地域活性化×Webサービス最新事例10選│ITで地方創生を実現!

アベノミクスの影響でよく目にするようになった「地域活性化」ですが、具体的にどんなことが行われているのか、実はよく分かっていない、なんてことはありませんか?

今回は、Webサービスを駆使した地域活性化にフォーカスして、10の最新事例をご紹介します。
地域の魅力を引き出すヒントがたくさん詰まっていますので、ぜひ、お住まいの地域を思い浮かべながらご覧ください。

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大衆の力をWebで集めて町おこし!な事例

【事例1】クリエイターによるオープンコンペ
石垣島の「USIO Design Project」

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「USIO Design Project」は、デザインの力を通して、石垣島の魅力を再発見するプロジェクト。
(中略)
目指すのは、海の「潮」のように人が行き来し、「潮目」のように豊かな交点を生み出すこと。
石垣・東京・台北の3拠点を中心に、島で生まれるモノ、働くヒト、育まれる知恵と、
世界中のデザイナーの想像力を掛け合わせていきます。
地域を知り、名産品に触れ、アイデアを出し合い、明日につながる物語をつむいでいくーー。
そんなあたらしい形の「地域×デザイン」プロジェクトに挑戦します。

引用元:USIO Design Project

本プロジェクトは名産品のリデザイン案を募集するのに、オンライン上でのオープンコンペ形式を採りました。コンペには国内外から431点の作品が集まり、その中から審査員を驚かせた個性的な10点の採用が決まりました。
これは、近年盛り上がりを見せているクラウドソーシングの仕組と非常に近いものです。

本プロジェクトの本当に個性的なところは、オープンコンペ終了後に、アイディアを採用されたデザイナーが実際に石垣島を訪れた、ということです。デザイナーは、名産品の生産者の方々との触れ合いや豊かな自然を体感することにより、新たなインスピレーションを受け、さらにデザインを改良する機会を得ました。

また、本プロジェクトのもうひとつの大きな特徴は、その活動範囲が海を渡って台湾まで広がっている、というところです。
石垣市が主催し、国内で“クリエイティブを流通させるプラットフォーム”を運営する㈱ロフトワークと、台湾政府が設立した台湾デザインセンターの協力のもと実現した本プロジェクトですが、リデザイン案に沿って新しく生まれ変わった名産品が、台湾のデザイン専門紙「設計(design)」に特集記事として取り上げられたり、台湾の台北世界貿易センターで開催された国際食品見本市『FOOD TAIPEI』でお披露目されたりと、まさに国境を越えた地域活性化の好事例となっています。

そして、これらの活動がFacebook上で一連のストーリーとして投稿され広まったのも、非常に今日的なアプローチだといえます。

【事例2】遠くにいながら地元を応援できる「FAAVO」

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「FAAVO」は地域・地方に特化したクラウドファンディングのプラットフォームです。最大の特徴は、「FAAVO宮崎」「FAAVO新潟」など、各地域のプロジェクトを専門にあつかうクラウドファンディングのサイトを、地域ごとに運営している点です。(中略)FAAVOはクラウドファンディングの中でも「地域・地方」に特化しており、故郷を離れて暮らす人が出身地の活性化のために、支援金を出資できる「民間版・ふるさと納税」のような仕組みを目指しています。
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引用元:FAAVO

現在は、全国で26の地域版FAAVOが立ち上がっており、各地で大小様々なプロジェクトがエントリーされ、資金調達の事例も次々に生まれています。
その中のひとつに「FAAVO宮崎」で展開された「obisugi-design世界展開プロジェクト」があります。これは、県内日南市の林業再生を目的として国産杉の工芸品をニューヨークのギフトショーに出展し、新たな販路開拓を目指すプロジェクトで、70日余で241名のサポーターから320万円以上のお金を集めました。このように、クラウドファンディングは地域活性化のための資金調達手段として、徐々にその有用性が認知されてきています。

【事例3】日本の職人・作り手をみんなで応援する
「伝統サポーターズ」

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「一流の職人になって伝統の技を伝えたい」
「技を生かして新しいものを作ってみたい」
伝統サポーターズでは、彼らの想い・挑戦に共感し、支援・サポートしてくれるファンを広く求めています。ニッポンの素晴らしい職人たちと一緒に、未来を描きませんか!?

引用元:伝統サポーターズ

伝統工芸や民芸といった産業界で深刻化している需要の低迷。その背景には伝統的な技術・技法を大切にするが故の大量生産の困難さや、原材料にこだわった結果としての価格の硬直化があります。需要のないところに次世代の職人は集まらず、それにより市場のニーズを捉えきれずに需要がさらに低迷していく。こうした負の循環に楔を打つためにクラウドファンディングを活用したのが本プロジェクトです。

今年7月1日にベータ版として3件のプロジェクトが公開され、そのうちの1件、栃木県の伝統工芸品である「指物」の職人を支援するプロジェクトが見事目標金額を集めました。
年度内に職人・作り手の登録300人、サポーター数10,000人を目標に掲げており、現在は第2弾プロジェクトに向けて準備中とのことです。


ただのショッピングじゃない!
見て、買って、楽しいEC!な事例

【事例4】農作物や魚介類などの産地食材を
生産者から直接購入できる「LINE マルシェ」

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「LINE マルシェ」は、生産者とLINE MALLが契約を結び、収穫したての農作物や
水揚げされたばかりの魚介類など、本来であれば産地でしか出会えない食材を
LINE MALL上から直接購入できるサービスです。

引用元:LINE|【LINE MALL】LINEのECサービス「LINE MALL」、“つながりによる消費”をコンセプトとした新戦略を発表

本サービスでは、食材を求めるユーザーと生産者を直接結び付けることにより、ユーザーはより新鮮な食材を買うことができ、生産者は中間流通・小売店を介さないことでより多くの利益を確保することができるようになります。
現在はまだサービス準備段階で、年内中には、約200万人のLINE MALLユーザーに対してサービス提供を開始する見込みとのことです。

【事例5】「美味しい魚を食べる幸せ」を提供する「八面六臂™」

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事例4のサービスに類似するものとして「八面六臂™」があります。
こちらのサービスは、築地市場を中心とする市場流通品と全国の産直商品に関する情報を集積・データ化して、飲食店が専用アプリ上のデータリストから商品を選べば(鯵1本、鰹半身からでもOKとのこと)、自社の物流センターを通じて飲食店に新鮮な食材が届く、というものです。

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引用元:コンセプト|八面六臂株式会社

既存の産地直送・中抜きモデルの懸念点は生産量・漁獲量の変動に対応できない脆さであり、これに対し仲介業者が間に入ることで、彼らが複数の生産者を束ねて流通量と価格をコントロールするため、このリスクを回避できます。その代償に、食材の鮮度が下がり、販売価格が上がってしまうという構造上のジレンマがありましたが、八面六臂™では複数の仕入元を確保することにより、このジレンマを解消しました。

2014年7月末時点で「八面六臂™」に登録している店舗数は累計約1,000軒となり、事業目標として20年時点で売上3千億円を目指しています。

これまでIT化があまり進んでいなかった第一次産業ですが、「LINE マルシェ」や「八面六臂™」のようなWeb経由の新たな流通網が広く普及していけば、地方を盛り上げる大きなきっかけとなりそうです。

【事例6】誰も教えてくれなかった観光体験「TRIP」

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「TRIP」は、観光商品を提供したい個人または事業者と、
ユニークな旅の体験がしたい旅行者をオンラインで繋げる、観光商品の売買プラットフォームです。
例えば、大手旅行代理店では取り扱わない小規模な観光商品、
または地元ガイドしか知らないような珍しい観光体験を売買できます。

引用元:TRIP
PR TIMES |LIGが100%出資子会社を設立、各地に埋もれた地域の魅力を日本全国へ訴求!観光商品の売買プラットフォーム「TRIP」提供開始!

紹介されている観光体験を眺めてみると、香川県琴平町での本格うどん打ちを学べる体験プログラムや、埼玉県長瀞町でのリバーSUPツアーのように地域の特色をそのまま活かしたものがある一方で、栃木県栃木市のどろんこバレーのようにどの地方にもある耕作放棄された田んぼに新たな遊びの魅力を見出すようなものもあり、地域資源の多様性に改めて気づかされます。

なお、本稿掲載時点では全国35都道府県から243件の体験が集まっており、2014年度内は47都道府県をカバーし、登録商品1万件、登録者10万人までの拡大を目指しているとのことです。

【事例7】お気に入りの田舎の民宿に泊まれる「とまりーな」

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宿泊予約サイト「とまりーな -田舎を作ろう-」は、旅館やホテルとは異なる、
農家や漁家・古民家などのユニークかつ日本特有の宿泊施設を中心に取り扱うマッチングサイトです。
(中略)
東北地方のさまざまな民宿・民家・古民家に泊まって、いままでに体験した事の無い
田舎暮らし体験をする方を増やし、都市と地方の交流人口を増やす事で、
地域活性化の懸け橋となるサイトを目指します。

引用元:ValuePress!|「とまりーな -田舎を作ろう-」 WEBサイト オープン 東北地方を中心エリアとした農家・漁家・古民家に泊まれる宿泊予約サイト
とまりーな

これまで教育旅行に活用されていたに農家・漁家・古民家等のユニークな宿泊施設を、グリーンツーリズムをさらに広めるために個人向けに紹介するサービスです。
野菜の収穫や漁などの、都市で暮らしているとなかなか味わうことのできない貴重な体験を通じて、宿のオーナーをはじめとする地元の方々との交流をはかることができます。

例えば、大ヒット朝ドラ「あまちゃん」の舞台となった岩手県久慈市にある漁師の家に宿泊すると、カレイやアイナメ、ヒラメが獲れる刺網漁を体験できるようです(冬季は休漁)。
また、青森県八戸市の農家では、地方でもなかなか見かけなくなった囲炉裏の火を囲んで“お母ちゃん”の昔話に聞き入る、なんていう心落ち着く瞬間を愉しむこともできるのだとか。

単にホテルに泊まるだけでは物足りない、なんて方や、今話題の2拠点生活をお考えの方にはその足掛かりにもおすすめかもしれません!


全国津々浦々の魅力を知ることができる
Webメディア!な事例

【事例8】日本全国1952地域・1200名の
ご当地編集長をつなぐ「Walker47」

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Walker47は、SNS、ユーザー投稿、地域編集長、KADOKAWA編集者が一体となった、
全く新しいメディアを作り上げていきます。人から人へ、街から街へと、日本全国すべての人が
つながっていく『オープンな地域情報メディアサービス』を目指していきます。

引用元:角川書店|KADOKAWAが地域情報プラットフォーム事業に本格参入!日本全国1952地域・1200名のご当地編集長をつなぐ、スマートフォン向け地域情報メディアサービス『Walker47』を提供開始

http://corp.walker47.jp/lp_promo/
出版大手㈱KADOKAWAの子会社が提供するメディアサービスなので、長年築き上げた地域ネットワークを基盤として、地域独自のコンテンツを豊富に取り揃えています。
地域活性化にかかわりのあるコンテンツも充実しており、例えば、地域独自の伝統技術や素材にスポットをあてた「生活ナビ“モノ”コーナー」、全国2,000の街の魅力を紹介する「まちレポ」などがあります。

その中でも特にユーザーからの人気が高いのが“よしもと住みます芸人”とのコラボレーション企画「お題ネタバトル」です。
これは、全国47都道府県に実際に住んで地元の観光地や特産品のアピール活動をしているよしもとクリエイティブ・エージェンシー所属の“よしもと住みます芸人”が地域特有の銘菓や風習、方言などをネタにしてメディア上でお笑いバトルを繰り広げるというもので、ユーザーからの評価で最優秀芸人が決まるユーザー参加型企画となっています。

なお、Walker47はスマートフォン向けのWebサイトのみならずiOS、Androidそれぞれに対応したアプリでも提供されていて、提供開始から約1か月間でAndroid版だけでも5万インストールを突破しています。

【事例9】地方を応援してお得な特典が貰える「ふるなび」

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「ふるさと納税」とは、自分が貢献したいと思う任意の自治体へ行う寄付金のことで、個人が2,000円を超える寄付を行った時に、住民税と所得税から一定の控除を受けることができる制度です。(中略)自治体によっては、寄付に対する「お礼」の特典として、特産品を贈呈してくれるところも増えてきています。

引用元:ふるなび

ふるなびでは、「寄付の申し出」「個人情報の記入、郵送」「納税額の支払い」をサイト内で一括で行うことができる「ワンストップ制度」を取り入れています。
通常のふるさと納税の方法では、平均1~2週間かかってしまう、「寄付の申し出」「個人情報の記入、郵送」「納税額の支払い」の工程(中略)ふるなびの『ワンストップ制度』を使うことにより、銀行振り込み、クレジット支払いを選択できる自治体では、納税がたった5分で完結します!

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引用元:ふるなび

上図にもあるとおり、ふるさと納税の魅力はなんといっても、その見返りとして地域の記念品や特産品を貰えるところです。
ふるなびで紹介されている特産品には、日本三大和牛として名高い「米沢牛」や、知る人ぞ知る究極の松葉ガニ「セコガニ」など、自分で買うとなるとなかなか手が出せない魅力的なものがラインナップされています。

また、本サービスを運営するアイモバイル社は膨大なメディアをパートナーに抱えており、これらのメディアパートナーに対してふるなび上でPRを行う自治体案件を公開し、自社が運営する「ふるなび」への参画自治体も増やし、アフィリエイト事業との相乗効果を図っています。このような取組みも他のふるさと納税紹介サービスにはないユニークなところです。

本サービスは提供開始からまだ2ヶ月余りしかたっていませんが、寄付金総額は既に1,000万円を超えています。公共サービスとユーザーとの繋ぎこみを民間企業が担うことで、地方にお金が集まる取組みの好事例であり、今後もますます拡大するスキームではないでしょうか。


道行く人々に商店街の魅力を配信!な事例

【事例10】「tab」を活用した、
岐阜県高山市国分寺通り商店街活性化プロジェクト

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引用元:tab|高山国分寺通り商店街

地域の商店街には、地域ならではの魅力的な店舗が集まる一方で、
大型商業施設の増加とそれによる人の流れの変化でその魅力が見えづらくなっています。
さらに、現状では商店街や店舗からの情報発信が十分できているとは言えず、
地元住民や近隣住民に商店街の魅力を伝えることが難しくなっています。
今回の取り組みによって、店舗が発信する情報を位置情報と共に『tab』に集約することで、
地元住民や近隣住民が『tab』上で商店街の魅力を再発見できます。

引用元:tab|プレスリリース

まずtabとは、ユーザーがネットで見つけた「行ってみたい場所」や、自分の「お気に入りの場所」などを位置情報とともに記録することにより、登録場所に近づくと通知を送ってくれるアプリサービスです。
本サービスを活用することにより、ユーザーが忘れてしまっていた来店欲求を通知機能によって呼び起し、来店を促すことが可能になります。

高山国分寺通り商店街では、実に30店舗がこの機能を利用して情報発信を行っており、その中には割引情報や特典情報を送って、顧客の獲得をしているお店もあるようです。うまく活用すれば、今までは見逃されていた地域の名物に注目を集めることも可能になるのではないでしょうか。

なお、Tabには登録場所の通知機能の他にも、画期的な技術が組み込まれています。それは、近距離通信技術であるBeacon技術です。従来のGPSやWiFiでの測位技術は精度の都合上、店舗内でのユーザーの行動を捕捉することが難しかったのですが、Beacon技術を活用することで店舗内での行動に応じたスマホとの連動が可能になりました。
例えば、手に取った商品の詳細情報がスマホ画面上に表示されたり、店舗への来訪履歴の計測が正確に行えるようになったりと、自動で細やかなコミュニケーションが可能となります。


さいごに

いかがでしたでしょうか、紹介したとおり、日本各地でWebサービスを活用した地域活性化が広がってきています。
皆様がお住まいの地域でも、Webサービスを活用した地域活性化の事例がございましたら、ぜひお知らせください。

【地方代理店向け】観光客誘致・入札案件の攻略法 デジタル施策編【eBook】