VPNはオフィスの外から会社のネットワークにアクセスするための技術で、テレワークが普及した現代において多くの企業が利用しています。
しかし、「家で仕事しているんだけど、VPNが遅すぎて仕事にならない」という経験をしたことがある方や、そのことでヘルプ要請を受けたことがある情シス担当の方もいらっしゃるのではないでしょうか。
VPNが遅くなるのには、社員のネット環境やVPNサーバーへの負荷をはじめ、6つの原因が考えられます。
本記事ではVPNが遅いときに考えられる原因と対策をまとめています。
今すぐVPNの速度を上げたいと思った時にできる簡易的な対策から、速度を底上げするための本質的な対策まで幅広く紹介します。
記事を読むことでVPNの速度が原因で落ちてしまったテレワークの生産性を高められるようになります。
VPNが安定するネット回線の3つの条件
※本記事はソニービズネットワークス株式会社提供によるスポンサード・コンテンツです。
VPNが遅いときの原因・対策一覧
VPNが遅いときに考えられる原因と対策について一覧表にまとめました。
VPNと一口にいっても種類があり、「 インターネットVPN 」「 エントリーVPN 」「 IP-VPN 」「 広域イーサネット 」の4つに分かれます。
今回は、多様なVPNの中から、「インターネットVPN」について、特に現代の働き方に対応する「リモートアクセスVPN」の一種である「クラウド型VPN」に焦点を当ててご説明します。
近年、テレワークや分散型チームが一般的になるにつれ、その柔軟性と拡張性により、クラウド型VPNの重要性がますます高まっています。
原因 | 対策 | 所要時間 |
---|---|---|
インターネット接続速度が遅い | 他のデバイスの使用を制限する | すぐできる |
VPN・ISPのプラン見直しやリプレイスを行う | 数営かかる | |
サーバーの負荷が高い | 別のサーバーに接続する | すぐできる |
軽量な暗号化プロトコルに変更する | すぐできる | |
VPNの暗号化設定を見直す | 数営かかる | |
トラフィックの少ない時間帯に使用する | すぐできる | |
サーバーの場所が遠い | より近いサーバーを選択する | 数営かかる | 端末の処理能力が低下している | 端末を再起動する、不要なアプリケーションを閉じる | すぐできる |
モデムやルーターをアップグレードする | 数営かかる | |
セキュリティソフトウェアの設定調整 | すぐできる | |
MTUが適切に調整されていない | MTU設定を変更する | すぐできる |
ISPでトラブルが起きている | ISPに連絡して問題解決を依頼する | 数営かかる |
VPNが遅い6つの原因
VPNが遅くなる原因として、以下の6つが挙げられます。
- インターネット接続速度が遅い
- サーバーの負荷が高い
- サーバーの場所が遠い
- 端末の処理能力が低下している
- MTUが適切に調整されていない
- ISPでトラブルが起きている
1.VPN・インターネット接続速度が遅い
VPN接続の速度は、契約しているVPNサービスやインターネット回線によって変わります。
契約しているサーバーが提供できる通信速度はサービスによって異なり、無料のVPNサービスは速度が遅くなりやすいです。
また、VPNの速度が速くても、インターネット接続が遅い場合、VPN接続も遅くなります。
特に、ISP(インターネットサービスプロバイダ)の速度制限や問題が存在する場合、VPN接続のパフォーマンスが著しく低下することがあります。
参考:灯台もと暗し?「遅くて仕事にならない」というテレワークの不満を解消する鍵はインターネット回線にあり
2.サーバーの負荷が高い
VPNサーバーの負荷が高い場合、通信速度に影響を与えることがあります。
多くのユーザーが同時に同じVPNサーバーを使用していると、サーバーの性能が低下し、VPNの速度低下につながります。
VPNサービスは複雑な暗号化処理を行うため、特に暗号化レベルが高い場合、より多くの処理能力を要求され、結果として通信速度が低下する可能性があります。
サーバーの負荷が高まる要因としては以下が挙げられます。
- Windowsのアップデートなどで、多数のユーザーが同時にアクセスしている
- 高度な暗号化処理にリソースが使われている
- ネットワークが混雑している
3.サーバーの場所が遠い
VPNサーバーまでの物理的な距離が遠い場合、通信速度が低下する可能性があります。
データはVPNサーバーとの間を往復する必要があり、距離が長いほど、通信にかかる時間が長くなります。
ユーザーが居住している場所から遠く離れたサーバーに接続すると、速度が遅くなることが一般的です。
サーバーが国内にある場合はほとんど影響を受けませんが国際間、特に異なる大陸間の接続では、遅延が顕著になります。
4.端末の処理能力が低下している
端末の処理能力の低下は、VPN接続の遅延の一因です。
特に古いデバイスや性能が限られたハードウェアを使用している場合、VPNのデータ処理速度が低下します。
これは、デバイスのメモリ不足やCPUの処理能力不足に起因し、結果として通信速度が遅くなることがあります。
古いデバイスとは、一般的に数年以上経過し、現代のアプリケーションやサービスに対応するためのアップデートがされていないデバイスを指します。
VPN接続で快適なパフォーマンスを得るためには、少なくとも4GB以上のメモリと現代的なマルチコアCPUが推奨されます。
5.MTUが適切に調整されていない
MTU(Maximum Transmission Unit)の設定が不適切な場合、VPN接続の速度が低下する可能性があります。
MTUとは、インターネット経由で一度に送信できるデータの最大サイズを指します。
インターネットでデータを送信する際、大きなデータは「パケット」という小さな単位に分けられて送られます。
MTUは、これらパケットのサイズの上限を定めるものです。
しかし、VPNではデータを暗号化するため、通常よりもデータサイズが大きくなりがちです。
このため、MTUの設定が低すぎると、大きなデータがパケットの上限サイズを超え、さらに小さく分割されてしまいます。
分割されたデータは、送信先で元のデータに再組み立てられますが、このプロセスは追加の時間と処理を必要とするため、通信速度の低下につながります。
6.ISPでトラブルが起きている
ISP(インターネットサービスプロバイダ)のトラブルは、VPN接続に大きな影響を与えることがあります。
ISP側の問題やメンテナンス、またはネットワークへのDos攻撃などが発生すると、ユーザーのインターネット接続自体が不安定になり、VPN接続の速度が低下することがあります。
- ネットワークの混雑や過負荷
- サーバーのメンテナンスやダウンタイム
- ハードウェアの故障
- Dos攻撃による回線への影響
ISPのトラブルはユーザーが直接対処できない要因であり、これらの問題が発生すると、VPN接続の速度や安定性に影響を与えることがあります。
すぐに実行できる6つの対策
ここからはVPNが遅いと感じた時に試したい対策をご紹介します。
まずは時間をかけずにできる6つの対策です。
- 他のデバイスの使用を制限する
- 別のサーバーに接続する
- トラフィックの少ない時間帯に使用する
- 軽量な暗号化プロトコルに変更する
- 端末を再起動する、不要なアプリケーションを閉じる
- MTU設定を変更する
「VPNが遅すぎて業務が止まってしまった」「とりあえず今日だけでも乗り越えたい」という場合、この6つの対策を行ってください。
1.他のデバイスの使用を制限する
他のデバイスの使用を制限することで、VPNの通信速度が向上する可能性があります。
これは、同一ネットワーク上での通信帯域の競合を減少させるためです。
例えば、大量のデータをダウンロード中のデバイスや高解像度のストリーミングを行っているデバイスがある場合、これらのアクティビティを停止または制限するだけで、VPNの速度が改善されることがあります。
この対策は、即時に実行でき、特に帯域幅が限られている環境では効果が顕著に現れることが多いです。
ただし、全体的なネットワーク環境にも依存するため、改善の度合いは変動します。
2.別のサーバーに接続する
VPNサーバーにかかる負荷が高い場合、別のサーバーへの切り替えは速度改善につながることがあります。
特に、多くのユーザーが同時にアクセスしているサーバーよりも、負荷の少ないサーバーに接続することで、通信速度の向上が見込めます。
この切り替えは通常、VPNクライアントの設定メニューから簡単に行え、即座に効果が現れる可能性があります。
しかし、サーバーの選択は利用地域や目的に応じて最適なものを選ぶ必要があり、全てのユーザーにとって最良のサーバーが存在するわけではないため、実験的な試行が必要です。
3.トラフィックの少ない時間帯に使用する
VPNサーバーの負荷が原因で接続速度が低下している場合、トラフィックの少ない時間帯にVPNを使用することが有効な解決策となります。
このアプローチは、サーバーへのアクセス要求がピーク時に集中することによる遅延を避けるためのものです。
一般的に、午前9時から午後5時前後はVPNサーバーへのアクセスが集中しやすいため、これを避けると良いでしょう。
夜間や早朝などの時間帯に作業を行うことで、サーバーの負荷が低下し、結果として速度が向上する可能性があります。
この時間に合わせてWindowsのアップデートや容量の大きなファイルのダウンロードなどの実施をオススメします。
4.軽量な暗号化プロトコルに変更する
VPNの暗号化プロトコルは、セキュリティと速度のバランスを取る必要があります。
軽量な暗号化プロトコルに変更することで、データの暗号化・復号化プロセスが速くなり、結果として通信速度が向上することがあります。
ただし、セキュリティレベルの低下も考慮する必要があります。
プロトコル変更にかかる時間は短いですが、セキュリティと速度のトレードオフを理解し、適切なプロトコルを選択する必要があります。
5.端末の再起動や不要なアプリケーションを閉じる
端末の再起動や不要なアプリケーションを閉じることで、VPN接続の速度問題が改善することがあります。
これは、端末の処理能力が低下している際に特に有効です。
端末の再起動は、使用中のメモリを解放し、システムリソースをリフレッシュします。
一方で、バックグラウンドで動作している不要なアプリケーションを閉じることで、リソースの利用効率が改善され、VPNのパフォーマンスが向上します。
この対策は、即時に実行でき、すぐに効果を感じることができるため、VPN接続に問題がある場合の初期対応として最適です。
6.MTU設定を変更する
MTUの設定を変更することで、VPNの速度を改善できます。
VPNのMTUの設定をデバイスのMTUの値に近づくよう調整しましょう。
MTUの標準サイズは1500バイトですが、VPNの暗号化に際して追加データを必要とするためです。
VPNを使用する場合は1400バイト〜1460バイトに設定することが推奨されています。
VPNの速度を速くするための本質的な6つの対策
ここではVPNの速度を底上げするために検討したい対策を6つご紹介します。
- VPN・ISPのプラン見直しやリプレイスを行う
- より近いサーバーを選択する
- VPNの暗号化設定を見直す
- モデムやルーターをアップグレードする
- セキュリティソフトウェアの設定調整
- ISPに連絡して問題解決を依頼する
先ほど紹介した対策は時間をかけずにすぐに実行できますが、一時的な効果に留まってしまう可能性があります。
VPNの速度に頭を悩ませないためには、本質的な対策が必要です。
1.VPN・ISPのプラン見直しやリプレイスを行う
VPN接続速度の改善には、インターネットサービスプロバイダ(ISP)との契約内容を見直し、必要に応じて高速なプランへの変更を検討することが効果的です。
特に、現在の契約が低速または制限付きの帯域幅である場合、プランのアップグレードにより顕著な速度改善が期待できます。
この変更には、プロバイダとの契約変更手続きに伴う時間が必要ですが、長期的には安定した高速接続を享受できるようになります。
ただし、プラン変更には追加の費用が発生する場合があるため、コストと利益を比較検討する必要があります。
2.より近いサーバーを選択する
VPNの速度向上には、利用者の位置に近いサーバーを選択することが有効です。
地理的に近いサーバーを使用することで、データの伝送距離が短くなり、通信遅延が減少します。
速度改善は即時に確認でき、サーバー間での比較テストを行うことで、最も速い接続を見つけることが可能です。
国内や隣国のサーバーを選ぶのが良いでしょう。ただし、サーバーの選択は使用するVPNサービスによって変わります。
3.VPNの暗号化設定を見直す
VPNの暗号化設定を見直すことも、速度向上に影響を与えます。
不必要に高度な暗号化設定を使用している場合、これを適切なレベルに調整することで、通信速度の向上が期待できます。
VPNクライアントの設定を理解し、適切な暗号化レベルを選択する知識が必要です。
設定変更自体は迅速に行えますが、セキュリティとのバランスを考慮する必要があります。
これらの対策は、VPN接続の速度向上に効果的ですが、具体的な速度の向上幅はVPNの種類、使用環境、ネットワークの状況などによって異なります。
また、セキュリティと速度のトレードオフを適切に管理することが重要です。
実際に変更を行う前に、使用しているVPNサービスのサポートやドキュメントを確認することをお勧めします。
4.セキュリティソフトウェアの設定調整
セキュリティソフトウェアの設定を調整することで、VPN接続速度の問題を解決することが可能です。
セキュリティソフトウェアがVPN接続のデータをスキャンしていると、これがVPNの速度を遅くする原因になることがあります。
セキュリティ設定の調整により、VPN接続時のスキャンを最適化することで、速度の低下を防ぐことができます。
ただし、セキュリティレベルを低下させることなく、適切なバランスを見つけることが重要です。
5.モデムやルーターをアップグレードする
古いモデムやルーターは、時にVPN接続の速度を低下させる原因となります。
これらの機器を最新のものにアップグレードすることで、より高速で安定したインターネット接続が可能になり、結果としてVPNの速度も向上します。
モデムやルーターのアップグレードにはコストがかかりますが、長期的に見てインターネット接続の品質が改善されるため、特にVPNを頻繁に使用する環境では、投資の価値が高いと言えます。
6.ISPに連絡して問題解決を依頼する
ISPでトラブルが起きている場合、ISPに連絡して問題解決を依頼することが最適な対応策です。
ISPがネットワークのトラブルや障害に気づいていない場合や、特定の地域やユーザーにのみ影響を及ぼしている場合には、ユーザーからの報告が問題解決の手がかりとなることがあります。
また、ISPはネットワークの状況を正確に把握し、適切な修正措置を講じることができます。
ISPに連絡する際には、具体的な問題点(例:VPN接続の遅さ、特定の時間帯での接続問題など)を詳しく説明し、可能であれば接続速度のテスト結果などを提供することが有効です。
これにより、ISPは問題の原因を特定しやすくなり、迅速な解決策を提供することが可能になります。
この手法は、問題の原因がISPのネットワークにある場合に特に効果的で、問題解決までの時間はISPの対応能力や問題の複雑さに依存します。
まとめ
VPNが遅くなる原因は主に以下の6つが考えられます。
- インターネット接続速度が遅い
- サーバーの負荷が高い
- サーバーの場所が遠い
- 端末の処理能力が低下している
- MTUが適切に調整されていない
- ISPでトラブルが起きている
VPNが遅いと感じる場合は接続デバイスの調整やルーターなどの再起動など、簡単にできるものを実行することで、時間をかけずに効果を実感できます。
しかし、これらの対策は対処療法に近く、本質的に速度を改善することにはつながりにくいです。
VPNやISPのリプレイスや利用サーバーの見直し、モデム・ルーターのアップグレードなどは実施に時間を要しますが、VPNの速度を改善するのに有効です。
VPN接続の遅さを根本から解決する「NUROアクセス」【PR】
本記事では、VPNが遅くなる原因とその対策についてご紹介しました。
基本的にVPN機器やサービスを高いスペックのものに切り替えることで、VPN接続の遅さの解決が見込めます。
しかし、使用しているインターネット回線に問題があった場合、根本的な解決が難しい場合があります。
たとえば「NUROアクセス」では、通信速度の下限値が保証されるギャランティー型、広帯域な法人向け回線という特徴を持っているためテレワークでVPN接続を行った際の快適性をより高めることができます。
サービスの詳細は以下よりご確認ください。
※本記事はソニービズネットワークス株式会社提供によるスポンサード・コンテンツです。
VPNが遅い時によくあるご質問
VPNの遅さでお悩みの方に役立つQ&Aをまとめています。
Q.VPNを使用する際に適切なサーバーの選び方は?
A.VPNの速度に影響を与えるサーバー選びでは、地理的に近いサーバーを選ぶことが一般的に推奨されます。日本国内で利用する場合は日本のVPNサーバーを選びましょう。
Q.モバイルデバイスでVPNを使用する際の速度改善方法は?
A.モバイルデバイスでVPNを使用する際、Wi-Fi接続を優先し、電波の強い場所で使用することが推奨されます。また、バッテリーセーバーモードを解除することで、接続が安定し、速度が向上する場合があります。
Q.VPN接続が遅いときのクラウドサービス利用への影響は?
A.VPNが遅い場合、クラウドサービスの利用にも影響が出る可能性があります。特に、大容量のファイルのアップロードやダウンロード、リアルタイムでの共同作業などでは、パフォーマンスが低下することがあります。
Q.VPNを利用したリモートデスクトップの速度を向上させる方法は?
A.リモートデスクトップの速度が遅い場合、VPNの設定を調整することが有効です。たとえば、データ圧縮機能をオンにする、解像度や色深度を下げるなどが考えられます。
Q.複数のデバイスでVPNを同時に使用すると速度が低下する理由は?
A.同時に複数のデバイスでVPNを使用すると、帯域幅が分散されるため、全体的な速度が低下することがあります。解決策として、接続デバイスを減らすか、各デバイスに適したVPNサーバーを選ぶことが推奨されます。