レイテンシーとは?遅延の原因から改善方法まで一挙解説!

レイテンシーとは

レイテンシーとは、データの伝送や処理の遅延のことで物理的要因、ハードウェア、環境要因など、多岐にわたる原因によって発生します。

レイテンシーが発生する原因の特定方法3選

これらの遅延はビジネスの様々な面で影響を及ぼし、特にオンラインサービスのユーザー体験や企業の生産性などに大きな影響を与えるため、レイテンシーが高い場合には改善が必要です。

しかし、具体的にはどのような原因から発生し、どのように対応すればよいのか分からないという方も多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、レイテンシーの基礎や、原因、測定方法、確認すべきポイント、改善方法などの情報を一挙にご紹介します。

データの送受信や処理が重たいとお悩みの方は、ぜひご覧ください。

目次

※本記事はソニービズネットワークス株式会社提供によるスポンサード・コンテンツです。


レイテンシーとは、データの伝送や処理の遅延のこと

レイテンシーとは、データが一点から別の点へ移動する際に生じる時間的遅延を指します。

この遅延は、インターネット通信、データベースのクエリ処理、またはコンピューター間のデータ転送など、あらゆる情報技術システムにおいて発生する可能性があります。

レイテンシーは、単に「遅れ」とも言い換えられますが、ビジネスや技術の文脈では、この「遅れ」がユーザー体験、生産性、最終的には収益に与える影響を深刻に考慮する必要があります。

ビジネスにおけるレイテンシーの影響を概説

レイテンシーはビジネスに多方面で影響を及ぼします。

主に、オンラインサービスのユーザー体験、社内の生産性、そして企業の収益に直接的な影響を与えることが知られています。

オンラインサービスのユーザー体験への影響

レイテンシーが高いと、Webページのロード時間が長くなり、アプリケーションの応答が遅れます。

これはユーザーの不満を引き起こし、サイトの離脱率を高める結果につながります。

速度がユーザー満足度に直接影響する現代において、レイテンシーの最適化は顧客維持の鍵となります。

生産性への影響

企業内部では、レイテンシーは従業員の作業効率に悪影響を及ぼします。

データアクセスやアプリケーションの使用において遅延が生じると、タスクの完了に要する時間が増加し、全体的な生産性が低下します。

収益への影響

Webサイトの遅延の短縮は、顧客のエンゲージメントを高め、結果として収益増加につながる可能性があります。

実際に行われたAmazon.comでの実験では、ページのロード時間が100ミリ秒増加するごとに売上が1%減少することが示されています。

このことから、レイテンシーの改善は、顧客のエンゲージメントを高め、より良いビジネス成果を生み出すことにつながります。

参考:Online Experiments:Lessons Learned


レイテンシーを大きくする6つの要因

次に、レイテンシーを大きくする要因を紹介します。

レイテンシーに影響を与える要因は、主に以下の6つの種類に分類されます。

  1. 物理的要因
  2. ハードウェア要因
  3. ソフトウェア要因
  4. ネットワーク要因
  5. インフラストラクチャ要因
  6. 環境要因

それでは一つずつ見ていきましょう。

1.物理的要因

物理距離や伝送媒体の種類などの物理的要因は、レイテンシーに差が生じるの原因となります。

物理的距離

データが移動する際、その距離が直接的に伝送時間に影響します。

特に、データセンターやサーバーがユーザーから地理的に遠く離れている場合、データが目的地に到達するまでに要する時間は顕著に長くなります。

例えば、国際間でのデータ伝送は、国内での伝送に比べて高いレイテンシーを引き起こす原因となり得ます。

伝送媒体

使用される伝送媒体によって、データの伝送速度が異なります。

光ファイバーケーブルは、銅線や無線信号と比較してデータを高速で伝送できるため、低レイテンシーを実現します。

一方、無線信号は物理的障害物や気象条件の影響を受けやすく、これがレイテンシーの増加につながることがあります。

2.ハードウェア要因

ストレージデバイスの種類やCPUの速度といったハードウェア要因もレイテンシーに影響します。

ストレージデバイス

データの読み書き速度は使用されるストレージデバイスに大きく依存します。

固体状ドライブ(SSD)は、従来のハードディスクドライブ(HDD)よりもはるかに高速にデータを読み書きできるため、システム全体のレイテンシーを減少させることができます。

プロセッサ速度

システムのCPUがデータを処理する速度も、レイテンシーに大きな影響を及ぼします。

高速なプロセッサは、複雑な計算やデータ処理タスクを迅速に実行できるため、全体的なレイテンシーを短縮します。

ネットワーク機器

ルーター、スイッチ、モデムなどのネットワーク機器の性能が低いと、データパケットの処理に時間がかかり、これがレイテンシーの増加を引き起こします。

高性能なネットワーク機器を使用することで、データの伝送と処理速度が向上し、レイテンシーを削減できます。

3.ソフトウェア要因

レイテンシーはしばしば、アプリケーション設計などのソフトウェア要因によっても引き起こされます。

アプリケーション設計

アプリケーションのコーディングや設計における効率性は、レイテンシーに直接影響します。

効率的なアルゴリズムやデータ構造を使用することで、プログラムの実行時間が短縮され、結果としてレイテンシーが低減します。

オペレーティングシステム

オペレーティングシステムによるリソース管理とスケジューリングの効率も、システムのレイテンシーに影響を与えます。

高度に最適化されたオペレーティングシステムは、プロセスとリソースを効率的に管理し、低レイテンシーを実現します。

4.ネットワーク要因

混雑や帯域幅が狭いなどのネットワーク要因も、レイテンシーの原因となります。

混雑

ネットワーク上のデータトラフィックが多い時、パケットは競合し、これがレイテンシーの増加に繋がります。

トラフィック管理技術や帯域幅の拡大を通じて、ネットワーク混雑を緩和し、レイテンシーを低減することが可能です。

参考:ネットワークの輻輳とは?輻輳の基礎から原因と対策まで一挙ご紹介!LISKUL

帯域幅

利用可能な帯域幅が狭いと、データ転送速度が低下します。これは、特に大容量のデータを扱う場合に、顕著なレイテンシーの原因となります。

帯域幅の増加は、データ転送速度を向上させ、レイテンシーを低減させる効果的な方法です。

参考:帯域とは?快適な環境を構築するために知っておくべき基礎と最適化方法│LISKUL

接続数

多数のデバイスが同時にネットワークに接続されている場合、各デバイスのデータ転送速度が低下し、これがレイテンシーの増加を引き起こします。

ネットワークインフラの適切な設計と管理により、接続数の増加に伴うレイテンシーの影響を最小限に抑えることができます。

5.インフラストラクチャ要因

データセンターの配置などのインフラストラクチャ要因もレイテンシーに影響します。

データセンターの配置

ユーザーの地理的位置に近いデータセンターを選択することで、物理的距離によるレイテンシーを減少させることができます。

クラウドサービスプロバイダーは、世界中に分散したデータセンターを提供しており、これを利用することで、地理的最適化が可能になります。

クラウドサービスの構成

クラウド環境内でのリソースの配置とネットワーク設計は、レイテンシーに大きな影響を及ぼします。

リソースを適切に配置し、ネットワークを最適化することで、クラウド環境におけるレイテンシーを効果的に低減できます。

6.環境要因

レイテンシーに影響を与えるものは、デジタル的なものとは限りません。強風や豪雨といった気象条件などの環境要因もレイテンシーを生じさせる原因となります。

気象条件

特に無線通信において、強風や豪雨といった気象条件は信号の伝播を妨げ、レイテンシーを増加させる可能性があります。

気象による影響を最小限に抑えるためには、通信インフラの物理的保護や、信号の強化手段を強化しましょう。

物理的障害物

建物や山といった物理的障害物は、無線信号の伝播を阻害し、これがレイテンシーを増加させる原因となります。

適切なアンテナの配置や高度な通信技術の使用により、これらの障害物による影響を軽減できます。


レイテンシーの測定方法

次に、レイテンシーの測定方法をご紹介します。

レイテンシーの測定とそのデータの解釈は、システムやネットワークのパフォーマンス最適化において重要です。

正確なレイテンシー測定により、パフォーマンスのボトルネックを特定し、適切な改善策を講じることが可能になります。

レイテンシーの測定は、大きく分けて、ネットワークレベルの測定とアプリケーションレベルの測定に分類されます。

ネットワークレベルの測定

Pingを利用した測定

最も基本的なネットワーク測定ツールの一つで、特定のホストへの往復時間(RTT)を測定します。

Traceroute (トレースルート)を利用した測定

パケットが目的地に到達するまでの経路と、各ホップ(経由点)でのレイテンシーを測定します。

Network Performance Monitor (NPM) ツールを利用した測定

これらのツールは、ネットワークトラフィックとパフォーマンスをリアルタイムで監視し、詳細なレイテンシーデータを提供します。

アプリケーションレベルの測定

アプリケーションパフォーマンス管理 (APM) ツールを利用した測定

エンドユーザーからのリクエスト応答時間を含む、アプリケーションレベルでのレイテンシーを測定します。

カスタムスクリプトを利用した測定

特定のアプリケーションやサービスのパフォーマンス要件に合わせて開発されたスクリプトを使用して、レイテンシーを測定します。


測定データで確認すべき3つのポイント

次に、測定データで確認すべきポイントを3つご紹介します。

レイテンシー測定データの解釈では、データが示すパフォーマンスの傾向と、システムやアプリケーションに与える影響を理解することが重要です。

1.平均レイテンシーとピークレイテンシー

平均レイテンシーは一般的なパフォーマンス指標ですが、ピーク時のレイテンシーも同様に重要です。

ピークレイテンシーはシステムの限界を示し、最適化のための重要な手がかりを提供します。

2.レイテンシーの分布

全体的なレイテンシーの分布を分析することで、遅延の原因が一時的なものなのか、あるいは定常的な問題に起因しているのかを判断できます。

3.ボトルネックの特定

高レイテンシーの原因となるボトルネックを特定することで、システムやネットワークの改善ポイントを見つけ出すことができます。

たとえば、以下のようなポイントを探してみましょう。

  • CPU使用率が極端に高い
  • メモリ不足
  • ディスクI/Oの過負荷
  • ネットワーク帯域幅の飽和
  • パケットロスや遅延の増加
  • トランザクション処理時間の増加
  • 並列処理の効率が悪い

レイテンシーを改善する方法5つ

レイテンシーの改善は、システムやアプリケーションのパフォーマンスを向上させ、ユーザー体験を大幅に改善することができます。

ここでは、レイテンシーを効果的に改善するための具体的な方法を5つ紹介します。

1.ネットワーク最適化

1つ目の改善方法は、ネットワークの最適化です。

具体的には、帯域幅の増加、パケットに優先順位を設定、ルーティングを最適化することでレイテンシーの改善が期待できます。

帯域幅の増加

データの転送速度は帯域幅に直接依存するため、帯域幅を増加させることは、特に大量のデータを扱うアプリケーションやサービスにおいて、レイテンシーを効果的に削減する方法です。

帯域幅の増加により、同時に転送できるデータ量が増え、結果としてデータ到達時間が短縮されます。

品質サービス(QoS)の設定

QoS設定を通じてネットワークトラフィックを管理し、特定のデータパケットに優先順位を付けることができます。

これにより、重要なトラフィックが混雑時でも優先的に処理され、必要なサービスレベルを維持しながらレイテンシーを最小限に抑えることが可能になります。

ルーティングの最適化

データパケットが目的地に到達するまでの経路を最適化することで、無駄なホップ数を減らし、伝送遅延を削減します。

効率的なルーティングアルゴリズムを使用することで、ネットワークの遅延を最小限に抑えることができます。

2.キャッシュの利用

2つ目の方法は、キャッシュの利用です。

CDNの利用や、よくアクセスするデータをメモリ内にキャッシュすることでレイテンシーを改善します。

コンテンツデリバリーネットワーク(CDN)

CDNは、世界中の複数のサーバーにコンテンツをキャッシュし、エンドユーザーに最も近いサーバーからコンテンツを提供することでレイテンシーを削減します。

これにより、物理的距離による遅延が減少し、Webページのロード時間が短縮されます。

アプリケーションキャッシュ

よくアクセスされるデータや計算結果をメモリ内にキャッシュすることで、同じリクエストに対して何度もデータベースにアクセスする必要がなくなります。

これにより、データベースの負荷が軽減され、アプリケーションのレスポンス時間が改善されます。

3.ハードウェアのアップグレード

3つ目の方法は、ハードウェアのアップグレードです。

ストレージやネットワーク機器などの物理的デバイスをアップグレードすることでレイテンシーの改善が期待できます。

ストレージのアップグレード

高速なSSDへのアップグレードは、ディスクI/Oに関連する遅延を大幅に削減します。

SSDはHDDに比べて読み書き速度が格段に高いため、データベース操作やファイルアクセスにかかる時間が短縮されます。

サーバーとネットワーク機器のアップグレード

サーバーのCPUやメモリ、ネットワーク機器の性能を向上させることで、処理能力とデータ転送速度が向上します。

システム全体のレイテンシーが改善され、より多くのユーザーに対してスムーズなサービス提供が可能になります。

4.ソフトウェアとアルゴリズムの最適化

4つ目の方法は、ソフトウェアやアルゴリズムの最適化です。

機器やネットワークに問題が見当たらない場合には、コードやデータベースを最適化することでレイテンシーが改善される場合があります。

コードの最適化

プログラムの実行効率を高めることで、アプリケーションレベルでのレイテンシーを削減できます。

不要な処理の削除、効率的なアルゴリズムへの置き換え、マルチスレッディングの適切な利用などが含まれます。

データベースの最適化

クエリの最適化、適切なインデックスの作成、データの正規化や非正規化を適切に行うことで、データベースのレスポンス時間を短縮し、アプリケーションのパフォーマンスを向上させます。

5.分散アーキテクチャの採用

5つ目の方法は、分散アーキテクチャの採用です。

アプリケーションを分割したり、エッジコンピューティングを利用したりすることでレイテンシーを改善することもできます。

マイクロサービスアーキテクチャ

アプリケーションを小さな独立したサービスに分割し、それぞれを個別にスケーリングすることで、全体としての処理能力とレスポンス性を向上させます。

これにより、システム全体のレイテンシーが低減されます。

エッジコンピューティングの活用

データ処理をエッジに近い場所で行うことで、中央集権型のデータセンターへの往復遅延を減らし、エンドユーザーの体験を改善します。

IoTデバイスやリアルタイムアプリケーションに特に有効なアプローチです。


まとめ

本記事では、レイテンシーの基本概念から、その原因、測定方法、そして改善策までを一通り解説しました。

レイテンシーとは、伝送や処理の遅延を指す言葉で、レイテンシーが高い場合には、ユーザ体験やビジネスの生産性に悪影響を及ぼします。

レイテンシーを改善する方法には、ネットワークの最適化、キャッシュの利用、ハードウェアのアップグレード、ソフトウェアとアルゴリズムの最適化、分散アーキテクチャの採用などがあります。

これらのアプローチを適切に組み合わせることで、データ伝送と処理の遅延を効果的に削減し、最終的にはユーザー体験の向上とビジネス成果の改善を実現できます。

パフォーマンスのボトルネックを特定し、適切な改善策を講じることで、より快適なデジタル体験の提供が実現しましょう。

そしてその際には、本記事で紹介した情報が一助となれば幸いです。

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