【5分で学ぶ】3C分析とは?基礎と実践方法を具体例とセットで解説!

3C分析

3C分析とは、ビジネス戦略策定のための代表的なフレームワークで、3つのCは分析対象のCustomers(顧客)、Competitors(競合他社)、Company(企業)の頭文字を指しています。

企業は、市場の顧客、競合、自社の分析を行うことで状況や位置づけを把握し、その情報をもとに独自の強みを生み出したり、競争優位性を獲得にむけた戦略を策定することができます。

このように3C分析は戦略策定における便利なツールですが、具体的にどのように活用していいのか分からない方や、試してみたものの上手く分析できないという方も多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、3C分析の基礎や役割、具体的な実践方法、失敗しないためのポイントについて例とセットでわかりやすく解説します。

ビジネスやマーケティング戦略の策定にお悩みの方は、ぜひご覧ください。


3C分析とは、ビジネス戦略策定の核となるフレームワーク

3C分析(さんしー分析)とは、元マッキンゼーコンサルタントの大前研一氏によって提唱された、企業がビジネス戦略を策定するために用いる代表的なフレームワークです。

3Cは、Customers(顧客)、Competitors(競合他社)、Company(企業)の頭文字を意味しており、これらの要素を分析することで企業は市場でのポジションを明確にし、競争上の優位性を築くための戦略を策定することができます
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3つの「C」の意味

3つのCの意味は以下のとおりです。

Customers(顧客)

ここでの「顧客」とは「市場の消費者」を指す言葉です。

企業は市場の消費者のニーズや、行動、嗜好などの情報を分析し、動向を理解することで、市場の状況や顧客のニーズにマッチした商品やサービスを生み出すことができます。

Competitors(競合他社)

競合他社とは、市場に存在する「自社の商品やサービスと同様または類似したものを提供するライバル企業」を指します。

競合の商品・サービスや戦略などの情報を把握することで、自社の商品やサービスをどのように差別化し、競争相手に対して優位を得ていくかを考えることができます。

Company(自社)

ここでいう自社とは、もちろんあなたの企業のことですが、正確には市場における現在の自社の状況を指す言葉です。

自社の強み、弱み、資源、能力などの状況は、市場や競合などの影響によっても変化していきます。

そこで市場や競合だけでなく、絶えず変化する自社の現状も正確に把握する必要があるのです。


ビジネス戦略策定における3C分析の位置づけは「ミクロ環境分析」

ビジネス戦略策定の進め方としては、外部環境分析→内部環境分析→ビジネス戦略策定という流れが一般的です。

このとき3C分析は、外部環境分析のミクロ環境分析に分類することができます。(以下の図参照)

戦略策定の流れと3C分析の位置づけ

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外部環境分析、内部環境分析の概要や主要なフレームワークについては、下記説明をご覧ください。

外部環境分析とは

外部環境分析とは、企業が市場や社会の変化に対応するためのプロセスです。

外部環境には、企業や個人がコントロールできない政治、経済、社会、技術などの要素が含まれ、これらの要素を分析することで、組織は自らを環境に適応させながら継続的な成長を目指すことができます。

外部環境は大別するとマクロ環境とミクロ環境に分けることができ、企業へ直接影響する競合などの要因の集まりを「ミクロ環境」、その他を「マクロ環境」と呼びます。

3C分析は、企業に直接影響をもたらす「顧客を含む市場」や「競合」を分析するため、「ミクロ環境分析」に含まれるフレームワークです。

内部環境分析とは

内部環境分析とは、組織の強み、弱み、リソースなどの評価を行うプロセスのことです。

企業は分析を行うことで組織の潜在的な能力や課題を把握することができます。

一般的に内部環境分析は外部環境分析の後に行われることが多く、企業はコントロールできない外部環境を把握してから、内部の資源をコントロールすることで競争優位性を確立していきます。

内部環境の分析には組織の環境を、強み(Strengths)、弱み(Weaknesses)、機会(Opportunities)、脅威(Threats)の4象限に分類することで現状を評価するSWOT分析などのフレームワークが用いられます。

参考:SWOT分析とは?定義から具体例、方法までわかりやすく解説


3C分析を実践する方法(具体例付き)

次に、3C分析を実践する方法を見ていきましょう。

今回は、「背中ニキビの治療を得意とするクリニック」を例に解説していきます。

1.Customers(市場の顧客)の分析

まずは市場の顧客について分析を行います。

はじめに顧客の状況やニーズを理解することで、それらの顧客に合わせた戦略を立てやすくなります。

顧客の分析を行う際には以下のような項目に注目していきます。

顧客の状況

  • どのような状況の顧客がその商品やサービスを求めているのか。
  • 例:近く結婚式を控えていて短期間で綺麗になりたいと考えている女性。

顧客のニーズ

  • 顧客は具体的にどのような課題を解決するために、なにを求めているのか。
  • 例:背中の空いたドレスを着たいが、ニキビが気になるので治したい。

顧客はどの程度いるか

  • その顧客はどこにどの程度いるのか。
  • 例:背中ニキビに悩む女性は全国に◯万人いる(✖✖調べより)

顧客の分類(セグメント)

  • 顧客はどのように分類できるか。
  • 例:ちょっとしたニキビができる人と、荒れがひどく悩んでいる人がいる。

顧客の購買における意思決定プロセス

  • 顧客はどのように商品を比較検討し、なぜ購買に至るのか。
  • 例:ちょっとしたニキビのある人 → 口コミを比較検討して薬局で薬を購入している。荒れがひどい人 → 価格、口コミ、治療期間などを調べて近くの医療機関または専門クリニックを受診している。

動向やトレンド

  • 市場や顧客にはどのような動向やトレンドがうかがえるか。
  • 例:最近ではセルフケアを行うための機器も登場していて、自宅でケアしている人もいる。

顧客の意見

  • 市場の顧客は商品やサービスにどのような意見を持っているか。
  • 例:市販薬は効き目や肌荒れを気にしている人が多い、専門クリニックを受診する人は治るまでの受診回数と価格を気にしている人が多い。

情報収集の方法

  • 顧客がどのように商品やサービスの情報を得るのか。
  • 例:検索エンジンやSNS上で情報を調べることが多い。

2.Competitors(競合他社)の分析

次に競合を分析を行いましょう。

競合を分析する際には以下のような要素や項目に着目します。

競合他社の特定

  • 市場内で自社と直接競合する商品やサービスを提供する企業はどこか。
  • 例:自社と同じ専門クリニックは、全国に◯社、商圏内に約◯社、計◯店舗ある。

競合のシェアとポジション

  • 各競合が市場内でどの程度のシェアを持ち、どのようなポジションを獲得しているか。
  • 例:
    • A社は、シェア◯割を持つ知名度の高いリーダー企業。
    • B社は、コストパフォーマンスで勝負する中堅企業。
    • C社は、有名人が立ち上げた知名度の高い振興企業。

競合の戦略

  • 競合他社はどのようにして顧客を獲得しているか。
  • 例:無料カウンセリングや、初回割引キャンペーンを実施している。

競合の強みや弱み

  • 競合の製品やサービスにはどのような強みや弱みがあるか。
  • 例:
    • A社は、最新の設備かつサービスが手厚いが価格も業界トップ。
    • B社は、コストパフォーマンスが高いが、使用している機器が古い。
    • C社は、業界最安で知名度も高いが、悪評も多い。

競合の最新動向

  • 競合が最近始めた活動は何か。
  • 例:A社が新プランのリリースや、新しいキャンペーンを開始した。

代替可能性のある競合

  • 商品・サービスは異なるが、代替品として競合する可能性のある企業はないか
  • 例:サブスク利用できるセルフケア機器を備えた施設を提供する新興企業D社が登場した。

3.Company(企業)の分析

最後に企業(自社)の分析を行います。

自社を分析する際には以下のような要素や項目に着目します。

企業の資源

  • 自社にはどのような資源があるか。
  • 例:◯人の治療を行うスタッフ、◯件の実績をもつ技術、国内唯一の機材。

財務状況

  • 自社の財務状況は安定しているか。
  • 例:設備への投資の返済を含め、売上・利益ともに好調。

企業の強み

  • 自社が競合他社と比較してどのような点で優れているか。
  • 例:国内唯一の機材を用いた独自の治療技術。

企業の弱み

  • 自社が競合他社と比較してどのような点で劣っているか。
  • 例:貴重な機材を操れる人が少なく、それに伴い店舗数も少ない。

企業文化や価値観

  • 自社の文化や価値観がビジネスにどのような影響をもたらしているか。
  • 例:人と接することを好むスタッフが多く、特定のスタッフを指名して再訪する顧客が多い。

この章では、3C分析の実践方法についてご紹介しました。

これらの分析を通じて、企業は市場の顧客、競合、自社の現状を把握し、市場での競争力を高めるためのビジネス戦略を策定することができます。


3C分析で失敗しないための4つのポイント

最後に3C分析を行う際に失敗しないためのポイントを4つご紹介します。

実践の参考にしてみてください。

1.3C分析の順番は、市場→競合→自社を推奨

3C分析を行う際の順番については、厳密なルールはありません。

しかし、市場(Customers)、競合(Competitors)、自社(Company)の順に分析することを推奨します。「市場」という大きな単位から順番に把握していくことで、自社の状況を俯瞰できるためです。

たとえば自社から分析した場合に、自社の強みを「安さ」と評価したとしましょう。この時の「安さ」が、競合と比較しても「安く」、市場の消費者にとっても「安い」と感じるのであれば強みであるという評価は正しいです。

しかし現実には、競合が戦略を変更したり、代替品として機能する商品を提供する競合が新たに登場するといったことが良く起きます。

2.信頼性の高いデータを分析に用いる

市場の顧客の状況を分析する際には、対象者数の多い統計的情報などの信頼性の高いデータを積極的に用いるようにしましょう。

市場の顧客ひとりひとりに目を向けることで新たな発見や気づきもあると思います。

しかしビジネス戦略を策定するうえでは、その顧客と同じような人がどこに、どの程度いるのか、購買意欲は高いのか、競合商品や代替品はどの程度存在するか、といった様々な要素を複合的に判断することが不可欠です。

たとえば各省庁から年度単位で集計された業界の情報などの情報が発表されているので、このような情報を確認することをお勧めします。

3.事実と仮説は区別する

分析を行う際に、「きっとこの消費者は◯◯や✖✖を求めている」とひらめくことがあると思います。

しかし、せっかく信頼性の高いデータを集めてきても、こういった仮説と混ざってしまっては、何が事実なのかわからなくなってしまいます。

ビジネス戦略を策定するにあたって仮説を考えることは非常に重要ですが、事実と仮説が混同しないよう区別するようにしましょう。

4.分析は定期的に行う

市場の顧客や競合は絶えず変化を繰り替えしています。

またその影響を受けて自社の資源の状況が知らぬ間に変わっていることも多々あります。

企業がそれらの様々な変化に適応していくためには、3C分析を一回行ったから大丈夫ということはないでしょう。

分析を定期的に分析を行うことで環境の大きな変化を捉え、自社の資源をコントロールすることで適応し、持続可能性を高めましょう。


まとめ

この記事では、「3C分析」についての基本、実践方法、失敗しないためのポイントを解説しました。

3C分析とは、ビジネス戦略策定プロセスにおける代表的なフレームワークであり、市場の顧客(Customers)、競合他社(Competitors)、そして自社を意味する企業(Company)の3つの要素を詳細に分析することで、自社の市場でのポジションを明確にし、競争上の優位性を確立するのに役立ちます。

3C分析を行う際のポイントとしては、市場→競合→自社の順序で分析を行うことや、信頼性の高いデータの使用、事実と仮説の区別、そして定期的な分析の重要性などが挙げられます。

3C分析は、ビジネス戦略を策定する際の強力なツールなので、ぜひこの機会にご活用いただければと思います。

そして活用の際には、本記事の内容が一助となれば幸いです。