電子契約に収入印紙が不要な理由と、導入で得られる2つのメリット

リモートワークなどが浸透し始めたことを背景に、電子契約を取り入れたいと考える企業は増えてきています。

しかし「税金の扱いがよく分からない」「収入印紙ってどうすればいいの?」などで悩んで導入に至っていないという企業もあるのではないでしょうか。

印紙税法で定められる契約書には収入印紙を貼る必要があります(参考:【2021年版】収入印紙を必要とする契約書と、それぞれの税額一覧まとめ)。

一方、電子契約の場合、収入印紙は不要とされています。これは、「印紙税法での解釈」「国税庁の見解」「国会での答弁」といった3つの根拠から判断できます。

この記事を読むことで、電子契約における収入印紙が不要な理由を正確に把握でき、そのうえで電子契約の導入へと動き出せるようになります。

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電子契約は収入印紙が不要

電子契約に関しては、印紙税の支払いが不要とされています。その根拠として、以下3つが挙げられます。

  • 印紙税法の解釈
  • 国税庁の印紙税に関する事前照会による見解
  • 参議院質疑の印紙税に関する答弁

印紙税法の解釈

根拠の1つ目は、電子契約そのものが、印紙税法が定める課税対象の文書に当たらないため印紙税は不要、という解釈です。

そもそも、収入印紙による印紙税の納税義務は、印紙税法第2条と第3条に記載されています。ここでのポイントは、次の2つです。

  • 印紙税法に定められた内容が記された文書のみ印紙税がかかる
  • 対象の文書の作成者が税金を納める義務をもつ

文書の作成とは、印紙税法基本通達第44条によると、次のように定められています。

法に規定する課税文書の「作成」とは、単なる課税文書の調製行為をいうのでなく、課税文書となるべき用紙等に課税事項を記載し、これを当該文書の目的に従って行使することをいう。

引用:国税庁 第7節 作成者等

さらに、国税庁ホームページの「No.7100 課税文書に該当するかどうかの判断」では、課税対象となる文書は、次の3つに当てはまるものとされます。

(1) 印紙税法別表第1(課税物件表)に掲げられている20種類の文書により証されるべき事項(課税事項)が記載されていること。
(2) 当事者の間において課税事項を証明する目的で作成された文書であること。
(3) 印紙税法第5条(非課税文書)の規定により印紙税を課税しないこととされている非課税文書でないこと。

引用:国税庁:No.7100 課税文書に該当するかどうかの判断

ここで注目したいのは「課税文書となるべき用紙等」と「課税文書となるべき用紙等に課税事項を記載し、これを該当文書の目的に従って行使すること」という部分です。

この2点をもとに考えると、課税対象となる契約書は、紙の契約書(用紙)であり、同意の意思を示すための押印がなされ、交付されている必要があります。したがって、電子契約の場合は紙の契約書を交付しないことから、印紙税の課税対象ではない、と解釈されるのです。

参考:印紙税法 1e-Gov法令検索   
参考:電子契約の場合、本当に印紙税を払わなくてよいのか? | 電子契約

国税庁の印紙税に関する事前照会による見解

国税庁からは、上記の課税文書に該当するかどうか、印紙税に関する見解・法解釈を、ホームページで公表しています。それによると、次の3点が、印紙税の課税に対するポイントとなります。

  • 文書を作成しても現物の交付が成されていなければ課税対象外
  • 電子メールやファクシミリで送付したものをプリントアウトしても課税対象外
  • プリントアウトしたものへ押印するなどし、交付すると課税対象

まず「請負契約に係る注文請書を電磁的記録に変換して電子メールで送信した場合の印紙税の課税関係について」によると、請負契約に係る注文請書は、契約の成立を証するために作成されたものであるが、注文請書の現物の交付が成されていないために、課税文書を作成したことにはならないとしています。

また、「コミットメントライン契約に関して作成する文書に対する印紙税の取扱い」では、文書の代わりにファクシミリ通信や電子メールを利用して契約書を送付する場合の、印紙税の取り扱いについての返答が行われています。

こちらでも「請負契約に係る注文請書を電磁的記録に変換して電子メールで送信した場合の印紙税の課税関係について」と同様、現物の文書の交付がないため、印紙税の課税原因はないとされます。

ただし、電子メールで契約内容を送付しておき、改めて正本となる文書を契約者と交付する際には、交付した正本が印紙税の課税文書となる、とあります。

少々難解ですが、やはり「紙の文書そのものを契約相手へ交付する」という行為を行ったかどうかが、印紙税の課税において重要と解釈できます。印刷して所有することはできても、コピーして印鑑を押すと、課税物件に該当すると明記されているためです。

参考:No.7100 課税文書に該当するかどうかの判断 国税庁
参考:請負契約に係る注文請書を電磁的記録に変換して電子メールで送信した場合の印紙税の課税関係について
参考:電子契約で収入印紙が不要になる理由を政府見解に基づき解説
参考:電子契約の場合、本当に印紙税を払わなくてよいのか? | 電子契約
参考:コミットメントライン契約に関して作成する文書に対する印紙税の取扱い 国税庁

参議院質疑の印紙税に関する答弁

参議院質疑において、櫻井充参議院議員による質問に対する政府応答では、以下のように答弁が成されています。

 事務処理の機械化や電子商取引の進展等により、これまで専ら文書により作成されてきたものが電磁的記録により作成されるいわゆるペーパーレス化が進展しつつあるが、文書課税である印紙税においては、電磁的記録により作成されたものについて課税されないこととなるのは御指摘のとおりである。

引用:印紙税に関する質問に対する答弁書:答弁本文:参議院

こうした国会答弁や法的解釈により、現時点の電子契約において収入印紙の添付は不要であり、印紙税もかからないと解釈されています。


収入印紙が不要なことで得られるメリット

電子契約のメリットは、印紙代の節約と、業務効率化の2つです。理由をそれぞれ解説します。

収入印紙代が節約できる

第一に、収入印紙代が全額節約になります。貼り付ける額は対象となる文書の内容によって異なりますが、1回あたり200円、高額なものでは数十万円以上です。

1件200円であったとしても、契約業務が多ければ多いほど、収入印紙代がかさむため、電子契約で節約できれば大きなコストダウンにつながるでしょう。

契約書を作成する際の印刷代やインク代、製本にかかる人件費、取引先へ契約書を郵送する際の郵送代などの削減も可能です。

そして電子契約にすることで、契約書の保管にも手間がかからなくなります。契約書類はファイルとしてクラウド上で保管されるため、保管整理の業務フローが簡略化され、人件費や保管場所を確保する費用が節約できます。

収入印紙を貼る作業が不要になる

契約業務を行うにあたり、契約書が課税対象となる文書か判断し、さらに貼り付けるべき収入印紙の額を調べ、紙の契約書に貼る作業が必要となります。電子契約は収入印紙の添付が不要なため、契約業務の業務フローの一部がなくなり、作業がより早く進むでしょう。

また収入印紙を貼った後、収入印紙と契約書にかかるように捺印が必要でしたが、電子契約では電子署名または電子サインが用いられるため、脱ハンコ化の推進にもつながります。

合わせて、押印や書類の印刷が不要になるため、リモートワークで勤務をしている社員も、契約業務に携わることが可能です。

参考:5分で理解する「電子署名」とは


電子契約の導入により印紙代を80%削減した事例

中国に本社を持つバイドゥの日本法人では、電子契約を導入したことで、印紙代を80%削減しています。

この事例の課題は、従業員1人当たりの契約の数が多く、管理に難を抱えていたことでした。また契約先に個人クリエイターを選ぶケースや、海外の企業と契約するケースもあり、物理的な距離による契約締結にかかる負担が大きくなっていました。

そこで電子契約サービスを検討し、1週間程度で導入を行いました。相手先によっては電子契約の調製が難しい場合もあったため、クリエイターや委託業務発注の際のトライアルからスタートし、徐々に範囲を広げていくことで、電子契約が可能な契約と、そうでない契約を分けています。

電子契約を導入する際は、電子契約による取引ができる部署とそうでない部署、取引先との調整によって、利用するサービスや方向性が異なります。この点をあらかじめ明らかにしておくことが、スピーディーな電子契約の導入には重要です。

参考:電子契約移行に1週間で成功 印紙代も80%カット│導入事例|クラウドサイン|国内シェアNo.1の電子契約サービス


電子契約の導入方法

電子契約の導入は、以下の4ステップに分けられます。

  1. 現在の契約書管理体制を確認し電子契約を活用する範囲を決定
  2. 電子契約サービスを比較し選定
  3. 電子契約業務フロー・社内規定を整備
  4. 社内・取引先へ電子契約を周知

1つずつ、注意点と共に見ていきましょう。

1.現在の契約書管理体制を確認し電子契約を活用する範囲を決定

まず、電子契約を利用する範囲を決めるために、現在の契約書の管理体制を具体的に把握しましょう。確認しておきたいのは、以下の内容です。

  • 管理している契約書の内容や種類
  • 発生する契約件数(月ごとなど)
  • 締結している契約の内容
  • 契約を締結する際に掛かっているコスト(印紙代や郵送費など)
  • 契約書の閲覧を行う際の方法
  • 契約書を管理している部署の現状
  • 契約書を閲覧できる権限の付与

これらを調べていくと、たとえば「契約件数が多く、印紙代コストを減らしたい」や「契約承認フローや社内承認をシステム上で管理したい」など、現在の契約書管理体制に関する課題が見えてきます。

そのうえで、まずはよく取り扱う契約書をピックアップします。利用頻度が高い契約を通じ、効率のよいフローを社員に体感してもらうことで、社内で電子契約を利用しやすい環境が得やすくなるでしょう。

また、課題の解決を念頭に置くことで、電子契約を導入する目的を明確にすることが大切です。なぜなら、導入後にどのような業務改善があったか評価ができるようになります。

すると電子契約の範囲をさらに広げた方がよいのか、現在電子契約を社内で進めていくうえで課題となっていることは何かなど、今後の対策もさらに明確になるでしょう。

2.電子契約サービスを比較し選定

続いて、自社内のニーズや課題に合う電子契約サービスを比較し、選定します。この時、これまでも契約管理を担ってきた部署の社員や、電子契約サービスの管理に携わる社員にも、選定や比較に加わってもらうことが大切です。

実際に契約管理に携わる人と共に取り組むことで、さらに実務に適したシステムを選びやすくなります。

電子契約サービスを比較する際のポイントは、次のとおりです。

  • 電子契約に関与する技術(電子署名やタイムスタンプの有無など)
  • セキュリティ(法令が定める技術的要件に達しているか)
  • 社内で利用している契約書の作成ができるか
  • タスク管理が可能か
  • 契約を行う際の操作性
  • 料金
  • サービスの認知度(取引先への周知に役立つことも)

有名な会社であっても、1社のみの検討では、自社に適するか、コストが高いのか安いのかも分かりません。最初に決定した導入目的に合わせ、複数社を検討・比較することがおすすめです。

また、電子契約サービスの導入は、現状の印紙代の合計以上にコストがかかる場合があります。しかし導入が完了すれば印紙代以外のコスト節約が可能になるため、社内の情報システムの投資として、十分な予算確保をおこないましょう。

参考:【2021年版】おすすめ電子契約サービス26選を徹底比較!選び方のポイントも紹介
参考:知ってる?電子契約書の作り方|システム導入の流れと注意点を解説 – 起業ログ
参考:電子契約サービスの本格導入の方法。対象範囲や注意点は?|アスピック
参考:電子契約の導入は、どのようなプロセスで進めるべきでしょうか。 | クレア法律事務所
参考:電子契約を全社導入するための7ステップ – サインのリ・デザイン

3.電子契約業務フロー・社内規程を整備

導入するシステムが決定出来たら、電子契約業務がスムーズに行えるように、社内規定や業務フローを整備します。導入時に社内で電子契約サービスの管理がうまくいかないと、社内で混乱や反発が起き、結局導入が失敗に終わる可能性があるためです。

また、従来の印章管理規程などを流用してしまうと、社員が「これは文書と書いてあるけれど、この規程は電子文書の規定だから電子文書のこと」など、頭の中でその都度読み替えねばならず、実務に支障をきたす恐れがあります。

そのため、より効率よく電子契約サービスが導入できるように、業務フローはもちろん、社内規程をあらかじめ作成しておくことがのぞましいです。

まず、業務フローが、電子契約導入によってどのように変わるのか確認し、ルールを定めましょう。ポイントとなるのは、決裁権限の委譲と細分化です。つまり、オフィスの中では確認が容易だったものの、事後承認や暗黙の了解で業務が進められていた部分を、業務フローに盛り込む必要があります。

たとえば、重要な書類であれば、電子契約サービスの稟議機能を利用し、複数人の承諾が必ず必要など、使用する機能も含め業務フローへ組み込んでおきましょう。

社内規定で決めておきたい項目は、署名の権限を定める内容や、データの訂正および削除、保存を制限する規定です。電子契約が信頼のあるものとして運用していくには、電子帳簿保存法など関連法も確認し、社内規定の整備・変更を進めていきましょう。

4.社内・取引先へ電子契約を周知

電子契約サービスを社内稟議により導入が可能になれば、社内や取引先へ電子契約サービスの周知を行いましょう。特に周知しておきたい内容は、以下の3つです。

  • 導入するタイミング(日時など)
  • 適用するタイミング(何日時点の契約から適用するのか)
  • システム使用方法

また取引先にも、契約の電子化について説明しやすいように、マニュアルを用意しておきましょう。今回紹介した事例のように、導入に難色が示される可能性があれば、説明会を行ってシステム使用方法を周知するのも手です。


全ての契約が電子化できるわけではない

注意したいのは、電子化が法律などで規制されている契約書があることです。大きく分けると、3種類の文書が該当します。

  • 特定方式の電子署名の利用が要求される文書
  • 法律上書面化義務が残っている文書
  • 書面電子化に相手の承諾が必要な文書

たとえば、一番上の「特定方法の電子署名の利用が要求される文書」とは、電子処方箋が該当します。

以前は地方自治体と民間企業の契約も該当していましたが、2021年1月29日付の地方自治体方施行規則の改正・施行に伴い、厳格な規定がなくなったため、現在は電子署名法第2条第1項が定める電子署名であれば、電子契約が可能となっています。

また、法律上書面化義務が残っている文書とは、次のような不動産や金融に関する書面です。

  • 不動産取引における重要事項説明書面等
  • 定期借地契約書
  • 定期建物賃貸借契約書
  • マンション管理業務委託契約書
  • 特定継続役務提供等における契約前後の契約書面
  • 金融商品のクーリングオフ書面

原則は書面交付、契約相手が承諾すれば電子化が可能な文書には、以下の文書が挙げられます。

  • 労働条件通知書面
  • 派遣労働者への個別の契約書
  • 下請会社に発注する書面
  • 旅行契約における説明書面
  • 金融商品取引契約等における説明文章
  • 投資信託契約約款

このほかにも、書面による保存や、交付が義務付けられている文書はさまざまです。電子契約書をより社内で扱いやすくするには、現時点で利用している文書の電子契約化が可能か、次の3つの観点からチェックして、取り組むとよいでしょう。

  • 法令を確認し「書面で保存」や「書類で交付」といった規定があるか調べる
  • e文書法などで電子化が認められているか調べる
  • 電磁的措置や電子情報処理組織の利用など電子化要件があるか調べる

参考:電子化に規制が残る文書と契約類型のまとめリスト
参考:総務省|新規制定・改正法令・告示 省令


まとめ

電子契約は、関連する印紙税法や当局の解釈により、収入印紙は不要であるとされています。導入することで、これまでの契約書にかかっていたコストを削減し、さらに契約フローを効率よく進められるようになるため、人件費や郵送代のコストカットも可能です。

ただし、契約書によっては現時点では電子化が難しい場合もあるため、導入にあたってのハードルや現状の課題を把握し、自社における導入に向け、綿密に準備を進めていく必要があります。

法改正も多い分野のため、しっかりと用意をしておくことが重要です。さらなる業務効率化やコストカットを目指すためにも、まずは自社の契約書管理体制の課題や、電子契約導入によるメリットの把握から始めてみましょう。

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