リスティング広告の効果を上げるために日々試行錯誤しているものの、なかなか効果が良くならないと悩んでいませんか?
実は、最低限のポイントを抑えてアカウント構成を変更すれば、効果が劇的に改善するケースが非常に多いです。
私はこれまで9年間リスティング広告を運用してきました。その中で、多くのアカウント構成を変更して、確実に効果が改善するパターンが分かってきました。今回は事例を交えてそのポイントを解説していきます。
そもそものアカウント構成の考え方・構築方法については、下記の記事で詳細に解説しています。
参考:リスティング広告のアカウント構成とは?良し悪しを分ける3つのポイントと作成手順
この記事で紹介しているノウハウを60ページフルカラーの資料にまとめたものを無料で配布しています。こちらも併せてご覧ください。
【リスティング広告の手順書】成果を出すための事前準備を解説
目次
目指すは「階層の機能に合わせたアカウント構成」
リスティング広告のアカウント構成で一番意識すべきポイントは、ずばり「階層の機能に合わせたアカウント構成」にすることです。
アカウント・キャンペーン・広告グループはそれぞれできることが違っています。それらは、きちんと目的があって定められているものです。
キャンペーンなら、本来的な意味のキャンペーン=自社の宣伝活動を管理する役割があります。
例えばGWキャンペーン・夏休みキャンペーン・クリスマスキャンペーンなど、特定の時期にキャンペーンを実施することがあると思いますが、このキャンペーンを分けて管理するために、「リスティング広告のキャンペーン」では開始日・終了日が設定できるようになっています。
一つのキャンペーン内で、広告グループや広告をオンオフすることで対応することもできなくはないですが、本来はキャンペーン(=自社の宣伝活動)が違っているのであればリスティング広告のキャンペーンも分けるのがあるべき姿です。
このように、各階層ごとのできること、その機能に沿ってアカウントを構築していくことが最適なアカウント構成につながっていきます。
階層によって機能が異なっている
1.アカウント編
アカウントでできることは以下の通りです。
・ログインメールアドレス
・パスワード
・支払い情報
アカウントは1企業につき1アカウントが原則です。
広告代理店であれば、取引するお客様ごとにアカウントを発行していくことになります。
一昔前に特に多かったのが、検索広告とディスプレイ広告でアカウントを分けたり、PCとスマートフォンでアカウントを分けるケースが散見されました。
他にもプロダクトごとにアカウントを分けているケースは、いまでもまだあるのではないでしょうか。
このように無駄にアカウントを分けることは、下記の理由によりNGです。
- 管理が煩雑になる
- データが分散し広告の最適化や自動入札の効果が悪化する
もし上記のような分け方をしているのであれば、アカウントの統合を推奨します。
2.キャンペーン編
キャンペーンでできることは以下の通りです。
・日予算
・配信のスケジュール
・広告を配信する地域・デバイス
・広告掲載方式の設定
・対象外・除外キーワード
・広告の最適化
・配信方法
・広告表示オプション
特にキャンペーン分けの際にポイントとなるのが最初の3項目です。
日予算
予算を分ける場合はキャンペーンも分ける必要があります。
例1:キーワードの質に応じて分ける
例えば指名キーワード・顕在層向けキーワード・潜在層向けキーワードと、キーワードのコンバージョンの可能性(質)に応じてキャンペーンを分けます。
当然コンバージョンの可能性が高い指名キーワードや顕在層向けキーワードに予算を多く割り振り、残った予算で潜在層向けキーワードに配信します。
これを仮に1キャンペーンにまとめてしまうと、1日の予算をコンバージョンの可能性が低い潜在層向けキーワードで多く使ってしまい、終日配信すべき指名キーワードが途中で止まってしまうことになります。
また媒体が「できるだけシンプルな構成」にするように呼びかけているため、指名キーワードと一般キーワードの2キャンペーンにまとめているケースが見られます。
しかし一般キーワードのなかでも予算の割り振りに差をつけるべきであるならば、無理に統合する必要はありません。
キーワードの質に応じて、キャンペーンを分けて予算を割り振ると良いでしょう。
例2:店舗やキャンペーンごとに分ける
複数の店舗やプロダクトの広告を出稿している場合、店舗やプロダクトごとに予算が割り振られている場合があります。
この場合は、キャンペーンを分けてそれぞれに予算を割り振るべきです。
同一キャンペーン内で広告グループを分けて配信することも可能ですが、予算のコントロールが難しいためキャンペーンを分ける方がベターです。
またバレンタインやクリスマスの際に、期間限定のキャンペーンを実施することがありますが、このときに別途予算が設定されるケースがあります。
この場合には、キャンペーンを分けたほうが予算管理がしやすくなります。先述の通り開始日・終了日の設定もできるので、両面からキャンペーンを分けるのがおすすめです。
配信スケジュール
開始日・終了日が分かれる場合や、配信する曜日や時間帯によって訴求が異なるのであればキャンペーンを分けましょう。
上述のように、特別なキャンペーンなどで開始日・終了日が異なっている場合は、管理しやすいのでキャンペーンを別にしたほうが良いです。
また土日だけ通常とは違う特別な訴求をしている場合など、曜日や時間帯によって訴求が違う場合もキャンペーンで分けたほうが運用はしやすくなります。
毎週広告グループや広告をオンオフして切り替えるというのは現実的ではありません。
一応、広告カスタマイザ(Yahoo!広告はアドカスタマイザ)を使用すれば、同一広告で曜日・時間帯によって内容を変えることは可能です。同一キャンペーン内で広告を出し分けたい場合は実施してみてください。
ただし、2022年6月末で拡張テキスト広告が廃止されることが決まっており、レスポンシブ検索広告では曜日や時間帯での出し分けができません。
そこを見越してキャンペーンで分ける方が良いかもしれません。
広告を配信する地域
配信する地域(エリア)ごとに広告を出し分ける場合は、キャンペーンを分ける必要があります。
もしリンク先が同じであるならば、無理にキャンペーンを分けなくても良いでしょう。
その場合は、キーワード挿入機能や広告カスタマイザで十分対応は可能です。
あるいはレスポンス検索広告でも対応できそうです。
むやみに細分化するのではなく、本当にキャンペーンを分ける必要があるのか、分けるのであれば訴求内容やリンク先を分けることが必要です。
3.広告グループ編
広告グループでできることは以下の通りです。
・広告
・広告表示オプション
・キーワード
・除外キーワード
・入札価格
・ターゲティング(デバイス、年齢性別等)
広告グループを分ける際には、広告とターゲティングがポイントになります。
広告
”広告”を”グループ”にするという言葉通り、広告グループは広告とキーワードをグルーピングして格納するものです。
そのため同じ広告(リンク先ページ)であるならば、広告グループは分けずにまとめるべきです。
逆説的にいえば、広告グループを分けるのであればリンク先ページも分けるべきです。
例えば複数の店舗の広告を出しているのであれば、それぞれの店舗ごとに広告文もリンク先も個別に用意し、広告グループを分けるべきです(この場合はキャンペーンで分けるケースも考えられます)
仮に1つの広告グループにまとめてしまうと、横浜で検索した人を川崎の店舗のページに、川崎で検索した人を横浜店のページに誘導してしまうということになりかねません。
あるいは複数の商材の広告を出すのであれば、それぞれの商品ページやカテゴリページに誘導すべきです。
すべて同じ広告文でサイトトップに誘導、というアカウント構成を見ることがありますが、これでは広告の効果を高めることができません。
同じ広告(リンク先)なら同じ広告グループに、広告グループを分けるなら広告(リンク先)も分ける。これが鉄則です。
同じリンク先であれば広告グループをまとめるべき理由
リンク先ページが同じときに、広告グループをまとめるべき大きな理由の一つに、「広告の品質」を正しく評価させるため、というものがあります。
「広告の品質」はオークションに大きく関わってくる要素です。
入札価格と「広告の品質」によって、オークションへ参加できるか、参加した場合の掲載順位が、掲載された時のクリック単価が決まります。
この「広告の品質」を正しく算出するには、一定数のインプレッションやクリック数が必要になります。
しかし広告グループを分けすぎると、その分広告の本数が増え、広告1本あたりのインプレッション数・クリック数は減ってしまいます。
特に予算の小さいアカウントほどその影響は大きく、広告1本あたりのインプレッション数・クリック数が少なすぎて、「広告の品質」を正しく評価してもらえません。
そうなると、本来あまり質の高くない広告が多く掲載され、もっと掲載されるべき広告が正しく評価してもらえないせいで掲載されない、ということになったりします。
たまにある勘違いですが、広告グループをまとめる=広告の効果が良くなるというわけではなく、正しく評価されることで良い広告・悪い広告の正しい判断が付き、適切な運用ができるようになることがメリットです。
ターゲティング
ターゲティングごとに訴求が変わるのであれば、広告グループを分けましょう。
たとえば性別によって訴求方法が変わる場合です。
アクセサリーの広告で、女性には身に付けたときのイメージを前面に出して訴求して、男性には女性へのプレゼント用にどうですか、という風に訴求を変えるケースが考えられます。
このようにターゲティングによって訴求方法やリンク先ページを変えるのであれば、広告グループは分けるべきです。
効果が見えやすいから、などと運用都合で分けることはしてはいけません。
またデバイスでキャンペーンや広告グループを分けるケースが散見されますが、リンク先ページの出し分けであれば広告の設定で対応可能です。
そもそもレスポンシブデザインにすべきでもありますし、デバイスで分けることはあまりないでしょう。
まとめ
リスティング広告で効果を上げるには、「階層の機能に合わせたアカウント構成」にすることが最も重要です。
アカウント・キャンペーン・広告グループのそれぞれでできることが何か、どういう意図を持ってそれらが設計されているのかを理解し、それらに沿ってアカウントを構築していきましょう。
なお、リスティング広告初心者向けの無料ガイドブックでは、中小・ベンチャー企業でもリスティング広告で効果を出す方法について60ページに渡り丁寧に解説しています。
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