起業直後につまづかないための、バックオフィス効率化テクニック9選

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「こういう事業をやりたい!」「こういう働き方をしたい!」という強い思いを持って起業・独立し、その実現のため「バリバリやるぞ」と思っている方も多いのではないでしょうか。

しかし、実際に起業・独立してみると、経理・総務・人事・営業など、自分の本業以外に様々なバックオフィス業務があり、またこれらは想像以上にたくさんあります。
貴重な時間をこれらのバックオフィス業務に取られ、事業に集中できずに後悔したり、逆にバックオフィス業務を疎かにして、失敗してしまうケースもあるようです。

筆者は現在起業5年目ですが、総務・経理・営業がいない中でこれらの業務を効率的に回してきた経験をもとに、僭越ながら、可能な限り本業に集中する環境を整えるための取り組み・クラウドの活用を紹介したいと思います。
ちなみに、いくつかは最近知ったもの・導入したもので、「起業時から導入していたらもっと楽だったのに」と後悔しているので、ぜひ参考にしてみてください。


実はこんなにたくさんある、会社を運営するためのバックオフィス業務

起業してから、「こんなに色々やることがあるとは思わなかった」と思うことがよくあります。
そこで、まずはどんな業務があるか、簡単に見てみましょう。

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ざっと主なものを上げただけでもかなりあります。

起業直後は、まだ事業自体も軌道に乗っていない事が多く、本来は本業に集中したいところです。とはいえ、これらのバックオフィス業務は「決められた期限までにやらなければいけないこと」がほとんどで、どれだけ忙しくても待ってはくれません。


【ポイント1】業務系クラウドサービスを活用

まずは自身で日々利用することになる業務系サービスから見ていきましょう。最近は、バックオフィス業務をサポートするクラウドサービスが多数あります。これらのサービスは、自身の業務・業態にあったものを選択することで、かなり業務負担が軽減できるものもありますので、積極的に活用していくのが良いと思います。

見積書・請求書作成、販売管理

見積書・発注書・請求書等の作成・発行や営業管理(売上管理)など、日々の業務をサポートするシステムもあります。
販売管理の分野の場合、会計や経費精算と違い、業種・業態によってニーズが変わってきますので、自社の業務にあったものを探すのが良いかと思います。
見積書・請求書の作成サービスは数多くありますが、それにプラスαの機能が充実していて、業務を効率化できるサービスを紹介します。

■board
board」は見積書・請求書等の書類作成に留まらず、売上の見込み管理や経営管理など、バックオフィス業務から経営までを幅広くカバーしているのが特長です。

■MFクラウド請求書
MFクラウド請求書」はMFクラウド会計と同じ会社が出しているということもあり、MFクラウド会計との親和性の高さが大きな特長です。

■弥生販売
弥生販売」は、弥生会計と同じ会社が提供する販売管理システムで、パッケージ型のソフトウェアです。弥生会計との親和性の高さは強みです。

会計

税理士さんと顧問契約を結ぶ場合、使用する会計システムに制約があるケースも多いようですので、事前に税理士さんと相談してから決めた方が良いかと思います。
もし、会計システムを優先する場合は、その会計システムをサポートしてくれる税理士さんを探すという方法でもよいでしょう。
会計システムは、従来型の会計パッケージとクラウド型の会計システムがあります。

■弥生会計
従来型の会計パッケージの場合は、やはり「弥生会計」が最も使われているようです。記帳代行を依頼する場合、税理士さんが弥生会計を指定するケースも多いようです。

■クラウド会計ソフト「freee」
freee」はクラウド会計の中では最もシェアが多く、仕訳の知識がない人でも使いやすくできているのが大きな特長です。

■MFクラウド会計
クラウド会計では「MFクラウド会計」も人気があるサービスです。freeeと比べると、より従来の会計ソフトに近い感覚で使えるようです。

経費精算

特に営業など外回りが多い場合は導入を検討した方がよいでしょう。
最近の経費精算サービスは、スマホから入力できるため移動中にさっと交通費を登録できたり、カメラでレシートを撮影してアップすると、オペレータがデータ化してくれるなど、経費精算の手間を大幅に軽減してくれます。また、会社で使う場合は、申請・承認機能があると、さらにスムーズに業務を進められると思います。
経費精算ソフトはパッケージ型からクラウド型まで様々ありますが、起業直後はあまりコストもかけられませんので、安価に利用できるクラウド型サービスを2つ紹介します。

■STREAMED
STREAMED」は、領収書を写真に撮ってアップすると、オペレータが手作業でデータ化してくれるのが大きな特長です。

■Staple
Staple」は、個人利用だけでなく、チーム利用を想定した機能があるため、社員がいるケースは効率的に経費精算処理ができるようです。


【ポイント2】面倒な会社設立の手続きは
アウトソース

会社設立の手続については、本も出ていますし、検索すればたくさん情報があるので、全て自分でやることは可能です。ただ、初めてのことなので色々とわからないことも多いですし、用意する必要がある書類もたくさんあります。そして何よりもストレスです。
起業前の貴重な時間は、こういう事務手続きではなく、事業計画の策定やサイトの準備、営業準備など、事業に直結する準備に使いたいですよね。

自分で会社設立手続きを行っても、定款認証印紙代(40,000円)・定款認証手数料(52,000円)・登録免許税(150,000円)が必要になりますので、計242,000円かかります。

一方、最近では、会社設立後、税理士の顧問契約を結ぶことを前提に、これらの費用を含め、20万円台で会社設立手続きをサポートしてくれる税理士事務所があります。

自分で手続を行うのと比べて価格差はあまりないですので、専門家に任せた方が確実ですし、貴重な時間を本業の準備に使えますので、積極的に活用した方が良いかと思います。


【ポイント3】会計システムへの登録は
記帳代行を活用

最近は、クラウド会計など会計システムの進化に伴い、記帳はかなり楽になってきています。しかし、全てを問題なく自動的にやってくれるわけではありませんし、社員を雇うなど、ビジネスの拡大とともに、税理士・会計士のサポートが必要になってきます。

税務の顧問契約とセットで記帳代行サービスを行っている税理士事務所が数多くあります。もちろん、使いたいクラウドサービスを使って記帳代行をしてくれる税理士事務所もありますので、会計システム基準で決めても良いと思います。

顧問料にプラス1〜2万円程度で対応してくれることが多いようですので、自分の時間を有効に使うためにも、また慣れないことをやることに伴う不要なストレスを軽減するためにも、記帳代行を検討してみてください。


【ポイント4】銀行関連業務を効率化

まず、オンラインバンキングは必ず利用しましょう。
法人向けのオンラインバンキングは月額費用がかかりますが、銀行の窓口に行く手間を考えると安いものです。

ただ、オンラインバンキングでは完結せず銀行の窓口に行く必要があるものがあります。
例えば源泉徴収や法人税・消費税等の税金関連の納付です。
これらの税金の納付には、銀行の窓口に行って税金用の納付依頼書を記入しますが、毎回どの用紙に書いたらよいかわからなかったり、書き終わるまで順番待ちの番号を取れなかったりと、何かと時間がかかります。また銀行印も持っていく必要があります。

実は、この用紙は、窓口に行ったついでにまとめてもらうことができます。
事前に用紙をもらっておくと、オフィスにいる時に、空き時間にさっと記入できますし、銀行印もオフィスで押印していけるため、銀行印を持ち歩く必要がなく、そういう意味でもお勧めです。


【ポイント5】侮れない行政のオンラインサービス

意外と知られていない行政のオンラインサービス。実はかなり便利です。
会社を運営していると、たまに登記簿謄本が必要になります。登記簿謄本は法務局に行けば取得できるのですが、わざわざ用紙1枚取得するために法務局まで行くのは面倒ですし、なぜか行きにくい場所にあったりします。

登記・供託オンライン申請システム」という法務省がやっているサービスがあり、ここからオンラインで登記簿謄本の申請ができ、数日後に郵送で送られてきます。また、支払も、オンラインバンキングと連携して納付できるため、全てオンラインで完結します。

行政のオンラインサービスは、意外と利用している人が少ないのですが、使いこなせるとかなり便利ですので、ぜひ使ってみてください。


【ポイント6】VC以外にもある、資金調達の方法

特に起業した直後は、キャッシュの不安は常につきまといます。
納品基準で請求をするようなビジネスモデルの場合、入金までの期間が長くなり、数ヶ月分のキャッシュが必要となることが多いです。
十分な資本金があれば問題ないですが、納品までの期間が長い場合などはぎりぎりの場合も多く、キャッシュフローが常に気になってしまいます。そこで、安心して本業に集中できるようにするために、資金調達を検討するのもひとつの方法です。
スタートアップの資金調達というと、ベンチャーキャピタル(VC)が真っ先に思い浮かびますが、それ以外にも資金調達の方法があります。(参考:起業を成功させる資金調達法12種|メリット・目的別のおすすめを徹底解説

日本政策金融公庫

日本政策金融公庫は財務省の特殊会社で、国民一般、中小企業、農林水産業者向けの融資を行っています。
新規開業資金の融資は最高7,200万円、このうち運転資金の上限は4,800万円となっています。新創業融資の上限は1,500万円です。日本政策金融公庫では、保証人や担保の有無によって融資の額が変わり、1,000万円以上の融資を受けられるかがひとつの壁となっています。
参考:新規開業資金|日本政策金融公庫

民間の金融機関

銀行・信用金庫など民間の金融機関から融資を受ける方法です。ベンチャーの場合、特に初回取引では、信用保証協会を使うことになると思います。
信用保証協会は中小企業、小規模事業者が民間金融機関から融資を受ける時、保証人となって融資を受けやすくしてくれる公的機関です。全国の中小企業385万のうち、146万企業が信用保証協会を利用しています。

地方自治体の起業支援・助成金

地方自治体では助成金などで起業支援を設けているところがあります。
各地方自治体で制度が異なるので条件などは一概には言えませんが、新規事業の資金支援を受けることができます。例えば大阪ではふるさと名物応援事業補助金が利用でき、審査をクリアすれば新商品の開発や生産、需要の開拓に係る経費を補助してくれます。

助成金については「ミラサポ」などで検索することができます。


【ポイント7】インキュベーションオフィス・シェアオフィスの活用

「起業直後からオフィスを構える」といきたいところですが、オフィス物件は、敷金10ヶ月分前後が相場と言われており、初期費用がかなりかかってしまいます。
貴重な事業資金をそこに使う余裕があるスタートアップの会社はあまりないのではないでしょうか。
そこで活用したいのが、インキュベーションオフィスやシェアオフィスです。

インキュベーションオフィスは地方自治体がやっているケースもあり、入居のハードルがかなり低くなっています。
最近は、シェアオフィスがかなり増えてきており、柔軟な価格設定で使いやすいので、固定のオフィススペースが必要ない場合はシェアオフィスも検討してみると良いと思います。


【ポイント8】困った時の士業の活用の仕方

起業したら、多くの場合は税理士さんと関わることはあるかと思いますが、弁護士・社労士・行政書士・弁理士など、ビジネスに関わる分野のその他の士業の方々とは、接点がないケースが多いです。
しかし、士業の方々は、それぞれの分野で専門知識を有しており、ビジネスを有利に進めるためにも、またリスクを回避するためにも、大きな力になってくれます。また、給与計算や変更に伴う手続きなど、関係各省への書類手続きも代行してくれます。

士業の方に依頼する際の重要な点として、「相談しやすい」方を見つけることです。せっかく顧問契約しても、相談しにくかったら効果的に活用することができません。

どうしても士業の分野は堅いイメージがあり、気軽に相談する雰囲気ではない印象があります。しかし、ベンチャー支援を積極的に行っている士業の方も増えてきており、そういう場合はかなり相談しやすくなっています。
士業の方との関係は非常に重要だと思いますので、ぜひ積極的に相談してみると良いと思います。

また、最近は気軽に士業に相談することができるWebサービスも出てきていますので、これらを活用するのもよいでしょう。

■Gozal
Gozalは、各種士業の方にクラウド上で無料のチャット相談ができ、そこから実際に依頼まですることができます。

■Bizer
Bizerは、月額固定で何度でも士業の方々に相談することができるサービスです。


【ポイント9】営業・集客についての取り組みを始める

これまで紹介してきたような「バックオフィス業務」ではないですが、「本業以外」という視点では「営業・集客」も継続的に取り組むことが非常に重要です。
営業会社の場合はそれが本業ですが、それ以外の分野が本業の場合、どうしてもおそろかになりがちです。
しかし、ビジネスを継続するためには集客できる土台が不可欠で、それは一朝一夕では確立できません。自社サイトやブログでのコンテンツマーケティング・SEOなどは、急に効果が出るものではありませんので、初期の頃から意識的にやっておくことによって、いざ必要となった時の財産になると思います。

ただ、「何から始めたらよいかわからない」という場合は、一度、Webマーケティング全般を相談できる人に聞いて、全体像を把握してみるとよいでしょう。


まとめ

このように、起業すると、自分の本業以外で様々な仕事があります。そして、それらは避けられないものです。
最近はクラウドサービスが数多くあり、かなり便利になってきたので、積極的に活用していくのがよいと思います。
ただ、システムだけでは解決できないものも多数あります。そういうものは、アウトソースすることを検討しましょう。最近は、様々な分野でベンチャー向けに利用しやすくなっているものが多いです。

起業したら、本業でやりたいことが数多くあるはずです。そこに時間を使うためにも、可能な限りバックオフィス業務は効率化して、本業に集中する環境を整えていきたいものです。