商品をより魅力的に伝える。それがコピーライティングの技術です。
実際の商品・サービスはすごく良いものだったとしても、その良さをすべての人に口頭で伝達していくには限界があります。
そこで、DMやチラシ、広告等、色々な方法で大勢の人へ広めていくわけですが、そのときにきちんと商品・サービスの魅力が伝わらないと、消費者があなたの提供する商品やサービスを手にとることはないでしょう。
そこで必要なのが、より魅力的に魅せる文章。つまりコピーライティングの技術です。
例えば、あなたは下記のどちらの効果が高いと思いますか?
→上記「A」「B」で比べたとき、効果は「B」の方が3倍程度、高い結果となりました
「A」は美容整形を受けたい人の心情を表しており、コピー的にもキャッチーな印象ではありますが、具体性に欠けるところがあります。
一方、「B」はつまらないコピーに感じるかもしれませんが、ユーザーに対しメリットを明確に伝え、情報量が多いです。
魅力的な文章は、実はセンスではなく、ある程度法則や基本的な考え方を知ることで作ることができます。
ただ、技術を身に付けるには、実際に書いてみる訓練をする必要があります。
そんな時間はない! という方に、とりあえず覚えておきたいコピーライティングの基礎的な考え方をご紹介します。まずは、これだけ押さえてからコピーライティングに取り組むようにしましょう。漫然とつくるよりも心にグッとくる言葉になるはずです。
※本記事は2014年5月27日に公開された記事をLISKUL編集部にて再編集したものです。
コピーを作る前に整理しておきたいこと
情報を整理整頓する
いきなりコピーライティングをしようとすると、伝えたいことがぶれたり、途中で結局何が伝えたいのかが分からなくなってしまう。なんてことがよくあります。
そのためにまず、情報を整理することから始めましょう。
まず把握しておくべきはターゲットとそのターゲットのニーズです。
例えば、同じ「英会話スクール」のコピーだったとしても、ターゲットを考えずに自社のメリットのみで作り上げると、下記のような、なんとなく見たことがあるような一般的なコピーになりがちではないでしょうか?
「月々20,000円~OK!駅近。本格的に英語が学びたい人はコチラ」
「夜遅くまでレッスンできます!初心者歓迎。」
ところが、狙うターゲットが違うだけでこんなにコピーが変わります。
例)ターゲット別の訴求
ターゲットを具体的にイメージすることで伝えるべきことが明確になり、この人にはどう伝えれば魅力的に伝わるか? を工夫することができます。その結果、対象のターゲットにグッとくるコピーにする事ができるのです。
このように、コピーを考える前には下記の2つをまずは整理しましょう。
========================================
(1)ターゲット像
→「年齢」「性別」「家族構成」「年収」「悩み」「ニーズ」等、できるだけ具体的に考えてみましょう
(2)提供価値
→ターゲットの「悩み」や「ニーズ」に対し、売り手が提供できる価値(例えば「価格バリュー」「親切対応」「老舗の安心感」等)は何なのか、を考えてみましょう。
========================================
ターゲットを具体的な人物像まで落とし込んだものを「ペルソナ」と呼びます。ペルソナを考えることで伝えるべきメッセージが明確になり、刺さるコピーを作ることができるのです。
さて、このように整理をしたら、次はどのように情報を組み立てていくかを説明します。
コピーを作るときの法則
コピーを作るための4STEP
それでは、コピーライティングの技術を4つのSTEPに分けて例と共にご紹介します。
自分の商品・サービスだったら・・・? と当てはめて考えてみて下さい。
【STEP1】ターゲットの価値を探る
まず、企業とお客様(ターゲット)の価値をそれぞれ書き出します。
その後「企業」と「お客様」で関連する価値を線で繋ぎます。
例)基礎化粧品/ターゲット年齢(30~50代女性)の場合
このように繋ぐことで、企業価値のままだとターゲットに伝えても響かない内容がお客様目線にたったときどのような言葉で表現すれば伝わりやすいかをイメージすることができます。
【STEP2】重要項目を抜粋する
次に、STEP1で作成した重要なお客様価値にアンダーラインを引き、重要だと思うキーワードは四角で囲みます。
こうして、言葉の要素としてどのワードをチョイスするか大まかに目星をつけます。
自分で選びきれないときはターゲットに近しい同僚や友人にヒアリングしてみると良いでしょう。
【STEP3】まずは長文で書いてみる
次に、STEP2でピックアップした箇所を取りこぼさないように、文章の長さを気にせず書き出してみましょう。そして、お客様価値が多い場合はコピー案を複数に分けましょう。
コピーを作る際に、ひとつのコピーの中に「価値」をたくさん訴求してしまいたくなりますが、あまりいろいろ詰め込みすぎると結局何がいいたいのか受け手に伝わらなくなってしまうので、伝えるべき価値は絞ることをお勧めします。多くても30文字前後のコピーの場合は3つが価値を入れ込む限界だと思います。
その中でも、もっとも優先したいものは「ひとつ」に絞り、それがまずコピーの初めに訴求されるようにしましょう。
今回は下記のように「効果効能を重視したA案」「機能を重視したB案」で二つに分けてみました。
========================================
例)コピー原案
A案「貴重な濃密エキス配合で肌にハリ感が生まれる、エイジング効果も抜群! 30代からのエイジングケア」
B案「コレ一本でお手入れ全てOKだからお得♪肌にハリを取り戻すエイジングケア! 無添加・無香料で安心」
========================================
【STEP4】要素を凝縮して短文に
STEP3で書きだした長文を元に、下記のチェックポイントを気にしながら文言をそぎ落とし、短文にしていきます。
▼チェックポイント
(1)魅力的なお客様価値が感じられるか?
-お客様価値が、キャッチコピーの中核を占めているか
-お客様価値が、より魅力的に感じられる工夫があるか
(2)一瞬で理解できるか?
-誰でも分かる言葉で構成されているか
(3)競合品と優位に差別化されていないか?
-独自の強みを押し出せているか
(4)信頼性を失いかねない要素はないか?
-オーバープロミスになっていないか
上記を気にしつつ、作成したコピー例が下記です。
========================================
[コピー原案A]
「貴重な濃密エキス配合で肌にハリ感が生まれる、エイジング効果も抜群! 30代からのエイジングケア」
▼
[コピー案A(ブラッシュアップ後)]
「目指せ-10歳肌! 目元・口もと、一日中ハリをキープ! 」
→若返りやハリといったお客様のニーズを中心におき、目元口元などの具体的箇所を入れる事で受け手がイメージしやすいようにしました。
一方、企業価値としての「貴重な濃密エキス」は、お客様価値を優先し、削除。
[コピー原案B]
「コレ一本でお手入れ全てOKだからお得♪肌にハリを取り戻すエイジングケア! 無添加・無香料で安心」
▼
[コピー案B(ブラッシュアップ後)]
「毎日のケアはコレ一本! 無添加で敏感肌でも安心♪ハリ感UPですっぴんに自信」
→手入れの手軽さを中心に訴求。無添加・無香料は「敏感肌」という具体的な対象を追記して受け手が自分のことかもと分かりやすいようにしました。
一方、コピー「A」案の効果効能についての訴求は印象が薄れます。
========================================
このように順を追って価値を洗い出し、その中でもどの価値を訴求するか選抜し、どういうニュアンスで伝えるかを考え、最後にそぎ落としていくことでどんどんコピーとして磨かれていくのです。
効果的な訴求4パターン
次に、受け手の多くがコピーを見たときに反応する要素を4つご紹介します。
上記のように磨いたコピーと合わせて利用できる訴求があれば、もうひと練りしてみることをおすすめします。
【パターン1】受け手の得になること(ベネフィット)を伝える
例)
・【会員限定】今だけ50%オフ!
・【東京限定】抹茶味のかりんと
このように受け手にとってお得な情報が書いてあるということが分かれば、興味を引くことができます。
【パターン2】新しい情報を伝える
例)
・新作発売!春物コフレ♡
・【速報】iphone新型発売日
まだ、受け手が知らない情報である事を強調することで、興味が湧く可能性があります。
【パターン3】受け手にとってポジティブな情報を伝える
例)
・このサプリを毎日続けることでハリのある肌を取り戻しました!
・夏までに「-5kg」を叶えたいなら●●エステサロンヘ!
このように、明るい希望に繋がることを記載させた方が興味を引きやすい傾向にあります。
例えば、「冬についた脂肪がどうしても落ちない・・・という方」「もう枯れた肌は再生しないかも・・・と諦めているあなたへ」というように、マイナスイメージで共感を得ようとする方法もありますが、マイナスイメージよりプラスイメージを喚起させた場合の方が引きは良い傾向にあるようです。
【パターン4】自分でも簡単にできそう というイメージを伝える
例)
・【5分で完了】申し込みは簡単♪
・毎日コレを飲むだけでOK!
このように、自分にとって簡単に実施ができそうだと分かると、購入や申し込みといったアクションに対するハードルを下げる効果が期待できます。
上記のような工夫を凝らせば、コピーが目を引く確率が上がるかもしれません。
また、便利なキャッチコピーの基本型が纏まっているサイトがあるのでご紹介します。
こちらもコピー作成の際の参考にして下さい(参考:キャッチコピーの基本型30)
視覚的な伝わりやすさにも注意する
「誰に何を伝えるか」はもちろん重要ですが、「どのように見せるか」を意識することも重要です。
最近では、無料で自分に合った制作会社を探せるサービスもあります。クリエイティブを作る際には、あなたが顧客に伝えたいメッセージやイメージを形に落とし込める制作会社を選びましょう。
参考:法人企業向けWEB制作会社を無料で相談仲介/WEB販促の窓口
文章の組み立て方【PREP法】
キャッチコピー等、短いコピーライティングであれば、上記の方法を駆使して作成が可能です。
ただ、文章として少し長いコピーライティングの場合は「読み込ませる」という技術が必要です。そのためには文章の構成を考えなければいけません。
そこで、文章の組み立て方に有効な「プレップ(PREP)法」をご紹介します。
この文章の組み立て方は「P(POINT):導入結論」「R(REASON):理由」「E(EXAMPLE):具体的には・例えば」「P(POINT):最終結論」の4つの流れでできており、導入部で主張を明確にすることにより、読み手は「これからどのような話が始まるのか?」を先に理解することができ、安心して読み進めることができる文章構成です。
下記に例を記載するので参考にして下さい。
何の話についての文章なのかが読み手にとって明確であり、且つ、その理由と具体例があるので、納得感があり、イメージしやすいです。最後に改めて結論を述べる事で本来伝えたかったことの主旨がぶれることなく伝わります。
長めのコピーライティングを作成の際にはぜひ参考にしてみて下さいませ。
良いコピーかどうか検証する方法
さて最後に、コピーライティングを本当に良いコピーかどうか検証しましょう。
コピーを練りに練って作り上げた直後、結局コレは良いコピーなのかどうか? 分からなくなってしまうことがあります。そんなときには下記の方法で、良し悪しについて最終チェックをして下さい。
【チェック方法1】書いてすぐのコピーを翌日まで寝かせる
自分が書いたコピーを翌日に読み返すことで、冷静かつ分析的に改めて向き合うことができます。
熱中して書いているときには気付かなかったことも、落ち着くと客観的に捉えることができるかもしれません。
コピーは書いた次の日に再度読み返してみることをおすすめします。
【チェック方法2】誰かに声に出してコピーを読んでもらう
誰も頼る人がいなければ自分でも良いのですが、できれば自分ではない第三者に読んでもらうことを推奨します。
なぜなら、何の事前知識もなくコピーを読むわけですから、読んでいる人の子の調子で、自分の関心をそそるものかどうかが分かります。
また、相手がスラスラ読めているかどうかでそのコピーの分かりやすさも判断できます。
+αのテクニック
売上に直結! ”見せ方”で心を動かす方法6選
さて、ココまでコピーの作り方についての手順や手法を述べてきましたが、結局なぜコピーにこだわるのかというと、「売上を上げるため」という方が大半でしょう。
+αの情報として、広告・宣伝用のレイアウトの”見せ方”についても有効な手法を6つ、ご紹介致します。
【方法1】提供物を見出しに入れる
・もれなく、特製エコバックがついてくる
・無料成功ブック進呈
このように、何か提供するものがある場合は確実に受け手に伝えるべきである。
それが有益なものである場合、気持ちを強く惹きつけることができます。
【方法2】「無料」という言葉を強調する
・1円もいただきません
・送料不要
人は「無料」という言葉に敏感である。
「無料ならいっか」という気持ちで気軽にアクションする可能性があるため、無料で提供できることは強調しておくことで、受け手にお得感を訴求できます。
【方法3】購入義務は一切ないことを強調する
・購入義務は一切ありません
・営業電話はいたしません
1、2のように、お得であることに受け手は惹かれやすい半面、その後面倒なことになるのでは? と恐れている面もある。そのため、その後ムリな勧誘などがないということを記載し不安を取り除けば、安心して購入・申し込みを進めることができるでしょう。
【方法4】パンフレットやサンプルを写真で見せる
文字だけではやはりイメージが伝わりきらないことがある。
その場合には、視覚的に分かりやすく写真やイラストを載せる事は非常に有効な手段です。
【方法5】ユーザーボイスを入れる
ユーザーボイスは幅広く載せるのではなく、最初に整理したターゲットに似た境遇の人からの声を掲載するとより共感が得られる可能性があります。
似た境遇の人や同じシチュエーションの人が、購入した商品・サービスを「良い」と言っているのであれば、私にとってもきっと良いはずだ、という後押しができることが考えられます。
【方法6】有名人で権威付けをする
・歌手の●●愛用!
・●●モデルの●●さんもリピート!
認知度の高い有名人を宣伝に使い、世の中的な安心感を醸成することができます。
また、モデルや女優などを美容系商材に使うことで、この人みたいになりたい! という印象を与えることもできます。
このように、コピーだけでなく、商品の見せ方次第でも商品・サービスの印象を上げることは可能です。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
このように、手順といくつかの法則に従ってつくれば、コピー作成はそれほど難しい作業ではありません。
ただ、最初から絶対にもっとも効果が高いコピーを作る。ということは非常に難しいです。
ユーザーにとって、どの訴求がもっとも響くかはコピーを世の中に出して、反応をみてからでないと結果は分かりません。
また、季節や時代背景によって、どんなコピーが心に刺さるかは日々変化していきます。
そのため、コピーは「渾身の一作」を作って終わりではなく、ユーザーニーズに合わせて常に生み出し、何度も検証を繰り返すことが必要です。
また、この記事は無料でPDFとしてダウンロードも可能です。コピーを考える際にお手元に置いておくのがおすすめです。
関連資料:キャッチコピーのチェックリスト(無料)
参考文献
一瞬で!心をつかむ売れるキャッチコピーの法則(著:田村仁)
ザ・コピーライティング―心の琴線にふれる言葉の法則(著:ジョン・ケープルズ)