応募の準備を考慮すると期間が短いです。
そのため、案件の募集が始まったらすぐ準備に動けるようアンテナを張り続ける必要があります。しかし、都道府県や地域によってフォーマットや情報の掲載場所が異なるため、情報収集にかなりの手間を要します。自治体案件に応募する上で、案件探しは最も工数がかかる部分です。
可能な限り多くの案件に応募するためには、案件探しの効率化が欠かせません。
案件探しを効率化させるためのポイントは以下の3点です。
- 入札情報サービスを活用する
- Excelやスプレッドシートに入札情報をまとめておく
- 他部署を巻き込んで横断的に入札案件に取り組む
入札情報サービスを活用する
入札情報サービスを活用することで案件探しにかかる工数を圧縮できます。
入札情報サービスとは官公庁・自治体の入札情報を一元的に確認・検索できるWebサイトの総称です。官公庁や自治体が発注する入札案件情報は、それぞれのホームページに分散して掲載されていますが、入札案件サービスはそれらの情報を一元管理し、使いやすいインターフェースで提供します。地域や業種、予算などの特定の条件に基づいて案件を絞り込むことが可能で、案件探しにかかる時間と手間を削減できます。
入札情報サービスの代表例として、国内最大級の入札情報サイト「NJSS(エヌジェス)」などが挙げられます。
参考:入札情報速報サービス NJSS | 国内最大級の入札情報サイト
NJSSでは自治体案件の入札情報の一括確認はもちろん、過去案件の落札情報・他社の入札履歴の検索や閲覧も可能です。ただし、月額費用が発生する点は注意しましょう。
他部署を巻き込んで横断的に入札案件に取り組む
入札案件に取り組む場合、単一部署だけではなく、他部署を交えて横断的に取り組んでいくのが良いでしょう。
複数部署と連携すると単一部署で進めるよりも情報収集に人的リソースを投下できるようになるため、情報収集の蓄積スピードが速まります。
また、入札情報サービスの利用費用を、単一部署の予算ではなく全社予算につけられるというのもメリットです。
Excelやスプレッドシートに入札情報をまとめておく
Excelやスプレッドシートを使って、入札に関する情報をまとめておくことは案件探しの効率化につながります。情報をひとつのシートに記載することで、今後のタスクが明確になり、優先順序を間違えずにアクションしやすくなります。
シートには「スケジュール」「業務内容のリスト」「提出書類のリスト(期限・提出方法)」などをまとめておくと抜け漏れをなくせます。
また案件の情報収集を続けていくことで、さまざまなノウハウがストックされていきます。このような経験に基づく情報もシートにまとめておきましょう。
例えば「1回実施した研修はもう一度実施するケースが多い」という自治体もあれば、「一度実施したら二度目以降は実施しない」という自治体もあります。自治体ごとの傾向を知っておくことで情報収集の無駄をなくせます。
まとめ
官公庁や自治体の入札の流れは以下の7ステップです。
- 全省庁統一資格を取得
- 都道府県ごとに案件を探す
- 参加資格を確認する
- 業務の内容を確認する
- 入札のスケジュール・提出物・プレゼンの有無を確認する
- 案件に入札する
- 契約締結後に業務を開始する
全省庁統一資格は以下の流れで進めていきます。
- 書類の準備
- 申請
- 審査
入札において「案件探し」が最も工数がかかるため、案件探しを効率化してスピーディーに入札に参加することが成功のカギを握ります。
効率化のポイントは以下の3点です。
- 入札情報サービスを活用する
- 他部署を巻き込んで横断的に入札案件に取り組む
- Excelやスプレッドシートに入札情報をまとめておく
自治体のホームページだけを頼りに入札に関する情報を集めるのは工数がかかりすぎてしまうので、NJSSなどの入札情報サービスを利用するのが一般的です。
また、自部署だけで完結させようとせず、他部署と連携して進めるのが効率的です。入札に関する情報はExcel・スプレッドシートなどにまとめておきましょう。必要な情報を抽出してシートにまとめておくと、迷わずに次のアクションに動き出せます。
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