コールセンターが抱える「人手不足問題」の解決にAIを活用すべき7つの理由

人手不足が問題となっているコールセンター業務。人手不足を解消しようと、コールセンターへAIの導入を検討していても、「AIでなにができるのか」「人と全く同じことをしてくれるのか」「本当に役に立つのか」といった不安は付き物です。

本記事では、人工知能ソフトウェア開発を行っている自社知識を元に、コールセンターで使用されているAIについての解説や、AIを使用するとどんなメリットがあるのかをわかりやすくまとめました。

生成AIはここでも活きる!コンタクトセンターでの活用事例集


コールセンターこそAIを利用すべき

物が溢れる時代となった今、お客様の声が重視されており、顧客のサポートを行うコールセンターに注目が集まっています。

しかし、企業の要となるコールセンターは離職率も高く、人材の確保が困難で頭を抱える管理職の方が多いのも事実です。人手不足によってサービスの質が落ちてしまっていては、企業にとっては大きな損害と言えるでしょう。

そんな人材確保が難しくなっているコールセンターこそ、AIを利用すべきです。


コールセンターにAIを導入する7つのメリット

AIの導入が具体的にどのような形でコールセンターに役立つのか、コールセンターにAIを導入した際に得られる7つのメリットを以下で解説します。

1.人手不足解消

AIでお問い合わせの自動化をすることで、人手不足という問題を解決することが可能です。

コールセンターは離職率が高い仕事です。また、少子高齢化の流れを加味すると、コールセンターの人手不足は今後も続くことが想定されますので、今のうちからAIの活用に踏み切りましょう。

よくある質問や、誰でも返答ができるような内容をAIに返答させることで、従業員の時間を確保することができます。従業員はAIでは対応が難しい、いわゆる「コア業務」に時間を割くことができるようになります。

2.職場環境の改善

全てのお問い合わせを処理するコールセンターでは、似たような質問が多く、従業員のモチベーションが低下しやすいです。このような単調な業務こそAIに処理させましょう。単純に従業員のモチベーションを管理できますし、その他の対応にも時間をかけることができるので、問い合わせに対する対応の質の向上にもつながります。

3.お客様満足度の向上

コールセンター全体のレベルアップは、顧客満足度の向上に直結します。

また、有人では聞きにくいことでも、無人であるAIには聞けるという顧客も存在します。このように今までコールセンターを利用してこなかった顧客に対してもアプローチできるのは大きなメリットです。AIを利用することでより多くの顧客の課題の視覚化とソリューションの提供が可能になります。

4.全体的なコスト削減

コールセンターは対応の遅れや漏れを少なくするため、そもそも必要な人数が多いです。24時間対応しているようなコールセンターであれば、特に人件費が大きくなります。また離職率が高く、採用や育成にもコストがかかります。

AIを導入して業務を自動化することによって、今までよりも少人数でコールセンターの運営が可能になります。また、一度導入してしまえば、何度も人材を確保する必要がないのも特徴です。AIが急に辞めてしまうなんてことはありえませんので、コスト削減と合わせてリソース管理も今までより楽になります。

5.24時間365日対応

AIは機械であるため、時間に縛られることはありません。

お問い合わせを行おうとした時間にコールセンターが閉まっていた、お問い合わせを行おうとしても時間が合わない、といった要因で顧客が離れてしまうことを防ぐことが可能です。

6.AI自体が学習する

AIは人と同じように学習します。はじめはできなかったことでも、覚えさせることでできるようになります。そして機械であるため、一度与えた情報を忘れることはありません。これまで、オペレーターが手入力をしていた情報や、顧客との会話を自動で取得することが可能になります。

7.データの取得

AIはデータの蓄積が可能です。顧客のお問い合わせ内容や、ユーザーデータを自動で取得し、必要に応じて情報を閲覧することが可能です。


コールセンターでのAI活用事例

お問い合わせ件数を35%削減し、コールセンターの負担を削減した事例があります。

以前からお客様からのお問い合わせが増加していたため、単調な質問や、よくある質問をAIに覚えさせることで、自動返答を可能としました。それにより、お客様が自己解決できるようになり、コールセンターへのお問い合わせ件数がおよそ35%削減。従業員の負担が軽減されたことで、ミスが減り、結果的にお客様満足度の向上につながりました。

また、無人対応を希望する人と、有人対応を希望する人のふるい分けも可能となりました。有人対応を望まないため、お問い合わせをする前に離脱してしまっていた顧客をつなぎ止めることも可能となり、結果的に顧客満足度の上昇へとつながりました。

参考:【全解説】業務効率を35%も改善!チャットボットの事例・価格・選び方


AIシステムを導入するなら、まずこの3つから選ぼう!

実際にAIを導入しようと思っても、AIシステムの種類はさまざまで、どれを選べばいいか判断がつかないこともあるでしょう。

今回はコールセンターと特に相性の良い3つのシステムをご紹介します。この3つを入れるだけでも、十分AIの効果を実感できるでしょう。

1. チャットボット

チャットボットは自動対話プログラムです。顧客とチャット形式で会話をし、質問や雑談に返答いたします。

チャットボットはホームページに搭載することはもちろん、LINEやFacebookと連携することができるものも多く存在します。電話やメールでの問い合わせの前に、チャットボットで解消することで、お問い合わせの件数を削減することが可能です。

参考:顧客ニーズに応えられるチャットボットとは?開発に必要な6つの準備

2. IVRシステム

IVRシステムは自動音声応答システムです。電話でのお問い合わせを自動音声が受け取り、要件に合わせて電話の数字を押してもらうことで、あらかじめ録音してある音声を再生します。それにより、お問い合わせの内容によって対応する者を変更することや、そのまま自動音声で返答することができ、業務効率化が狙えます。

3. VOC分析システム

お客様の声を意味するVOCを利用したVOC分析システムは、お客様の声を分析し、マーケティングに役立てることができます。

VOC分析にも複数種類がありますが、代表的なものとしては、音声マイニングがあります。音声マイニングはお客様の声をテキスト化し、多くの情報が含まれている音声データをより分析しやすくします。音声データを細かく分析することで、顧客がどういったものを求めているのか、どう感じているのかといった情報を収集することが可能になります。

また、クレーム対応などをリアルタイムで確認することもできるので、顧客が何に対して不満を感じているのか、それに対するコールセンターの対応などを即時把握することが可能になります。


コールセンターにAIを導入する際に気をつける3つの注意点

AIにもできないことというのは存在します。AIにできること、できないことの認識を合わせておくことで、効率よくAIを利用することができます。AIを導入する際に気をつけるべきことは以下の3つです。

1.最初にデータを準備しなければならない

AIも人と同じく、はじめにある程度の知識や情報を与えておく必要があります。
人でもAIでも、何もないところから自動で返答するといったことは、現状難しくなっております。AIに使用するデータは、AIにどういった業務を行わせるかで分かれます。お問い合わせの自動化を行うのであれば、コールセンターにあるお問い合わせの回答リストを導入するAIに合わせて作成する必要があり、そのための工数を考え、人材を割り当てる必要があります。

2.育成に時間がかかる

AIを導入すれば、すぐに人の手を離れ自動化できるかというと、そうではありません。

AIは情報を登録することでその実力を発揮します。一度与えた情報を忘れることはありませんが、新たな情報は日々生まれていくため、多くのお問い合わせに対応できるAIを作るには時間がかかることがあります。

3.学習項目の分別が必要

現在の技術では、必要な情報と必要ではない情報をAIが分別することができません。必要かそうでないかを分けるには、企業の情報や理念、製品の情報などを深く理解する必要があり、その情報の分別は人が行うため、AIが自動で情報を学習することが難しくなっています。


AIによってコールセンターの仕事がなくなることはない

AIの利用を検討する上で、「AIによって仕事がなくなってしまうのではないか」という潜在意識が芽生えることがあります。それにより、モチベーションが低下してしまう従業員も出てくるでしょう。

しかし現状では、AIによってコールセンターの仕事がなくなってしまうことはありません。

コールセンターがなくならない2つの理由

1. AIは決められたことしかカバーができない

AIを利用するにはあらかじめデータが必要となります。AIがカバーのできる範囲は、そのデータ内となり、予測不能の事態への対応は難しくなっています。想定外の質問に対応するには、人の手が必要となります。AIが担うことのできる業務は、回答の決まっている単調な質問であり、すべてを自動化することは現状不可能と言えるでしょう。

2. クレーム処理が難しい

AIでお客様の声を蓄積することは可能ですが、感情の伴うクレーム処理は、AIで対応するのは難しくなっております。クレームの内容は単調なものではなく、思考のいる作業となります。現段階では人と同じように考えることは、AIには難易度が高く、これも人の手で行う必要があります。

今後コールセンターで働く人材に求められるスキル・能力

AIが活躍するようになってくると、コールセンターでは共感力とコミュニケーション力が求められるようになるでしょう。これまでは決められた回答を行うことが多かったコールセンターですが、マニュアル型の対応はAIが行うようになっていきます。AIは決められていることに対応することを最も得意としております。

したがって、今後コールセンターはマニュアル的な会話よりも、顧客が何を求め、どう感じているのかを考えながら話すという、これまでのやり方とは真逆な、より人間らしさを感じる対応を求められるようになります。

真心のこもった対応というのは、機械であるAIには難しく、人にしかできません。物が売れない時代だからこそ、顧客との接点を持つコールセンターの役割はより重要なものとなっていくでしょう。

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まとめ

AIによってコールセンターの抱える人手不足といった問題は解消することができます。それに従って、今後コールセンターにAIを導入する企業は増えていくでしょう。

コールセンターにAIを導入する際には、AIのメリットと注意点をよく理解し、自社にあった適切なシステムを選択しましょう。