Web広告の自動入札とは?設定方法から活用のコツまで徹底解説

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広告運用に手間がかかっていたり、自動入札というワードを知って興味はあっても、成果の悪化を恐れて導入に躊躇している広告運用者は多いのではないでしょうか。

そんな方におすすめなのが、「自動入札」という入札方式です。

自動入札の導入をすることで、広告運用の工数を抑えながら、広告の効果を維持、あるいは向上させることも可能になります。

この記事では、自動入札の導入に不安がある広告運用者の方向けに、自動入札の概要や種類、メリットと注意点、導入と活用のコツまで徹底解説します。

数年前までは自動入札に対して懐疑的な声も聞かれましたが、もはや自動入札は導入が前提の時代になっています。大手広告代理店で活用していない企業は無いといっても過言ではないでしょう。広告運用者にとって必要不可欠な基礎知識になっていますので、ぜひ本記事を読み自動入札の導入を進めてください。


自動入札とは

自動入札をひとことで説明
自動入札は、Web広告の出稿時に設定する入札単価を自動調整する機能です。

入札単価とは、広告1クリックに対して最大どのくらいまで支払いできるのか、金額を指定することが可能で、入札単価が高ければ広告が上位表示される可能性が高くなります。

競合他社の入札状況により順位は変動するので、広告運用者は日々調整する必要がありますが、自動入札の導入により自身で調整する必要がなくなります。

またGoogle広告では、コンバーションを増やす目的の場合はスマート自動入札があります。広告掲載を最適化し、収益性の高いクリックをできるだけ多く獲得できるよう自動調整できる機能です。収益につながらないクリックを減らすため、費用を抑えられます。

参考:スマート自動入札について|Google広告 ヘルプ


手動入札との違い

自動入札と手動入札は、掛かる工数と自由度に違いがあります

自動入札は媒体に入札をお任せできるため、一度設定すればその後の調整の工数は必要なくなります(むしろあまり変えてはいけない)。ただし、どのような調整が行われているのかは分からず、設定の自由度はあまり高くありません。

手動入札は細かな入札単価の調整が可能ですが、その分工数が掛かります。自動入札とメリット・デメリットが逆になっています。

自動入札:工数が掛からないが、媒体に入札はお任せ。どう調整されているか分からない。
手動入札:工数は掛かるが、意図を細かく反映できる。

自動入札は、工数を削減しつつ効果の改善も期待できるため、多くの運用者におすすめの入札方法です。広告運用の世界では、いかに短時間で効果を出せるかが運用者には求められます。また自動入札の精度の向上に伴い、自動入札が主流になってきています。

手動入札は細かい設定が可能な分、Web広告の専門知識の浅い人や広告運用の初心者には難易度が高いです。何か特定の意図を持って運用したい場合(このキーワードは必ず1位表示させたい!etc)に、手動入札を用いると良いでしょう。

筆者のおすすめは、自動入札をベースにしつつ、補助的に手動入札を用いるハイブリッド型の運用方法です。


自動入札のメリット

自動入札のメリットは、以下が挙げられます。

  • 入札の手間が縮小される
  • 広告の成果が向上する
  • 広告運用者の業務時間構成が変化する

入札の手間が縮小される

入札単価が自動調整なので、手動入札と比べると手間は大きく減らせる上、自動調整機能により広告費の無駄をなくすことが可能です。

むしろ自動入札は、媒体の機械学習を進めるために、設定を頻繁に変更することはNGとなります。目標設定を変更したら2週間~4週間程度は様子見することが必要です。

他社の入札状況を見て逐一入札するということが不要になるため、入札の工数は大きく削減できます。

広告の成果が向上する

媒体の機械学習が進み広告の配信精度が高まれば、広告の成果も向上します。媒体が保有する入札ロジックを用いた入札なので、当然効果は高くなります。

特に高い機械学習技術を保有するGoogleやFacebookにおいては、自動入札の技術が日々向上していると実感することが多いです。

一昔前は自動入札の精度が低く、その効果を疑問視する声も聞かれましたが、今では手動入札以上に効果が出るようになってきています。

コア業務に時間を使えるようになる

自動入札の導入により入札工数が削減されることで、それまで着手できていなかったコア業務に時間を割けるようになります。

運用者の業務は多岐に亘っており、特に入札や入稿などのいわゆるオペレーション業務が非常に多いのが特徴です。それらを自動化することで、顧客とのコミュニケーションや提案・改善施策立案などの、高付加価値の業務の比重を上げることが可能になります。


自動入札の注意点

自動入札を導入する上での注意点は、以下が挙げられます。

  • 挙動が安定し、成果が出るまでに時間がかかる
  • データが不足していると成果が出ない、精度が低い

挙動が安定し、成果が出るまでに時間がかかる

自動入札は、成果が出るまでには少し時間がかかります。

自動入札を使って効果的に広告配信するためには、学習期間が必要です。最適な広告配信のためのデータを蓄積し、分析する期間のことです。

学習期間は通常2~3週間はかかるとされ、データ量によっては1ヶ月以上かかる場合もあります。特に導入初期は、いきなりCPC(クリック単価)が高騰することもあり、驚いて手動入札に戻してしまうケースもあります。

自動入札導入後は、あまり短期間での効果の上下は気にせず、一定期間見守るようにしましょう。クライアントに導入を提案する場合は、事前にその旨を伝えておくようにしましょう。

データが不足していると成果が出ない、精度が低い

自動入札は機械学習により効果が改善されるため、そのために一定量のデータが必要になります。例えばGoogleでは、過去30日間に30CV以上を目安として言っています。

実際にはそれより少ないCV数でも自動入札は効きますが、やはりデータ数が多い方が自動入札の効果は出やすいと感じます。どうしても必要なデータ量が確保できない場合には、入札戦略を変更したり、マイクロCVを設定してCV数を増やすなどの対策をしましょう、


媒体別の自動入札の種類

GoogleやYahoo!などの主要媒体で用意されている自動入札の種類を解説します。媒体によって使用できる種類は異なります。

Google広告

Googleの自動入札機能は以下の6種類です。

名称機能
クリック数の最大化予算内でクリック数を最大化する
コンバーション数の最大化コンバージョン数を最大化する
コンバーション値の最大化売上を最大化する
目標コンバージョン単価目標に設定したコンバージョン単価を目指す
目標広告費用対効果目標に設定したROASを目指す
目標インプレッションシェア目標に設定したインプレッションシェアを目指す

クリック数の最大化、コンバーション数の最大化、コンバーション値の最大化は、それぞれの最大化をするように配信されます。CPCやCPAは高騰する可能性があるので注意が必要です。クリック数の最大化は、上限のCPCを設定することで、ある程度コントロールは可能です。

目標コンバージョン単価、目標広告費用対効果、目標インプレッションシェアは、それぞれの設定した目標値になるように配信をします。目標値に達しない場合は配信量が抑えられるため、見込んだクリック数やコンバージョン数が得られない可能性はあります。

参考:自動入札機能について|Google広告 ヘルプ

Yahoo!広告

Yahoo!の自動入札機能は、検索広告とディスプレイ広告で使用できる機能が異なります。

Yahoo!で使用できる機能は以下の6種類ですが、検索広告のみで使用できるのは「クリック数の最大化」、「コンバーション数の最大化」「広告費用対効果の目標値」「ページ最上部掲載」「拡張クリック単価」の5つです。

名称機能
クリック数の最大化予算内でクリック数を最大化する
コンバーション数の最大化コンバージョン数を最大化する
拡張クリック単価コンバージョンの可能性があると判断された時に、手動で設定した入札単価を自動調整する
コンバーション単価の目標値目標に設定したコンバージョン単価を目指す
広告費用対効果の目標値目標に設定したROASを目指す
目標インプレッションシェア目標に設定したインプレッションシェアを目指す

参考:自動入札とは|Yahoo!広告ヘルプ

Facebook広告

Facebookの自動入札は、キャンペーンの目的によって選択出来る入札の種類や最適化指標が変わります。最適化指標によっては課金形態も変わります。

自動入札は、「最小単価」「平均目標達成単価上限」の2種類です。

最小単価とは、設定した予算全体を使ってコンバーションを最大限に得られるよう入札価格を自動調整する機能です。

主な課金対象として選択できる地点は次の通りです。

広告配信への最適化課金対象
ランディングページビューインプレッション
リンクのクリックインプレッション、リンクのクリック
インプレッションインプレッション
ThruPlayインプレッション、ThruPlay
リードインプレッション

平均目標達成単価上限とは、設定する平均の目標獲得単価に上限を設けて超えないようにする入札戦略オプションの1つです。いわゆる顧客獲得単価の最適化です。

獲得単価上限を設定することで、コストをコントロールできます。最適化指標や課金対象は最小単価と変わりません。

参考:入札戦略について|Facebook ビジネスヘルプセンター

Twitter広告

Twitterは、以下の入札種類があります。

  • 自動入札
  • 目標入札単価

自動入札は予算内で最大限の結果を得るためにTwitter側で自動的に入札されます。入札金額に悩む人には導入しやすいでしょう。

目標入札単価とは、フォロワー数やWebサイトへの誘導数またはコンバーションなどの目的とするキャンペーンで利用可能で、アクションごとに入札金額を設定し、一日あたりの平均額が目標単価以内に抑えられるよう最適化されます。コストをコントロールしやすい入札戦略です。

Twitterが提供するキャンペーンと課金対象は次の通りです。

キャンペーン名課金対象
フォロワー数広告によって得た新たなフォロワーの数
ツイートのエンゲージメント広告ツイートによるユーザーのアクション
(リツイートや広告クリックなど)
ウェブサイトのクリック数広告内のリンクへのクリック数
プレロールの再生数動画視聴前の広告主の広告動画が再生された回数
※いずれか選択

  • 再生時間3秒以上かつ画面上に100%動画表示
  • 再生時間2秒以上かつ画面上に50%動画表示
  • プレロール動画50%以上画面表示状態で6秒経過
アプリのインストール数広告内のアプリストアへのリンクからアプリをインストール
または起動された回数
動画の再生数動画再生された回数
※いずれか選択

  • 再生時間3秒以上かつ画面上で100%動画表示
  • 動画全体が画面表示状態で3秒経過
  • 動画50%以上画面表示状態で6秒経過

参考:入札とオークションに関するよくある質問|Twitter ビジネス

LINE広告

LINEの広告は、キャンペーンの目的によって選択できる自動入札の種類や最適化指標が変わります。選択する最適化指標により、課金形態も変わります。

各キャンペーンごとの最適化指標や課金対象は次の通りです。

キャンペーン名課金対象
クリック数ウェブサイトへのアクセス
ウェブサイトコンバーション
アプリのインストール
コンバーション数ウェブサイトコンバーション
インストール数アプリのインストール
オープンイベント数アプリのエンゲージメント
100%再生数/3秒再生数動画の再生
友だち追加数友だち追加

さらに入札戦略オプションとして「イベント単価の上限を設定」が2020年2月27日のアップデートで追加されました。

目標イベント単価が上限を超えないようにしつつも目標イベントを最大化させる機能です。イベント単価と予算を守りつつイベントの最大化を目的としている場合におすすめです。

その他に、指定した入札額の上限を超えないよう自動調整される「入札額の上限を設定」と、設定した日予算の消化を最優先させてイベント獲得するよう自動調整される「単価の上限なしで1日の予算の消化を最大化」の2つがあります。

「入札額の上限を設定」は、単価を抑えながらもイベント数を増やしたい場合に、「単価の上限なしで1日の予算の消化を最大化」は、短期間で多くの予算を消化しつつイベント数を最大化させたい場合におすすめです。

参考:入札方法と入札価格について|LINE for Business


自動入札の設定方法

Google広告、Yahoo!広告

Google広告、Yahoo!広告の自動入札の設定方法は、以下の2つがあります(Yahoo!広告はGoogle広告と設定方法が同じ)

  • キャンペーンの単価設定を用いる
  • ポートフォリオ入札戦略を使用する

キャンペーンの単価設定を用いる

キャンペーンの設定タブ>単価設定から設定が可能です。

使用したい自動入札の種類を選択し、その種類ごとの目標値を設定します。以下は、入札戦略が目標コンバージョン単価で、目標値を20,000円としたときの設定例です。このキャンペーンにのみこの設定が適用されます。

ポートフォリオ入札戦略を使用する

ポートフォリオ入札戦略という独立した入札設定を作成して、それをキャンペーンに適用する方法です。

管理画面のツールと設定>共有ライブラリ>入札戦略より作成が可能です。

キャンペーンの単価設定との違いは、複数のキャンペーンにまたがって同一の戦略を設定することが可能です。設定の変更が一度で済むことと、管理がしやすくなります。

また入札戦略ごとの効果を確認することができるため、効果検証がしやすいのも利点です。

上記により、ポートフォリオ入札戦略を使用した設定の方がオススメです。

参考:ポートフォリオ入札戦略を作成する|Google広告 ヘルプ

Facebook広告

キャンペーン作成時に、キャンペーン予算の最適化をオンにし、キャンペーン入札戦略を選択します。「入札価格上限」を選択すると手動入札になります。

「最小単価」の場合はこれで完了です。

「平均目標達成単価上限」の場合は、広告セット作成時に最適化と配信タブで目標値を設定します。

参考:入札戦略について|Facebook ビジネスヘルプセンター

Twitter広告

広告グループの「入札額と予算を編集」をクリックし、入札戦略を自動入札にします。

参考:入札とオークションに関するよくある質問|Twitter ビジネス

LINE広告

広告グループ>最適化と入札 より設定します。

入札単価の設定方法を自動設定にし、入札戦略を選択します。続いて上限・目標単価を設定します。

参考:入札方法と入札価格について|LINE for Business


成果に繋がる活用のコツ

自動入札は入札の手間が縮小される上、成果が向上するメリットがあります。しかし単純に自動入札を選ぶのではなく、成果に繋がる活用の仕方をしなければ、目標達成が遠のいてしまいます。

そこで、確実に成果に繋がるための導入と活用のコツをご紹介します。

1. アカウント構成を最適化

自動入札が上手く機能するために重要なのは、アカウントの構成です。そのためにデータの収集や蓄積しやすいキャンペーンや広告グループを構成する必要があります。

例えば、店舗が多数あり、キャンペーンや広告グループを複数に分けている場合、いずれもリンク先や広告内容が同じであれば1つにまとめた方が広告効果が高まります。分かりやすく図にすると次の通りです。

引用:「シンプル」なアカウント構成で広告効果アップ!|Yahoo!広告

複数に分けると、広告の掲載回数が減り、広告の実績として正確な評価がなされない可能性があります。同じ訴求内容でまとめることで、実績が集約される上に広告の品質も向上します。

アカウント構成の最適化について不明であれば、広告媒体の推奨の通りに設定しましょう。

2. 配信期間をチェック

データの学習期間は2~3週間程度は必要とされており、広告の配信期間がそれよりも長いかどうか確認する必要があります。

配信期間が短ければ、自動入札を導入しても効果が期待できない可能性があります。スポットなどの短期間の配信の場合は、手動入札をおすすめします。

3. キャンペーンの目的と実績に合った入札戦略を選択

さまざまな入札戦略がありますが、基本的にはキャンペーンの単位の導入となります。つまり、キャンペーンの目的に合わせて入札の種類を選ぶ必要があります。

また、コンバーションの最大化が目的であっても、過去30日間に30件以上のコンバーション実績がない場合、コンバーション関係の種類を選んでも適切に機能されない可能性あります(媒体によって必要CV数は変動)。

この場合は、「クリック数の最大化」や手動入札の選択でデータを集めるのが得策です。

また拡張クリック単価(eCPC)を用いる手もあります。拡張クリック単価は、コンバージョンしそうと媒体が判断した場合に、手動で設定した入札単価を自動的に調整する機能です。手動入札で自分の入札意図を反映させつつ、データが溜まってきたら媒体が自動で調整してくれるので、両者の良いとこ取りの機能とも言えます。

参考:拡張クリック単価(eCPC)について|Google広告 ヘルプ

4. 単価目標を現状プラスマイナス20%程度に設定する

現状からあまりにかけ離れた目標単価では、そもそもインプレッションが発生しない場合もあります。単価目標は、希望の目標数値ではなく、現状からプラスマイナス20%程度に留めておきましょう。

その上で、効果を見ながら徐々に調整していくのがおすすめです。

5. 学習期間中は触らず我慢!

導入後にすぐに改善しなかったとしても、学習期間中は何もせず我慢をしましょう。

データ収集の学習期間は、適切に自動入札するために大切な期間です。広告配信しながら精度を高めていくので、予算や目標単価の変更をすると再度学習することになり、その分学習期間が長引いてしまいます。

最もよくある失敗パターンでもあるので、必ず注意しましょう。

6. 数値変更は少しずつ

最初に設定した数値から変更する場合は、極端な変更は止めましょう。単価目標と同様に、少しずつ変更することをおすすめします。


まとめ

自動入札は入札単価を自動調整するので、これまで入札に時間を要していた広告運用者は、自動入札を導入することで業務時間を減らすことが可能です。手間を縮小できることが最大のメリットだと言えます。

しかし注意点として、成果が出るまでに時間がかかることや、データ収集が重要であることを認識しておきましょう。

自動入札は、データ収集・分析の学習期間に2~3週間はかかります。学習期間中は成果を求めることよりもデータ収集のために何もせず我慢する必要があります。

広告運用において、自動入札は今や避けられない時代です。自動入札の仕組みを理解し、最大限の結果を得られるよう活用しましょう。