アンケート調査をおこなうことは、サービスの改善や顧客の傾向を知るために有効です。
本記事では、アンケート調査の種類や具体的な方法、便利なツールまで紹介します。
また、調査を実施する上での注意点についても解説します。効率よくアンケート調査をおこなうために役立ててください。
目次
アンケート調査とは
アンケート調査とは、顧客満足度をはじめとしたさまざまなデータを得るために、数値や傾向を調べる方法の一つです。アンケート調査には、大きく分けて「定量調査」と「定性調査」の2種類があり、調査の目的によって使い分ける必要があります。ここでは、2種類の調査方法についてご説明します。
定量調査
概要
数値データを得る目的でおこなうのが、定量調査です。「人数」「割合」「金額」「時間」などの数値データを得ることができます。具体的な方法としては、「はい or いいえ」などの質問や、「~のうちどれですか?」といった選択問題に答えてもらいます。またその実施方法としては、インターネット調査や会場調査が一般的です。
メリット
- 数値での単純な比較ができる
- 回答を集めやすい
- 説得力がある
デメリット
- 質問や選択肢が限られているため、潜在ニーズを把握するのが難しい
- 質問文により、結果が大きく変化することがある
こんな人におすすめ
- 年代別・性別などの「人気」「評価」「行動傾向」を知りたい人
定性調査
概要
調査対象者が具体的に思っていることなど、数値化しにくいデータを集めるときに使われる方法が、定性調査です。「なぜ」「どのように」といった質問で、動機や評価について調べます。グループインタビューや個別インタビューなどで直接言葉を交わし、得た情報をデータ化して調べます。
メリット
- 潜在ニーズや価値観を深堀りできる
- 多面的で幅広いデータ収集ができる
- 個性的な意見や多様な意見を収集できる
デメリット
- 内容によっては回答者の本音が引き出しにくい
- インタビュアーの力量によって結果が大きく変化することがある
こんな人におすすめ
- 顧客満足度やライフスタイル、流行傾向などを知りたい人
アンケート調査の5ステップ
アンケート調査は以下の5つのステップで進めていくのが基本です。
1.目的・目標を決める
最初に、目的・目標を決めましょう。アンケート調査をおこなうときには、最終的に何をしたいのかという目的・目標と、それを達成するために必要な情報は何かをしっかりと把握しておく必要があります。アンケート調査をしても良い結果が得られないのは、調査の目的・目標をしっかりと決めていないからだといえます。
2.調査方法を決める
目的・目標がきまったら、調査方法を決めましょう。例えば、ある新商品の開発のため、アンケート調査を実施するとします。「どれが1番人気か」「それを最も好むのはどの年代か」などの数値データを求めるのであれば、定量調査が妥当です。また、「なぜそれが1番人気なのか」「なぜ数ある中からそれを選ぶのか」などの根拠や理由を追究するならば、定性調査が有効です。何を知りたいかをはっきりとさせた上で、調査方法を決定しましょう。
調査方法が決まれば、適切にデータが得られるように、調査対象者・調査をする時期・時間帯・場所なども決めておきます。
3.質問を作成する
次に、アンケートにおける質問を作成しましょう。定量調査の場合の質問は「はい or いいえ」「A or B or C」という形で回答しやすくすることが重要です。もしこれを自由回答や複数回答にすると、数値での集計がしづらくなってしまいます。
逆に、定性調査の場合は自由回答や複数回答を設ける方が、より詳細な情報を得られます。回答者が答えやすく、わかりやすい表現で質問文を作成しましょう。
4.アンケート調査を実施する
1~3を踏まえたアンケートの内容が完成したら、アンケート調査を実施しましょう。その際に、調査をおこなう担当者を決め、事前にしっかりと打ち合わせをしておきましょう。
街頭調査などを短期間でおこなう場合は、大勢の調査スタッフが必要となります。一方、インターネット上での調査など数週間かかるアンケートの場合は、日々の集計データをしっかりと管理する必要があります。
5.集計し、目的・目標に対する振り返りをおこなう
アンケートの結果を集計し、目的・目標に対する振り返りをおこないましょう。最初に掲げた「何のための調査か」が果たされているのか、描いていた通りの結果は得られたのか、などの検証が必要です。実施期間や対象人数がクリアされたのかなども検証し、次におこなうアンケート調査に反映させて、マーケティングの戦略強化につなげましょう。
アンケート調査の3つの注意点
アンケート調査を実施する場合に気を付けるべき注意点があります。せっかくの企画を無駄にしないためにも、特に心がけたい3つのポイントを解説します。
ポイント1:答えやすいアンケートにする
回答者が答えやすいアンケートを作成しましょう。答えやすいアンケートのポイントは「わかりやすさ」「見やすさ」です。難しい言葉は避け、見やすいフォーマットを使うことで、アンケートの回答率がよくなります。
ポイント2:質問の順番に注意する
質問をする順番に注意しましょう。答えやすい質問から始めることで、次の質問へ移行しやすい流れを作れます。例えば、以下の流れで質問すると、回答者をアンケートに引き込みやすくなります。
A1. 【Yes】【No】
Q2. 【Yes】の方は1日どれくらいの時間を読書にあてますか?
A2. 【5~15分】【15分~30分】【30分~1時間】【1時間以上】
ポイント3:質問は長すぎないようにする
質問は、あまり長くならないように気を付けましょう。質問が長すぎると回答者が面倒に感じてしまうため、適切な長さで作成することが重要です。簡潔に質問文を作ることをおすすめします。
アンケート調査の実施方法
アンケート調査は、調査会社に委託するか、ツールを用いて自分で調査するかの2つの実施方法があります。アンケート調査を初めておこなう場合には、調査会社に委託し、ノウハウを得るとよいでしょう。調査方法や調査を実施する側のスキルによっては、結果に差が出ることもあるからです。
すぐアンケート作成したい方向けのテンプレート4選
ここでは、定量調査と定性調査に分け、アンケートのテンプレート例を紹介します。ほとんどのテンプレートが無料でダウンロードできるので、ぜひ活用してください。
定量調査
ビズオーシャン
ビズオーシャンはビジネス情報サイトで、その中の「書式の王様」では3万点以上のビジネステンプレートを無料で提供しています。アンケート内容に合わせてカスタマイズができるベーシックなテンプレートが豊富です。
ボクシル ビジネステンプレート
ボクシル ビジネステンプレートには、アンケート用など豊富なテンプレートがあります。無料の会員登録を済ませると、いくつかのテンプレートが無料でダウンロードできます。
定性調査
[文書]テンプレートの無料ダウンロード
[文書]テンプレートの無料ダウンロードは、ExcelやWordで作成されたビジネス向けテンプレートを提供しているサイトです。アンケートに関するテンプレートも数多く扱っています。
経費削減実行委員会
経費削減実行委員会には、アンケート用のテンプレートが数パターン用意されています。
アンケート調査に役立つツール5選
自社でアンケートを作成する場合は、専門ツールを使うと便利です。無駄な時間やコストが削減できます。ここでは、検索上位で表示されるおすすめツールを5つ紹介します。
Questant
特徴
- 調査実績が年間20,000件を超えるため、アンケート作成に必要なノウハウが豊富
- 作成段階では、会話形式でサポートしてくれるため作業がはかどる
価格
- 無料プラン:10問/1アンケート
- 1回だけのプラン:5,000円/回~、質問数 無制限
- 有料プラン・・・50,000円/年~、質問数 無制限
※アンケート回収オプションあり
こんな人におすすめ
アンケート作成に慣れていない人や初心者
Google フォーム
特徴
- デザインが個性的でバリエーションが多い
- 選択式やプルダウン形式など質問の型が多い
- 設定アンケートに画像やYouTube動画を埋め込める
価格
- 無料プラン:Googleアカウントの取得が必要
- 有料プラン:600円/月~、アカウントG Suiteの取得が必要
こんな人におすすめ
アンケートの作成から分析まで、徹底的に網羅したい人
SurveyMonkey
特徴
- ターゲットを絞った実用的なアンケートが作成できる
- 目的別に選べるテンプレートがある
価格
- 無料プラン:要アカウント登録、10問/1アンケート
- 有料プラン:5,500 円/月、70,000円/年~、質問数無制限
こんな人におすすめ
専属性の高いポジションや幅広い業務に従事している人
ミルトーク
特徴
- 掲示板形式で会員からアンケート回答がもらえる「きいてミル」
- チャットタイプでの個別インタビューやグループインタビューができる「トークルーム」
- オンライン上での調査により本音が聞け、時間やコストをカットできる
価格
- きいてミル:無料、100件まで投稿可
- トークルーム:6万円/ルーム、最大10人にインタビュー調査可
- 定額プラン:19.8万円/月~、99.8万円/年~、トークルーム50件/月
こんな人におすすめ
多忙な中で効率よく定量調査・定性調査を行いたい人
MOMONGAアンケート
特徴
- テンプレート画面の手順に沿ってアンケートが作成できる
- アンケートの分岐、コンテンツの追加(有料)が可能
- 集計方法がわかりやすく、分析結果もグラフ化され見やすい
価格
- 無料プラン:回答件数10,000件まで
- 有料プラン:10,000円/月~
こんな人におすすめ
初めての実施で、今後もアンケート業務に関わり、向上していきたい人
アンケート調査を代行する会社3選
調査したい事柄が複雑で大規模な場合には、アンケートの制作から調査までを委託できるサービスが有効です。ここでは、代表的な3つの代行サービスを紹介します。
クロス・マーケティング
特徴
- テーマを組み立て、調査を実施し、集計・分析、報告書提出までのサポートがある
- インターネットリサーチや会場調査の質が高い
- オンラインやオフラインでのグループインタビューが可能
価格
- インターネットリサーチ:10万円~
- 会場調査・グループインタビュー:お問い合わせください
アスマーク
特徴
- 調査の依頼範囲を、予算や目的によって自由に組み合わせられる
- 実施前には専門スタッフによるヒアリングがある
- 要望や疑問点をその場で解決しながらプランニングしてもらえる
価格
お問い合わせください
マクロミル
特徴
- 最短で24時間後に、データの納品が可能
- 1,000万人を超えるパネルネットワークを保有している
- 海外調査パネルもある
価格
- インターネットリサーチ:7万円~
- 会場調査、グループインタビュー:お問い合わせください
アンケート調査に関するよくあるご質問
アンケート調査を検討中の方に役立つQ&Aをまとめています。
Q.アンケート調査の種類は何がありますか?
A.アンケート調査には、定量調査と定性調査の2種類があり、目的によって使い分けます。
Q.アンケート調査で、定量調査と定性調査の違いは何ですか?
A.定量調査は数値データを集めるための調査で、定性調査は「なぜ」や「どのように」といった深い情報を得るための調査です。
Q.アンケートの回答率を上げるためにはどうすればいいですか?
A.簡潔でわかりやすい質問、答えやすいフォーマット、適切な質問の順番が重要です。
Q.アンケート結果の分析方法にはどんなものがありますか?
A.回答を数値化して集計する定量的分析や、自由回答を分類してテーマを抽出する定性的分析があります。
Q.アンケート調査の実施にかかるコストはどれくらいですか?
A.自社で実施する場合は無料ツールもありますが、代行会社に依頼する場合は10万円以上かかることが多いです。
まとめ
アンケート調査を活用すれば、ビジネスのヒントになり得る多くのデータを可視化できます。目的に合った方法とポイントを踏まえた実施で、あらゆるデータ収集に役立ててください。また、必要に応じて専門ツールや代行サービスも利用し、より充実したアンケート調査を実施しましょう。
参考にしたサイト(一部)
アンケート調査|クロス・マーケティング
基礎からわかるアンケート調査方法|EmotionTech
[リサーチの基本2] 定量調査と定性調査|日本リサーチセンター
アンケート集計の方法とレポート作成のポイント|マーケティングバンク
使い分けのために知っておくべき定性調査と定量調査のちがい|クロス・マーケティング
アンケート調査の進め方 | 調査方法の種類と注意点を解説|ボクシルマガジン